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2015/07/22

静岡県西伊豆町電気柵感電死亡事故

7月19日(日)16時半ごろ、静岡県西伊豆町で獣害対策の電気柵付近で7人が感電し2人が死亡する事故が起きている。

電気柵には注意喚起する看板などが設置されていなかった。子どもが誤って電線に触れて切れた可能性があり、同署は電気柵の管理状況の不備があったとみて、業務上過失致死傷などの容疑で調べているとの事。

この事故で死亡したのは川崎市宮前区東有馬1のO崎さん(42)と神奈川県逗子市新宿4の会社員、I村さん(47)と判明。I村さんの妻(42)と長男(8)が重傷。O崎さんの妻由(43)と長男(8)、O崎さんの親戚の西伊豆町のY本(75)が軽傷との事。

同署によると、19日午後4時半ごろ、O崎さんと子供2人が川遊びをしていたところ、感電し、さらに救助しようと川に入った4人も感電したとみられる。O崎さんの長男は左手に重いやけどを負っており、川岸にある電気柵を触った後、電線が切れた可能性がある。その後、電線が川の水中に入って、電気が流れる状態になったため、次々と感電したとみられるとの事。

電気柵はアジサイの花壇をシカなど野生動物から守るため設置され、近くにある納屋の家庭用コンセント(100ボルト)を電源にしていた。電圧を調整するための変圧器は付いていたが、作動していたかは不明との事。

業界団体の日本電気さく協議会によると、電気柵は見やすい位置に「感電注意」などと表示することや、感電や漏電を防ぐための専用の電源装置が義務づけられており、30ボルト以上の電源を使用する場合は漏電遮断機を使用しなければならないとの事。

O崎さんとI村さん家族は友人で、一緒に西伊豆町に来ていた。電気柵はO崎さんとY本さんの親戚の男性が設置していたとの事。

また、電気柵の電源が、近くにある農機具小屋の家庭用コンセント(電圧100ボルト)だったことも判明。ぬれると皮膚の電気抵抗が大幅に下がるため、電気保安協会の関係者によると、100ボルトの電気に接した場合は、ショック死する可能性があるとの事。

事故後に現場に入った人が「水の中でピリピリした」と話しており、事故時も漏電していた可能性が高いことなどから、県警は安全対策に不備があったとみて業務上過失致死傷容疑での立件も視野に捜査を行う方針との事。

静岡県西伊豆町の川岸に設置されていた獣害対策の電気柵付近で7人が感電し2人が死亡した事故で、電気事業法で30ボルト以上の電源を使用する電気柵に義務付けられた漏電遮断装置が付いていなかったことが分かったとの事。

県警は、現場での通電実験で切れた電線が川の中でも漏電し続けることを確認。遮断装置がなかったために、被害が拡大した可能性もあるとみて調べている。

捜査関係者によると、電気柵を設置し管理していた近くに住む男性(79)は「4~5年前に設置した」と説明したという。一方、男性立ち会いで行った21日の現場検証では電気柵が古くてメーカー名は確認できなかった。22日も現場検証を続け、メーカーや設置時期の特定などを進めるとの事。

県警によると、対岸にある納屋の家庭用100ボルトのコンセントを電源にしており、変圧器はあったが、漏電遮断装置は取り付けられていなかった。
電気事業法に基づく省令は、家庭用コンセントから電気を引く場合、15ミリアンペア以上の漏電が起こると0・1秒以内に遮断する装置を設置するよう定める。業界団体によると、装置があれば、柵の電線が切れた後に電気が流れ続けることはないとの事。

O崎さんの長男(8)も両手と胸部にやけどを負ったが軽傷という。O崎さんの妻(43)は両足にやけどをし、体内に電流が流れたことによる筋肉損傷が確認された。I村さんの妻(42)は重傷だが呼びかけに応じ、O崎さんの妻の親類で近くに住む女性(75)は軽傷だとの事。

県警によると、事故直前にO崎さんの妻らが、O崎さんと子供2人が川で遊んでいたのを橋から見た。「そろそろ上がりなさい」と声をかけ、現場を離れた後、悲鳴が聞こえ、O崎さんの妻ら4人が近くの民家から駆けつけた。I村さんは岸辺の長男の方へ駆け寄ったとの事。県警は22日に死亡した2人を司法解剖するとの事。

