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2010/03/05

奈良5歳男児餓死事件

3月3日5歳の長男に約2か月にわたって十分な食事を与えず餓死させたとして、奈良県警は3日、両親で、同県桜井市粟殿(おおどの)の会社員男性(35)と、パート店員女性(26)の両容疑者を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕する事件が起きている。

亡くなった長男の体重は5歳児平均の約3分の1で、1歳児を下回る6・2キロ、身長も平均よりも25センチ低い2歳児程度の85センチだった。

発表によると、2人は今年1月頃から、長男に朝に1回、わずかな食事や水を与える程度で、衰弱した長男に治療なども受けさせずに放置するなどして、死亡させた疑い。長男はこの1週間はまったく食事をとっておらず、寝たきりで、紙おむつをしていた。筋肉はほとんどなく、「骨と皮の状態」(捜査関係者)だったという。腕や足にあざがあり、県警は暴行の有無も追及する。

捜査関係者によると、長男は保育園などには通っておらず、1年近く、自宅に閉じこめられた状態だったとみられる。

県などによると、3日午前11時頃から正午頃にかけて計3回、女性容疑者から県中央こども家庭相談センター(奈良市)に、「子どもを虐待した」「ぐったりしている」などと電話があった。
センター職員が救急車を呼ぶよう指示し、県から通報を受けた桜井市の職員が自宅に向かい、長男と妹(3)を保護した。

長男は県立医大病院(同県橿原市)に搬送されたが、飢餓による衰弱が激しく、同日午後5時20分、急性心不全で亡くなった。病院によると、すでに手の施しようがない状態だったという。妹は同センターに保護されたが、体調に問題はないとの事。

逮捕された父親の男性容疑者(35)が、県警の調べに対し、妻の女性容疑者(26)の育児放棄について「息子が衰弱しているのは知っていたが、妻に逆らえず見て見ぬふりをした」と供述していることが5日、捜査関係者への取材で分かった。
県警捜査1課などは、男性容疑者は女性容疑者の育児放棄を知りながら、故意に放置したとみて捜査を進める。

一方で男性容疑者は、女性容疑者の息子への暴力は「知らなかった」と話しているという。
捜査関係者によると、夫婦は2003年に結婚し、桜井市のアパートに入居した。当初は夫婦仲も良かったが、妹(3)を妊娠した3年前、借金の返済を求める複数の書面が自宅に届き、博容疑者が親類の連帯保証人をしていたことが発覚。返済などをめぐり、夫婦仲が悪化したとみられる。 

女性容疑者(26)が、死亡した長男(5)の祖父母にあたる自らの両親が自宅を訪れた際に、「(長男は)夫と一緒にどこかに遊びに行っている」などとうそをついて長男と会わせず、自宅にも入れなかったことが5日、捜査関係者への取材で分かった。

捜査関係者によると、女性容疑者は「3年前から夫婦仲が険悪になり、顔が夫と似ている長男が憎らしくなった」と供述。このころから顔面をこぶしや平手でたたいたり、つねったりするようになったと認めており、県警は女性容疑者が虐待の発覚を恐れ、祖父母と会わせなかった可能性があるとみている。

長男は両親と妹の4人家族で、JR桜井駅の北約1キロの住宅街にあるアパート2階で暮らしていた。県と桜井市は、通報がなく把握していなかった。

さて、酷い事件だね。
殺人事件ならば、多くの場合、死は一瞬に訪れる。だから苦しむ時間も短時間なのだが・・・
この事件のような餓死となると、数週間もの間、餓えに苦しむ事になる、それも死に至る苦しみだ。
こんな残酷な事は無いだろう。

借金があって、妻に頭が上がらなかったのかもしれないが、虐待を放置する事もまた虐待ですよね。
死ぬとは思わなかったと言うかもしれなが、骨と皮になった5歳児を見て、平気でいられると考える方がどうかしているでしょ?

