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2016/01/16

世田谷一家殺害事件再考その154(ロフトの足跡問題)

さて、昨年末の年末情報の中で足跡に注目した番組がありました。
この中で「ロフトに足跡がない」との報道があり、普通に考えると不自然です。
この点を今回考えます。

まず、最初に以前にも書いていますが、この事件の情報は矛盾する物が多いです。
なので、半分以上は誤った情報か、誤解を誘発する情報だと考えています。
なぜ、そうなってしまったのかは分かりませんが、意図されたものだろうと思います。

このような矛盾を解消する為に、ASKAの事件簿では独自の仮定を導入する事にします。

では本題ですね。
まず、仮定と言うよりは確認ですが、犯行順番を考えます。
仮定1)「みきおさん」が泰子さん、にいなちゃんより先に襲われている。

犯人が持ち込んだと思われる、柳刃包丁の状態から考えると、「みきおさん」と「泰子さん、にいなちゃん」グループでは、「みきおさん」が先に襲われていると思われる。
みきおさんの頭部には包丁の先端部分の破片が残っていた事。
泰子さん、にいなちゃんは柳刃包丁が折れたりして使えなくなってしまった為にキッチンの別の包丁で再度襲われている事。
なので、先に泰子さん、にいなちゃんが襲われたなら、みきおさんの頭部に柳刃包丁の先端が残るのが不自然です。

次に、ロフトに足跡が無いのが不自然です。
靴を脱いだと考える事もできますが、最初にみきおさんを殺害している犯人が、犯行の途中で靴を脱ぐ理由が見つかりません。

そこで、
仮定2)足跡は発表されている物以外に、目に見えない足跡(未発表の足跡)がある。
犯人の足跡は3種類あり、A)泥の足跡、B)目に見えない足跡(未発表の足跡)、C)血の足跡がある。
この足跡は時系列としてA)->B)->C)に移行するが、血を踏んだタイミングは不明。

この仮定により、ロフトには足跡が無いのでは無く、B)の目に見えない未発表の足跡が有ると考える事で、ロフトに足跡が無い事を説明できます。
(このロフトの足跡問題は別に説明する方法があるので、後述します)

しかし、すると別の問題が発生します。
現場に残されたA)泥の足跡は、少なくとも、血を踏む前に発生しているはず。
そして、ロフトのB)の足跡よりも先、これは、泰子さん、にいなちゃんを襲う前の状態で無いと発生しないので、普通に考えると、みきおさんを殺害する前後の状態と考えるほかない。

仮定3)A)泥の足跡はみきおさん殺害の前後の状態で発生している。
A)泥の足跡は1階に集中しているので、みきおさんは1階で殺害されていると考えられる。

で、問題と言うか、矛盾とは何か?
それは、2階リビングに残された、ジャンパーのエアテックや、帽子、マフラーです。
これらには、血痕が付着していないので、みきおさん殺害前に脱いでいると考える必要があります。

すると、犯人がみきおさんを襲う前にリビングでこれらを脱いだと考えるしかないのですが・・・みきおさんはこの時、生存しているので、みきおさんがいるのに、犯人がリビングで上着を脱ぐ事ができるのか?と言う事です。

で、この問題を解決する方法は2つあります。
一つは2階風呂窓侵入説です。
みきおさんが、犯人侵入時に1階にいたのであれば、犯人の死角にいるので、犯人がリビングで上着を脱ぐ事が可能になります。

一方で玄関侵入説の場合は一見すると問題が解決されません。
犯人侵入時にみきおさんが1階にいても、2階にいても、犯人が土足であがっている段階でみきおさんとトラブりになり、そこで殺害する事になるからです。
この為、犯人はみきおさん殺害前に上着を脱ぐ事ができません。

ところが、玄関侵入説にはもう一つのバリエーションがあります。
客人説です。客として玄関から招かれたのであれば、靴は玄関で脱いでいるはず。
2階リビングで上着を脱いだ後に、みきおさん、泰子さん、にいなちゃんを殺害したとすれば、ロフトに足跡が無い事も問題が解消されます。

この客人説だと、そもそも、仮定2)の3種類の足跡の仮定が不要になるんですよね。

だけど、この客人説には2つの問題があります。
問題い)足跡が無いのは説明できるが、犯人の足は殺害時にどんな状態だったのか?
裸足?靴下?スリッパ?
みきおさんと格闘しているわけで、スリッパは無いだろう。
真冬に裸足も無いとすれば、靴下だった?
でも、靴下なら、その痕跡が残るはず。結局それがB)の見えない足跡になるのか?

