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2013/08/18

京都府福知山市花火大会露天商爆発事故

8月15日(木)午後7時半ごろ、京都府福知山市の由良川左岸の「第72回ドッコイセ福知山花火大会」の会場になっていた音無瀬(おとなせ)橋下流付近で、露店から出火爆発する事故が起きている。京都府警福知山署などによると、火はすぐに収まった。現地にいた目撃者のツイッターなどによると、現場では2度爆発音が聞こえたといい、激しく炎が上がり、けがをした多くの人が相次いで病院に搬送されたとの事。

同花火大会は、北近畿最大級の大会で、午後7時半から約1時間半の間に約6千発が打ち上げられる予定だったが、開始直前に火災が発生したため、中止されたとの事。

京都府警によると、負傷者は2~85歳の計60人(男29人、女31人)となった。うち18人が重傷という。重傷者のうち、京都府京丹波町の男児(10)と女性(44)、搬送先の兵庫県豊岡市の豊岡病院が重体としている少年(13)=綾部市=の症状が重いとの事。

事故原因をめぐっては、露店の30代の男性店主が、発電機のエンジンを切らずに携行缶の燃料を注入していた際に出火したとの目撃情報があり、府警は気化したガソリンに引火した可能性が高いとみて、業務上過失傷害容疑で捜査しているとの事。

ガソリンの携行缶は、タイプによってはふたをいきなり開けると、内圧で気化したガソリンが外に噴き出す恐れがあるため、空気調整弁で内圧を下げるなど調整が必要となる。捜査関係者によると、今回使用された携行缶は空気調整弁が2カ所あったが、閉めたままで調整をしていなかった可能性があるとの事。

また、府警によると、爆発は2回あり、1回目は気化したガソリンに引火した時。その後、屋台のテントに火が移り、ガスボンベのホースに燃え広がってプロパンガスが漏れ、2回目の爆発が起きたとみているとの事。

最初に引火した瞬間を見たという男性は「『プシュー』という音が聞こえて振り返ると、ガソリンの携行缶を持った若い男性がいた。携行缶から気体状のガソリンが噴き出していて必死にそれを止めようとしていた」と証言したとの事。更に引火したのは「『プシュー』という音を聞いて10秒後ぐらい。噴き出したガソリンが屋台に向いた瞬間に炎が上がった。ガソリンは霧状みたいな感じだった」と振り返ったとの事。府警によると、爆発したベビーカステラの屋台の店主は大阪市生野区の男性(38)。捜査関係者や目撃者によると、店主が花火の打ち上げ直前、発電機にガソリンを注ごうとして携行缶のふたを開けた際、ガソリンが噴き出たとの事。

また、現場にいた複数の客は「爆発が起きた直後、服に火が付いた人が逃げまどい、ぶつかった別の人に燃え移った」「火を消そうと地面に転がったり、他の人が必死になってたたき続けたりした」などと証言したとの事。府警は、引火の前に多数の人にガソリンが降りかかり、衣服に染みこんでいたことがやけどの被害を拡大させた可能性があるとして、携行缶からガソリンが噴き出した経緯を調べる方針との事。

最初の引火では、炎は露店の屋根をすっぽり覆ったほか、近くにいた子供の後頭部や女性の服にも次々と燃え移り、その数分後に爆発があったとの事。

出火当時の映像などを分析している福知山市消防本部も、最初の爆発による炎が、地面を横に広がっていることや、火の強さから、ガスではなく、液体系のガソリンに引火したとの見方を強めている。
2回目の爆発についても当時、ガスのにおいの指摘はなく、消防関係者は「特有のオレンジの炎の色からして、ガソリンに引火した可能性が高いのでは」と話しているとの事。

露店の後ろにいた奈良県田原本町のアルバイトの女性(37)によると、発電機と携行缶は露店の後方数メートルにある堤防の階段上に置かれていた。発電機が作動し始めると熱風が携行缶に向かって出続け、周囲は見物客が近寄れないほど高温になった。店主が携行缶のふたを開けると、「ピシャー」という音を立てて勢いよくガソリンが噴射したとの事。

