絶歌その2(どうでも良い分析)
ふと、Aはこの本で何が書きたかったのか?と言うあたりが気になって、考えてみる事にしました。
で、とりあえず、「一番書きたい事に、ページ数を割いているはず」と言う事で、各章のページを数を調べてみました。
どちらかと言うと、ASKAの事件簿としては、あまり重要な記事では無いと思いますので、この記事は忘れてもらって良いと思います。
まー、私自身の備忘録的な記事ですね。
(書き終えてから、この記事に意味があったの自分自身で疑問に思っています。ページ数に意味があるのか?と言う事さえ疑問です。まったく見当違いかもしれませんね。)
絶歌 目次(数字はページ数)
第1部
名前を失くした日 9
夜泣き 3
生きるよすが 5
池 6
それぞれの儀式 6
ちぎれた錨 9
原罪 24 精通と動物虐待、猫虐待死の回想
断絶 18 97年の女児殺害と友人に対する暴力の回想
GOD LESS NIGHT 14
蒼白き時代 2
父の涙 16 父親の紹介とその回想
ニュータウンの天使 8
精神狩猟者(マインド・ハンター) 12
咆哮 15
審判 4
第2部(括弧内の数字は書かれた対象期間です)
ふたたび空の下 4(1ヶ月)
更生保護施設 15(半月)
ジンベイさんとイモジリさん(1ヶ月) 20
最終居住先 19(8ヶ月) 退院後の最終居住先の回想と感謝
旅立ち 8(7ヶ月)
新天地 18(2年4ヶ月) 最終居住先を出て、自分で知らない土地で新しい仕事を探した時の回想と、他の殺人犯の共感
流転 5(1年5ヶ月)
居場所 30(3年3ヶ月) 溶接工場への就職と退職するまでと兄弟について
ちっぽけな答え 7(3年)
道 4(1ヶ月)
被害者のご家族の皆様へ 7
で、こうやって見てみると
第1部で一番ページ数が多いのが「原罪」の24Pです。
この原罪はこの事件の原因とされる「未分化な性衝動と攻撃性の結合・・・」に対する、事実関係や自分なりの解釈を書いているので、ある意味、この本の目玉と言える部分ですから、ページが増えるのは仕方がない事だと思います。
しかし、ちょっと分からないのが2番目のページ数(18P)の「断絶」です。
この部分は97年の女児殺害の回想と事件直前の友人への暴力の回想が書かれています。
特に、殆どが友人への暴力の回想です。
暴力性を制御できなかったと言う「言い訳」なのかな?
そして、意外なのが、3番目のページ数(16P)の「父の涙」です。
これは、Aの父親の紹介とその回想です。
父親には相当、申し訳ないと思っているのかな?
(他のページで兄弟への謝罪の言葉もあります)
第2部で一番ページ数の多いのが「居場所」の30Pでこの本の中でも一番のページ数となっています。
経済的に追い詰められて、就職した溶接工場へ就職して退職するまでの回想と兄弟へ対する謝罪。
第2部は事件後にどんな生活をしたのか?と言う事を書くパートなわけで、その意味では、Aにとって、この溶接工場での出来事や生活が一番充実していたと言う事なのかな?
それに加えて、兄弟の紹介と謝罪の文章があるので、ページ数が増えてたのかもしれませんね。
2番目にページ数が多いのが19Pの「最終居住先」。
退院後に落ち着いた、最終居住先での出来事とその回想、お世話になった方への感謝が書かれています。
3番目にページ数が多いのが18Pの「新天地」。
最終居住先を出て、自分で知らない土地で新しい仕事を探した時の回想と、他の殺人犯の一部の共感が書かれています。
この第2部はどちらかと言うと、Aが退院後にこれまで歩んできた生活の日記的な物なんですよね。
その日記にAの家族や関係した人への感謝などを綴りながら、最終的な結論の「道」へと完結していく文章なので、特に意識した物では無いのかもしれない。
ただ、本を書こうと思った時に当然、結末と言うか結論的な物は考えたはずなので、そこへ向かう演出と言うか趣向はあったかもしれませんね。
そう考えるとどうしても、違和感があるのが「ちっぽけな答え」の7Pです。
「なぜ人を殺してはいけないのか?」の回答の部分がどうしても、引っかかります。
この「ちっぽけな答え」がAがこの一連の事件に対する「答え」のはずなのですが・・・
深読みすれば、そういう事なのか?と考えられなくもないけど・・・
その「答え」で良いの?って気もする。
Aは自分でこの本を読んでどう評価したのだろうか?
