ボクには世界がこう見えていた-統合失調症闘病記-
ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)
時々、本がむしょうに読みたくなって、本屋の棚を端から端まで眺めて、見つけた本です。
サブタイトルの通り、20代で統合失調症を発症したごく普通の青年の幼少から現在にいたる闘病記になっています。
私が持っていた統合失調症の知識としては
わが家の母はビョーキです
わが家の母はビョーキです 2 家族の絆編
救急精神病棟
で、患者の家族の視点(わが家の母はビョーキです)や医師の視点(救急精神病棟)での物で実際、患者本人はどのように感じているのか?とか知りたいと思っていました。
で偶然この患者本人が書いた闘病記を見つけて読んでみようと思ったわけです。
読んでみて良かったと感じたのが、子供の頃からの育成環境も書かれていて、こんな普通の人が発病してしまうのかと言う事。
そして、一番良かったのが発病の経緯が詳細に本人の視点で書かれている事。
理路整然と書かれていて意外なほどでした。
「わが家の母はビョーキです」が強烈な印象だったので発作に対してかなり固定したイメージを持っていたのですが、この本を読んで個々の患者によって症状も違うと言う事が理解できました。
メインの内容の中でも3回入院してその後も8回入院を繰り返しているなんて事を読むと改めて大変な病気なんだと感じます。
その反面、ちょっと読みにくいと感じる面もあります。
筆者の書評などの部分は理屈っぽくてちょっと読み飛ばしてしまいました。
それから、おまけ的に面白かったのが筆者の関わったアニメ業界の話などは多分、表に出てこないような話ですね。アニメの演出ってどんな仕事なのかとかね。
万人に勧められる本でもないと思いますが、統合失調症に興味のある方にはお勧めします。
本書の最後の精神科医の岩波明氏の解説にも統合失調症患者が自ら客観的に描写した手記は他に2冊ぐらいしかなくて、本書は精神医学的にも貴重な記録だとコメントしていますね。
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