河合隼雄のカウンセリング講座
河合隼雄のカウンセリング講座
また、例によって、むしょうに本が読みたくなって本屋にいって棚を物色して見つけた中古の本です。
新刊で興味をそそる本が無かったので中古の棚を見ていたら見つけました。
何に惹かれたかと言うとタイトルの「カウンセリング」と言う言葉です。
私はメンタルの問題にも興味があって色々な本を読みましたが、しかし、ふと思ったのはそんな私が読んだ本は「精神科医の書いた本」と「患者の闘病記」しかないなと・・・
そうなんで、カウンセリングの本と言うのは読んだ事がありません。
考えてみれば、カウンセラーと精神科医の違いも分かりません。
この機会にカウンセラーの本も読んでみようと思いました。
で著者の河合隼雄さんについてちょっと検索したところ、その道の第一人者だったんですね。ちょっとびっくりしたのですが、どうりで「分かりやすい文章」だと思いました。
精神科医師(臨床医)の書く文章と言うのは、いままで読んだ本では特に分かりやすく書かれている印象がありましたが、この「カウンセリング講座」もかなり分かりやすく書かれています。
概略としては、どうも学校関係者に向けてのカウンセリングについての講義をまとめた物のようです。
この為、一般人にも分かるように専門用語も殆ど出てきませんし、出てきても分かりやすく説明してくれています。(なので読みやすいんでしょうね)
目次は
1)日本の学校教育とカウンセリング
2)カウンセラーお技法と態度
3)カウンセリングにおける「見立て」
4)コンプレックス
5)シンポジウム 精神分析と宗教
大きな目次はこんな所ですね。
1)については子供達と接する時の個性を伸ばす為の注意点と言った所なんでしょうね。
私としては、直接推理などには活用できなさそうだけど、子供に接する時の注意点として参考にさせてもらおうと思います。
2)はカウンセリングの基本的な事なんでしょうね。行動療法と人間理解についてですが、カウンセラーの迷いなどにも触れています。
このあたりは、興味深く読ませていただきました。
3)「見立て」について書かれたパートですが、ここが推理の参考になりました。
と言うのも、私の事件の推理で注意している事とここで書かれている「見立て」の注意点に共通点があるように思えてなんだか、親近感が持てるような感じです。
「原因は分からないことの方が多い」なんて言われると、「事件の推理」もそうなんですよね。などと思ってしまいます。
カウンセリングにとってもカウンセリングの方針を決める非常に重要な部分なんだろうと思います。
4)のコンプレックスはコンプレックスについてどうやって治療していくのかと言う事が分かりやすく書かれていて、子供の教育をする時、あとは同僚などと接する時など参考になると思いました。人間を見るときにこんな見方もあるんだと、事件の容疑者についてもこんな見方ができるかもしれないと、参考にしたいと思います。
5)の精神分析と宗教については、斜め読みになってしまいました。
すごい良い事が書かれているのだろうとは思うのですが、私自身、あまり宗教には強い関心が無いので・・・
全体として「人間との付き合い方」みたいな物は大変参考になりました。
相手によって話し方や進め方は変える必要があるんだなとか・・・
それから、一つの事を勉強するとそれ一辺倒になってしまうのは良くない、色々な事を勉強して柔軟に応用できるようにならないといけない。みたいな事も胸に響きましたね。
それで、この本を読んで最初に持っていた疑問もある程度解けたのかな。
カウンセラーと精神科医の違いとは?
この本の中ではカウンセリングをしていて、カウンセリングでは駄目そうな場合は精神科を紹介すると言っています。
なので、同じ心の問題を扱う仕事ですが、カウンセラーは病的な部分が弱い場合、病的な部分が強い場合は精神科医と言う分担なのかな?
メンタルやカウンセリングについて興味の無い人には面白い本では無いだろうと思います。
かと言って、メンタルの専門的な事が知りたいと言う人にも向いていませんね。
詳しい病状や治療の経緯などは書かれていません。
カウンセリングを始めたい人にカウンセリングの注意点を分かりやすく書いた本と言う事なんだと思います。
カウンセラーを目指す人にはお勧めの一冊と言う事になると思います。
ただ、人間の見方と言う意味では教育関係者、職場の管理職などにも参考になるかもしれませんね。
コンプレックスの項目で目上の人の前だと怒られそうで、うまく自分の言いたい事が話せないなんて例が書かれてました。
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