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2009/02/21

江東区女性バラバラ事件その3

被告(34)の判決公判が2月18日、東京地裁で開かれた。裁判長は「冷酷な犯行だが、殺人と死体損壊・遺棄に計画性はなく、死刑をもって臨むのは重きに過ぎる」として無期懲役(求刑死刑)を言い渡した。

証人出廷した遺族は死刑を求めたほか、被告自身も最終意見陳述で死刑を望んだが、従来の判例を踏襲する量刑判断となった。

裁判長は判決理由で、犯行動機を「ゆがんだ性的欲望のため『性奴隷』にしようと被害者を拉致した」と認定。殺人と死体損壊・遺棄について、「事件の発覚を防ぐには被害者の存在自体を消してしまうしかないと考えた。極めて自己中心的かつ卑劣で、酌量の余地はない」と、指摘した。

そのうえで死刑適用の是非について検討を進め、「被害者が1人の事案では、ほかの判断要素で強度の悪質性が必要」と述べた。

(1)犯行態様は残虐極まりないとまではいえない
(2)事前に殺害のための凶器を用意しておらず、殺害は計画的ではない
(3)拉致後、当初の目的だったわいせつ行為はしていない
(4)前科もなく、謝罪の態度を見せている

など被告のために酌むべき事情を挙げ、無期懲役が相当と結論づけた。
判決によると、星島被告は昨年4月18日夜、東城さんをわいせつ目的で自室に連れ込み、包丁で刺して殺害。遺体をのこぎりなどで解体し、翌5月1日ごろまでに自室のトイレに流したり、別のマンションのゴミ置き場に捨てたりした。

***犯行後の証拠隠滅行為***
被告は918号室に東被害者を拉致した後、916号室に戻って、血痕や指紋などの痕跡を消すため床や台所、玄関ドアなどをふき取っている。

さらに、被告は被害者の衣服や所持品を徹底的に切り刻んで水洗トイレから下水道管に流すなどしている。
そのほか、被害者の携帯電話から所在が判明しないよう被害者のバッグの中にあった携帯電話を取り出し、裏ぶたを開け、電池パックを取り出したり、足跡が検出されることを恐れ、靴を買い替えたり、業務用の強力な洗浄剤で遺体の一部を流した配水管を洗うなどしている。

平成20年4月18日午後10時40分ごろ、被害者の部屋の前に警察官が立っているのを見た際には「不審な物音は聞こえなかった」と言って対応した。

19日午前2時ごろ、浴室で被害者の遺体の損壊作業を行っていた際、部屋を訪ねてきた警察官には入浴中を装い、正午ごろに訪ねてきた警察官には自ら進んで部屋に招き入れるなどして怪しまれないように対応した。

同日タ方や、同月20日タ方に訪ねてきた警察官は部屋に入れ、捜査に協力するかのような態度を取るなど、一貫して事件とは無関係を装い警察官を欺き続けている。

***被告の生活歴***
被告は昭和50年1月、4人兄弟の長男として生まれ、岡山県内の小学校、中学校で学んだ。1歳11カ月の時に浴槽のふたに乗ったところ、ふたが落ちて熱湯の入った浴槽に落ち、一命はとりとめたものの両足にやけどを負い、赤くケロイド状にあとが残った。

このやけどで小学校の頃からいじめにあう。被告は人と接するのを避けるようになるとともに、次第に自分がやけどをしたのは両親のせいだと強く思うようになった。中学校に入り、思春期になったこともあって、やけどのために女性や恋愛は自分には無縁だと考えるようになり、両親に対する恨みを深めていった。

被告は岡山県内の高校を卒業後、とにかく両親の元から離れたいと考え、東京都内のゲーム会社に就職したが、4年あまり勤務したところでゲームの仕事に飽きたこともあり会社を辞めた。その後、コンピューターの技術を生かし、コンピューターソフトの開発会社で働くようになった。

会社を替わるなどした後、技術が認められ、引き抜きを受け、月額50万円の個人契約社員として働くようになった。
この点に関し、被告に仕事を請け負わせていた会社の関係者が公判に出廷し、被告の仕事ぶりは速くて正確で、後輩の指導もしていたこと、動務先での人間関係に特に問題はなかったことなどを述べている。

