« 広島県広島市マツダ社員寮殺人事件その2(容疑者逮捕) | トップページ | 福井大准教授院生女性殺人事件その5(一審判決) »

2016/09/27

神奈川県横浜市大口病院連続殺人事件

横浜市の大口病院で入院患者2名が界面活性剤の中毒死により死亡する事件が起きている。
1)事件の発覚
捜査本部によると、9月20日午前4時ごろ、男性Hさん(88)の心拍低下でアラームが鳴り、当直の30代女性看護師が駆けつけたが、約1時間後に死亡を確認。司法解剖の結果、死因は中毒死だった。捜査本部はHさんの病名を公表していない。

Hさんは栄養剤の点滴を受けており、最後に点滴の袋を交換したのは19日午後10時だった。点滴の袋には異常があり、体内から異物が検出された。捜査本部は何者かが点滴に異物を混入した可能性があるとみて調べる。同病院では18日以降、ほかに80~90代の男性2人と90代の女性1人が死亡。いずれも病死と診断された後に司法解剖されており、週明けに結果が出る。

Hさんは14日から8人部屋の病室に入院。Hさんを含め6人が入院していた。当時は当直の看護師や警備員ら6人が勤務。午後9時以降、玄関は施錠され、関係者以外は侵入できない状況だった。院内に防犯カメラはなかった。

2)過去のトラブル
院内では今年4月、4階のフロアで、ナースステーションに置いてあった看護師の服が切り裂かれ、6月にはカルテが抜き取られてなくなる問題が発覚。これらはいずれも警察に届けていなかったという。

3)告発メール
横浜市は9月24日、Hさんが死亡した今月20日に「点滴に漂白剤らしきものが混入された事件が発生した」と伝えるメールを受け取っていたことを明らかにした。今年7、8月に同市に送られたメールと同じ人物からのメールとみられる。20日のメールは神奈川県警への通報をうかがわせる記述があったため、市は病院への事実確認や県警への通報などの対応は取らなかったという。

Hさんは20日午前4時55分ごろ、入院中だった大口病院で死亡が確認された。市医療安全課によると、この日の正午前に「事件」を知らせるメールを受信。メールには「今回は(病院が)警察に通報するようだ」とあったため、市は病院への問い合わせなどはしなかった。同課は「患者が死亡したと読み取れず、重大なことという認識がなかった」とも理由を説明した。

大口病院を巡っては、7月5日に横浜市が「看護師のエプロンが切り裂かれた事案と患者のカルテが紛失した事案が発生した」というメールを受信していたことが分かっている。

さらに、8月12日には「病棟で漂白剤らしきものが飲み物に混入し、それを飲んだ看護師の唇がただれた」とのメールも受信。市は9月2日に病院に対して医療法に基づく定期的な検査を実施。実際にトラブルがあったことが確認でき、口頭で再発防止を求める注意をしたとの事。

4)原因物質(混入された界面活性剤)
点滴袋の残液やHさんの体内から成分が検出されており、逆性せっけんを主成分とする消毒液が混入されたとみられる。神奈川県警は、消毒液製品の特定を進めるとともに、混入の経緯を調べている。

5)防犯カメラ
病院や捜査関係者によると、病院内に防犯カメラは設置されていない。病院入り口付近に付けられているが、録画機能はなかったとの事。

6)第2の事件
Hさんが亡くなる2日前に死亡した88歳の男性も、界面活性剤による中毒死だったことがわかった。
新たに中毒死と確認されたのは、横浜市青葉区のNさん(88)で、9月20日、点滴に消毒液を混入され、中毒死したHさん(88)と同じ病室に入院していた。
Nさんは、2日前の18日に亡くなり、遺体から、Hさんと同様に、界面活性剤の成分が検出された。
Nさんは、亡くなる前に、数種類の点滴を使用していて、警察は、いずれかの容器に界面活性剤が混入されたとみて、残った水滴などを分析している。

一方、勤務している看護師によると、この病院で7月から9月の間に、およそ50人の高齢者が死亡していたと証言した。

7)ナースステーション
県警はナースステーション内で何者かが注射器を使って消毒液のような異物を点滴に注入したとみて、殺人容疑で捜査。点滴の管理や病院の出入りの状況を調べている。

点滴の袋は17日から3連休だったため同日に3日分まとめて4階ナースステーションに運ばれ、無施錠で被害者2人の分を含め一括保管されていた。点滴には患者の名前が書かれていたが、未使用の点滴の袋は約50袋残っていた。

