山形県酒田市高見台男子大学生刺殺事件その5(計画性を考える)
事件からそろそろ3ヶ月たちますね。続報は途絶えて情報は出てきません。
捜査が順調ならそろそろ山場かと思いますが、とりあえず、今回はこの事件の計画性について考えてみます。
この事件で計画性を感じる部分って何か?と考えるのですが・・・
1)凶器
被害者の頭部を殴打した凶器、背中を刺した凶器は発見されておらず、犯人が持ち込んだ物だとすると、計画的な事件の可能性が出てきます。
・・・だけど、包丁とか鈍器になるような物はどの家でも一つぐらいはあるでしょうから、凶器を犯人が持ち込んだとしても計画的と断言できませんね。
2)日時の選定
犯行計画と言うのは、犯人にとって一番都合の良い最適な計画になるはずです。と言うのが前提なのですが・・・
その意味で犯行日時の5月27日(月)と言う日時の選定はどうだろうか?
(死亡推定時刻は27日の深夜から28日の未明)
この日時についても、今の段階では特に計画性を感じない・・・
つまり、別の日でも犯行は可能なんですよね?この日で無くてはならない理由が見つかりません。
これが夏休み前、ゴールデンウィーク前など、被害者が帰省などして、当分犯行が不可能になるなどの理由があれば、計画性が疑われる部分になりますが・・・
逆にこの事件が突発的な物であったのなら、5月の末と言う犯行日時に何か理由が隠されている可能性はあるかもしれません。サラ金の返済に迫られてとかね。月末と言うとそのぐらいしか思いつきませんが・・・
3)犯行場所の選定
この事件を最初に聞いた時から引っかかっているのが実はこの犯行場所です。
頭部の殴打は別の場所かもしれないですが、致命傷になった背中の傷はこの遺体の発見場所だったと思います。
少なくとも、遺体が発見されたのは被害者の部屋だった事は間違いありません。
計画的にこの場所を犯行場所に選ぶ理由なんですが、被害者が確実に現れる場所と言う以外に理由は思いつきません。
この事件では、頭部を殴打、背中を刺すと言う事で被害者に会わなければ、殺害する事ができませんから、被害者が確実に現れる場所が犯行場所になると言うのは有りだと思います。
だけど・・・それなら、大学でも良いわけですが・・・大学では被害者が一人になる時間と場所が無かったと言う事はありますね。あるいは犯人が大学の生徒や関係者で無い為に大学に入り難いと言う事はあるかもしれません。
しかし、それも、犯行後はどうなっても良いと言う覚悟の犯行なら、大学や通学路の路上でも犯行は可能です。
犯人はそれを選択しなかったので、やはり、「逮捕されたくない」と言う意識は強くあったのでしょうね。
4)事件の発覚する可能性
犯人が「逮捕されたくない」と強く意識しているのであれば、事件が発覚する事は犯人にとって不利な状況です。
その意味で犯行現場(遺体遺棄現場)を被害者の自宅に選定した事は、犯人にとって不利な選択なんですよね。
一人暮らしの被害者が失踪したなら、必ず最初に捜索される場所ですからね。
その意味では、もし犯人が計画的にこの場所を選定したのだとしたら、犯人にはそうしなければならない理由があったのだと思います。
4-1)被害者を外に連れ出す事ができない場合
しかし、ちょっとした顔見知りなら外へ連れ出す事はそれほど難しい事では無いと思います。
4-2)移動手段(運搬手段)が無い場合
外に連れ出したからと言って、都合の良い犯行場所があるとは限りませんから、車などの移動手段が無かった場合も考えられます。遺体の運搬手段が無い場合も有りですね。あるいは運搬するだけの腕力が無い場合なども可能性は有ります。
5)殺害方法
殺害方法にも計画性は感じられません。頭部殴打で頭蓋骨骨折、脳挫傷でも致命傷になると思います。
それを途中で止めて、刃物で背中を刺す事に計画性は感じられません。
だけど、犯人が凶器の刃物を持参していたのだとしたら、最初から刺殺する事を計画していたわけなので、最初の頭部の殴打がイレギュラーでその後、計画通りに刺殺したと言う可能性も有りですね。
ここはどう判断するか?と言う事になります。
突発的な犯行で頭部を殴打、被害者の意識が朦朧とした状態だけど、犯人は計画通り持参した刃物で刺殺?
