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2013/11/23

茨城県境町塚崎就寝中男性殺人事件その3(一審判決16年)

茨城県境町で5月、自動車修理工男性=当時(38)=が自宅で刺殺された事件で、殺人罪などに問われた元アルバイト店員男性被告(25)の裁判員裁判の判決が11月22日、水戸地裁であり、裁判長は懲役16年(求刑懲役18年)を言い渡した。

弁護側は、被告はアルバイト先の同僚だった被害者の妻(37)と「殺害の意思を通じ合っていた」と主張したが、裁判長は「認められない」と共謀を否定した。

ただ、「動機は必ずしも明らかではない」とした上で、2人のメールのやりとりなどから、「被害者の妻に一方的に好意を寄せた末の犯行」とした検察側の主張は採用しなかった。
弁護側は「計画的な犯行ではない」と訴えていたが、裁判長は一定の計画性があったと認め、「卑劣で悪質性が高い」と批判したとの事。

経緯としては
・被告人が被害者の妻と共謀したと主張する。妻はこれを否定。

<<被害者妻の証言>>
被告から一方的に好意を寄せられて迷惑していたことや、執拗(しつよう)に交際を迫る被告をなだめようと、一緒に映画を見に行ったり、香水をプレゼントしたなどと証言した。

<<弁護側質問>>
弁護人:「被害者の妻に対する感情は?」
被告人:「恋愛感情を持っていたと思います。(2012年)8月くらいに『仕事の人だと見てたけど、見方を変えて、これからは1人の男としてみる』と言われました」、「2人の意思が通じ合っていた」と主張。

被害者の妻が、「被告に首元や脱いだ制服の匂いをかがれなくなると思ってプレゼントした」と、証言した香水については、「前に職場でふざけて、自分の制服に香水をかけられ、わたしが『この香水いいね』と言ったからだと思います」と、妻からの好意によるものだったと述べた。

犯行に及ぶまでのやり取りについて。
妻からは、被害者からの暴力をほのめかされていたとしたうえで、「『家に来てほしい』と言われました。『玄関から入ってきてほしい。泥棒などが入ったことにしておくから』と言われました。
旦那さんを亡き者にしてほしいのではないかと思いました。
そういうことをしてほしいくらい、追い詰められているのかと思って、『望みをかなえてあげたい。助けてあげたい』という気持ちがありました」と述べた。

そして、鍵が開いた玄関から2階の寝室に侵入し、抵抗する被害者を「無我夢中で刺した」と話した。
この状況について、「妻は被害者のうめき声で目を覚ました」とする、検察側の主張に対し、「被害者の妻からナイフを渡され、『逃げて』と言われました。ナイフを受け取った時か、走って逃げる時に、ナイフの柄を服でふき取りました。妻の指紋がついていると思ったからです」と述べた。

<<検察側質問>>
検察:「あなた自身の話では、妻の方から『殺害してほしい』とか、『協力してくれ』とは言われていないということですか?」
被告:「はい」
検察:「殺害してほしいと感じた根拠はなんですか?」
被告:「彼女が『死にたい』という話をしていて、追い詰められていると感じたからです」
検察:「死にたいということと、旦那さんの殺害はつながらないと思いますが?」
被告:「原因は旦那さんだと思いました」

弁護側は被告と被害者の妻が親密な関係だったと主張。
事件3日前に被害者の妻が被告に対し電話で「日曜の夜に家に来てほしい」と言ったことなどが、事件のきっかけとなったと主張した。

妻は恋愛感情はなく、事件3日前に電話はしたものの、「家に来て」とは言っていないと証言。
検察側は「殺害を依頼した事実はなく、重い刑に処されることを恐れて妻に罪をなすりつけ、うそを話している」と主張、懲役18年を求刑した。

妻は涙ながらに共謀の事実を否定。
被害者の妻:「人に罪をなすりつけようとしていて、主人がかわいそうで悔しい」

とこんな感じですね。
私の見解としては、被害者の妻との共謀は無かったと考えています。
その理由としては

A)証言の矛盾
「泥棒などが入った事にしておくから」との証言から考えると、現場を荒らして泥棒が入ったように偽装する必要があるが、今の所、「現場が荒らされていた」とか「金品が盗まれていた」と言う報道が無い。
さらに、そもそも、被告人自身が妻から依頼があったとは言ってない。