市消防本部は「ガソリンの入った携行缶が熱せられると、内圧が高まってガソリンの気化を促す。通常は発電機など熱源の付近には置かない」と指摘しているとの事。
携行缶はガソリンの噴出を防ぐため、ふたを開ける前に減圧用ネジを緩めて内圧を下げる必要がある。目撃情報などから、店主はこの操作を行っていなかった可能性もあるとの事。

8月17日、重症だった女性(44)=京都府京丹波町橋爪が死亡した。入院先の福知山市民病院によると、背中や手足など全身の95%をやけどし、熱傷の程度は最も重い「3度」だったとの事。事故直後から重篤な状態で、同日午後4時28分、死亡が確認されたとの事。

一方、医療関係では迅速な対応ができた。
商店前の道路は歩行者天国となり、当時は大変な人出だったが、爆発音から数分後には手足にやけどを負った人が集まり始め、駆けつけた救急隊員らが治療の優先順位をつけるトリアージを始めたとの事。

やけどの重い人はぐったりして動かない様子で、担架で救急車に乗せられ搬送されていったが、周辺に残された人も多く、近隣住民らが少しでも痛みを和らげようと、自宅から氷水を持ち出し、手当を行ったとの事。

現場近くで商店を営む男性もポリ袋に氷水を入れ、5~6歳の男児の足を懸命に冷やしたが、男児は「熱い熱い」と泣き叫んでいたとの事。

会場には、市消防本部と地元消防団の計128人がおり、要員としては十分だったらしい。当初、多数が巻き込まれる事故現場での原則に従い、一部負傷者にトリアージを始めたとの事。

だが、市消防本部の消防長は、大混乱に加え河川敷に十分な空間がないことから、現場でのトリアージは困難と判断。まず病院へ搬送すると決めたとの事。

明らかな重症者は、待機していた救急車2台などでピストン輸送。一方、約40人乗りの大型バスは、軽傷者や付添人らを福知山市民病院へ一気に運んだ。バスは、1991年6月に市内で起きた大型トラックと列車の衝突事故を教訓に、大勢の負傷者の搬送を想定し市が用意していたとの事。

事故の数分後に連絡を受けた福知山市民病院は、夜間当直体制だったが、地域救命救急センター長が医師や看護師を呼び出し総出で治療にあたった。患者に救急室でトリアージを施し、重傷者に赤、軽傷者に緑、その中間の症状の人に黄色のタグを付けた。

「負傷者はまだたくさんいる」。救急隊からの追報で、北川医師は周辺病院に医師の派遣を要請。午後8時半ごろまでに市民病院に運ばれたのは、重傷16人を含む45人。患者は救急室からあふれたとの事。

京都、大阪、兵庫各府県にある9病院から災害派遣医療チーム(DMAT)が送り込まれ、医療救護や転院先の調整などにあたった。DMATは大規模な事故や災害時に緊急医療を担う専門の医師や看護師らを派遣するため、阪神大震災の教訓を得て国がつくった仕組み。夜間飛行できる京都市消防局のヘリも出動。まもなく重傷者15人が3府県の8病院に転送されたとの事。

こんな事故ですね。元々の爆発原因となった物質は「ガソリン」との事。ガソリンの引火点は-43度以下。発火点は300度。ちなみに、引火点とは火炎を近づけた時、瞬間的に引火するのに必要な濃度の蒸気を発生する最低温度。 発火点は火源がなくとも発火する最低温度。と言う事で、引火点が常温以下である物質の「ガソリン」は身近な物だけど非常に危険な物質です。

私の手元にある、乙種第4類危険物取扱者の試験対策テキストにはガソリンについて以下のように書かれています。
危険性
「きわめて引火しやすい」「蒸気は空気より3から4倍重く、低所に滞留しやすい」
火災予防方法
「火気を近づけない」「火花を発する機械器具を使用しない」「通風、喚起をよくする」「冷所に貯蔵する」「密栓する」
と書かれています。