HさんとNさんが死亡した日には女性看護師2人が4階で当直勤務し、このうち1人は2人が死亡した日にいずれも勤務。捜査本部は当時の勤務状況について詳しく調べる。

点滴袋は4階ステーションの机上や洗面台の横などに施錠されずに日付ごとに段ボールに入れて置かれ、入院患者の家族によると、見舞客らが休憩する「だんらん室」に置かれていることもあったとの事。

8)点滴袋
4階のナースステーションに残っていた未使用の点滴袋約50個のうち複数のゴム栓部分に、細い針を刺した跡のような小さな穴があることが分かった。

捜査関係者によると、穴が確認された点滴袋のゴム栓には、使用時にはがす保護フィルムが貼られたままだった。穴は保護フィルムとゴム栓を貫通した状態で確認された。ゴム栓は収縮性が強く、微小の穴ができても密閉した状態が保たれ、目立たないという。

未使用の点滴袋は約50個のうち大半が17日午前に薬剤部からナースステーションに搬入され、施錠されていない場所に保管されていたとの事。

9)消毒液
Hさんの死亡の原因となった界面活性剤の成分を分析したところ、同病院に常備されている消毒液と同様の種類と判明した。この消毒液は4階のナースステーションにも置かれていたという。Nさんの遺体からも同じ成分が検出された。

捜査関係者らによると、4階は17日夜以降、日勤と当直の看護師2人ずつが交代で勤務していた。薬剤を管理する薬剤部は施錠され、担当の薬剤師しか出入りができないとの事。

10)Nさん
Nさんが死亡した経緯について、18日は3人の女性看護師が勤務していて、午後4時50分頃、Hさんと同じように心拍数低下を知らせるアラームが鳴り、その10分後に心肺停止になって死亡したという。また、Nさんの点滴袋は前日17日の午前中に4階のナースステーションに運ばれ、翌18日の午前中にNさんに付け替えられていることから、この間の約24時間のうちに異物が混入された可能性があることもわかったとの事。

Nさんは当初、病死とされていたため、証拠となる点滴の袋の一部は捨てられていました。最後の点滴が交換されたのは、18日の午前中で、この時の点滴の袋は警察がゴミの中から回収したということ。

11)担当看護師
Hさん、Nさん、2人が死亡したときの担当の看護師はそれぞれ別の人物だったとの事。

こんなところですね。
時間が無いので時系列はあとでまとめます。

過去のトラブルを列挙していくと
い)4月、4階のフロアで、ナースステーションに置いてあった看護師の服が切り裂かれる。
ろ)6月にはカルテが抜き取られてなくなる。
は)8月に看護師の飲み物に薬物が混入(この看護師は(い)の看護師と同一人物)
に)9月Nさん、Hさんが殺害

とこんな感じですね。
犯行の動機には色々な物が考えられますね。
A)無差別殺人
 は)に)はそう見えなくもないけど、一連の問題が同一人物による物なら、無差別殺人が目的では無いように思います。結果的に無差別殺人に見えるだけで、その裏には別の理由がありそうです。

B)個別の怨恨
個別の怨恨だとすると、誰を恨んでいるのか?と言うのが問題になりますね。
9月に死亡した2名よりも以前に問題が起きているわけですから、同一人物なら死亡した2名を恨んだ事件では無いと言う事になりますね。

B-1)看護師怨恨説
い)は)から考えると、この看護師が恨まれている可能性が考えられるます。
・・・けれど、だからといってNさん、Hさんを殺害する理由は無いと思うんですよね。
可能性としては殺人事件により間接的にこの看護師さんを追い詰める事ができる場合です。
・・・しかし、Nさん、Hさんの担当の看護師はそれぞれ別人との事ですから、すると目的意識に矛盾しますね。

B-2)病院怨恨説
看護師個人では無く、病院や組織を恨んでいるのであれば、全ての行動が病院やその内部組織にダメージを与える事になりますね。

ただ、いずれの場合にしても、犯人がこんな行動にでるまでには相当な悩みやストレスがあったと思うわけで、カウンセリングなど受けているかもしれませんね。特に直接健康被害が出るかもしれない8月の飲み物への異物混入の時期の前にストレスがピークになってるんじゃないかと思いますが・・・

