長崎県西海市ストーカー女性殺害事件その2(一審死刑判決)
6月14日、殺人など五つの罪に問われた三重県桑名市、無職、男性被告(28)の裁判員裁判で、長崎地裁は求刑通りに死刑を言い渡したとの事。
裁判長は「何の落ち度もない2人の命が理不尽に奪われ、被告の刑事責任は誠に重大。いかなる見地からも死刑を科すほかない」と述べたとの事。
被告側は「事実誤認がある」として即日控訴したらしい。
被告は公判で起訴内容を全面否認して無罪を主張したが、判決は「公判での供述は多くの証拠と矛盾し信用性がない」と被告の主張を全面的に退けた。
そのうえで「動機は女性に対する支配欲を満たすためで、理不尽で悪質。良心の呵責や改悛の情は全く見いだせない。更生改善の兆しは認められない」と被告を厳しく指弾したとの事。
裁判は「女性を奪い返すのに邪魔な家族は全員殺すつもりで向かった」などと供述した捜査段階の自白調書の任意性、信用性が最大の争点だったのに対して
1)判決は自白調書について「捜査段階を通じ違法不当な取り調べがなされた事実はない」と任意性を認定。
2)「客観的事実や他の証拠とも符合し、詳細かつ迫真性があり、一貫性も認められる」と信用性も認めた。
3)任意同行時に被告が所持していた包丁や被告のコートに被害者のDNA型と一致する血痕が付着していたなどの物証や関係者の証言から、五つの罪全てについて「犯人であると認められる」と判断した。
刑事責任能力についても「非社会性パーソナリティー障害」と認める一方、「善悪の判別能力や行動制御能力に影響を及ぼすとは考えられない」と認めた。
こんな所ですね。
理不尽な動機で2人の命を奪った事、その上、財布を奪って「強」も付いてます。
事実が認定されれば、死刑は免れないですね。
私もこの判決に異論は無いのですが、別の意味で気になる事があります。
被告が無罪を主張している事なんですよね。
日本の死刑については永山基準と言うのがあって、3人以上は死刑、1人は無期、2人はグレーゾーンと言う感じです。
この基準でも死刑判決の可能性は高かったと思います。
それは、被告本人も弁護士からの説明などあって理解していたと思うんですよね。
問題はそんな状況でどうして、無罪を主張したのだろうか?と言うのが疑問な点です。
逆に、死刑にならない為には一か八か「無罪」を狙うと言うのも方法として有りだと思うのですが・・・自白調書の任意性については、公判の中で逆転するかもしれないと言う被告側の希望的観測もあったかもしれませんが・・・物証がある、目撃証言があると言う点では被告側に相当不利な状況だったと思うんですよね・・・
一か八かの「無罪」に賭けるのはちょっと想像できないんですよね。
弁護人もこの点は被告人に説明していると思うのですが・・・
今回、「無罪主張」の戦略を決定したのは「被告人本人」だと私は考えています。
では、なぜ、「無罪主張」を選択したのか?
と言う事なのですが・・・これは私の憶測ですが・・・
被告人は現在、本当に事件とは無関係だと思っているのではないだろうか?
つまり、自分に都合が良いように記憶を改変しているのではないか?と言う事です。
かつて、秋田小1殺害事件において被告人がおなじように事件の記憶がなくなったり、曖昧になったりする事が起きています。
この時は、「大変なことをした。自分のしたことを信じたくない」の思いを強め、事件の記憶を抑圧したと言う事でした。
今回も同じような事が被告の心理に起きているのかな?と思ったりしています。
もし、全ての事実を完全に認識した上で無罪を主張していたのだとしたら・・・どんな言葉で被告を形容したらよいのかわかりませんね。
控訴してますから、2審の行方に注目です。
参考リンク
長崎県西海市ストーカー女性殺害事件
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コメント
長崎県西海(さいかい)市で2011年12月、ストーカー被害を訴えていた女性の祖母と母の2人が刺殺された事件で、殺人罪などに問われ、1、2審で死刑判決を受けた無職男性被告(31)に対し、最高裁第1小法廷は7月21日、上告を棄却する判決を言い渡したとの事。
被告の死刑が確定するとの事。
2審・福岡高裁の判決でも死刑だったんですね。、
2審の情報を見逃してましたね。
2審の裁判長は一審長崎地裁の裁判員裁判の死刑判決を支持し、被告側控訴を棄却した。同被告は一審同様、無罪を主張していたとの事。
やはり、2審でも無罪を主張したんですね。
でも、1審判決を支持して2審も死刑判決、更に上告して最高裁で棄却で、死刑が確定です。
まー二人を殺害、そして強盗ですから、罪を認めても無期懲役と言うのは難しいかもしれません。一か八かの無罪主張だったのかな?
投稿: ASKA | 2016/07/21 20:12