事故原因の調査はこれから本格的に行われると思いますが、今ある情報だと
ガソリンとガソリン携行缶の取り扱い方法に問題があった可能性が高そうですね。

この出火した露天商にガソリンの知識がどれほどあったか?不明ですが、取り扱いに注意がされていなかったような印象はありますね。

せめて、発電機の排気が当たらないように、風通しの良い場所に携行缶を置いていたら?・・・あるいは、発電機をもっと離れた場所に置いていたら?もしかすると、こんな結果にはならなかったかもしれません。

一般人だと普段、ガソリンの携行缶を使う事も無いと思いますが、3・11の震災の後、ガソリンが無くなって大変な時期などに携行缶を使う事もありましたから、災害などで、これからも使う機会があるかもしれません。その時はぜひ、注意してください。

「ガソリンは非常に危険です」自分だけでなく、自分の家族の為にも注意しましょう。

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コメント

私が思うに、この花火大会の主催者にも責任があると思います。
「テキ屋が勝手に事故った事なので、主催者である私達には関係ありません」のような言い訳は、いくらなんでも通らないでしょうね。
来場した人達は花火見たさに集まったわけですから。
逆に花火大会なんてしなければ、このような事故は起こらなかったわけですし。
この辺りが裁判において焦点になるでしょうね。

そして、テキ屋組合の人達が消防法や食品衛生法をきちんと守っているのかどうかも問われそうです。
テキ屋が起したこの最悪な事故で、善良な市民が亡くなった。
今まで夏の風物詩とか言って許していたツケが回ってきたんでしょう。

更に、この事故を機に、テキ屋への取り締まりが一層強まり厳しくなる事でしょう。

投稿: パイン | 2013/08/18 20:44

みなさん、パインさん、こんばんは
そうですね、日本の場合は事故や事件が起きると、それをきっかけにして規制や罰則が強化されると言うパターンですから、今回も規制が強化されるでしょうね。

規制する側がどんな方法で規制するか?、実行力のある方法でないと、結局、規制が無いのと同じだし、次に事故が起きれば、もう「露店は無し」なんて事になりかねないので、規制される側も死活問題としてまじめに取り組んで欲しいですね。

祭りの露店はあった方が雰囲気でますからね。
規制を強化して露店は継続して欲しいと思います。

投稿: ASKA | 2013/08/18 23:31

全身にやけどを負い、手当てを受けていた同府京丹波町の小学5年生(10)と、大阪府高槻市のK田さん(35)が19日、それぞれが入院していた病院で死亡した。事故の犠牲者は3人となった。

知人らによると、小学生は17日死亡した女性(44)の知り合いの孫で、少年野球のチームメートらと一緒に花火大会会場を訪れていた。2人は、火元のベビーカステラを売る露店の後ろ側に置いていた自家発電機とガソリン入りの携行缶の至近距離で被害に遭ったとみられ、京都府警は詳しい状況について調べている。

目撃者は「女性が男の子の上に覆いかぶさるようにして、火から守っている姿が見えた」と話しており、女性(44)が小学生をかばったとみられる。小学生は全身の60%に重いやけどを負い、綾部市立病院に入院。京都府立医大病院に転院した後、容体が悪化した。府警によると、小学生の死因は検視の結果、「重症熱傷」と判明した。女性(44)は「循環血液量減少性ショック」で亡くなった。

19日の府警のまとめによると、ほかに2~85歳の57人がけがをし、うち約30人が京都、大阪、兵庫の計15病院に入院中。このうち8歳の女児と13歳の少年の症状が重いとの事。

投稿: ASKA | 2013/08/20 11:59

ガソリンスタンドで何故禁煙か?恐ろしくなる事故です。ガソリンの揮発性は爆発的なんですね。屋台主は機械音痴?今までどうして大丈夫だったのか?何か裏事情はないのか?たとえば手伝いできた人が扱ったとか、新入りだったとか。

