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2007/01/04

世田谷一家殺人事件再考その58

今回は犯人の侵入経路と犯行時刻について考えてみたい。
被害者宅の見取り図警視庁HP(被害者宅の写真)を参照してほしい。

被害社宅へ侵入する経路を挙げると
1-1)1階玄関
1-2)1階玄関脇の上下スライド式の窓
1-3)1階ガレージ側の窓
1-4)1階机側の窓
1-5)1階机側の玄関側窓
2-1)2階正面玄関上の出窓
2-2)2階ベランダ側の窓
2-3)2階リビングの窓その1
2-4)2階リビングの窓その2
2-5)2階キッチンの窓
2-6)2階トイレ側納戸の窓
2-7)2階トイレの窓
2-8)2階トイレ前の窓
2-9)2階風呂場の窓
3-1)3階ハシゴ側の窓
3-2)3階ベッド側の窓

ここから、侵入可能な窓を絞り込んでいくと
まず1階の状況ですが警視庁HPの写真や雑誌(週刊現代、実話ナックルズ)に掲載された写真を見ると。
・1階机側の2枚の窓(1-4と1-5)は格子があって侵入できない。(雑誌写真)
・1階ガレージ側の窓はベランダの支柱が邪魔で侵入できない。
・1階正面玄関側の窓は上下スライド式の窓でガラスを大きく割らないと侵入は難しい

つまり1階からは玄関の合鍵を持っていないと実際の侵入は難しいと思います。
次に3階に飛びますが、3階はその高さから侵入するには足場が無く、侵入はムリだと思います。

で残るのが2階ですが
2-1)2階正面玄関上の出窓(足場が無く侵入できない)
2-2)2階ベランダ側の窓  (ガレージの車を台にすれば侵入可能)
2-3)2階リビングの窓その1(ブロック塀を足場にしても侵入は難しい)
2-4)2階リビングの窓その2(ブロック塀を足場にしても侵入は難しい)
2-5)2階キッチンの窓    (条件付で可能性はあるかも)
2-6)2階トイレ側納戸の窓 (フェンスを足場にしても高すぎて侵入できない)
2-7)2階トイレの窓     (フェンスを足場にしても侵入は難しい)
2-8)2階トイレ前の窓    (フェンスを足場にしても侵入は難しい)
2-9)2階風呂場の窓    (実際の侵入路、湯沸かし器の室外機を足場にする)

実際の侵入路である風呂場の窓以外にもベランダの窓からも侵入は可能だと思う。
ただし、鍵が掛かっている場合には窓を割らなければならないけどね。

もう一つ2階のキッチンの窓の鍵が開いていれば、侵入できたかもしれない。
ここは、ブロック塀の上にのり、エアコンの室外機を足場にすれば、非常に難しいとは思うが可能性はゼロでは無いと思う。
ただし、事件当時1階にはみきおさんが居たわけで、窓の外で物音がすれば不審者に気付く可能性は高いと思う。

その意味では2階の風呂場側の窓は1階のみきおさんから一番遠い場所になるな。

侵入するだけなら2階のベランダからも侵入可能だろうね。
ただし、車のボンネットや屋根に乗った時に音がする可能性が高いので、そのあたりを避けた可能性もある。
また、2階のベランダ側の部屋には礼君が寝ていたわけで、物音に子供が起きてしまう可能性を避けたとも思える。
でも、それは家族が何時何処にいるかを犯人が知っていた場合だよな。
最初から殺害するつもりならば、気にする必要も無いと思うが・・・

普通に考えればより侵入の簡単なベランダから侵入しそうな気がするね。
多分、犯行時は礼君が寝ていた部屋は真っ暗かベビー球の明るさぐらいしかなかったと思う。子供が寝る時に照明を明るく点けているとは思えないんだよね。
もっとも、子供が暗闇を怖がるので照明を点けたままにしていた可能性もあるけどね。

このあたりを考えると、犯人は音を立てて家人に気付かれる事を嫌ったのだろうか?と言う疑問も浮かんでくるね。
最初から殺害するつもりなら、気にする必要もないと思うが、この犯人の場合は衣類を畳んだり、アイスのカップを重ねたりと几帳面な面もあるので、犯人の性格とも思える。

最後に犯行時刻だけど、私は昼間、家人が留守中に侵入しても何かを盗むだけなら可能だと考えていました。
しかし、侵入経路の2階の風呂場は公園側から丸見えだし、ベランダ側は通りに面している上に隣家の玄関の横になるので、どちらの場合も難しいだろうね。
つまり、「侵入は人目につかない夜しかなかった」と言う事だろうな。
その意味では、犯人は玄関の合鍵を持っていなかったと言う点は言えるかもしれない。
玄関なら昼間でも侵入は可能だと思う。

そして、家人が起きている時を選んだ理由だけど、家族全員が寝静まった深夜では逆に侵入時の物音が気になると犯人は考えたのかもしれない。
ますます、犯人が神経質で几帳面な人間に思えてくるのだが・・・・
しかし、実際には大胆で残虐な殺害方法をとっている。
この2面性が犯人に繋がるヒントになるかな?

