39条と心神喪失者等医療観察法
この記事については私も勉強中ですので、間違い等がありましたらご指摘ください。
刑事事件で責任能力が無い場合、
第三十九条
1 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減刑する。
と規定しているのが有名な39条です。
簡単に言うと責任能力が無い人は無罪になるか減刑されると言う事ですね。これは映画のテーマになったりして、色々と問題をかもし出している部分ですが、この39条については知っている人も多いと思います。
で39条で無罪になった人はどうなるの?ってのが次の
心神喪失者等医療観察法 です。
厚生労働省の心神喪失者等医療観察法のページが詳しいです。
こちらも簡単に言うと
39条で無罪や減刑された重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度です。
ところが、実は別の法律でも精神障害者が犯罪を行った場合を規定している法律があります。
精神保健福祉法は、精神障害者の処遇として、措置入院制度等を定めている。
措置入院制度とは、指定医によって診察を受けた結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院をさせなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれ(以下「自傷他害のおそれ」という)があると認められる場合に、都道府県知事が、その者を精神病院に入院させる制度である(精神保健福祉法第二十九条)
って事。しかも、検察官が不起訴、あるいは裁判が確定した時点から都道府県知事に通知して処理がなされる流れです。
なので心神喪失者等医療観察法と対象が重なります。
もともと、心神喪失者等医療観察法より精神保健福祉法の方が先にあったのだけど、精神保健福祉法にはちょっと問題があった。それはどんな問題かと言うと
最大の問題は「その後の処置を実質上精神保健指定医である医師の判断に委ねられている」事ですね。医者に責任を押し付けている点が問題です。
幾つかの問題が指摘されて議論されている中、池田小事件が発生します。
被告人が詐病(通院歴)により減刑されたのではとの疑念が出てきました。
池田小事件以前の10件以上の犯罪で精神科医が精神障害と診断しています。
この事件で大きくクローズアップされて2年後にできたのが
医療観察法になります。
具体的には責任能力がなくて不起訴処分か無罪になった人について検察官が裁判所に申し立てを行い。裁判官と精神保健審判員の各1名による合議で処置を判断する。
(判断に法律の専門家加わったのが新しいですね)
入院が必要な場合は厚生労働大臣の指定した医療機関に入院する。
この時点から法務省所管の保護観察所に配置されている社会復帰調整官により、退院後の生活環境の調整が実施される。
入院しない場合や退院した場合は保護観察所の社会復帰調整官が中心となって作成する処遇実施計画書に基づいて、原則として3年間、地域において厚生労働大臣が指定した医療機関による医療を受ける(通院する)
しかし、医療観察法とは「再犯のおそれ」を要件として、「再犯を防ぐため」に拘禁する予防拘禁法として、反対する意見もある。
また本格的な治療が遅れると言う医師側の意見もある。
最終的に何が言いたいかというと、責任能力が無くて無罪になったからと言って、そのまま元の生活に戻れると言うわけでは無いと言う事ですね。
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