世田谷一家殺害事件再考その157(礼君殺害順問題)
今回は礼君が何番目に殺害されたのか?について考えてみたい。
そもそも、事件の全体像が報道されるようになったのはいつごろなのか?
kishiさんの報道DBを見ると
2003年12月に2階風呂窓から侵入した可能性がある事が報道されています。
そして、2005年12月にNHKが報道したのが、事件の全体像です。
2階風呂まどから侵入し後に、子供部屋の礼君を殺害・・・
(NHK報道は私自身が見て、内容をメモしています。「その20」を参照)
2006年10月に始まる週間現代の特集でも、最初に礼君を殺害したと書かれている。
2005年12月のNHK報道以後に礼君が最初に殺害されたと言うのが定説となっていくようです。
(2002年頃には新潮(一橋さん)や文春などでこの事件が報道されているのですが、殺害順の話は見つかりませんでした。全部の記事を見れて無いので漏れてるかもしれません)
でNHKの年末報道についてですが、私はこれは、捜査本部からの情報提供によって作られた物だと考えています。
普通に考えて、NHKが放送する内容なので、捜査本部の上層部の了解もなしに、一捜査員が私見を記者に話す事もできないでしょう。
つまり、上層部も承認した捜査本部の統一見解だったと思うわけです。
で、問題はここからです。捜査本部はどうして、礼君が最初に殺害されたと考えたのか?これには明確な説明がありません。
私が思うに、侵入口は足跡の泥の量から2階風呂窓としています。
そして、礼君だけが包丁での刺殺ではなく、絞殺だった為に、可能性は二つ。
最初か最後かの2択になります。
ここで、みきおさんら刺殺前に2階リビングで犯人がジャンパーや帽子、マフラーを脱いだとするなら、みきおさん、泰子さん、にいなちゃん殺害前でないと、素手で絞殺するタイミングが無いと言う判断ではないか?と思います。
ただ、これについて、私が前回の記事で書いた通り、子供部屋に泥の足跡が無い事、礼君の布団に犯人の血痕が残っていた事の2点が矛盾します。
捜査本部の捜査員も、この矛盾には気付いたと思うんですよね。
なので、それでも、礼君を最初に殺害したと判断したとしたら、条件がそもそも、間違っている可能性がありますね。
例えば、「子供部屋には泥の足跡があった場合」これなら、足跡問題が解決します。
布団の血痕は殺害後に、部屋を物色した時に付いたと言う説明もできますからね。
それから、もう一つは、思い込みがあったのかもしれません。
捜査本部は犯人は最初から家族全員を殺害するつもりだったと考えていたのではないでしょうか?
よどみなく、家族4人を殺害する為には、礼君が一番最初でないと説明が難しくなりますからね。
しかし、私は今のところ、礼君は最後に殺害されたと考えています。そのあたりは前回の「その156(指紋掌紋問題)」を参照願います。
ただ、捜査本部が考えた礼君第一殺害説(礼君を最初に殺害するとした説、私が勝手に名付けました)を説明するもう一つの可能性があると考えています。
それは、礼君の遺体移動説です。
礼君は最初に殺害されたが、殺害された場所は実は、子供部屋では無く、2階のリビングだったと言う説です。
この説の根拠と言うほどの物は無いのですが、1点だけ、礼君の遺体のスケッチを見ると、俯せに近いかたちで、ベッドから下半身が落ちるような状態で発見されています。
子供にしても、ちょっと寝相が悪すぎるのではないか?と思うわけです。
とりあえず、礼君の遺体移動説の概要としては
侵入した犯人が2階リビングのソファーで寝ている礼君を発見して絞殺。
その後、包丁を構えて、みきおさん等3人を刺殺。
刺殺後にリビング戻り、怪我をした手の治療をする。
治療後に、礼君の遺体を子供部屋に移動したとする物です。
まー、みきおさん等3人の遺体を放置しているのに、礼君の遺体だけ移動するのか?と言う疑問はあるのですが・・・
しかし、みきおさんには引き出し、泰子さんには衣類(タオルの説もあり)を顔の上に掛けている犯人なので、礼君の遺体を見たくなくて、子供部屋に移動した可能性もあるのかな?と思うわけです。(この時、布団に犯人の血痕が付着した。そして、足跡問題も解決できます)
こうすることで、犯人が全員の遺体の顔を見れない状態にしたと説明できます。
(この場合は、顔見知りの可能性が高くなるかもしれませんね。)
この説の疑問点は、礼君がリビングのソファーで寝るのか?と言う点に尽きますね。
リビングに「コタツ」があれば、コタツで寝込んでしまうのは大人でもある事ですからね。特に、泰子さんとにいなちゃんが既にロフトで寝ていたなら、リビングで寝込んだ礼君を咎める人はいなくなるでしょう。(みきおさんは1階にいたはずです)
あるいは、みきおさんが寝る時に、礼君を子供部屋に移動しようと考えて、放置していた可能性もありますね。
犯人が家族全員を最初から殺害するつもりで、よどみなく犯行を行ったとしたなら、礼君を最初に殺害したと考える方が説明しやすい。
逆に礼君を最後にした場合、犯人は3人刺殺後に一時、犯行を中断して手の治療をしたと考えないと説明できないんですよね。
手の怪我が大きくて、殺害を一時中断したと言う可能性も疑われるのですが・・・
しかし、その手で泰子さん、にいなちゃんを散々に刺しまくったわけですし、それに、治療後もしばらく、現場に滞在して物色しているわけですから、それほど、大きな傷では無かったと思うわけです。
なにしろ、泰子さん、にいなちゃんの遺体があったのは、子供部屋の入り口の前ですから、あと、3、4歩も進めば、礼君の寝るベッドです。手に多少の怪我あったとしても、子供1人、一刺しすれば終わる話ですからね。
それを途中で中断する理由が無いと思いますね。
中断する理由があったとしたら、それは、犯人が子供部屋に居る礼君の存在を知らない場合でしょう。
3人を殺害した段階で犯人は家族全員の殺害が完了したと判断して、手の治療を行ったのだろうと推測しています。
この場合は、犯人は家族構成を知らない人物と言う事になりますよね。
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