新宿バラバラ事件の謎!その14
地裁判決が出ました。懲役15年です。(求刑は懲役20年)
4月28日、東京地裁の裁判長は判決公判で、「殺人に至るまでの経緯において、被告に同情の余地が相当ある」とした。
その上で「こうした経緯は犯行を正当化しない」と述べたようだ。
裁判長は「同情の余地」として、
1)被告が被害者から継続的にDV(配偶者間暴力)を受けた。
2)被害者が離婚に応じなかった。
これらを挙げ、「被告は被害者との生活から逃れられないと思いこんだ。地獄のような夫婦生活を送っていた」と指摘した。
その上で「絶望的な気持ちになり、とっさに殺意を抱いた。短期精神病性障害は責任能力に問題を生じさせるものではないが、犯行の遂行に何らかの影響を与えている」と述べたとの事。
こうした経緯を振り返った上で、被害者を殺害、死体損壊・遺棄について「正当化しない」と宣言した。
「30歳の若さで突如、生命を奪われた無念さは察するに余りある」「(偽メールについて)一人息子の安否を気遣う親の気持ちを踏みにじる卑劣かつ自己中心的な行為」などと断罪したとの事。
さて、この裁判で問題になったのが被告の責任能力なんだよね。
検察側・弁護側双方が請求した精神鑑定の結果は3月の第9回公判では、弁護側の鑑定医だけではなく、検察側の鑑定医も犯行前後に幻視・幻聴体験があったことなどから、被告が「短期精神病性障害」という精神疾患を発症していたと判断。
犯行時の責任能力について「心神喪失の状態だった」と報告した。
弁護側は犯行当時の歌織被告が突然、短期精神病性障害を発症し、現実感のない夢の中のような状態だったと主張。
「妄想によって行われた犯行で、犯行時に責任能力は失われていた」と無罪を訴えた。
被告も鑑定結果が法廷で報告された後の被告人質問で、殺害時の状況を「覚えていない」などと供述した。
殺害後も被害者の声が聞こえたり、姿がみえたりするなどの幻視・幻聴体験が繰り返しあったことを強調した。
実はこの事件に先立って4月25日に最高裁は「精神医学者の鑑定は、公正さに疑いがあったり、前提条件に問題があるなどの事情がない限り、十分尊重すべき」という基準を示している。
と言うのが出ていたので、精神鑑定の結果を裁判所がどう見るかと興味がありました。
今回の事件では被告が殺害時の状況や心情を記憶し、隠ぺい工作などもしていたことから、精神障害は責任能力に影響は与えていないと結論付けた。
鑑定医2人は「刑事責任を問えない心神喪失だった」という意見も述べていたが、判決は「専門家としての分析結果であり、最終的に責任能力は裁判所が決める」と強調した。
このあたりは微妙に矛盾してないか?とも思うけどね。
しかし、私としては少なくとも、殺害後の遺体の処理については合理的に行動していると思う。その意味で責任能力はあったと思うわけで、妥当な量刑かと思うな。
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