静岡県警下田署は、事故を受けて21日、現場検証をした。同署によると22日も機器や配線を中心に検証を続けるとし、事故原因についての詳細な発表は見送ったとの事。

同町産業建設課の課長は「広報を通じて電気柵の利用者には適正な取り扱いを徹底してもらうとともに、一般の住民にも電気柵について理解してもらえるよう、情報を発信したい」と、安全な利用に向けた周知を行うと強調したとの事。

こんな事故ですね。
事故原因はこれからの捜査の結果を待つとして、
安全意識と言うか、危険予知能力というか、そのあたりに問題があったのかもしれませんね。

電気といえば、各家庭で普通に使われています。同じように各家庭で使われているガスなどよりも、ずっと安全だと思われているでしょうね。

だけど、それは、電気を安全に使う為の工夫やルールによって安全を担保されているだけなんですよね。
電気は目に見えませんし、臭いや音も無いから、触って感電してからしか、異常に気付けません。

なので、屋内配線はコンセント以外は壁の中や天井裏に隠されて電線に触る事が無いようになってます。
露出配線の場合も電線自体はビニール絶縁の外装に覆われていて、絶縁されてますから、外装の上から触っても感電する事はありません。
コンセント自体の穴も小さく、子供の指でも入りません。

なので、家庭内での感電のリスクは濡れた手でコンセントを刺すとか、スイッチ操作をすると言った時の感電リスクが高いと言う事になり、電気保安協会とか、電力会社では、こういう事はしてはいけないと啓蒙活動をしているわけですね。

それほど、安全と思われている電気だからこそ、そこに油断があったのかもしれませんね。

家庭で感電した事がある人でも、場合によって、「ビリビリ」するぐらいでたいした事無いと言う人もいるかもしれませんが、家庭用の100ボルトの電圧でも、条件によっては感電死する事があります。
詳しい事は専門の解説ページを参照ください。

電気柵と言うのも、都会の人間にはなじみが無いから、知らない人間が見たら、そこに電気が流れているか?なんて想像もできないかもしれませんね。なので、もし、感電注意や危険の看板などがあれば、この事故は防げたかもしれませんね。

とは言え、根本的に法律(省令)で定められた漏電遮断機があれば、この事故は起きなかったはずですけどね。

この事故で亡くなったのが、42歳と47歳のお父さんですからね、無念だったと思います。
夏の連休の楽しい思い出のはずが、こんな事になるとは夢にも思わなかったでしょう。

亡くなったお二人のご冥福をお祈りします。

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コメント

今日の報道によると、問題の柵は家庭用の100Vを電源として440V程度に昇圧されていたようです。
市販の電気柵は5000V程度の電圧を、安全上支障が無いごく短時間かけるようにしているらしいので全く別ものです。

昼に電源を切り忘れたことや、漏電遮断器が無かったことも問題ですが、仕様が根本的に危険すぎます。

設置者はある程度電気に詳しいようなので、動物を避けるものなら自作できると安易に作ったのでしょうが、完全に危険予知不足です。

昇圧の有無はともかくとして、100Vだとだれでも簡単に作れそうなので、他の場所にも類似のものが無いのか十分にチェックすべきですね。

投稿: さんまるろく+ | 2015/07/23 00:14

さんまるろく+さん、おはようございます。
実際に100ボルトでも危険である事に違いが無いので、この事故を機械に一斉点検をする必要がありますね。

それでは遅くなりましたが続報です。

電気柵を自作設置した男性はかつて電気工事関係の仕事に携わっていたため一定の電気の知識があったとみられ、県警は男性が危険性を認識していたかなどについて解明を進める。

 県警の調べでは、男性は4、5年前に柵を自作。漏電遮断装置や、連続して電気が流れないようにするパルス発生装置などはなく、家庭用電源(100ボルト)につなげていた。「漏電防止装置を付けていなかったのは自分のミス。普段、日中は稼働させていなかったが、あの日は電源を切り忘れていた」。親族によると、男性は大きなショックを受けているという。

