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2016/11/24

静岡県伊東市八幡野の干物販売店殺人事件その3(一審判決)

一審判決は死刑です。

 

伊東市八幡野の干物店「八八ひもの」で2012年12月18日、経営者女性=当時(59)=と従業員男性=当時(71)=を殺害し、現金を奪ったとして強盗殺人罪に問われた伊東市大原3の16の15、元従業員で無職男性被告(64)の裁判員裁判の判決公判が11月24日、静岡地裁沼津支部で開かれた。

 

裁判長は求刑通り死刑を言い渡したとの事。

 

弁護側は控訴する方針との事。

 

被告は逮捕時から一貫して否認し、公判で無罪を主張。事件と直接結び付く証拠がなく、被告の着衣に付いた血痕などの間接証拠が争点だった。

 

判決は、DNA型鑑定の結果から血痕は被害者のものとは断定できないと指摘。一方、被告の車が事件当日、店の駐車場に止めてあり、翌日には奪われた現金とほぼ同額を借金返済などに充てたとして、犯人と推認できると結論付けたとの事。

 

その上で、「非人間的で残虐。反省の態度も認められず、極刑はやむを得ない」と述べたとの事。

 

判決によると、被告は12年12月18日、「八八ひもの」店内で社長の女性=当時(59)=と従業員男性=同(71)=の首を刃物で刺した上、業務用冷凍庫に閉じ込めて殺害し、現金約40万円を奪った。

 

検察側は「犯行は極めて悪質」と死刑を求刑、弁護側は一貫して関与を全面的に否認し、無罪を主張し、真っ向から対立した。裁判員が直接証拠が乏しい中、状況証拠をどう判断するか判決が注目された。

 

検察側は立証で被告の車が店の駐車場に止まっていたと思われるドライブレコーダーの画像など、主に状況証拠を積み重ねてきた。当時、知人や消費者金融から借金をし、経済的に苦しかった被告が金を奪おうと店を訪れ、退職理由でトラブルのあった女性社長らを殺害したと主張。事件後に使ったり預金したりした金は売上金などを使い、着衣に付いていた血液は女性のDNA型の一部が含まれていて矛盾はないと述べた。

 

弁護側は、犯行現場の目撃情報や凶器の発見など、被告を犯人と裏付ける決定的な証拠は何もないと反論。事件後に動かした金は、血まみれで店に座っていた2人を発見し、金を持っていると犯人と疑われると思い、転職先の上司から借りた金や持っていた貯金箱の小銭などを使ったと説明。着衣などの付着物のDNA型は、女性らに由来しない型があると主張した。

 

こんなところですね。
事件から3年9ヶ月が過ぎて、出た判決は死刑でした。
犯行事実が認められれば、強盗殺人で2人を殺害、「強」の字も付いてますから、死刑基準は満たしてますね。
その上、瀕死の重傷を負わせた被害者を冷凍庫に閉じ込めて殺害です(ただし死因は出血性ショック)なので、殺害方法も残酷ですね。

 

これだけ揃えば死刑判決には十分でしょう。

 

ただ・・・物的証拠は無いので控訴審で逆転判決が出る可能性も有りそうです。

 

今回の判断材料としては
1)被告が当日着用していたトレーナーやズボン、運転していた車の背もたれなどに女性のものとみられる血液などが付着していた(これは女性の物とは認定されていない)
2)事件当時、現場を訪れたと認めた。
3)事件直後、奪われた現金とほぼ同額を使ったり預金したりした。
4)アリバイ工作していた
5)同店退職をめぐって女性とトラブルがあり、犯行動機があった。

 

1)でDNAが被害者の物と断定されれば、判決はもっと簡単に出たのかもしれませんね。

 

2)は、アリバイ工作をしていたのに、後になって現場を訪れた事を認めているは印象が悪かったのかな?
まードライブレコーダーの映像があっては、言い逃れ出来ないとの判断で一部を認めたのかもしれませんね。

 

3)の現金は盗んだお金では無いと裏付けがとれれば逆に弁護側に有利な材料になるかもしれません。
控訴審で逆転を狙うならここがポイントになりそうですね。

 

4)5)については微妙なところかな、疑われるから嘘や工作をしたんだとしても、逆にそれは疑われる自覚があったと言う事だしね・・・
裁判長によっては判断が分かれる部分かもしれませんね。

 

控訴するようだし、刑が確定するにはまだ時間がかかるでしょう。
しかし、こんな事件を見ると、お店や事務所には防犯カメラの設置は必須のような気がしますね。
ただし、映像の記録場所や保管は犯人が簡単に壊したり持ち出したりできないように工夫しなければなりませんね。

 

参考リンク
静岡県伊東市八幡野の干物販売店殺人事件その2(妄想)

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コメント

控訴審
第1回公判2017年11月17日、

弁護側は公判で、1審判決後に検察側から開示された証拠の中に
1)犯行時間帯に被告の車とは異なる車が現場店舗の駐車場から急いで出て行った
2)犯行時間帯に被告の車とは違う車が駐車場に止まり、近くに2人の人物が立っていた

とする目撃証言が、県警が記録した2通の「聴取報告書」にあったと指摘。被告を犯人とするには「大きな疑問がある」と主張したとの事。

これに対し、検察側は「1審判決では軽視されたが、被告の着衣や車の付着物が被害者の血液とみられることを考慮すれば、被告の犯人性は揺るがない」と反論したとの事。

この事件は、凶器などの有力な物的証拠がなく、被告は1審の裁判員裁判で「事件の日に店に行ったが、(被害者)2人が冷凍庫の前に血まみれで座っていたのを見て怖くなって逃げた」と無罪を主張したが、認められなかった。