被告には前科前歴はなく、婚姻歴もない。

高校卒業後も両親に対する恨みを募らせていた。「殺してしまいたい」とまで思うようになり、初めに勤めたゲーム会社に勤務しているころに2回ほど両親と会ったものの、それ以降は10年以上、音信不通の状態となった。

***動機***
被告は、女性と実際に交際した経験がなかったが、女性と交際したり性交したりすることを望んでいた。そのための手段として女性を拉致して強姦し続けることで性の快楽の虜(とりこ)にし、自分の言うことを聞く「性奴隷」にしようと考えた。「性奴隷」にするのは若い女性であれば誰でもよかったので、被害者を、その対象として、住居侵入、わいせつ略取を行っている。

被告は金曜日の夜に女性を拉致すれば、月曜日の朝まで発覚せず、2日以上かけて強姦を繰り返して快楽を与えることができると考え、金曜日を犯行日と定めた。住居侵入、わいせつ略取は計画的な犯行ということができる。

***犯行経緯***
被告は自室を出ると、916号室に向かい、部屋のドアを開けた。玄関に被害者がいたが、被害者は被告を見ると声を上げて叫び、被告を外に押し出そうとしてもみ合いとなった。被告は被害者の顔面を右こぶしで1回殴りつけた。被害者は抵抗をやめ、フローリングの上にしゃがみ込んだ。

被告は被害者をうつぶせに押し倒すと、その上に馬乗りになり、ブーツを脱がせたうえ、コートの襟首を背中辺りまで引き下げて両腕の自由を奪って立たせた。室内にあったタオルを縦に半分に切り裂いて両手首を後ろ手に縛り、ジャージーのズボンで目隠しをするなどした。

そして、被告は被害者の黒いバッグを持ち出し、室内にあった包丁(刃渡り約17・5センチメートル)をその首かほおに突きつけ、「これから外に出る。おとなしくしろ」などと脅迫し、共用通路を経て自室の918号室に連れ込んだ。 被告は、この時、被害者を以前、916号室の前で見かけた被害者の姉だと思い込んでいた。

被告は被害者を918号室の洋室まで連れ込んだ後、ベッドマットの上にあおむけに寝かせた。声を上げないように口の中にタオルを押し込み、自由を完全に奪うため、ビニールのひもで、手首と足首をそれぞれ固く縛った。

被告は被害者の左の額に傷があり、そこから血が出ていることに気づき、ハンカチを水にぬらして傷口にあてたが、血痕が残っているかもしれないと考え、タオルを持ち出して916号室に戻った。廊下の血痕や足跡をタオルでふき、指紋を消すために台所下の物入れの扉をふき、玄関ドアの内側やドアノブ、共用通路に落ちていた血痕もふくなどして、918号室に戻った。

被告は被害者を強姦しようとしたが、被害者がけがをしていて快感を感じないので、簡単には「性奴隷」にはできないのではないかなどと不安になった。

被告は、まずは自分が性的に興奮しなければ強姦できないと考えたが、緊張していたことや、被害者が叫んだり暴れたりするかもしれないと思うと怖くなり、陰茎が勃起せず、自分が強姦している場面を想像しようとしたが、できなかった。そこで、被告は被害者を「性奴隷」にできなかった場合の脅迫方法を考えたりしたが、やはり「性奴隷」にするのが一番良いとも思い、性的に興奮しようとして音声を消したままアダルトビデオを見た。

被害者の姉は平成20年4月18日午後8時43分ごろ、916号室に帰宅し、異変に気づいて警察に通報した。警察官が駆けつた。警察官は午後10時20分ごろ、918号室のドアをノックした。

被告はこの時、アダルトビデオを見ていたが、ノックの音を聞いて驚き、すぐには玄関に出なかったが、警察が来たのかもしれないと不安になり、午後10時40分ごろ、コンビニエンスストアに行くふりをして外に出た。916号室の前に警察官が3人立っており、事件とは無関係を装い、再び918号室に戻った。