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コメント

「人がいない」ときに、侵入するのなら、
よほど、窓自体が、小さいのでない限り。
おそらくドコからでも、侵入できますよ。

格子を外して侵入する「手口」もあるし。
プロなら、鍵を壊したり、合鍵も作れる。
ガラスの、鍵付近を割る「手口」もある。
足場がなければ(「人目」さえなければ)
脚立やハシゴを、持ってくればいいだけ。

出来ないのは、人目や、家人に気づかれて
警察に通報され、侵入できないからです。
法治国家に住んでいるのを、忘れてない?

家族全員で午後6時に食事に行ってます。
この時期、午後6時はもう暗くなってる。
6時にいれば,家族が車で出かけたのも、
二階浴室の窓があいてるのも分ったはず。

侵入してれば。深夜まで待たなくていい、
探し物があるのなら、邪魔されることなく
捜せばいいし、もし見つからなかったら、
帰ってくるのを待って、聞き出せばいい。
庖丁で脅すことも、子供を質にもとれる。

たとえ犯人の目的が「殺害」であっても、
寒い外にいないで、家で待ってればいい。

推論すれば,午後6時には、いなかった。
偶然、犯人が公園にいて、二階浴室の窓が
「開いているのを、見つけた」のだろう。

投稿: あんぐら〜 | 2007/01/04 22:28

訂正。6時に出かけたのは食事じゃなくて、買い物です。
時間的に「食事のための買い物」かもしれないけれど。
>同日午後六時ごろ、小田急線の成城学園駅前で一家四人が買い物をしているのを
>目撃されていたことが新たに確認された。自家用車は、この外出に使われたらしい。

投稿: あんぐら〜 | 2007/01/04 22:43

>犯人は3階のロフトに移動し、泰子さん、にいなちゃんを襲う。
>十数回も刺され、この時、柳刃包丁は3つに折れる。
>犯人は折れた柳刃で攻撃を続ける。

切っ先が折れた庖丁で「刺す」ことは(普通は)できないですよ。
この「情報」は、どこからでしょうか? おそらく、この場合は、
柳刃庖丁の「折れた部分」が、ロフトに「残っている」はずです。
(そうでなければ、骨に破片が残った原因の「強い突き」の時に、
庖丁が3つに折れ、犯人が手を滑らせて、ケガをしたと思えます)

ロフトに大きな血だまりがあり、ここで襲われたのは、ほぼ確定。
階段下に死体があったので、逃げようと転落。更に刺されたので、
ここで「文化庖丁を捜して、持ち替えた」と考えられるかどうか?

一般に,みきおさんは「柳刃庖丁」で刺され、柳刃庖丁が折れた。
泰子さんにいなちゃんは、台所にあった「文化包丁」で刺されたと
伝えられてると思いますが。刺し傷が、確認されたのでしょうか?

犯行に使われた凶器は「柳刃庖丁と文化庖丁の2本」と断定され、
「第三の凶器」の存在は、事実上は、まったく否定されています。
おそらく「第三の凶器」の根拠、みきおさんの足の「深い傷」は、
「折れた柳刃の傷」と検査で特定されたんじゃないかと思います。

私の推測では,犯人はみきおさんを殺したときにケガをしている。
従って、折れた庖丁に替わる、新しい「庖丁」を捜しているはず。
第二の凶器「文化包丁」も,このときに入手していると思います。
もし「折れた破片」がロフトにあれば、犯人は2本持って行った。
そうでなければ、台所に「柳刃」は置いていったのが、自然です。

