大阪キタひき逃げ殺人事件その3
続報です。容疑者が逮捕されました。
1)大阪府警曽根崎署捜査本部は6日、住所不定、建築会社元従業員でホストの22歳男性容疑者を殺人と自動車運転過失傷害、道交法違反(無免許運転)の容疑で送検した。
大阪・ミナミのホストクラブに勤務しており、捜査員が5日未明、ラーメン店で発見、逮捕した。
2)容疑者(22)が「執行猶予中だったので逃げた」と供述していることが6日、分かった。
容疑者は「無免許で飲酒運転だったので必死で逃げた」とも供述。
大阪府警曽根崎署捜査本部は、飲酒運転で事故を起こしたことが発覚し、執行猶予が取り消されるのを恐れて逃走したとみて調べている。
報道では、自動車保険の詐欺事件に加担し執行猶予中だったようだ。
3)容疑者(22)が被害者の血痕などが付着した犯行車両を洗車して証拠隠滅するなどの隠蔽(いんぺい)工作をしていなかったことが6日、わかった。
容疑者は逃走中、18カ所の信号交差点がある3キロを約5分で走行し、車も駐車場にそのまま放置。曽根崎署捜査本部は無計画に逃走を急いだとみて調べている。
調べでは、容疑者は被害者をはねたあと、車の下に巻き込んで引きずったとみられ、犯行車両の車底部には血痕や衣服の繊維片などが多量に付着。外見から不審な状態だったが、普段通りの駐車場に止め、洗車したりカバーをかけたりなど、犯行を隠蔽した形跡はなかった。
また、梅田の事故現場から此花区の駐車場まで最短距離で走行し、当時住んでいたマンションも夜逃げ同然のように引き払っていることなどから、証拠隠滅を図る時間も惜しんで逃走した可能性が高いという。
調べに対し、容疑者は「(被害者をはねたあと)停止することなくアクセルを踏んで逃げた」と供述。スピードを緩めずに逃走したことを認めており、捜査本部は容疑者が信号無視を重ねながら逃げた可能性もあるとみて、犯行後の逃走状況などを慎重に調べている。
4)容疑者が勤務していた大阪市此花区の建築会社社長によると。約3年前に働き始めた容疑者。金に困っていたのか1カ月半分の給料を前借りしていた。
居住していた同区内のマンション周辺での評判はすこぶる悪い。関係者によると、ごみの分別はせず、飲んで大声で騒ぐなど近所からの苦情が絶えなかったという。
事件前日の10月20日は「体調が悪い」と欠勤した。事件当日も出社せず、携帯電話は着信拒否状態で、同社の郵便受けには「辞めようと前から思っていた。違う道を行く」との手紙を残していた。“反省”とも見られる手紙が届いたのは5日後の26日。封筒には犯行車両の鍵と一緒に「勝手なことをしてすみません」と走り書きした便せんが入っていた。
車の鍵は複数あり、従業員らが持っていたという。容疑者が無免許だったことを知っていたか報道陣から問われると、「気持ちが動揺して、うまく説明できない」と言葉を濁した。
5)容疑者「引きずって走れば死ぬとわかっていた」と殺意があったことも認めている。
6)発表によると、容疑者は2004年に普通免許を取得したが、その1年前に無免許運転で検挙されていた。免許取得後も速度違反などを繰り返し、今年3月には酒気帯び運転で検挙され、累積18点で同4月、1年間の免許取り消し処分を受けた。
7)容疑者が運転していた車の予備タイヤ表面の模様が、被害者のズボンに残ったタイヤ痕と一致したことが5日、大阪府警曽根崎署捜査本部の調べで分かった。
調べによると、タイヤ痕は被害者のスーツのズボン左足すそ部分に付着。
容疑者が運転していたトヨタのミニバン「イプサム」の予備タイヤは車底にあり、捜査本部は被害者が巻き込まれた際に付いたとみている。
また、車底の前部から後部にかけてこすったような跡が付いていたことも分かった。
8)捜査本部は、容疑者がミナミでホストをしているとの情報をつかみ、捜査員が4日から周辺を警戒。ホストクラブの店名は分からず、顔写真を手に聞き込みを実施していた。
9)死因は、頭の骨や肋骨(ろっこつ)の骨折、全身打撲などの外傷性ショックで、引きずられたことが致命傷になった。
容疑者が逮捕された。
しかし、聞けば聞くほど酷い事件だね。
詐欺事件で執行猶予だったのも、無免許(免許取り消し)だったのも、飲酒運転だったのも、誰でもない、容疑者自身の責任なんだよな。