C)相模原虐殺事件感化犯説
怨恨と言う感情では無い場合もあるかと思います。
病院の特性として高齢者が多いと言う事なので、死亡する患者も高齢者が多いわけですよね。
この点に注目した場合、嫌な予感もします。

相模原の19人殺傷事件が7月に起きてます。その事件に感化された犯人による、高齢者虐殺事件の可能性は無いのか?と言う事です。
もともと、不満を募らせていた犯人が相模原事件に感化され、相模原事件の、障害者を殺すことが世の中の為と言う犯人の主張の障害者の部分を高齢者に置き換えて犯行を自己正当化して起こした事件と言う可能性ですね。

この場合だと、殺害とそれより以前のトラブルも無関係でない事も説明できますね。

いずれにせよ、一人目のNさんが死亡した事を犯人は知っていたはずです。
それでいて、二人目のHさんが死亡する事を予測できた状態で犯行を中断していないわけですから、1件目は「死ぬとは思わなかった」と殺意を否定できても、2件目は「死んでもかまわない」と言う未必の故意は否定できないでしょうね。

まー、医学的知識があって1件目の段階で死亡が予見できたのであれば、1件目から殺人罪に問えますね。

二人死亡で殺人罪、責任能力に問題なければ、軽くても無期懲役でしょうね。

亡くなったお二方のご冥福をお祈りいたします。

しかし、以前から告発メールなどもあったのに、なぜ対処が遅れたのかな?
過去の事件では病院での殺人事件も起きてますよね。

続報を待ちましょう。

参考リンク
神奈川県横浜市大口病院連続殺人事件その2(続報)

|

« 広島県広島市マツダ社員寮殺人事件その2(容疑者逮捕) | トップページ | 福井大准教授院生女性殺人事件その5(一審判決) »

コメント

コメントが「empty response」で弾かれる仕様に?


久し振りに御ブログを拝見しましたが、まだコメントが付いてないことに意外さを感じました。
セキュリティ強化と関係あるのかもですね。

事件考は世田谷が自分の中ではある程度煮詰まって
(もちろん特定という意味ではなく、方向、距離、結果的現状)
モチベーションが下がったことが他の事件考にも響いておりました。

表題のケースは完全な自白がないと長引く可能性が高いと思います。
距離は近く方向も間違ってなくても、特定するのは非常に困難かもしれない。

投稿: | 2016/09/28 03:12

点滴投与の前に何らかの異常は見られなかったのでしょうか?
泡立っていたのが見られなかったら点滴後に異物が入れられたのでしょうか? それとも点滴前に入っていて時間が経ってから徐々に泡立つものなのでしょうか?
あと何となく患者への見回り回数が少ないような気もするのですが。
高齢ですし、点滴速度とか患者の様態などの時々のチェックはなかったのでしょうか?

投稿: | 2016/09/28 16:08

名無しさん、おはようございます。

最初の名無しさんへ
特に設定などは変更していませんので「empty response」が出るのはサーバー側の問題だと思います。

未解決事件を考えるのはなかなか難しいですね。
模様のない、2種類のジグソーパズルを混ぜたピースを組み合わせていくようなイメージに近いですね。

特に世田谷事件は情報が錯綜して、報道された個々の情報が正しいのかどうかも吟味が必要です。相反する情報があるので、どれを選択しどれを選択しないのか?それで、推理の方向性も変わりますね。

具体的なゴールを設定しない方が長続きすると思いますよ。

この事件については、物証の有無が重要ですね。犯行が可能な人物はある程度、絞られるでしょうから、その先に進めるかどうかが鍵かもしれませんね。

二番目の名無しさんへ
点滴袋がどんな物かによりますね。私が思い浮かぶのは、中にに空気が入っていないのが初期状態ですね。点滴をしていくと、空気が中に入る場合もあるのかな。

このイメージだと、点滴開始の段階では異常は発見できないかもしれませんね。

病院が終末医療を専門にしているようで、重篤で寝たきりの患者だと定時の巡回しかされないと思います。それは普通の病院の夜間も同じかと思いますね。

巡回などは普通にやられていたと思います。
ただ、いつもの日常作業なので、集中力が落ちていた可能性はあるかもしれません。

なかなか、病院で毒殺事件が起きるなんて想定できないでしょうね。点滴袋の管理が杜撰だったのも、性善説に立っていたからなんでしょう。

まー、トラブルが起きている職場だったので、6月あたりからはもっと危険性を考えても良かったかもしれませんね。

投稿: ASKA | 2016/09/29 05:53

相当な人数がなくなっていることが、この事件と関係しているなら、病院への怨恨ではないでしょうか?しかし、一体誰の仕業かです。防犯カメラが機能しない事を知っての犯行か?外部からも侵入できなくはなくもないが、むずかしいかな。