投稿: あんぐら〜 | 2007/01/04 23:38

いつも拝見させてもらっているものです。
31日の朝日新聞にこんなニュースがありました。
なんともいたたまれない思いになります。

www.asahi.com/national/update/1231/TKY200612300227.html

母親が介抱?ティッシュに長女の血 世田谷一家殺害事件

 東京都世田谷区で00年12月、会社員宮澤みきおさん(当時44)一家4人が自宅で
殺害された事件で、現場に長女にいなさん(同8)の血が付着したティッシュが落ちていた
ことがわかった。母親の泰子さん(同41)が自らも傷を負いながら、にいなさんを介抱する
のに使ったとみられる。警視庁は、泰子さんの動きに気づいた犯人が再び2人を襲った
疑いもあるとみて調べている。

投稿: ROM専 | 2007/01/05 08:58

なるほど。ロフトに大きな「血だまり」があって、
ロフトの階段下(二階)で、二人が亡くなってた。
二回の襲撃の間には「時間差があった」のですね。

折れた柳刃での攻撃の有無は、傷口でわかります。
硬い鋼の柳刃は折れ、軟鋼の文化包丁は曲がった。
「折れた柳刃」を使ったら、刺さり難くなります。
これで刺したら,傷口は酷いことになってるはず。

爪楊枝で、紙に「穴をあける」のは、簡単ですが
楊枝の先を、潰してしまうと、あけ難くなります。
服のない「首から上だけを、執拗に刺した」のが
疑問でしたが、切っ先が欠けた庖丁で刺したなら、
服が邪魔で刺さらなかったからとも理解できます。

同時に犯人が、手に傷を受け、力が入らなかった。
(私は「柳刃庖丁の、刃を上向きに握って」刺し。
骨で止まって、血で手が滑り「親指の付け根から
手の平にかけて、切った」ものと、推測してます)
利き手の握力がなく、致命傷を与えられなかった。

再度の襲撃は「頭部だけを繰り返し刺す」という、
凄惨なものになった。2度目の襲撃は、止血して
利き手でない手を使った可能性もあると思います。
これも検視結果で分ってるんじゃないでしょうか。

死後も刺している「異常性」は,力が入らなくて
「殺したと確信が持てなかった」と理解できます。
どっちみち、人を殺すのは、充分に異常ですけど。
「異常者」には、異常者なりの「合理性」がある。

投稿: あんぐら〜 | 2007/01/05 16:13

参考までに、侵入盗対策について↓
http://www.info.police.pref.osaka.jp/ps/toyonakaminami/sinnnyuutou.htm

投稿: あんぐら〜 | 2007/01/05 16:32

あんぐらーさん、こんばんは
折れた柳刃で刺し続けた点とどこで折れたかについては、昨年秋の週間現代の特集の中で書かれていました。

投稿: ASKA | 2007/01/06 01:13

なるほど。草思社の例の本の著者・斉藤寅氏は、元週刊誌記者とされ、
本名かどうかもはっきりしませんが、フリーのジャーナリストだとか。

他に「ロフトに柳刃庖丁の破片」という、記述は見られなかったので、
彼あたりが「出所」ですかね?「安物」でも、庖丁は簡単に折れない。
硬いものにあたったか、角度が悪かったか、いずれにしろ、力が必要。
ケガをした手で(先が折れた庖丁で)刺して、折ったとは、考え難い。

考えられるのは、みきおさんを思い切り刺し、頭蓋骨に刺さったまま
みきおさんが階段から転げ落ちたときに。角度が変わって折れたとか、
そのくらいでしょう。回数を多く刺せば、折れるというものではない。
ロフトで折れたのなら,ロフトの硬いものに、当てた時だけでしょう。
庖丁で人を刺して、ひびが入っていたという話も、聞いたことがない。

投稿: あんぐら〜 | 2007/01/06 12:51

進入/脱出経路について、警察は2階風呂の窓に絞ってますが、その根拠(詳細)が発表されていないのでどうとも言えないですね。

たしかASKAさんの推理だったと思うのですが、玄関というのもありだと思う。

また「遺留品と持ち去られたもの」でも書きましたが、屋外にスラセンジャーの足跡がないことをどう説明するのか。「エアコンの室外機」には足跡があったんだろうか?

一時出ていた「コンバットブーツ」情報との兼ね合いはどうなんでしょう。また、「玄関鍵穴のアーミーナイフでこじった跡」なんかも…

警察さん、ここを見ていたらもっと詳細な情報を公開することを検討してください!

投稿: 迷探偵ニャンコ | 2007/01/06 15:03

ジャケットを畳んでいる点を考えると(これも以前に出ている推理ですが)犯人は、

玄関から客として堂々と入っているかもしれない。

しばらくそこに留まるつもりで、ジャケットを脱いでたたむ、家の主と話し込む…という展開もあらためて考えるべきかもしれない。

投稿: 迷探偵ニャンコ | 2007/01/06 15:10

ニャンコさん。これは「消去法」じゃないでしょうか?