私はプロフィールにも書きましたが、殺人事件には人間の最も醜い部分が現れると思っています。
今回の事件も、容疑者の身勝手で、愚かで、残酷な面を見て取れる。
労働災害の方面ではハインリッヒの法則と言う有名が法則があるんだよね。
1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものなんだけどさ。
容疑者が今回の事件を起こす前に、何度も更正するチャンスはあったように思う。
詐欺事件で執行猶予になった時、免許取り消しになった時とかね。
その意味では容疑者はもう更正する事は期待できないのかもしれない。
それから、ちょっと想像して欲しいのだが、「生きたままアスファルトの路上を死ぬまで引きづられる」って苦痛は想像を絶するだろうな。
その上、路面すれすれの視点で対向車や路側帯に接近するなんてのも恐怖以外の何者でもないだろう。
そのあたりを考えると、私が裁判員なら「極刑」と言いたいところだね。
ただ、他にも責任を追及される人物はいると思う、容疑者が車を運転できなければ、この事件は起きなかったし、容疑者が酒を飲んでいなければこの事件は起きなかった可能性があるよね。
2010/10/15追記
殺人や道交法違反(ひき逃げ、無免許)などの罪に問われた元ホスト、男性被告(24)の判決公判が15日、大阪地裁であった。裁判長は殺人罪を認定したうえで「被害者は生きたまま長距離にわたって引きずられ、その苦痛を想像すると結果は重大というほかない」として、懲役15年(求刑懲役20年)を言い渡した。
殺人の故意があったかどうかが最大の争点。被告はひき逃げしたことを認めながら、初公判から一貫して「頭が真っ白で、引きずりには気づかなかった」と主張、自動車運転過失致死罪の適用を求めていた。
裁判長は引きずりの認識について、被害者の同僚や通行人の目撃証言をもとに「引きずりによる異音や走行抵抗があった」と指摘。被告の公判供述を「不合理」と退け、「衝突から約85メートル、時間にして十数秒後には、引きずっている可能性が高いと認識していた」と認定した。
被害者の死亡時期については、遺体の失血状況から「引きずり開始から死亡までに1分間を超え、数分間を要した」と判断。「被害者が生存していた十数秒後には引きずりの認識があったにもかかわらず、そのまま走行して死に至らしめた」と殺人罪を認定した。そのうえで「飲酒のうえ無免許運転をし、逃走した。刑事責任を免れるためには他人の生命を意に介しない卑劣な犯行」と断じた。
一方、検察側が当初、「存在しない」とした被害者の解剖記録の開示ミスにも言及。「このような事態が裁判員裁判で生じた場合、その影響は甚大だった。捜査資料の開示に対する意識の低さは、厳しく非難される」として検察、警察に猛省を促した。
「その逃避的な態度は、公判においても改まっていない」。15日の大阪地裁判決は「引きずりには気づかなかった」とする被告の公判供述をことごとく退け、「自己の刑事責任に、真摯(しんし)に向き合っていない」と厳しく断じた。
被告側は引きずりの認識を認めた捜査段階の供述について、「厳しい取り調べの中で誘導されたもの」と信用性を争ったが、判決は「殺意については捜査段階から否認しており、被告の意向に沿った内容となっている。誘導は認められない」と判断した。
そのうえで、衝突から十数秒後、約85メートルの地点で「重たい感じがした」とする被告の供述を重視。「衝突直後は心理的恐慌を来していても不自然とはいえない」としながら、少なくともこの時点では「引きずりを認識した可能性が高い」と認定した。
公判では被害者の死亡時期も争点となった。被告側は「仮に異常に気づいていたとしても、被害者は即死だった可能性が高い」として、引きずりと死亡の因果関係を否定したが、判決は検察側証人の解剖医の証言をもとに、少なくとも1分間以上は生存していたと認定。引きずりを認識した十数秒後から死亡までの間、車を走らせた行為が殺人にあたると結論づけた。
参考リンク
大阪キタひき逃げ殺人事件その2
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コメント
この犯人はひどすぎる。死刑を!
