少女たちの迷走-児童自立支援施設からの出発
少女たちの迷走―児童自立支援施設からの出発
以前、他の本と一緒に古本屋で見つけた本で暫く机に積んで読む順番を待っていた本です。
今回、急遽順番を飛ばして読んでみました。
順番を飛ばした理由はあの広島県広島市東区16歳少女殺人事件を考える為です。
内容は
児童自立支援施設に入園してそこから、自立した2人の少女の実話です。
家庭の事情や事件を起こして児童相談所経由などで入園した2人の少女が迷い、悩みながら自立していく過程が寮長の日記風にまとめられています。
目次
1)児童自立支援施設での私たちの歩み
2)落ち着かぬ日々(昌子の歩み)
3)揺れ動く心(朝子の歩み)
4)社会的な子育て支援を
1)問われる養護の形態と内容
2)思春期への対応
3)自立への支援
4)子育て支援
資料としては
1)少年事件(この18年)
2)児童相談所における児童虐待相談処理件数(厚生省)
3)平成11年社会福祉施設等調査の概要(厚生省)
4)全国里親委託数の推移(厚生省)
初版発行が2001年ですから、もう12年前になりますが、子供を取り巻く家庭の問題は基本的に変わっていないでしょう。
やはり、読んでみて実際に複雑な家庭環境で問題行動を起こして児童自立支援施設に入ってしまうのは、子供本人の問題ではなくて、大人の側の問題なのだろうと思いました。
その点は「4)社会的な子育て支援を」で筆者が語っています。
子供にとって教育は大切だし、そして家庭も大切だと言う事が良く分かりました。
気になる点をメモしておくと(本書より引用)
平成10年に児童福祉法が改正され教護院は児童自立支援施設と名称を改め、対象も従来の「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童」のほかに「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導を要する児童」にまで拡大された。(児童福祉法第44条)
施設入所の経路は二つ
・児童相談所の措置で入所する(保護者の同意が必要)
・少年審判において保護処分を言い渡された少年が児童相談所経由で入所する
児童養護施設と児童自立支援施設は違う
養護施設は一般の学校に通学するが、自立支援施設は義務教育までは施設内で行われる。
こんな人にお勧めです。
・これから子供を育てる人
・子供の非行などに困っている人(親や教師など)
この本を読むと、非行少年少女の見方が変わるかもしれませんね。
特に「4)社会的な子育て支援を」は必見です。
別件でちょっと疑問なのがあの、広島県広島市東区16歳少女殺人事件の少女Aは16歳で生活保護を受けてアパートを借りて住んでいたのですが・・・
「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導を要する児童」に該当しそうな気がしますが、入所の話は出なかったのだろうか?あるいは検討されたが親が同意しなかったのかな?
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