B)行動の矛盾
妻と共謀をしたとするならば、普通に考えて、妻は疑われない状況での犯行を計画するはずです。
つまり、犯人は誰か分らない、しかし、妻が怪しいと言う事になると、実行犯を隠した意味が無いわけです。
過去に似た事件があります。2010年4月の仙台の男性教諭殺人事件では、妻が不倫相手の男性と共謀し、実行犯を別に用意して、夫を殺害しましたが、この時、妻とその不倫相手はアリバイを用意していました。

なので、妻の自宅の寝室(妻のいる場所)で犯行を行うのはこの点で矛盾した行動です。
同じ理由で、犯行前に被告が被害者の妻にメールする事も矛盾しています。

さらに、共謀があったのならば、実行犯が逮捕される事は妻自身が逮捕される事に直結していますから、妻自身が被告人が怪しいと証言する事も矛盾した行動です。

C)保険金は理由としては弱いと思う。
保険金目的の殺人ならば、もともと、事件にはしないでしょうね。
さらに、2千万の金額は確かに、大金ではありますが、勝つことが分っているギャンブルなのに、掛け金が少なすぎると思います。
子供3人に妻の5人家族を考えると、死亡時保険金は5千万以上を保険の営業マンは勧めたと思います。
2千万では残された家族の保障としては少ないと思うのです。なので、これは収入と掛け金のバランスを考えて決めた金額だと私は考えています。つまり、事件とは無関係。

それに、もし、遺産相続みたいな話になると、2千万では妻の受け取る額はその50%で1千万にしかなりませんね。

これらの理由で被害者の妻との共謀は無いだろうと考えています。

しかし、もし、共謀が無いとしたらかなりおかしな証言をしています。
「被害者の妻からナイフを渡され、『逃げて』と言われました。」
共謀がなければ、この証言はどう考えてもありえないと思うわけです。
なので、共謀が無いのだとしたら、この証言は事実ではない「嘘」と言う事になりますね。

この点から考えると、被告人は被害者の妻に対して「悪意」に似た感情があるのだろうと思うわけです。

このあたりから、被告がこの妻との共謀を主張した理由としては
1)原因は妻にあるのだから、自分の罪は軽いはず。
その為には、妻が首謀者でなければならない。

2)こんな事になった原因は妻にある、その逆恨みで妻に濡れ衣を着せて、道連れにしようとしている。
あるいは、妻を貶める事でリベンジをしている。

私は2)の方が可能性が高いかな?と考えています。

ただ、ホントに被告が妻から殺害を依頼されたと言うか共謀したと考えているのだとしたら、それは、被告の思い込みなんだろうと思います。
あるいは、曲解と言うべき物かもしれません。

ストーカーになるようなタイプの場合、自分に都合よく物事を解釈する傾向があると思います。
実際、証言をよく見ると、妻から殺害を依頼された事は無いと被告自身が証言してますからね。
(ここはそもそも、証言と主張が矛盾しているわけですが・・・)

このあたりの理由を推測すると
やはり、被告人の心の根底にあるのは「被害者の妻と交際したい」と言う強い願望だっただろうと思います。
被害者の妻はそれに対して「夫がいるから交際できない」と断っています。
それを、被告人は「ならば、夫がいなければ、交際できる」と曲解するわけですね。しかし、これは、被告人にとってはそれ自体をコントロールする事はできません、それで心の奥に閉じ込められた状態だったのだと思います。

そして、結局は交際する願望はかなう事もなく、いってみれば、「蛇の生殺し」のような状態が続き、被告人はストレスが高まっていったのではないでしょうか?