世の中に、このように出鱈目な人間はまだまだいるのかと思うと恐ろしい。
これまでに反省すべき機会がたくさんあったのに、全く反省せずに違反を繰り返した罪は重すぎる。
腹を切ってわびてほしい。いや、切腹などはさせない。
投稿: badi | 2008/11/06 23:54
犯人逮捕、本当に良かったです。だからと言って、被害者はもう戻って来ませんね(;_;)
被害者にぶつかった時に車を止めてさえいたら、命は助かっていたのに…生きたまま引き摺られて亡くなっていくことは本当に恐ろしくて悔しかったことでしょう。
被害者の奥さまのお腹には赤ちゃんもいたということですし、もうその顔を見ることが出来なくなることは本当に無念だったと思います。
犯人は、罪の意識で命を絶つとか、行方をくらますどころか、ホストとしてきらびやかな世界で女性を接待したり、防犯カメラの映像にあったように友達と笑ったり、ラーメンを食べたり、罪の意識も感じずにのうのうと暮らしていたなんて、その人間性が全く理解出来ません。
子供時代はおとなしくて素直だったらしいけど、どうやったら今のような人間になるのか…本当に理解に苦しみます。
許せない事件です。
被害者のご冥福を心よりお祈り致します。
投稿: kimera | 2008/11/07 02:12
犯人逮捕 遅すぎるくらいですよね。
あんな人間がこれから増えていくような気がしてなりません。何も痛みを感じない人間が。いくら反省や償いをしてみても本当に被害者の痛みをわかる人間なのかなと怒りをおぼえます。
免許の適性はしっかりやってほしいですね!常識のない人間が乗れば車は凶器です。
自分も子育て中だからなおさら心に残る事件です。
投稿: | 2008/11/07 07:33
危険運転致死(飲酒)は証拠不十分で立件される事はありません。
それに、救護義務違反(ひき逃げ)も、被害者は引きずられてる間に死亡した可能性が極めて高く、救護義務違反には当たらないと思います。
でも、被疑者は救護義務より、飲酒及び無免許運転に加え執行猶予中の身である事が発覚するのを恐れて、自己保身を優先させた事は裁判長に与える心証は最悪なものとなります。
以上の事から、求刑通りの判決が出る可能性もあります。
(恐らく、無期懲役)
投稿: joker | 2008/11/07 08:11
死傷に関係なく、必要な措置を怠って逃げた場合は成立するよ。
ただ、逮捕容疑に救護義務違反がないだけ。
投稿: | 2008/11/07 09:29
殺人での起訴は…?
加害者が改心するチャンスは何度もあったのに
生かせなかったのが悲しいですね。
こういった精神に育つ過程を分析し
教育や育児の場に役立てる専門機関を作って欲しいと常々。
今でも色々な書籍が出ていますが、意見が分散しているので。
投稿: 333分 | 2008/11/07 12:05
殺人及び自動車運転過失致傷・無免許運転で起訴する事になるでしょう。
被疑者には、罪の意識とか無いと思いますよ。
数多くの交通違反経歴がありますけど、検挙されても運が悪かったくらいにしか思ってなかったと思います。
今回の事件で、罪の重さを認識させるべきでしょうね。
投稿: joker | 2008/11/07 16:12
飲酒も飲酒運転も。この世で犯人の青年だけがしていたことではないでしょう。だからこそ、青年は飲酒を行い、飲酒運転をするようになったわけです。それで。何事もなく過ごせる人もいれば、何事かあって過ごす人もいる。そんな中で反省があるかといえば、それはないでしょう。反省ない者を誰も(ぼくも)面倒をみないし。でも、たまに面倒をみる人がいて。それはピカピカの靴を履いた人だったりするので評判はよくないし、事実、社会正義を旨とする人々の生き方とはすこし(行動も理解も)違ったりするわけです。でも、誰も面倒をみない者の面倒をみてはみ出しを最小限にしているといえばそういえるかも・・のあたりがどうも忸怩たる思いになるところです。
若くして正義感に燃えて勉励する青年もいれば、若くしてこの世の悪を一人で負ったように生きるしかない青年もいるようで、たいへん哀しいことです。
投稿: ナガイ | 2008/11/07 18:12
まわりの人間も最低だ。親からはじまり、友人も先生も上司も。最低なクズは作り上げるものだ。ただ彼も若い。もしキッカケさえあれば生まれ変われるチャンスはあるかもしれない。チャンスを与えるか与えないか。
しかし親がインタビュー答えていたが、やけに客観的。子供つくんのも国家試験にしてほしいですね。あと授業に子育てを必修にしてください。
