« 岩手母娘不明事件の謎!その20 | トップページ | 秋田小1殺害事件の謎!目次 »

2008/03/20

秋田小1殺害事件の謎!その58

続報です。判決公判が3月19日、秋田地裁で開かれ、裁判長は無期懲役を言い渡しました。

判決理由で裁判長は「2人の将来を奪った結果の重大性は言葉に尽くせない。
死刑適用も十分に考えられる」と言及。しかし女児殺害は衝動的で、男児殺害も計画性は認められないなどと情状を考慮し、判決を無期懲役にとどめた。

そのうえで仮釈放について「刑責が重大であり被告の性格改善が容易でないことに十分注意することを希望する」と述べた。

判決は、女児殺害について「接触への嫌悪から苦手意識を持ち、愛したくても愛せない長年の悩みがあった」と指摘。殺害当日に「(魚を)見たい、見たい」と橋から家に帰ろうとしないため、急激にイライラした感情を高め、女児が怖いといって抱きつこうとした瞬間、とっさに殺意を持って押したと認定した。

弁護側が主張した殺害後の「健忘」は認めず、「大変なことをした。自分のしたことを信じたくない」の思いを強め、事件の記憶を抑圧したと指摘した。

男児殺害については、まず「(女児殺害を)大変なことをした」と後悔し「自分のやったことを信じられない、信じたくない思いにとらわれ、記憶抑圧を深めて(他人が起こした)事件であると思い込むようになった」と判断した。さらに「娘はいないのに、男児は何でこんなに元気なのか」という切なさ、嫉妬(しっと)心や憎たらしいという気持ちなどでとっさに殺害を決意したと認めた。

・女児(長女)、男児ともとっさに殺意を持って殺害した

・男児殺害時に、完全責任能力があった

・両事件とも衝動的、突発的な犯行で、計画性はなかった

主文を宣告する裁判長の声を被告は表情を変えずに聞いていたが、閉廷直後、殺害した男児(当時7歳)の遺族に向かってサンダルを脱ぎ「申し訳ありませんでした」と突然土下座した。

判決文をすべて読み上げた裁判長が「被告人、立ちなさい。判決は以上です」と言った直後だった。被告が「一言いいですか」とつぶやいた。

「なんですか」と問いただす裁判長に対し「今まで男児の遺族に謝罪していないので」と声を上げ、突然ピンクのサンダルを脱ぎ出した被告。
傍聴席の男児の両親に向いて正座し、声を震わせながら、「大事なお子さんを奪い、申し訳ありませんでした」と言って、額を強く床に押しつけた。

30秒近い土下座の間、男児の父は目線を下に向け、母は受け入れないかのように目をつぶって顔を背け、その様子を見なかった。

被告は即日控訴。死刑求刑していた検察側も控訴する方針。

さて、まずは一審で判決が出たね。
2006年5月(女児は4月)の事件発生から2年近くたってようやく一審判決が出た。
罪の無い子供2人を殺害しその殺意が認定された上で判決は「無期懲役」となった。

これまでの方向性で3人は死刑、1人は無期、2人はボーダーラインと言った事から考えると、死刑もありえる所だった。
今回の裁判長もその点は「2人の将来を奪った結果の重大性は言葉に尽くせない。死刑適用も十分に考えられる」と話しているからね。

計画性が無い突発的な事件であった事が「情状酌量」のポイントとなったようだ。

さて、この判決の中でちと気になったのは
「大変なことをした。自分のしたことを信じたくない」の思いを強め、事件の記憶を抑圧したと指摘した。

この点です。これは何か?と言うと。
女児を殺害後に警察が事故として処理した事について被告人が殺人事件を主張した事に対するコメントなんですよね。

私はこの事件で一番の謎だったのがこの点でした。
自分に不利になるような事をどうして強く主張したのか?と言う事です。

公判前の報道などから、女児の事件について親族から事故ではなく事件だとする意見が多かった。
その中で自分が事故を主張すると疑われてしまう為に強く事件を主張したと考えていました。

この点について記憶の抑圧として
(女児殺害を)大変なことをした」と後悔し「自分のやったことを信じられない、信じたくない思いにとらわれ、記憶抑圧を深めて(他人が起こした)事件であると思い込むようになった
と裁判官は判断したと言う事です。
このあたりは、精神分析の知識が推理にも必要と言う事ですね。これからは定期的に読む事にしようかな。

次は控訴審ですね・・・被告は無期懲役では重いと言う事なんだろうな。
では、何年なら受け入れるつもりなのかな?
裁判官が変わるば「死刑」が出てもおかしくない事件だと思うけどね。

続報を待ちましょう。

|

« 岩手母娘不明事件の謎!その20 | トップページ | 秋田小1殺害事件の謎!目次 »

コメント

I don't know why the defendant is appealing. Wouldn't it be a risky move? What if the higher court sentences death? I'd think the "life" is a lenient sentencing for killing two "nanno ochido mo nai" children. Besides, appealing for lesser sentencing seems to contradict her on-the-floor apology. Oh well. She is entitled to appeal, and perhaps it was advised by her lawyer.