そんな中で、どんなやり取りだったのか不明ですが、妻が「死にたい」と言葉にします。
この言葉に対して、被告人は「助けたい」と思うわけですが、心の底にある「夫が居なければ交際できる」と言う願望を実現する為に「夫を殺害する」と言う犯罪行為に対して、被告人にとって「妻を救う為と言う正当な理由」を与えてしまいました。

これによって、被告人は願望によって、被害者の妻から殺害を依頼されたと言う偽のイメージを自ら作りだしてしまったのではないだろうか?(あるいは曲解したのではないか?)と考えています。

この妻の「死にたい」は被告人に付きまとわれて「死にたい」だったのではないか?とも思いますが、何とも言えないですね。

控訴するかしないか?注目しましょう。

参考リンク
茨城県境町塚崎就寝中男性殺人事件その2(容疑者逮捕)

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コメント

なるほど、ASKAさんの見解で事件の根本が見えてきました。


私的には女心と秋の空かな
気まぐれな発言が被害者の妻には見受けられますが
それを真に受ける被告人の幼稚さにも程がある。

普通なら他人の愚痴は聞き流すのですが 余程暇人と言うか 他に熱中する物がなかったのでしょう、

被害者の妻にとっては良き相談相手か年下の愚痴聞き要員程度にしか感じてなかったんじゃないかな?

寝室で起こるDVに備えて
玄関の鍵開けてたのが運の尽きなのですがそれも狭い世界感が見られます。(たまたま鍵かけ忘れたのかも?)

被害者の妻が心当たりで被告の名前あげ事件解決したのが、二人の主張が交わらない平行線の証しなんですね。

投稿: 怪傑丸 | 2013/11/24 04:38

ASKAさんこんにちは!
この事件は難しい…ASKAさんの見解も良いと思いますが、こんな考え方もあります、『妻はこの男は私に恋愛感情があると知って、言葉で遊んで、からかってた部分もあると思います、それがエスカレートして事件に発展した…ある意味妻も共犯かもしれません、それに鍵が開いてる点に疑問を感じます、今の世の中に鍵を掛けないで眠りにつくなんて考えられませんね、それに保々隣で寝てたのに殺害に気がつかないものでしょうか!?呻き声、バタバタと音も出るでしょうし、刺す音もするし、夢中で刺した犯人の力む声も出るはずです、布団の上から刺したとは考えにくく、布団も捲るだろうし…保険金の件ですが、今は国から殺害された家庭に僅かながら援助金も出ますし、学習費等も面倒をみてくれるはずです、それに面倒みてくれる両親等がいれば2000万で疑われずに妥当かと…と言う線もあるかなぁ~と思いました。仰天するニュースがたくさんありますしね。失礼しましたpaper

投稿: あいよんもん | 2013/11/24 09:16

「人に罪をなすりつけようとしていて、主人がかわいそうで悔しい」
この言葉には少し違和感があります。
「主人がかわいそう」は自分が罪をなすり付けられたことで起こる感情ではない気がするからです。この発言から妻の証言には嘘があるだろうという印象を持ってしまいました。
実際には本意と無関係に感情が入り乱れてこうした言葉になったのかもしれず、言葉尻を捕らえてどうこういうのも問題があるのですが、こういった感じで妻側の証言にも矛盾があることから憶測を生み、妻に対するバッシングも起こるのでしょう。
妻の矛盾した発言は、この事態に至ったのは自分に原因があるという後ろめたさみたいなものがあるせいではないかと思っています。しかし、原因となったことと責任があるかということはまったく別問題で、今ある情報を見る限りにおいては、責任と言う意味では犯人が殺人という行為に至ったことについて妻には一切の責任はないと思います。仮に交際の事実があったとしても、相手の勝手な思い込みで夫を殺された不幸な立場にある妻が、追い討ちをかけるように非難されるのは理不尽なことです。

自分の振る舞いや接し方で、まさかこんなことになるなんて思わなかった。
相手が自分の言葉をまさかこんな風に受け取っていたなんて知らなかった。
まさか夫を殺すなんて思いもよらなかった。
被害者の妻の思いとしてはこんなところでしょうか。
夫の親族などの厳しい目に晒されて、辛い思いをしていることと思います。

投稿: mtz | 2013/11/24 10:48

好きな人の言葉はそうでない他人が放つ言葉の何倍も重く捉えられる そんな感じですかね。

ホビーやコレクターで凝り性がたまにいますが心理的には被告と同じなんでしょう、許されてる範囲の物なら 趣味の領域で散財するのが落ちでしょうが…


被告の親族が名誉挽回を目指すなら上告をするでしょう(上告には費用が掛ります)いい年してフリーターの呆け息子を見放すつもりなら受け入れるでしょうが…。
どちらにせよ数年で出所したら今度は妻を確実に殺すでしょうから戦意喪失する年齢まで刑務所で過ごしてもらわないとね。