投稿: | 2008/11/07 18:37
飲酒の罰則を厳しくするのは賛成ですが、
ただ厳しくするだけでは、影の部分もあります。
ポルノの規制の厳しい国ほど、強姦事件が目立つ傾向にあり、
強姦犯罪に対し無期懲役や死刑など厳しい国では強姦はそのまま殺人事件となり易い傾向にあります。
同様に、飲酒の罰則だけを厳しくすれば、飲酒による人身事故はそのまま轢き逃げ事件の発生率上昇になるのは明らかでした。
本来、飴と鞭で、例え飲酒でも正直に申し出て、被害者救護をした場合と、
そのまま逃走した場合とで、大きな罰則の差を付ける必要がありました。
差が小さいほど逃げ得となってしまいます。
今回の事件は、その点を改めて考えさせられてしまいます。
投稿: | 2008/11/07 20:44
危険運転致死罪罰則はの20年以下の懲役で、救護義務違反の罰則は10年以下の懲役。
2つの併合罪となり、合計で30年以下の懲役となります。危険運転致死のみだと、20年以下の懲役ですから、10年の差があります。
投稿: | 2008/11/08 08:18
正確に言うと、併合罪を適用するには重たい刑罰に、1.5倍を加えたもので、判決が出されます。危険運転致死は、1年以上で最長が20年以下の懲役。
救護義務違反は10年以下の懲役。
併合罪を適用するには、危険運転致死の最長20年を1.5倍した30年以下の懲役となります。
被疑者を救護した場合は、危険運転致死のみで20年以下の懲役。
投稿: joker | 2008/11/08 09:33
で、動機はどうなのでしょうか。
ちなみに、ぼくは、なにかへん・・です。だって、阪神前まで何事もなく走ってきて正しく信号で停止したわけでしょう。そして信号が変わって正しく走り出した。その後も、道から外れず何にもぶつからず車の保管場所まで正しく戻っています。飲酒運転だなんだって言っても、見えるものは見えているじゃないですか。では。なぜ歩行者が当たる瞬間まで目に入らなかったのか。あるいは、当たってしまった前後に反射的に足がブレーキにいかなかったのか。
歩行者やチャリが信号が赤になっているのに、斜め前や斜め後ろから横断はよくあることです。チャリだと速度があるので、いきなり目の前にですが、幸いに向こうも速度で前に出てくれるのでアクセルを離せば轢くことはない。歩行者の場合はあっと驚くほどの速度で飛び込まれることはないでしょう。
だとすると、なぜ当たってしまったか。タイヤから煙立てて発進したわけではないというのに。
投稿: ナガイ | 2008/11/08 10:08
薬物はやってないのかね?あやしくないですか?
しかし朝四時くらいでしたっけ?そんな時間もう被害者さんは仕事だったのかなあ。
投稿: | 2008/11/08 10:47
被害者は同僚と飲んでたらしいですよ。
話し変わりますが、飲酒運転をする人達は、自分は事故を起こすはずがないと思ってる人が殆どで、実際に人身事故を起こすと怖くなって逃げるケースが多いです。
自動車運転過失致死罪や危険運転致死罪とは別に、救護義務を怠って死亡させた場合の罰則規定を設ける事くらいしか思い付きません。
投稿: joker | 2008/11/08 21:52
被害者にはなんの落ち度もないしあんな悲惨な目にあい、同情しますが
あんな時間まで飲んでなくてもいいよね....
子供もうまれるんだったのに.....
投稿: | 2008/11/09 13:41
聞けば保険金詐欺の分前払って無くてヤクザにも追われてたからラーメン屋から出てきた所で異様な気配に気付いて逃げたってありましたね
投稿: ニセ探偵 | 2008/11/13 17:09
大阪市北区梅田の交差点で2008年10月、会社員男性(当時30歳)が車にはねられ、その後約3キロ引きずられて死亡したとされる事件で、殺人罪と道交法違反(ひき逃げ、無免許)などに問われた元ホストの男性被告(26)(住所不定)の控訴審判決が1月24日、大阪高裁であった。
裁判長は、懲役15年(求刑・懲役20年)とした1審・大阪地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。
1審判決(2010年10月)によると、被告は08年10月21日未明、同交差点でワゴン車を無免許運転中に被害者をはね、逃走。車の底で被害者を引きずっている可能性が高いと認識しながら同市福島区までの約3キロを時速40~50キロで走行し、頭部損傷などによる外傷性ショックで死亡させたとされる。
投稿: ASKA | 2012/01/24 21:11