投稿: 明智 | 2013/08/20 19:27

決してすべての露店の話ではありませんが、マーガリンをバターと称していたり、高額景品の当たりクジの入ってないクジ引きとか、お金触った手で平気で食べ物(商品)を触ったり、普通に500円で売ってるオモチャが3500円とか、店主が留守で、隣の露店の人が来て専門外の物を売ってたり…。本当にきりがないくらい、適当な商売が成り立ってしまい、それは蔓延しています。
もちろん良心的で接客も良く衛生的な露店もあります。

でも、何か危ない感じがする店が多い。それが、客もお祭りの楽しい雰囲気で何となくOKになってると思います。

私自身、高いなとか不衛生だなとか思っても、その場だけのことだし、まあいいかと流してしまいやすいです。

だけど今回は本当に恐ろしい事が起きてしまい、ゾッとしました。
色んな事がなあなあで適当な雰囲気ってあるので、もっと衛生基準、安全基準をしっかり守らせる仕組みができて、安心して 楽しめるようになればいいなと思います。

お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、治療中の方々の一日も早い回復を心より願います。

投稿: りさりん | 2013/08/21 00:53

当時、地元の消防が30人もガードしてる中で起こった出来事 花火の警戒はしてたが露店までは気が回らなかったのか?消防の責任も問われるであろう。

投稿: | 2013/09/21 17:07

爆発事故で、3人を死亡、48人を負傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われたベビーカステラ屋台店主、男性被告(39)=大阪市天王寺区=に対し、京都地裁は求刑通り禁錮5年の実刑判決を言い渡した。
被告は起訴内容を認め、情状酌量を訴えていたが、裁判長は「結果は重大。被害者に謝罪文を書くなど反省していることを考慮しても、法定刑の上限が相当」と結論付けたとの事。
弁護側は控訴しない方針。実刑のため、被告はそのまま刑事施設に収容されたとの事。

裁判長は被害者51人全員の名前と死因や負傷程度などを読み上げ、「全身やけどの苦痛の中で死亡した3人の無念は計り知れない。負傷者は後遺症に苦しんでいる」と指弾したとの事。
さらに被告はガソリン携行缶を開栓する際の危険性を熟知し、事故当日も携行缶が素手で持てないほど熱くなっていることを認識していたとして、「危険は容易に予測できた。過失の程度はあまりにも大きい」と断じたとの事。

弁護側は
・観客が携行缶を移動させ、発電機に近づけた
・屋台の周囲に観客が近づかないような警備態勢がとられていなかった

などを挙げ、「全ての責任が被告にあるわけではない」と主張した。しかし、判決は「発電機の周囲に観客が大勢いることを確認した時点で携行缶を移動させれば済んだ」などとして、注意義務違反の程度は変わらないと認定したとの事。

3人が死亡し、48人が負傷、さらに負傷した人も後遺症に苦しんでいる。
禁固5年は重いのか?軽いのか?

投稿: ASKA | 2014/03/27 23:37

業務上過失致死傷罪に問われ、3月27日に京都地裁で判決を受けた露店店主、男性被告(39)は、期限の今月10日までに控訴せず、禁錮5年の有罪判決が確定した。

控訴しなかったのは、事件を受け止めたのでしょうね。
そこは評価したい所ではあるのですが・・・

あとは、再発防止策が実際に活かされているのか?
今年も夏はやってきますからね。

自治体、消防、警察、露天商組合、今年の夏祭りや花火大会をどう開催するのか?
私達一般人も注目しないといけませんね。

投稿: ASKA | 2014/04/11 22:26

 引火、着火、発火…
 それぞれの意味、そして、これらは、温度によって変わってくる。
 この辺が、分かりにくいのですかね?一般のひとには。
 そして、その一般のひとが、理解しないまま、使い方を誤れば、危険な油などを扱う。
 ガソリンスタンドは、セルフだし、携行缶は、ホームセンターで売ってるし。
事故も起きますよね。

投稿: おきゅうと | 2016/01/24 05:26

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