投稿: 怪傑丸 | 2013/11/24 11:50

夜になると寝室での夫婦の会話が怖かったんでしょう。
嫁がバイト先で浮気してるのでは?との疑いからDVに発展したと思うのは想像範囲でしょう、

若い男の為に愛妻弁当ふるまってれば殴られて当たり前かな
そんな家庭内のいざこざの張本人が助けを求めて鍵開けてたのなら(仲裁と誤解を説く為に)妻にも罪の意識はあるハズです。

投稿: 甲南 | 2013/11/24 12:07

これ、被告人の証言が正しい事を前提にすると、恐ろしい事になりますよね。

投稿: joker | 2013/11/24 13:02

私は…恋人に自分の付けている香水をプレゼントしたことがあります。彼から要求されたワケではありません。遠距離恋愛でしたので、お互い寂しくないようにいつもソバに居るよと言う意味でプレゼントしました。
嫌いな人になど、どんな理由にせよ絶対 プレゼントしません 女性が使う香水って…本当に自分の好きなお気に入りの匂いに出会えるのは、そう簡単ではないので、嫌いな人にプレゼントなんてしたら その後『アイツがこの匂いをかいでいるんだ』と気持ち悪くなり使えなくなります
やっと出会えた香水をそんなことしません


そこが、あまりに私と違ったのどすごく気になってしまいました

投稿: Sachi | 2013/12/03 07:13

ずっとこの事件が気になっていました。共謀なしにこの犯行は可能なのか?と思ったからです。
隣の人間に気づかれて居ないので、一突きで致命傷を与え逃たのかと思ったら、被害者は複数箇所刺され防御創もあったとか。
妻と被告との関係、デートに応じる、プレゼントを渡す、自宅を訪問する、自ら電話をするような相手はストーカーとは呼べないのではないでしょうか?
自分に好意を寄せる人物ではあっても、ストーカーと称するには無理があるように思います。
なのになぜ妻は被告を『ストーカー』と申告したのか。
共謀がなかったとすれば、妻は本当に気の毒です。旦那を殺された上に疑われて。
被害者遺族は、なんの落ち度もなくても『あの時自分が止めていれば、なぜ助けられなかったのか』と自分を責めるそうです。
鍵をかけなかった事、隣で気付かなかった事、妻は凄く自分を責めているかもしれません。
なのに、疑いを持ってしまう事に私は罪悪感を感じます。
この記事の“共謀はない”と言う見解ではまだ腑に落ちません。
他にも共謀はないと言う見解があれば、色々教えて頂きたいです。

投稿: お邪魔します | 2014/01/15 19:29

みなさん、今晩は
お邪魔しますさんへ

難しい事件ですね。結局、二人の主張は食い違ったまま、平行線です。
なので、あとはどちらを信じるか?と言う話になってしまいますね。

何年か時間が過ぎて、実はあの時・・・みたいな告白があるかもしれませんが、今の段階ではどうなるか分かりません。

私としては、それぞれの立場に立って考えてみます。
私なら、この殺人計画を考えるだろうか?と
この時間、場所で犯行を行うのか?と

投稿: ASKA | 2014/01/15 21:38

返答ありがとうございます。
どちらを信じるか、ですよね。私も冷静に見たいのですが、人はきちんと言葉にしなくても雰囲気でいわんとすることを悟る事があるんじゃないでしょうか。
誘導がなかった、自分に想いを寄せる相手に夫の不満を漏らした結果…だとしても、
では何故被告は真っ直ぐ部屋に行けたか、何故『ストーカー』と言ったか、思い当たる人物の申告のタイムラグ、救急車到着まで刺された夫に対して何故止血などの処置をしなかったのか。
寝室での犯行は妻に容疑がかかる為共謀はない、との事ですが、被告は被害者と面識がない、直接依頼していない、『泥棒が入ったことにする』=被告ではない架空の人物像をつくる為となると確実かつ確認するためには適した場所だったと思います。
疑問点を残したままの集結にはなって欲しくないですね。
それは疑いをもたれた妻の為にも。

投稿: お邪魔します | 2014/01/15 23:54

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