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2011/05/29

山口県下関市6歳女児殺害放火事件その9(犯人の迷いと遺体遺棄)

さて、容疑者は逮捕されたが、大きな謎が残っている。
それは、遺体の遺棄です。
以前にも少し書きましたが、もし、殺害場所が屋内なら屋内から遺体を運びだしながら、被害者の自宅近くに遺棄する事は矛盾するのではないか?と言う事です。

今回はこのあたり考えてみようと思う。
ただし、容疑者は逮捕されていますが、容疑者が犯人と言う前提で書くことはしません。

まず、殺害場所ですが・・・
可能性は二つで屋内か屋外かになります。
で考えなければならないのが、この事件が計画的な物なのか?と言う点です。
私は二つの理由でこの事件は突発的あるいは衝動的な物だと考えています。
・凶器が現場にあった物で絞殺だった事。
・6歳の女児を殺害する理由は基本的に無い事

なので動機としては
・犯人にとって都合の悪い事が起こる場合や感情的な場合
と考えていますが、いづれにしても、突発的な物だったと考えています。

例外として、明確な目的が犯人にある場合(保険金詐欺など、だけどこの場合は計画的ですね)

突発的な事件だったと仮定した場合。コードの切断と持ち去りが問題です。
殺害が屋外の場合、コードが凶器とすると、コードを切断して女児を運び出してから殺害した事になり、この点が少々不自然ですね。

屋内が殺害現場とした場合、屋内で咄嗟に殺害してから、凶器のコードを切断して遺体とコードを運び出したとする流れの方が自然に思えます。しかし、この場合はその後の遺棄場所が現場近くだった事に矛盾します。

で本題の遺体遺棄について考えます。行動の理由としては
・逮捕されない為の行動
と考えています。
で問題は具体的に何が問題か?と言う事ですが私は二つ考えています。
A)殺害場所が屋内の場合、犯人の侵入方法が問題となる。合鍵を持っている人間は限られる。あるいは容疑者の周囲から合鍵が出てくればかなり不利な情報となる。

B)遺体を隠して事件を隠蔽しようと考えたが、遺体を隠しても誘拐事件として捜査され、その時点で犯人が疑われる事を自覚している場合、あえて遺体を隠す事でリスクを増やすよりも、遺体を近くに放置して証拠を消した方が犯人にとって有利になると考えた場合。

つまり、殺害直後は遺体を隠し事件を隠蔽する事を犯人は選択したのだが、遺体を運び出した時点で再度、選択し直したと言う事です。

今回は犯行が深夜から早朝にかけての時間帯の為、6歳女児が自分で屋外にでる事想定しにくいでしょう。この為、どちらにしても侵入方法は問題となるのでA)の可能性は低いと考えています。

B)の場合、犯人は遺体を屋外に運び出した時に遺体の処理について再度考えた。
ここで場合分けが発生します。
1)遺体の運搬手段が無い場合(徒歩など)
2)遺体の運搬手段がある場合(車など)

1)の遺体の運搬手段が無い場合は、遺体を屋外に運び出したのは良いが、この後の処置の方法が限定されます。遠方に運ぶ事ができないので、近くの場所に隠す以外に方法がありません。かと言って遺体が発見されない場所としては自宅ぐらいでしょうか。
現場近くで不審な動きをするのは犯人にとってかなりのリスクだし、現場近くの自宅に遺体を隠すのもリスクが大きいでしょうし、同居人がいる場合などは無理でしょうね。

2)遺体の運搬手段がある場合
この場合は判断に迷うと思いますが、上に書いたように、犯人が必ず疑われると自覚している場合は難しいですね。時間を掛けて遠方に遺棄したとしても、その時間のアリバイが無ければ不審感が増すだけですし、証拠も残りますからね。

私はこのような理由で犯人は一度は遺体と事件を隠蔽する事を考え遺体を運び出したが、その後、結局、自分に有利にならないと考えて、遺体を隠す事を断念した。
その代わりに証拠を消す事や服を脱がせて犯人像をミスリードする事を考えたのではないか?と考えています。

参考リンク
山口県下関市6歳女児殺害放火事件その8(容疑者逮捕)

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コメント

私はどちらかといえば計画的側面があるような気がします。
この線で考えると、母親への逆恨みから女児を殺害し、母親に精神的ダメージを与えるという動機が最も有力でしょう。
凶器に被害者宅の電気コードを選んだのは、凶器の形や入手経路から容疑者の割り出しを出来なくするための小細工。
凶器を持ち去ったのは、付着しているであろう自分の指紋やDNAを消し、自分を走査線上から外すためのものと考えれば説明出来ます。
上のように考えさせるための偽装という可能性もありますが…