でも、刺殺するにしては、やはり中途半端な印象ですよね。
殺害方法だけみると、犯人には即死させたくない理由があったように思います。
それが怨恨ゆえに被害者に苦痛を長時間与えたかった?と言うのも有りかもしれませんが、この事件ではせいぜい数分なんですよね。
あるいはアリバイ作りの為の時間稼ぎの可能性はあるかも知れません。犯人としては数時間後に死亡する予定だったのだけど、予想以上に早く死亡してしまった。
凶器の持込と合わせて考えれば、計画的に見えます。
この場合、犯人はアリバイ工作をしている可能性がありますね。
しかし、問題は被害者がいつ死亡するか現場を離れた犯人には分からない事。
1時間後かもしれないし、5時間後かもしれない。
だから、不自然なアリバイを作っているかもしれません。朝まで一人でカラオケとか、居酒屋とかね。
逆に夜の仕事なら、仕事前に犯行を行い、そのまま仕事へ行く事も可能ですね。この場合はアリバイに不自然さがありません。
あるいは、殺害するつもりはなかったのか?(そうなると、計画性は最初から無かったと言う事ですね。別の計画だった可能性は有りです)
6)犯行後の行動
6-1)部屋のドアや窓は施錠されていた。
遺体の発見を遅らせる為かもしれないけど、あまり意味がありません。
偶然の発見を防止する程度の効果しかないですよね。むしろ犯人の性格ではないか?と推測しています。
6-2)室内の照明は消えていた。
アパートの部屋の照明が点いているかどうか、と言うのは犯人にとってそれほど重要な事では無いと思います。
照明が点いていたとして、それで遺体発見が早まると言う事は無いと思います。
死亡推定時刻は深夜から未明だから、もし、早朝なら犯行時に既に照明が消えていた可能性はあります。
しかし、もし暗い時間の犯行ならやはり、照明は点いていたでしょうから、犯人が逃亡時に消したと言う事ですよね。
そこを考えると照明を消したのは犯人の性格や生活習慣なのではないか?と思います。
6-3)被害者の携帯電話が残されていた。
これがまた、微妙な所なんですが・・・犯行後に施錠したり、照明を消したり、細かい事を気にしている犯人が携帯電話を放置するのだろうか?
被害者の携帯電話に犯人の通信記録、あるいは電話帳の記録などが残っていれば、必ず捜査の対象になるでしょう。
(交友関係は捜査するでしょうから、そのリスト作成の基礎情報になります。)
かと言って、明らかに交友関係があるのに、電話帳からデータが消えていればそれも不審な状況ですけどね。
持ち去れば顔見知りの犯行を疑われ、データを消しても不自然、放置して流しの犯行に偽装?
でも、変なメールでも残っていなければ、簡単に疑われる事は無いかもしれません。
携帯電話の放置は犯人のミスなのか?計算なのか?是非、聞いてみたいですね。
6-4)部屋には現金が残されており、物色された形跡も無い。
流しの犯行なら部屋の現金を盗まないのが不自然だし、突発的な殺人にしては殺害方法が中途半端で強盗とは思えないんだよね・・・突然鉢合わせして、パニックになって無我夢中の犯行?・・・それにしては、犯行後の行動が細かいですよね
6-5)頭部にゴミ箱
殺害前の行動かもしれませんが、被害者の頭部にゴミ箱が被せられていました。
偶然にしては出来過ぎだと思います。普通に犯人が被せた物ではないか?と考えています。
それって、いわゆる親しい間の行為のようにも見えるのですが・・・しかし、微妙なのが「ゴミ箱」と言う事です。
部屋にはタオルや衣服と言った物もあったと思うのですが・・・それなのに「ゴミ箱」なんですよね。
通常の生活でゴミ箱を頭に被せられたら、被せられた方は嫌な気持ちになるでしょう。
そう考えると、逆の意味で「嫌がらせ」とか「嘲笑」と言った可能性も出てきます。
怨恨の可能性も疑えるし、逆に身近な者の犯行にも思える微妙な所です。
最後はまとまらなかったけど・・・
私としては計画性は感じられません。しかし、犯人にはこの計画しが立てられ無かった場合とか、計画とは全然違う流れになってしまったとか、そんな事情もあるかもしれませんね。
ただ、犯人の性格は結構、几帳面のようなので、計画を立てていても不思議では無いですし、突発的な事件なら事前に接触があったのではないか?と思います。
また、殺害は偶然だったけど、その後の行動はその場で計算した物かもしれません。その場合、犯人は結構落ち着いていたと言う事になりますね。
捜査が順調に進んでいる事に期待したいですね。
参考リンク
山形県酒田市高見台男子大学生刺殺事件その4(被害者の足取り)
山形県酒田市高見台男子大学生刺殺事件その6(容疑者逮捕)
| 固定リンク
コメント
犯人が出頭したようですね。
この事件で私は、
「被害者の遺体の顔をゴミ箱(世田谷では毛布・引き出し)で隠す」という部分で世田谷一家殺人事件を思い出しました。
被害者の遺体の顔を覆い隠すのは、犯人と被害者が知り合い同士の場合に多いと聞いたことがあります。
投稿: モモンガ | 2013/08/23 19:35
モモンガさん、今晩は
ゴミ箱は「飾り」と言っていますけど、悪意の表れなんでしょうね。殺害後と言っていますから、犯行後は結構落ち着いていたんですね。
投稿: ASKA | 2013/08/26 21:32