この事件が少し珍しいのは女性容疑者が悪意を持っていた(長男が憎らしかった)と話している点ですね。
普通はストレスのはけ口にするにも、躾けの延長から入るケースが多い。
直接夫に不満は言えず、不満の矛先が夫に似ている長男に向いてしまったのかな。

2010/03/06追記
保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された母親のパート店員女性容疑者(26)が、県警の調べに、「長男は亡くなる約1週間前までは立つことができた。しかし2月末ごろから、ふとんから起きあがれなくなった」と供述していることがわかった。

県警は、長男が寝たきりになった直後に通報していれば、命を取り留めた可能性もあるとみており、放置を続けた女性容疑者の心理状態について、さらに詳しく調べる。

司法解剖の結果、長男の胃には内容物は何もなかったといい、栄養不足による激しい衰弱で寝たきり状態になったとみられる。
消防署は「せめて寝たきりになった直後に通報していてくれれば、命が助かったかもしれない」としているとの事。

保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された母親のパート店員、女性容疑者(26)が、夫の男性容疑者(35)からドメスティックバイオレンス(家庭内暴力、DV)を受けていたことが関係者への取材で分かった。女性容疑者は「長男の顔が夫と似ていて腹が立った」と供述しているが、DVが虐待の引き金になったとみられる

両容疑者は03年5月に結婚し、04年7月に長男が生まれた。関係者によると、女性容疑者は長女を妊娠中「夫に腹をけられた」と訴えてきたといい、DVを継続的に受けていた可能性がある。さらに男性容疑者は、妻が他の男性と親しくしていると疑い、つきまとうようになった。元同僚の主婦(38)らによると、女性容疑者は夫について「コンビニに行く時も、監視するようについて来る」と漏らし、元上司の男性(48)にも「夫はストーカーみたい」と話し、不満を募らせていた。

捜査関係者によると、女性容疑者は約3年前から夫と不仲になり、「うっ憤がたまった時に、長男が夫のように見えてくる」と供述しており、夫のDVやストーカー的な行動に対する怒りや不満が、長男への虐待につながった可能性が浮上している。女性容疑者は「私が母親じゃなかったら元気で育っていたと思う」と言い、泣きじゃくったらしい。

このDVの話がホントなら文字通り、虐待の連鎖と言える状況だけど・・・まずは事実関係の裏付けをして欲しいですね。

2010/03/16追記
父親の男性会社員博容疑者(35)(保護責任者遺棄致死容疑で逮捕)が、県警の調べに「長男を殴ったことがある」と、虐待を認める供述をしていることがわかった。

捜査関係者によると、男性容疑者は約3年前から、借金問題などで夫婦仲が冷え込んだと説明。逮捕当初は、「妻に負い目があり、長男に構うと夫婦げんかになるので、食事を与えられていなくても、見て見ぬふりをしていた」と直接的な暴行は否定していた。だが、最近になって、「3年前頃から、イライラしたりした時に手を出した。これまで10回くらい殴るなどした」と虐待を認め始めたという。

母親の女性容疑者(26)(同)は、長男が食事をとれず、寝たきり状態になった今年2月末頃、「死ぬかもしれないと思った」と供述。県警は死亡する危険性を認識しながら放置したのは未必の故意に当たる可能性があるとして、殺人容疑でも慎重に捜査している。

男性容疑者は「やせ細っていくのは気づいていたが、死ぬほどの危険があったとはわからなかった」と話しているという。

2011/02/12追記
保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の無職女性被告(27)の裁判員裁判で、奈良地裁は10日、「子どもを人間扱いしていないような無慈悲で残酷な犯行で、自分のストレスのはけ口とするなど動機も自己中心的だ」などとして、懲役9年6月(求刑懲役10年)の判決を言い渡したようだ。

判決によると、被告は、普段から十分な食事を与えていなかった長男が2009年9月ごろから衰弱していると知りながら、夫だった男性被告(36)=同罪で起訴=と共謀して治療を受けさせずに放置し、10年3月3日、栄養失調で死なせたとの事。

公判で女性被告側は起訴事実を認めた上で、犯行当時心神喪失か心神耗弱状態だったとして、懲役2年が相当と主張したが、裁判長は「パートの仕事を続けているほか、自ら児童相談所に通報しており、善悪を判断する能力が著しく損なわれてはいなかった」として退けたとの事。

しかし、どうして途中で止められなかったのかな?
寝たきりになって「死ぬかもしれない」と思った時点で病院に行けば子供は助かった可能性が高いと思う。
しかし、それでも、放置してしまったのはやはり、犯罪の意識があったからだろうか?
病院に連れて行けば事件が発覚してしまう事を恐れたのだろうか?
だとしたら、この時点では自発的な解決は望めないので外部からの強制的な処置しか方法が無いでしょう。
この意味で児童相談所の権限が拡大するのは歓迎される事だと思います。

ただ、もっと早い段階で解決する方法はあったと思う。
それは同居していた男性被告の働きに期待するしかないのだけど・・・
この事件でも、同居していた男性被告は食事を与えていない事に気づいていたのだから、問題は認識していたんですよね。
夫婦関係が冷え込んでいようが、子供への愛情は変わらないはずなので子供が死んでもかまわないと思っていなければ問題を解決する意志を持っていたと思います。 