被告は被害者方のすぐ近くに住んでいる自分が真っ先に疑われ、警察官らが部屋の中を確認しに来れば被害者が見つかり、逮捕されてしまうと考えた。もし逮捕されてしまえば、月に50万円を稼げる仕事や、それなりにぜいたくな暮らし、自己の体面などを失うと憂慮した。そして、逮捕されずに被害者を帰す方法がないか考えを巡らせたが、そのような方法は思いつかず、結局、被害者を殺害し、その遺体を解体して投棄し、被害者の存在そのものを消し去るしかないとの結論に至った。

被害者を確実に殺害する方法として、首を刺してできるだけ多く出血させて殺害することを決意した。

被告は午後11時ごろ、タオルを1枚持ち出し、916号室から持ち出した包丁を左手に持って、ベッドマットの上にあおむけに横たわっている被害者に近づくと、その左脇辺りのところで中腰になった。タオルを首の左横に置いて右手でその口を押さえ、左手で包丁を強く握り、いきなり首に突き刺し、さらに、体重をかけて奥まで突き刺した。5分ほど経過しても被害者の呼吸が止まらなかったため、被告は被害者をできるだけ早く殺そうと、左手で包丁を抜き取って大量に出血させた。さらに、5分ほどして被害者の呼吸、鼓動、脈を確かめ死亡を確認した。

被告は、引き続き、被害者の遺体を解体しようと考え、ベッドマットに流れた血をバスタオルで吸い取るなどした後、浴室に運んだ。遺体の衣服をはさみで切り、平成20年4月18日午後11時50分ごろから、遺体の解体を始めた。

ペティナイフやのこぎりを使って、遺体から頭部を切り落としてから、両足と両腕を付け根から切り落とした。切り落とした足と腕はゴミ袋に入れて冷蔵庫に、頭部はゴミ袋に入れてクローゼット内の段ボール箱に、胴体はゴミ袋に入れてベッドの下の段ボール箱にそれぞれ隠した。

被告は、19日午後9時ごろから20日午前4時ごろにかけて、ペティナイフや洋包丁を使って、遺体の両腕や両足を細かく切り刻み、のこぎりを用いて指を切り落とし、水洗トイレから下水道管に流した。骨も細かく切断した。

被告は、午後8時ごろから翌21日午前7時ごろにかけ、のこぎりなどを用いて、遺体の胴体から、内臓を取り出して細かく切り刻み、胴体を小さく解体し、骨を細かく切断し、水洗トイレから下水道管に流した。

被告は、午後9時ごろから翌22日午前1時ごろにかけ、のこぎりや安全かみそりを用いて、死体の頭部から、髪の毛をそり落とすなどし、頭蓋骨(ずがいこつ)を切断して水洗トイレから下水道管に流すなどした。

その後、被告は23日にかけて、遺体の骨をさらに細かく切り刻み、計3回にわたり、骨の一部を手提げかばんに入れて外に持ち出し、マンションのごみ置き場のごみ箱の中に投棄した。

25日から27日にかけて、腐臭を放つ骨片を鍋で煮て細かくして、それらの骨や肉片、歯などを水洗トイレから下水道管に流した。

さらに同月29日、コンビニエンスストア北側のごみ箱に骨の一部を投棄し、5月1日、自宅の最寄り駅のごみ箱に残りのすべての骨を投棄した。

さて、酷い事件だったけど、無期懲役ですね。
遺族にしてみれば身勝手な理由で殺害され、その上、解体されて下水に流されたなんて、極刑意外はあり得ないだろうけど・・・

裁判員制度だったら結果はどうだったかな?