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コメント
やっと読みました。私の住む市では市内全図書館で一冊だけ購入したとのことで、気長に順番を待ちました。
この本結論から言って読んで良かったです。そして多分 著者の元少年Aにしても書いて良かったのだと思います。書かずにはいられなかった と言う彼の言葉は本当にその通りなんだろうと感じました。
読んで良かったと思う理由 その1
この本が出たと聞いて最初に思ったコトは、あ〜医療少年院での治療にも限界があったな と。あんまり治ってないんじゃないかな 。本当に治療が上手くいってたら自分がしたコトが恐ろしくて生きていけないんじゃないか。ましてや文学好きな少年らしく( もう少年という年じゃないが本人も言ってる通り幼い)ピラピラと装飾散りばめた文章で自らの犯した残虐極まりない犯行を語ろうだなんて!またヤルかもしれない…恐ろしい。そう思われた方も多いと思います。
さて、私が読んで分かったコトは本人の葛藤でした。
Aには人としてまともな所、優しい心も有るのだと言うコトが、灰色の雲の切れ間から満月が顔をのぞかせるように 見え隠れします。
医療少年院のスタッフは治療を終えたら社会復帰させる事が出来ると思ったでしょう。しかしそれは本当は無理なコトかもしれません。無理だと言うのは再犯の恐れ ではなく、犯した罪が重すぎてAには背負いきれないからです。なにしろ何の罪も無い天使のような可愛い子供達を惨殺したんですから。
職場で良い先輩に出会って親切にして貰い、順調に行くかと思われた時、子供さんの居るご家庭に食事に招かれて、自分にはこんな生活する資格が無い、と逃げ出しましたね。あれは良く分かります。もし彼の元々の性格がもっと図太かったら、終わったコトは仕方ない、これからは良い社会人になって頑張ろうと、先輩の好意に甘えるコトも出来たでしょう。でも彼の良心がそれを許さなかった。はい、Aには良心があるんです。それ故に多分普通の社会復帰は無理だった。また、不安がってもいます。自分の中に得体の知れない怪物がまだいるんじゃないか。いつかまた目覚めるんじゃないかと不安に思っているようです。Aを外に出してやるべきではなかった。
しかし、現実には少年院を出た人を長い年月収容して置く場所も、予算も、それに法律もありませんから、仕方がないですね。山奥のお寺でお坊さんに見守られながら読書と修業に勤しむ という社会復帰なら大丈夫じゃないか と。個人的意見として付け加えます。
Aに良心があるコト、自分のした事への理解、そして葛藤を知ることが出来て良かったです。
長くなりましたので、読んで良かった理由 その2
は また後で書きます。
投稿: まーぷる | 2016/08/19 15:41
まーぷるさん、こんばんは
確かに、Aが悪魔のような人物では無く、我々と同じように生きる事に苦悩している、普通の青年なんだと分かったのは良かったと思います。
それとは別に新たな心配な事としては、孤立してないか?と言う事なんですよね。
どうも、Aは自ら人間関係を断っているように見えるし、その結果、悪い人に利用されないか?と言うのが心配ですね。
本人自身もそれほど、深く考えて行動している分けでもなさそうなので、誰かアドバイスできるような人がいれば、良いと思いますね。
投稿: ASKA | 2016/08/23 18:29
そうなんです。Aは自分でも認めているとおり幼い。考え無しに行動するおそれもありそう。一般的な話でも、こんな若者が1人で心細くしていたら悪い人に騙される可能性があります。孤立しないほうがいいんですけどね。
でも、本を書いたりインターネットで何か発表したり(気持ちの悪い物でしたが、、)したことで、少しガス抜きが出来たというか、心のバランスがとれたのではないかなと、私は思ってます。世間では大変な批判を浴びていますが、本を書くコトで情緒が安定するなら、それも良いのでは、、と今のところ、考えています。もちろん、誰か良識ある大人の助言やサポートがあったほうが良いと思います。書いた物を公表するしないも含めて。
ただ今回、本人の思いのままに書かれた物が読めた(編集者による助言、例えば遺族の方々への配慮のための表現の変更などが殆んどなかったらしいです)ので、本人が何を考えているのか知ることができましたから、、難しいところです。
投稿: まーぷる | 2016/08/25 15:37
読んで良かったと思う理由 その2
世間では、Aがこうなった原因は親の間違った教育のせいでは?家庭環境に問題があったのでは?との見方が広まっています。私も、最近読んだ本(長谷川博一氏の本など。例えば"秋葉原事件の犯人は過酷な肉体的精神的虐待を受けて母親に支配されていた…。")(Aの事件については触れていません) の影響などもあって、漠然とそのような印象を持っていました。
しかし、この本を読んだ後、"家庭環境が悪かった説"は可能性が低いな と思いました。A本人が、両親が誤解されているコトに心を痛めていて、地道にコツコツ努力して生活を築いて来た父親や愛情深い母親についてページを割いています。多分この両親への誤解を解きたいというのも 本を出した目的の一つだったのではないかしら。ともかく、私の中では誤解が解けました。これが読んで良かった理由その2です。
私は医者ではないけれど、Aの場合、あの異常性が育った原因は先天的な脳の異常だったのでは?と思います。もし私がAなら"私が死んだら解剖して脳を調べて下さい。"と書きのこすでしょう。それこそ、この悲惨な事件から唯一得られる物だという気がする。
投稿: まーぷる | 2016/08/30 12:16
まーぷるさん、こんばんは
そうですね、酷い育成環境だったのか?と言うとそんな事はなく、普通の家庭に見えますね。
結果的に最終的な原因の一つが「愛着障害」になってますけど・・・それほど、決定的な問題だったのか?と言うのも疑問はあります。
卒乳の時期が早かったので愛着障害と言う判断のようですが・・・家庭的に問題があった様子は無いですね。
逆にいうと、その程度でもこんな事件を起こすような子供に成長してしまうと言う事なのかもしれませんが・・・
小学生で精通と言うのもそれほど珍しい事でもないですし、たまたま、残虐性と罪悪感と反抗期が交錯した結果、異常な残虐性を成長させてしまったのかな?とも思いますね。
脳の問題の有無は、今のところ、「目立った問題は無い」と言う結論なんでしょうね。
将来的に医学が発展して、新たな手法で調べたら、実は問題ありました。って可能性もあるかもしれません・・・
Aはこのまま、平穏な贖罪の生活を送れれば良いと思いますね。
投稿: ASKA | 2016/09/01 18:31