インターネットでも簡単に入手できる電気柵。市販のものは漏電遮断機や専用の電源装置がセットで売られているのが一般的との事。

柵は家庭用電源に直接つながれ、設置が義務づけられているスイッチもなく、電気が流れ続ける状態で、男性はコンセントを抜き差しして使っていたという。男性は、夜間だけ柵に電気を流していたがこの日はコンセントを抜き忘れていた可能性が高いとみられるとの事。

また、危険を周囲に知らせる表示も掲げていなかった。

原因は河川敷のアジサイの周囲に設置した電気柵。対岸にある男性の農機具小屋の家庭用コンセント(100ボルト)から電源を取っていた。
電気工事の知識があった男性は、電気柵を自作し、旧式変圧器で電圧を4倍以上に高めていた。

事故のあった場所は、町管理の河川敷。男性は町の占用許可を得ず電気柵を設置していたことも分かっている。

設置者の男性に安全対策の不備など過失があった可能性が高まり、今後は設置者の男性が事故を予見できたかどうかが捜査の焦点になる。捜査関係者の一人は「事故はあまり人が来ない場所で起きた。男性が事故を予見できたかを慎重に調べていく」と話すとの事。

こんな所ですが・・・
電圧を440ボルトまで昇圧して、安全装置もなしとは・・・対人地雷なみの危険性ですね。

よくある事だけど、正常系は考えられるけど、異常系は見逃してしまう事が多いですよね。とは言え、この場合は、動物以外の人間が触った時に問題が無いのか?
と言う、当たり前の事だから、危険予測としては基本的な事だと思いますけどね。

投稿: ASKA | 2015/07/26 11:08

何とも言えない続報が来ましたね・・。
設置者の男性は「死んでわびたい」とインタビューで語っていたようですが、現実に・・。
働き盛りの男性2人が死亡、お子さんもケガ、しかも親戚(とその友人)、となると心情的にかなり苦しいでしょうし、現実的にも賠償金の問題だって出てくるでしょうし。

被害者が水に浸かっていなければ、柵が水辺になければ、柵に触らなければ、電源を切り忘れてなければ、昇圧していなければ、安全装置があれば、他の害獣防止対策であればetc
不幸な偶然と過失が積み重なった結果の事故ですが、ここに至るまでに何か小さな事故報告とかはなかったのでしょうか?人が触れて軽傷とか。
その時点でニュースになったりしていれば、もしかしたら今行政がやっているような実態把握調査くらいはやれていたかもしれませんね。

投稿: つれづれ | 2015/08/09 23:28

つれづれさん、こんにちは

そうですね、なまじ電気の知識があったから、昇圧させてしまったんでしょうね。

本来の電気柵であれば、危険表示、パルス電源、漏電遮断機と2重、3重の安全柵がとられているわけです。

多少の電気の知識があれば、電気柵のような物は作れるのだけど、実際にフェールセイフ、フールプルーフと言った安全設計がされた製品とは似てもにつかない物なんですね。

なので、正規に市販されている物を使うのが安全と言う事なんだけど、値段を見て、自分で作った方が安いと思ってしまったのかもしれませんね。

実態調査はなかなか難しいかもしれませんね。
自己申告だと、申告されないケースが出そうだし。
表に出ている物だから、目視で発見して、設置者にヒアリングと言うのが確実かもしれないけど・・・誰がやるのか?ってのも問題ですね。

自治会の班長さんとか、消防団で確認してもらうとかかな?

日本の特色かもしれませんが、重大事故が起きないと規制がされないってのがあるかもしれませんね。

でも、小さい事故でも報道されれば、それを見た人の中には「うちのも同じだ」と思って改善する人は出てくると思いますね。ただ、小さい事故ではニュースや新聞で取り上げないから、報道する事の方が難しいかもしれません。

投稿: ASKA | 2015/08/11 16:29

静岡県西伊豆町で7月、川遊びをしていた家族連れら7人が電気柵で感電し、40代男性2人が死亡した事故で、静岡県警は、電気柵を設置し、事故後に自殺した同町の男性(当時79)を重過失致死傷の疑いで容疑者死亡のまま近く書類送検する方針を固めたとの事。

男性は8月7日、自宅の庭で首をつっているのを家族が見つけ、搬送先の病院で死亡が確認されていた。

やはり、重過失致死傷は仕方ないと思いますね。
いろいろと考えさせられる事件でした。

投稿: ASKA | 2015/11/21 10:02

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