遺体をアパート近くに遺棄したのは、遺体を見せつけるために犯人が意図的に行ったと考えれば自然です。

ただ、初犯でここまで計画出来るものなのかが一番の疑問です。

投稿: OZONE | 2011/05/29 16:28

山口県下関市の被害者(30)宅アパート脇の側溝で、次女=当時(6)=が遺体で見つかった事件で、被害者宅のベランダに足跡が残されていたことが28日、分かった。
県警下関署捜査本部は、殺人容疑で逮捕された母親の元交際相手、男性容疑者(27)がベランダの窓から侵入し、殺害後に玄関の鍵を開け、遺体を遺棄して逃走したとみて、捜査している。
 捜査本部によると、足跡は男性のものとみられ、アパート2階にある被害者宅のベランダに残されていた。捜査本部は、男性容疑者が合鍵を持っておらず、ベランダの手すりを上るなどして、この窓から侵入したとの見方を強めている。 

投稿: ASKA | 2011/05/30 00:23

OZONEさんこんばんは
そうですね、どこまで計画できたかになると思うのですが、母親がこの日、不在になる事を予測して計画したのであれば、その可能性もあると思いますし、侵入するところまでは計画していたけど、侵入後は母親不在と言う想定外の状況で咄嗟に感情的な行動に出たとも考えられると思います。
だけど、私としては、犯人に都合の悪い事があって消極的に殺害したのかなと考えています。

投稿: ASKA | 2011/05/30 00:31

被告(28)の裁判員裁判で、山口地裁は7月25日、懲役30年(求刑・無期懲役)を言い渡したとの事。
判決は、遺体のそばにあったたばこの吸い殻とDNA型が一致するなどの状況証拠を総合評価し「被告が犯人でなければ合理的な説明が極めて困難」と結論づけたらしい。捜査段階から一貫して無罪を主張する被告側は控訴する方針らしい。

被告と事件を直接結びつける証拠がなく、争点は検察側が積み上げた状況証拠の信用性と評価だったとの事。

判決は、被告が持つ希少な型と同じDNA型が検出された玩具や、型が完全に一致したたばこについて、「両者相まって被告が犯人であることを強く推認させる」としたらしい。

また、現場から誰のものか特定できない毛髪やDNA型が出ている点は、「毛髪は服に付着して移動しやすい。DNA型は壊れにくい部分が検出されており、古いものが残存していても不自然でない」などとして、「第三者の犯行の可能性がある」との弁護側主張を退けたらしい。

裁判長は判決理由で「強固な殺意に基づく残虐な犯行」と指摘したうえで動機を「被害者の母親に対する怨恨(えんこん)」と認定したらしい。「怨恨から被害者家族に危害を加えようとし、身勝手な動機に酌むべきものはない」と厳しく指摘したらしい。

動機が母親に対する怨恨と言うのは私の推理とも一致していますが、被告人は前面否認して自ら動機を語っていません。控訴審でも否認すると思いますが、弁護側としては新しい証拠が無いと厳しいような気がしますね。
ただ、状況証拠の判断を上級審が覆すと、逆転無罪もあるかもしれません。

控訴審の行方に注目しましょう。
もし本当に被告による犯行ならば、被告自身に動機を語ってもらいたいですね。

投稿: ASKA | 2012/07/25 22:07

元交際相手の次女(当時6歳)を殺害したとして、殺人などの罪に問われた同市向洋町3、会社員、男性被告(29)に対する控訴審判決が1月20日、広島高裁であった。
裁判長は、懲役30年を言い渡した裁判員裁判の1審・山口地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

裁判長は判決で、遺体のそばにあったたばこの吸い殻のDNA型が被告と一致したことについて、「何者かが吸い殻を移動させたり、風で運ばれたりした事情はない」として、第三者によって持ち込まれた可能性があるとする弁護側の主張を退けた。

女児の母親は「上告しないで、刑務所に入ってください」とコメントした。

予想通り、一審判決を支持ですね。
弁護側は新しい証拠や証言がないと、難しいでしょうね。
事件から3年が過ぎましたが、次も控訴するのだろうか?

でも、控訴しないと、被告自らが動機を語るチャンスはもう無いかもしれませんね。
もっとも、遺族へ手紙などで謝罪するケースなどもあるようですが・・・

理不尽な理由で罪のない6歳の子供を殺害したのだから、懲役30年は妥当な量刑かと思いますが・・・
児童虐待での死亡事件などの量刑と、あまりに差が大きいのに愕然としますが・・・

児童虐待事件の場合、動機や状況がより複雑だからと言う事だからかな?

投稿: ASKA | 2014/01/22 17:38

山口県下関市のアパートで2010年、女児=当時(6)=を殺害したとして、殺人罪などに問われた男性被告(30)について、最高裁第2小法廷は11月10日付で、被告の上告を棄却する決定をした。懲役30年とした一、二審判決が確定する。

結局、動機は何も語らなかったんですね。
罪もない6歳の女児を殺害しては、何を言っても酌量されるような事はないと言う事なんでしょうね。
動機を語らないのは、裁判で不利になると言う計算なのか?

懲役30年ですが、求刑は無期懲役ですから、それに比べたら軽くなったと言う判断のでしょうか?

なんとも、後味の悪い事件ですね。

投稿: ASKA | 2014/11/14 19:24

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