問題ろ)風呂窓侵入説の根拠となっているのが、足跡の泥の量が1階よりも2階の方が多いと言う事です。
既に、みきおさん、泰子さん、にいなちゃんの3人を殺害している犯人が、玄関の靴をわざわざ、2階まで持って行きそこで履くと言うのは考え難いです。
それにその場合、1階に泥の足跡が多い事の説明も難しいですね。

一応、ロフトの足跡問題については、こんな感じですね。

それからもう一つ、足跡問題は礼君殺害順番問題も絡みます。

礼君の殺害は、3人殺害の前なのか?後なのか?
もし、風呂窓侵入説なら、子供部屋にA)泥の足跡が無い事から、みきおさんより先に殺害したとすると矛盾します。
この為、礼君は殺害はB)見えない足跡の時か、C)血の足跡の時に殺害している事になるので、礼君殺害は最後となります。

一方の客人説では、足跡が残らないのでタイミングが確定する事ができません。
3人殺害の前でも後でも矛盾がありません。

いろいろと考えましたが、最初に書いた通り、仮定の前提となる情報が誤っている可能性もあるので、必ずしも問題がホントに問題か?と言うのは残りますね。

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コメント

足跡を信用するなら一番確率が高いのは客人説ですね。
一度玄関で靴を脱ぎ、リビングに通されそこで上着マフラー帽子手袋を脱ぐ。序盤から包丁で刺そうと考えてる侵入なら
この手袋を外す理由が無いですし、マフラーも邪魔でしかありません。殺害順序も、みきおさん→泰子さんにいなちゃん→礼くんと考えるのが状況から一番自然です。
包丁を台所に取りに行った間、泰子さんらはロフトから
降りてきたに違いない。そこで新しい包丁を手にした犯人と鉢合わせ。この事から単独犯ということになる。
この二人に逃げいる隙を与えているのが何よりの証拠である。
その後家捜し、始めは通報を恐れて風呂場で荒らすが
夜ふけになりその心配も無くなり今度はリビングへ。
暗証番号推理で疲れてソファで寝てしまった。
翌朝隣家からの内線で目が覚める。
ここでようやく玄関に靴を履きにいくのである。
リビングまで向かい来てきた服を着直そうとした瞬間、
隣家の祖母が合鍵で入ってきたので慌てて
近くにあったみきおさんのトレーナーを着て
風呂場窓から逃げ去った。
何故みきおさんの服を着たかわかったのは
リビングの手の届く所に置いてあったからである。
すなわちみきおさんが翌着ていた服だからわかったのだ。
唯一説明できないのは2階にのみ存在した
泥のついた足跡である。これを解明して欲しい。
この2階泥説はがたしかな情報か?

投稿: 石川 | 2016/01/16 08:53

石川さん、こんばんは

2階泥説と言うのは
「2階にのみ存在した泥の足跡」の事ですか?

だとしたら、これは誤りだと思います。泥の足跡は1階にもあり、むしろ1階の方が数が多いようですよ。

投稿: ASKA | 2016/01/16 21:52

ロフトには靴跡がないだけで潜在足跡はあったと
思われます。
http://www.e-kantei.org/footmark/

投稿: 事件解決を望む者 | 2016/01/16 23:06

個人的には、この事件は実はあまりにも単純な事件だと考えています。
単純に日本人のお金目的の完全単独犯の強盗殺人事件でしょう。

投稿: でぃっく | 2016/01/17 15:55

ロフトにいくための梯子の指紋、足跡はどうだったんでしょうか?