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09/03/01追記
東京地検は25日、死刑求刑に対し無期懲役とした1審判決を不服として東京高裁に控訴した。

1審東京地裁は18日、「殺害や死体損壊・遺棄は計画的ではなかった」などと指摘。前科がなく、被告が反省している点なども考慮し、「死刑を選択すべき事案ではない」と無期懲役を言い渡した。

東京地検の次席検事は「判決が死体損壊などを軽視して死刑を回避したのは重大な判断の誤り。殺害と死体損壊は一体の犯行。極めて残虐で死刑が相当」とコメントした。

09/09/10追記
被告(34)の控訴審判決で、東京高裁は10日、無期懲役とした東京地裁判決(2月)を支持し検察側の控訴を棄却した。1審同様量刑が争点となり、裁判長は殺害の計画性を否定し「謝罪の態度を示し立ち直る可能性がある」として死刑を回避した。

死刑を求めて検察側が控訴し、弁護側は控訴棄却を求めていた。

裁判長は「殺害は身勝手極まりない。死体損壊は人間の尊厳を無視する他に類を見ないおぞましい犯行。突然命を絶たれ、ごみ同然に扱われ、さぞかし無念だったと推察される」と述べた。

しかし「『女性を拉致した時点で殺害に着手せざるを得ない状況だった』という検察側の主張は早計」と殺害の計画性を否定し(1)前科前歴がない(2)自白し罪を悔いている(3)立ち直る可能性がある--などと1審同様の判断を示した。

2審で判断を変更した点もあった。わいせつ目的で拉致したものの、わいせつ行為には及ばなかった点を1審は有利な情状として挙げたが「有利には考慮できない」とした。さらに「殺害行為は無慈悲で残虐。1審が『極めて残虐とまでは言えない』としたのは相当ではない」と述べた。しかし、83年に最高裁が示した死刑適用基準(永山基準)や被害者が1人でも死刑となった過去の事案との違いを指摘し「極刑がやむを得ないとまでは言えない」と結論づけた。

2審は出廷する義務がないため被告は不在だった。

09/09/22追記
東京高検は上告を断念する方針を固めた。無期懲役とした1、2審判決が確定する。

東京高検は上告期限(24日)を前に検討した結果、憲法違反や判例違反などの上告理由がないと判断したようだ。

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コメント

死刑判決間違いないだろうと思っていましたが、遺族にとっては信じられない判決。判例ですか。おかしいですな。矯正の余地がある?そうは思えないですね。
犯罪史上まれな仕業をやらかした被告を望みどおり死で償わせてやるのが適切。と、もし自分が裁判員なら考えます。

投稿: 明智 | 2009/02/22 00:10

こんな酷いことをして無期懲役なんて許せません ニュースでも細かく説明され‥遺族の方や友人の方 辛かったでしょうね わいせつしてない証拠あるんですかね 事件の数週間後に風俗嬢を呼んでたみたいです ニュース見て怒りがこみあげてきました 反省してないじゃん 絶対に死刑にするべきです 今も食事与えなくていいぐらい!

投稿: 桃 | 2009/02/22 20:08

控訴はしたのですかね?

asukaさんの詳細な文を読んでまた怒りがこみ上げてきました。なんの罪のないひとをよくここまでひどいことをして、平然とマスコミの取材に答えてきましたよね。

投稿: ねこのこ | 2009/02/23 09:29

こんばんは。
公判の詳細や判決の詳細の記事を全部読みました。
改めて、司法の考え方と一般市民の考え方には大きな隔たりがあるのだとつくづく感じました。
判決文には、殺害方法に残虐性が感じられないから、死刑に値するとは言えない…というような内容がありましたが、被害者は拉致され、包丁を突きつけられ、目隠しをされて手足を縛られており、殺されるという恐怖は計り知れなかったと思います。その結果、包丁を突き立てられて亡くなってしまった。拉致の恐怖、死への恐怖、それだけで十分残虐性が感じられます。
強姦もなかったというので、死刑に値しないと言うことですが、死体は損壊され遺棄されているのですから、その証拠がない限り被告の言い分が信用されるということのようですね。
他にも納得の行かない部分が多々あり、本当に後味の悪い判決であったと感じています。

投稿: kimera | 2009/02/24 21:05

東京地検は控訴しましたね。
一審で地検は死体処理の残虐性を立証して、死刑を求刑した結果、無期懲役となりました。

控訴審でも、これと同じ事をしてると棄却の可能性が高いと思われ、被告人が話してる「性的暴行目的」の証拠が必要になるかと思います。

投稿: joker | 2009/02/26 08:17

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