投稿: | 2016/09/30 07:30

 現代の点滴は普通は空気の入っていかないプラボトルか、ビニールのボトルです。
 点滴は真空ではなく普通は空気が入っていてそのラインで大体の残量が把握できるようになっています。
 
 報道によると未開封の点滴に穴が開いてるものが見つかったとのことですが、これはけっこう大変な作業になります。目立たないように細い針を使うと刺し込む段階で針が折れてしまうから慎重にやったと思います。それに消毒液を注射器で吸うのも大変です。たぶん500mlのビンから吸ったんでしょうが、入念に傾けないと吸えないし、傾けすぎるとこぼれてしまう。入れた量が一本につき仮に10mlだとすると、一番手になじむ10mlシリンジでならその回数、20mlシリンジなら2本に一回消毒液を吸わなきゃいけない...
 僕なら見つからないように(人目をさけて)やるなら2本くらいで限界です。
 ひとめについてもいいから堂々とやっても5-6本くらいで手が痛くなってきますよ。

 もともと注射器で吸うことを想定してない消毒液を注射器で吸うのはけっこう大変なことですから。

投稿: 看護士暦16年 | 2016/10/01 20:01

お久しぶりです。以下の文章内の※-※の文の公開/非公開につきましてはASKAさんの判断にお任せします。

界面活性剤が血中に入ってしまった場合の致死量や症状といった情報は調べた限りでは発見できませんでした。
こんなことを書くのは点滴の開始から具合が悪くなるまで時間がかかっていることから量が調節されていたのではないかとの報道があったためです。
量を調節していたなら犯人はごく少量の混入から始めたということでしょう。もしかしたら今回が初回だったのかもしれませんし、以前にも何回か混入していたけれどその時は具合が悪くなるだけで済んだのかもしれません。
点滴、おそらくは高カロリー輸液と呼ばれるものだと思います。その中に2Lと量が多く、使用前に中の隔壁を破って混ぜあわせる際に泡が立つ種類があるので、気付かれにくいと踏んで選定したではないでしょうか。
菌の混入を考慮してはいないでしょうから看護士歴16年さんが仰るほど混入の手順は煩雑でなかったかもしれません。
※例えば注射器のおしりの方を外して針を付ける側を指で塞ぎおしり側から液体を注ぐと消毒液を吸う手間は省けますし、混入量がごく少量であったなら小さな注射器に小分けして持ち歩くこともできるわけです。※
ただ、繰り返し犯行がおこなわれていたと仮定すると注射器や針の減りが以前より早くなると思うのですが・・。

今後の対策としては点滴袋そのもの及び保護シールの破損の有無を使用前にチェックするのが水際対策として考えられそうですね。あるいは、消毒液に点滴用の薬とは異なるドギツイ色をつけると何かが混入しているのがわかりやすくなるかも。
後は犯人の動機が気になる所で・・続報があるといいのですが。

投稿: つれづれ | 2016/10/01 23:04

みなさん、おはようございます。

看護師歴15年さんへ
貴重な情報ありがとうございます。

普通に実行しようとすると、大変な事なんですね。
ただ、どのぐらいの人数が殺害されているのか現状でわかりません。もし、大量に殺害されているのであれば、犯人は何か簡単に犯行を行えるような工夫をしている可能性がありますね。

つれづれさんへ
そうですね、ご指摘の通り、殺害する為で、衛生面は考慮されていないでしょうね。
しかし、どこまで被害が広がるのかわかりません。
発覚した2名が最初の2名なら良いのですが・・・
大量に被害者が出るなら、相模原事件に比肩するほどの大事件になるかもしれませんね。

性善説でこれまではOKだったのですが、問題が起きると、対策はしなくてはなりませんから、これからいろいろと対策が取られるんでしょうね。

投稿: ASKA | 2016/10/05 05:35

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 広島県広島市マツダ社員寮殺人事件その2(容疑者逮捕) | トップページ | 福井大准教授院生女性殺人事件その5(一審判決) »