なので問題の原点の夫婦関係の修復にトライして、ダメならば、子供を保護する為に離婚調停など方法があったでしょう。
離婚までしなくても、隠れて食べ物を食べさせるとか方法はあったと思う。
結局の所、「子供が死んでもその責任は母親にある」と言う逃げ道に逃げ込んでしまったのかな?
しかし、それは結局の所、同罪と言う事になってしまうんですよね。

無くなった子供のご冥福を祈ります。

2011/03/03追記
父親の男性被告(36)の裁判員裁判の判決公判が3日、奈良地裁であった。
裁判長は「人間として扱っていないかのような陰湿で卑劣な犯行」として、母親の女性受刑者(27)と同じ懲役9年6月(求刑懲役10年)を言い渡した。

裁判長は判決理由で「いわば無関心という名の虐待。なすべき養育を果たさず、主体的、能動的に虐待していた」と指摘した。

また、3日は死亡した男児の命日に当たり、裁判長は「冥福を祈ってこれからの生活をスタートさせてください」と説諭した。

判決によると、男性被告は女性受刑者と共謀。男児に十分な食事を与えず、衰弱しているのを認識しながら適切な診療を受けさせず放置し、餓死させたとしている。

結局のところ、見て見ぬふりも、同罪と言う事ですね。

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コメント

最近は酷い子供への虐待死される事件が多い感じです。特別法を作って厳罰化する事と家庭に介入して子供を保護出来る法を強化する必要があると思います。モラルが崩壊している。痛ましい話です。

投稿: オヤジ | 2010/03/06 19:44

「旦那に似ているからかわいくなかった」
と言うなら、憎しみを旦那本人にぶつけなさい。

子どもが何をしたの?
ただ愛されたかっただけじゃないの?

どんな理由があろうとも、子どもを傷つけてはいけない。

こんな事件があるたびに、胸が痛い。

投稿: 一児の母 | 2010/03/07 12:59

夫に 似てるから虐待したとか意味がわからない!
夫は夫で子供は子供だろ!ただのお前のストレス発散じゃないか!まだ5歳でこんな酷いしうちをうけて死んでいったなんてあまりにもかわいそすぎる!
自分が 夫に暴力をうけていたなら なおさら子供の気持ちがわかるだろ!

投稿: | 2010/08/02 22:46

最近 小さい子を見るたび(わがまま)この5歳の子の事が浮かびます。この子はなんのために生まれてきたんですかね・・?私が見てる目の前の子のようにわがままを言ったり甘えたりしたかったでしょうね・・ほんとこんなことなら捨ててほしい・・・こんな嫌な思いでころされるなら生まないでほしかった・・・

投稿: まりこ | 2010/12/08 03:06

正直 驚いています! つらい毎日だったのだと思います。逃げることもできない、地獄だったのでしょう 過去に戻れるものなら、助けたい気持ちでいっぱいです。せっかく命をもらい5歳で地獄を体験し死の存在も知らない年齢で何の選択肢もないまま力尽き、考えただけでおかしくなりそうです。今後 幼児虐待の対策の方法を考え直す時期では、ないでしょうか?定期的な強制調査 そのくらいしないと、子供は、守れないのでは?

投稿: 匿名 | 2013/06/07 03:05

>>「旦那に似ているから可愛くなかった」というなら憎しみを旦那本人にぶつけなさい。
>>「夫は夫で子供は子供だろ!ただお前のストレスの発散じゃないか!」

まぁ是等の意見はその通りなんだが…旦那本人に不満をぶつけたらDVで捩伏せられたんだろう。力じゃ女は勝てんしな。この旦那は自分の実姉の借金を妻のパート代から金をくすねて内緒で返済するなど妻を騙したり妻にストーカーのような行為をし、それに対して妻が文句を言えばDVで黙らせていたんだよ。旦那は都合が悪くなると妻を暴力で捩じ伏せるくせに姉の言うことは何でも聞き姉の借金も妻の稼ぎで勝手に返済…そういう情けない男なんだよ旦那はな。妻のストレス捌け口が息子に向かうようにしたのは旦那だろう。そして自分は見て見ぬ振り。勿論この事件では母親は責められて当然だが、父親への非難が小さ過ぎるね。まぁどちらも糞なのは変わらんけどね。

投稿: 匿名 | 2018/03/16 11:56

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