投稿: 中野区民 | 2016/01/18 14:47

本件の場合、事件の途中経過よりも大事な事があると私は思ってますが、議論するならそれもいいですね。
ジャーナリストの一橋文哉氏が、この事件について一番詳しいのだと考えてます。それを前提に、私の愚見も述べておきます。

犯人は、2階の窓から侵入し2階の窓から帰った。着地した際の靴跡が残されていますね。入った場所から出るのは自然です。

まず、犯人は1階に向かいますね。家に人がいるのを承知で侵入した以上は、1階の制圧を第一に目指すのが自然です。
理由は、玄関が1階にあるからですよ。逃がさないためです。1階に泥の足跡が多いなら、それが正しいと証明されます。

子供連れでは、窓からの脱出は困難だと予想できます。2階に奥さんや子供さんがいても、後回しに出来るのです。
犯人が第一に狙うのは、この家で最も手ごわい「みきおさん」となるでしょう。1階にいるならなおさらですね。

みきおさんの抵抗が厳しければ、犯人は玄関から逃げる選択肢を残せます。また、返り討ちにあっても殺人事件でなく強盗事件となるのです。
そういった事情から、「みきおさん」が一番に襲われたんだと思いますよ。

この事件は、単純な金目当ての強盗事件ではありません。残された物証や状況が、普通の強盗とはかけ離れてます。

投稿: ratcather5036 | 2016/01/18 21:05

一橋氏の本では、二階の風呂場の窓から逃走した跡が残っているのに入った形跡ははっきりしない コトから、玄関から入った可能性について書かれています。 ミキオさんが夕食後車で出かけた後 玄関のドアの鍵をこじ開けて侵入、玄関で靴を脱ぎ二階で着てきた物を脱いだ。それから子供部屋へ行き まだ怪我をしていない右手で男の子の首を絞めた。そのまま一階で帰って来たミキオさんに鉢合わせしていたら靴を履くヒマがありませんが、車の音を聞いてすぐ一階に降りて 靴を履いてからミキオさんに対峙した。ソックスのままや裸足では 踏ん張りがきかず、その後の仕事がしにくいから。この辺は私の勝手な推理です。
ドアの鍵穴には擦った跡が微かについていたというコトです。もっとハッキリ痕跡があったらこの説が有力になりそうなんだけど。

投稿: まーぷる | 2016/01/19 13:21

一橋さんって、1から10までウソを書くんじゃなくて5くらいまでは本当のことを書いたりちゃんと合理的な推理をしたりするんですよね。
だからみんなだまされるのかな?

投稿: でぃっく | 2016/01/19 18:07

みなさん、こんばんは

中野区民さんへ
私の記憶が正しければ、梯子からは足跡や指紋などは出ていませんね。
ただし、ロフトには掌紋が一つ出ています。
このあたりは、指紋掌紋問題として次回取り上げる予定です。

ratcather5036さんへ
長文、お疲れ様です。
なかなか、難しいところなのですが・・・
この事件は複数の知恵の輪みたいになっていて、一つの謎を解こうとすると、別の矛盾がでてきてしまうんですよね。

犯人が常に論理的に行動しているわけでは無いので、非常識だったり、非論理的な行動などがあっても不思議ではないけれど、それでも、不自然さが目に付くんですよね。

なので、小さい所を積み上げて、犯人の行動を解明する、あるいは、警察やメディアが主張する犯人の行動を検証するのは、意外に価値があるのではないかと考えています。

まーぷるさん、でぃっくさんへ
この独自情報をどう考えるか?と言うあたりなのですが、それは別記事のコメントに書きましょう。

投稿: ASKA | 2016/01/19 18:57

二階リビングのジャンパーと帽子とマフラーは犯人のものじゃなくてみきおさんのものではないかと思います。特にジャンパーは。
あのジャンパーを着て二階の窓から入ってこすれたあとがジャンパーにも窓にもないなんていうことはありえないでしょう。

投稿: でぃっく | 2016/01/20 01:38

いまだに一橋さんを信頼してる人は、この事件に関する本だけではなく、ほかの事件に関する本も何冊か読んでみたほうがいいでしょう。
複数読むと小説家だと気がつくんじゃないかな。

投稿: でぃっく | 2016/01/21 16:11

状況証拠から犯人は顔見知りで間違いありません。物色していたものは犯人に関わるものでしょう。完全に消滅できたとは思えませんが。必ず犯人に行き着く証拠は現場にあるはずなのです。

投稿: ケリーμ | 2016/01/24 11:12

2階のリビングに通してるあたりみきおさんだけの客ではない、一家に関わることまたは礼君に関わることだろう。

投稿: 緑丘中の紳士 | 2016/01/24 17:49

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