投稿: Mako-chan | 2008/03/21 06:54

Mako-sanこんばんは
-----以下は私の訳です----
私は、なぜ被告が控訴しているかわかりません。
それは危険な行動ではありませんか?
もし控訴審で死刑判決が出たらどうするのか?

私は、2人の「何の罪も無い子」を殺した判決が、「無期懲役」は寛大な判決であると思います。
さらに、より軽い判決を求めることは、彼女の土下座謝罪と矛盾するようです。

しかたがないでしょう。
彼女は控訴する権利があり、たぶん、それは彼女の弁護士により勧められたのでしょう。
-----ここまで-----

確かに私も土下座と即日控訴したと言う事には違和感を感じました。

これ以上軽い判決にするには「責任能力が無い」事を主張する事ぐらいしか方法が無いような気がします。
続報を待ちましょう。

投稿: ASKA | 2008/03/22 00:11

秋田魁の報道から。判決文の終わりのところ。

>最高裁06年6月20日第三小法廷判決を含む、これまでの多くの裁判例で示された量刑動向も踏まえ、究極の冷厳な刑である死刑の適用は、慎重でなければならないことにかんがみると、被告人に対しては、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも、極刑がやむを得ず、死刑の選択をするほかないと断じることには、なおちゅうちょを覚えざるを得ず、

ここのところは何を言いたかったのかなあ。

投稿: ナガイ | 2008/03/22 01:30

「最高裁06年6月20日第三小法廷判決」はあの光市母子殺害事件の2審の無期懲役を破棄して高裁に差し戻した判決の事ですね。

分かり難い文章だけど、結局は「死刑」は簡単に出す物じゃないよと言いたいのかな?
あえて持ち出しているあたりに「最高裁06年6月20日第三小法廷判決」を批判しているようにも聞こえますけどね。

投稿: ASKA | 2008/03/22 01:55

検察が控訴してくると思われるので、死刑判決がでる可能性もあります。
検察が確実に死刑を取る為には、動機解明が必要不可欠だと考えます。


対して、弁護側が有期刑を取る方法は2つあります。
一つはASKAさんが言う「責任能力」それと、「長女殺害に関して殺意は無かった」と、改めて主張する事ですかね。
後者の場合、合理的に立証しなければならないのですが…

投稿: ひろ | 2008/03/22 09:36

春。に魚へん。Makoはわがらなべな。
さわら。へえ、西京付けのあれどす。

なんで味噌付けでお馴染みか。いたみやすいから?
暖かい海の魚なので、秋田人はすらねべ。
と思いきや。青森でさわらが揚がるそうです。

魚の棲息も変るのですから、人も変わって不思議なし。
死刑を取る。魚介、じゃなかった、業界用語ですか。


投稿: ナガイ | 2008/03/22 12:42

Aska-san: Thank you for your translation as always. Exactly what I want to say.

Hiro-san: I wonder if it's possible to think that the judge's decision against death sentence in this case (rather than a proactive decision for life if you know what I mean) is an expression of his political stance toward execution in general. He may be also preparing the public for the upcoming jury duty. As Aska-san states the judge wants us to consider death sentence very cautiously.

Nagai-san: I did eat sawara in Japan when I was a child. But your comments are too cryptic for me to understand. . . .

投稿: Mako-chan | 2008/03/22 15:02

以前、畠山鈴香が冤罪ではないかということを言い立てていた人達がいらっしゃいましたが、冤罪うんぬんという人たちはなんかサヨクぽい人たちでしたね。そういう人たちは単に警察のすることは気に食わないということなのか…

彩香ちゃん殺人の件については、物的な証拠というのは見つかっているのでしょうか。

しかしまあ、他に鈴香の共犯者のような人物もおらず、他の人間が犯人なわけはないから。ほぼ鈴香なのでしょうけどね。

やはり悔やまれるのは彩香ちゃんが虐待されていたのは間違いないので、彩香ちゃんを畠山鈴香から引き離していれば、殺人事件は起きなかったかもしれない。ということかな。父親も無責任だったし、彩香ちゃんが気の毒です。

それから鈴香の売春がどうこうという話題も真相はどうだったのでしょうね。やりきれない事件ですね。

投稿: まえやま | 2008/03/26 21:38

みなさんこんばんは
まえやまさんへ

>彩香ちゃん殺人の件については、物的な証拠というのは見つかっているのでしょうか。

彩香ちゃん事件については、これと言った物証は無いと思います。
当初、事故として処理していた事が原因だと思いますが・・・

確かに、母子を引き離していればこの事件は防げたし、男児の事件も起きなかったと思います。

実家の方が経済的に余裕があれば、孫を引き取って育てたかもしれないですが、実家も経済的に厳しい状態だったようだし。

育児放棄や虐待がもっと酷ければ、周囲が通報していたかもしれませんね。

投稿: ASKA | 2008/03/29 00:24

今号の「論座」に被害者遺族の談話が掲載されていますが
酷いの一言。

読むとメディアの報道そのものが信用できなくなります。

投稿: ROM専門 | 2008/06/06 16:28

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 岩手母娘不明事件の謎!その20 | トップページ | 秋田小1殺害事件の謎!目次 »