« 世田谷一家殺害事件再考その121(抜けないコンセント) | トップページ | 愛知県名古屋市中川区6歳長女全裸監禁事件 »

2014/01/10

三菱マテリアル四日市工場爆発死亡事故

1月9日、三菱マテリアル四日市工場(三重県四日市市)で死者5人、負傷者12人を出す爆発事故が起きている。
男性12人がけがをして、うち1人はやけどなどで重傷。

当時は熱交換器を取り外し、洗浄する作業中に事故が起きた。
三重県警は業務上過失致死傷容疑で捜査を開始。洗浄の手順や方法にミスがなかったか、事故原因の究明に乗り出した。

同日午後2時5分頃、敷地内に轟音が響いた。
「洗い場」と呼ばれる熱交換器の洗浄用の場所から、もくもくと煙が立ち込めていた。四日市市消防本部によると、現場到着時には火災は起きていなかったが、爆風が原因とみられる死傷者があちこちに倒れていたとの事。

同消防本部によると、爆発したのは、円筒形で金属製の熱交換器(直径0.9メートル、長さ6メートル、重さ4.3トン)。約300本のチューブが通り、中を通った原料を冷やしたり、温めたりする。同工場は水素ガスとトリクロロシランという化合物を混合させ、半導体の材料などにする多結晶シリコンを製造している。

交換器は昨年11月にメンテナンスのためプラントから取り外された。
この日水素精製施設から30メートル離れた屋外にクレーンを使って運び出され、つった状態で朝から約20人で洗浄作業中だった。
午前中に一方のふた(約250キロ)を取り外し、午後からもう一方を取り外すため、24本のボルトを抜き、ふたを外した数秒後に爆発したとの事。
ふたは約10メートル飛んだ。
会社関係者によると、水と窒素ガスをチューブ内に注ぎ込み、爆発を防ぐ処置をしながら作業をしていたとの事。

交換器は1~2年ごとに、チューブ内に付着する不要な無機化合物を取り除く作業を行っているとの事。

熱交換器の重さ約200キロのふたを重機で取り外した3秒後で、「トリクロロシラン類」などの残留物が空気中の水分に触れて水素が発生し、爆発が起きたとみられるとの事。

クロロシランは揮発性が非常に高い物質で、気化して酸素と混じり合うと一気に危険性が高まるとの事。

三菱マテリアルは会見で「事故は予期できた。そのための十分な対応を取っていた」と強調。
酸素を含まない窒素を交換器内に送り込み、クロロシランを分解する従来通りの手順を踏んだとしつつも、「ポリマー(化合物)の量が予想より多かったのかもしれない。われわれの認識と差があったと判断せざるを得ない」と釈明したとの事。

三菱マテリアルは爆発事故のあった四日市工場(三重県四日市市)の操業を10日から停止する方針との事。安全確認の作業を行うため。再開時期は未定との事。

同社ではトリクロロシランは引火性が高いため、1カ月以上、加湿窒素ガスを器内に注入し、爆発を防ぐ処置をしている。
しかし、その後に器内の状態が安定したかどうかを判断する目安として温度計などの機器は使わず、素手で熱交換器に触り、「冷えていれば取り外しても問題ない」と判断するなど、現場作業員の個人の感覚や経験に頼っていたとの事。

副工場長は「器内の温度計測は技術的に限界があり、加湿窒素ガスを入れ続けた時間と、熱が下がっているかの感触で判断した」と説明したとの事。

10日午前に始まった三重県警による現場検証でも、三菱マテリアルの安全対策に問題がなかったかどうかについても調査するとの事。

捜査関係者らによると、爆風でふたは約10メートル吹き飛び、本体と落下点を結ぶ線上に5人が倒れていた。少なくとも1人は血を流しており、直撃を受けたとみられるとの事。

同工場では平成24年2月にも熱交換器の洗浄中に排水溝のふたが飛ぶ爆発事故が起きていたが、再発防止のための安全基準は設定されていなかったとの事。

三重県四日市市の三菱マテリアル四日市工場で17人が死傷した爆発事故を受け、総務省消防庁は10日、各都道府県に対し、危険物を取り扱う化学工場などの安全対策に関する指導の徹底を通知したとの事。

爆発事故で死亡した5人の死因は、爆風による臓器損傷ややけど、爆風で飛ばされた際に壁に全身を強く打ち付けた打撲などの可能性が高いことが、三重県警捜査1課の調べで分かった。
消防本部は、5人はいずれも即死状態との事。

同社が三重県警などの捜査に対し、熱交換器内のチューブ内に化合物が詰まった結果、洗浄用の加湿窒素ガスが十分に流れず、器内に可燃性の水素が残って爆発に至った可能性があると説明しているとの事。

器内に直径28.2ミリのチューブ約300本があり、器内の洗浄中に発生する水素量をなくすため、1カ月以上、加湿窒素ガスを流していた。
しかし一部のチューブが詰まっていたため、窒素ガスが詰まった部分から先に流れていなかった可能性があるとの事。

器内の洗浄は2006年1月から行われていなかった。洗浄は不定期で、同社は「時間ベースではなく、器内の圧力などコンディションから判断し交換、洗浄を判断していた」と説明しているとの事。

同社は「外部からチューブが詰まっているかどうかの確認は困難。今後は使用時間で交換を判断する必要がある」と話したとの事。

こんな事故ですね。
規模が大きいので、事故が起きた時の破壊力も桁違いですね。

この事故の報道を聞いて、驚いたのは「作業マニュアルが無い」と言う事。
にわかに信じられないんですが・・・

2013年度のCSR報告書を読むと、
2012年度の全社安全衛生管理重点実施事項には
1.労働安全衛生マネジメントシステムの適切な運用による労働災害未然防止

2)リスクアセスメントを元にした作業方法改善と機械安全化の推進
3)非定常作業への対応

とかありますけどね。

2012年(平成24年)2月にも事故を起こしているのに、マニュアルを作っていないと言うのは驚きですね。
普通に考えて、防止策の一番簡単な物が「マニュアルの作成」だと思うのですが・・・

リスクマネジメントなどもしていたようなのですが・・・リスクとして認識してなかったのかな?

原因はこれからの調査を待ちましょう。

|

« 世田谷一家殺害事件再考その121(抜けないコンセント) | トップページ | 愛知県名古屋市中川区6歳長女全裸監禁事件 »

コメント

非定常作業であれば、全ての危険を予知できない可能性は多分に有り得ます。しかし、今回の件は、以前にも類似の災害があったにも関わらず、作業標準書を作っていなかったのは、明らかに元請けの怠慢としか言えません。いつも被害に合うのは、下請けや孫請け、あるいは元請けでも現場に駆り出された人間。

投稿: なかぴー | 2014/01/12 00:19

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 世田谷一家殺害事件再考その121(抜けないコンセント) | トップページ | 愛知県名古屋市中川区6歳長女全裸監禁事件 »