4人殺害の「順番」を考えると、男の子を殺したのが先。
二階の子供部屋で、最初に「首を絞められて」殺された。
(最初とする理由は、首を絞められて、血が付いてない。
3人刺殺したあとなら、犯人もケガしてるし、血が付く)
最初に、息子を殺されて「一階でお話」はないでしょう。

みきおさんは一階にいて、犯人が玄関から侵入したなら、
最初に犯人と争うはずだし、ここで殺害されたとしたら
子供部屋の長男の絞殺死体には「血が付いている」はず。
(ただし「長男殺し」だけが,窒息死という疑問もある)

スラセンジャーの足跡は家の中の「血痕」です。従って,
侵入経路には「血痕」がなく,乾いた道には足跡もない。
4人の殺害後に、靴に付いた血液を洗い流したとしても、
手の血液は付くはずだが、どこにも血の痕は残ってない。

従って、結論は二階の浴室の窓から「出た」のではない。
ここから出入りしたあとはあるから「入った」のだろう。
「出た」のは玄関といわれてますが、同じ理由でしょう。

投稿: あんぐら〜 | 2007/01/06 15:59

警察側の正式発表ではないんですが、先日のテレ朝取材では、

「出た」のが二階浴室窓

になったてたんですよ。朝10時まで現場にいた犯人は被害者祖母の来訪に驚いて窓から逃げ出した、と推測しているようです。
こう考えると遺留品の説明が「ある程度」はつきますね。
ところがそうなると「血」の足跡がないことに疑問が残る。
玄関から出たとなると、これは被害者のおばあさまとの鉢合わせになってしまう。もし、時間が違うなら遺留品のなぞが説明できない…

これまで雑誌、新聞から出ている話はあんぐら~さんの仰るとおり。
確かに「血」の問題から考えた、殺害の順番からの推測でしたね。
確かに長男が最初というのはちょっと動かせない感じがあります。

投稿: 迷探偵ニャンコ | 2007/01/06 16:42

侵入経路については、2005年の年末にNHKがニュースで流したのですが、足跡の泥の量が決め手だったようです。
つまり2階の足跡の泥の量が多かったと言う事ですね。

2002年の新潮45の一橋文哉のレポートや週間新潮だと、玄関からアーミーナイフで開錠し、ドアチェーンをナイフで切断して侵入したと書かれてますね。
ただ、今はこの情報を報道している所はありませんね。

それから、脱出口は昨年秋の週間現代は風呂場の窓からと書いています。
2002年の新潮45には風呂場の窓の外に両足の足跡があった、公園の木の枝が折れていたとも掛かれていますが、脱出口は玄関だったと書いていますね。

今読むと新潮45の記事は現在の報道からは少し離れた感じがしますね。
逆に最近報道された、ハンカチの件もハンカチで包丁の柄と手を縛っていたなんて事も書いてあるので、それなりに事実に近い報道もあったように思います。玉石混交と言う感じですね。

投稿: ASKA | 2007/01/06 18:36

多分、浴室の窓から「出て」は、いないですよ。

警視庁の写真を見ると分るけど。浴室の窓へは
室外機から手を伸ばして、窓枠にぶら下がれる。
懸垂力が必要だが「入る」のは、充分可能です。

逆は、かなり難しいです。窓枠にぶら下がって、
斜め下の、室外機に足を伸ばしたら、そこまで。
体重が窓枠に残ったまま。足だけが室外機でも、
手を放したら、飛び移れずにそのまま転落する。

外の木に、飛び移ろうとした、形跡があったが、
手をケガしてたからか、これは断念したらしい。
木の枝が折れていたが「出たのは玄関」という
報道は、このことからの推測だろうと思います。

現場の公園は、午前10時では,人目があって、
もたもたしている余裕はない。私が行ったのは、
「豪雨」の正午頃でしたが,人影はないけれど
公園周辺の道路には、歩道に人が歩いていたし
自転車が走ってました。もちろん道には自動車。
「晴天」の大晦日は、もっと人は多いはずです。

早朝ならともかく、ここから「出る」のは無理。
玄関から、被害者の祖母が家に帰るのを待って、
あわてて「逃げ出す」しかなかったのでしょう。

投稿: あんぐら〜 | 2007/01/06 19:16

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