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2011/03/17

少年犯罪の深層・・・家裁調査官の視点から

少年犯罪の深層―家裁調査官の視点から (ちくま新書)

目次
1章 事件の現場を歩く
2章 FBIを翻弄した爆弾魔
3章 19歳の死刑囚
4章 脳と犯罪の不思議な関係
5章 非行のメカニズムを読み解く
6章 「動機」とはなんだろうか

レビューなどで批判されてもいるが、家裁調査官の経験からある種の症状(病名)に対して書きにくい事も書いている。
もちろんそれについてもフォローもしており、私としては間違った事は書いていないだろうと思う。
結局、興味を持って真剣に事件を追いかけていくと誰もが気づく事なのだと思います。
そこを、現場の家裁調査官の経験を生かして正しく書いていると言う印象です。
この点は扱いを間違うと読み手側に間違ったメッセージを送ってしまうデリケートな部分だと思います。

でも、私はこの本は高く評価しています。
と言うのも、この方面の情報はかなり偏っているんですよね。
一つは症状について書かれた入門書、もう一つはこんな症状の人がこんな事件を起こしたと言う事件報道。
しかし、その二つを補完するような情報が無いんですよ。
で、この本がそこの所をうまく補完していると思います。

こんな子供が成長しその中で事件を起こす。そしてどんな処遇となったのか。事件報道や病気や障害の入門書には書かれない事ですね。

で、犯罪と脳の関係についても少し書いている。
それも、やはり、普通にたどり着く方向なんだと思います。

それから、非行へ走るメカニズムも簡単に書かれている。

で、ちょっと変わったところでは児童虐待についても書かれている。
発達障害と児童虐待の関係や実例もあり、この点は虐待問題だけでなく、教育や育児の問題と見ても興味深い。

最後に犯罪統計の数字についても触れていて、なるほどそういう見方になるのかと少々興味深いところですね。

多分、このASKAの事件簿を興味を持って読んでいるような方にはお勧めできると思います。
色々なケースで起こる児童虐待の中の特殊なケース(虐待事件の中には表に出ないだけで結構ありそうな気がします)にも触れていて、児童虐待について興味のある人にもお勧めです。

参考リンク
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コメント

未成年犯罪の厳罰化が叫ばれていた頃、もし誰かに厳罰化すべきかと意見を求められていたら、私はわからないと答えたと思います。未成年の凶悪犯罪が増えているという話も漠然と信じていたし、あの騒ぎの裏にこの本の著者のような専門家の皆さんの地道な努力やその成果は隠れてしまって見えませんでした。そういう意味ではマスコミの報道は責任重大だと思います。もっと多角的な取材、報道をして頂きたいものです。
未成年者の犯罪の深層を研究するコトは犯罪そのもののメカニズムを解明するコト、ひいては犯罪の抑止に繋がると、この本を読んで強く感じました。

投稿: まーぷる | 2014/10/03 17:21

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