第2回公判2018年1月12日、

第2回公判で被告は事件当日の行動について、午後7時10分ごろ八八ひものに行って血を流した2人を発見したがそのまま立ち去り、30分後に再び戻り、建物の中に入らずに離れたと説明したとの事。

一審では八八ひものに戻ったことは証言していなかった。その理由について「弁護士に戻ったことは言わない方がいいと言われた」「法律の専門家なので言うことを聞くしかないと思った」などと説明したとの事。

検察官と裁判官は、主に八八ひものから立ち去った後の被告の立ち寄り先や行動について質問した。供述の一部にあいまいな部分もあった。被告は「記憶違いはあるが、ウソを言ってはいない。真実を述べている」と訴えたとの事。

次回公判は2月9日の予定。

こんなところですね。
裁判なので弁護側は無罪を主張し、検察側は有罪を主張する事になるわけですね。

今回の控訴審の争点が何なのかわかりませんが、ここまで情報を見るとと
弁護側の主張としては「他に真犯人がいる」と言う事なのかな?

それはそれで良いと思いますが・・・第2回公判で「実は、現場に戻っていた」と話しています。これはちょっと不自然だと思うのですが・・・
一度目は驚いて逃げたと言うのはまー、有りかなとも思います。
でも、2度目に現場に戻った時はそれなりに冷静な状態で戻ったのではないのかな?

冷静に考えれば、この状態で通報しないのは逆に不自然だと考えそうなんですけどね・・・

公判の行方に注目しましょう。

投稿: ASKA | 2018/01/14 09:41

***判決公判 7月30日***

1)裁判長は「1審の中核的部分に不合理な点はない。被告が犯人であるという認定を左右する事情はない」として1審判決を支持し、被告の控訴を棄却したとのこと。

2)弁護側は判決後、「私は犯人ではありません、お金もとっていないし、人も殺していません」とする被告のコメントを発表したとのこと。

3)控訴審で弁護側は、別の犯人がいる可能性もあるとして「午後7時ごろ干物店駐車場から車が急発進して道路に出た目撃情報」「午後9時ごろ、駐車場に2台の車がライトをつけて止まっていて2人の人物がいた目撃情報」「午後9時10分ごろ、干物店2階に明かりが点灯しているドライブレコーダーの影像」などの新たな証拠を示していた。

これについて裁判長は「駐車場には適度な広さがあり、休憩するために車を止めることはしばしばある。交差点をショートカットするために通過する車もある。2階の明かりが干物店のものかはっきりせず、被告がいたこともあり得る。被告が犯人であることに疑いが生じるものではない」と退けたとのこと。

4)1審が「約32万円」とした被害額は「約29万円」としたとのこと。

5)弁護側は量刑が重すぎるとも主張したが、裁判長は「刑事責任は誠に重大で死刑選択もやむを得ない」としたとのこと。

6)裁判長は判決理由の中で「元の勤務先経営者らの命を奪ってまで、当面必要となる現金を得ようという犯行動機に酌量の余地はない」と断じ、「計画性があるとはいえないとしても、現金を強奪するために確定的殺意の下で首を刃物で切り裂き、確実に殺害するため生きたまま冷凍庫内に閉じ込めるという行為の残虐性、殺意の強固さ非情さから、被告の刑事責任は誠に重大。不合理な弁解に終始して反省の情も示しておらず、死刑を選択することはやむを得ない」と述べたとのこと。

こんなところですね。
犯人性については最高裁で決着するしかなさそうですね。
ただ、量刑については、妥当な量刑だと思います。

強盗殺人で死亡が2人、しかも、生きたまま冷凍庫に閉じ込めてます。
死因は出血性ショックでしたが、それでも、生きたまま閉じ込められた被害者の絶望感は想像を絶するでしょうね。
そこを考えれば、死刑は十分に妥当な判決だと思いますね。

ちなみに、一審判決の時のポイントとしては
1)被告が当日着用していたトレーナーやズボン、運転していた車の背もたれなどに女性のものとみられる血液などが付着していた(これは被害女性の物とは認定されていない)
2)事件当時、現場を訪れたと認めた。
3)事件直後、奪われた現金とほぼ同額を使ったり預金したりした。
4)アリバイ工作していた
5)同店退職をめぐって女性とトラブルがあり、犯行動機があった。

アリバイ工作をしていたあたりが、どうにも不自然に感じますね。

次は最高裁で決着ですね。

投稿: ASKA | 2018/08/07 18:47

死刑が確定します。

1月28日最高裁第一小法廷は「冷酷かつ残忍で刑事責任は極めて重大。死刑はやむを得ない」と指摘し、上告を棄却したとのこと。
裁判官5人全員一致の意見とのこと。

小法廷は、被告が被害者を刃物で刺し、冷凍庫内に閉じ込めて殺害したと認め、「冷酷かつ残忍で、強固な殺意が認められる」と指摘したとのこと。経済的に困窮し、金銭目的で以前の勤務先だった店の社長らを殺害した被告の刑事責任は極めて重大だとし、事件が計画的でなかったことを考慮しても死刑はやむを得ないと結論付けたとのこと。

事件では、凶器などの物的証拠や直接の目撃証言がなく、被告は逮捕時から無罪を主張していたが、1、2審は被告が犯人と認定。小法廷も支持したとのこと。

こんなところですね。
ほぼ1審、2審の判決が支持されたようです。
事件から8年、死刑が確定して事件が終了ですね。

高齢の経営者、女性の経営者など腕力的に自信が無い場合などは、お店で一人にならない等、注意が必要なんでしょうね。

投稿: ASKA | 2021/01/29 10:24

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