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2017/02/22

東京都小金井市女性アイドル刺傷事件その5(公判開始)

初公判に先立ち昨年12月16日被害者の状況を代理人弁護士が記者会見している。
被害者は9月初旬に退院したが、現在も治療中。顔や首、手、腕に傷があり、今後、目立たないようにする手術を受ける予定との事。

被害者は、刺されたときの大量出血によって脳梗塞になり、左目の視野が狭まっている。また、右手の動きが悪く、右足の親指は動かない。
また、医師からは中度~強度のPTSDに該当するのではないかと言われているとの事。

被害者は「男の人がいると恐い、逃げられない空間が恐い」と話しており、付き添いなしでは公共交通機関を利用することができない状況との事。

今後の芸能活動については、「いまは、考えられる状況ではない」と話しているとの事。

2月20日、女性を殺害しようとした罪に問われた男の裁判員裁判が始まり、男は起訴内容を認めたとの事。

裁判は20日午前10時から始まり、被告(28)は上下黒のスーツ姿で、逮捕時よりもやせた印象で起訴内容を全面的に認めた。

被告は、芸能活動をしていた被害者の首や胸などをナイフで刺して殺害しようとした罪に問われている。裁判で、裁判長から起訴内容について「違っているところはありませんか」とたずねられると「いえ、ありません」と答えたとの事。

検察側は冒頭陳述で、「被害者に贈った腕時計と本3冊を返送されたことなどに恨みを募らせ、『死ねっ』と言いながら、被害者が動かなくなるまで刺し続けた。残忍性が高く、殺意は強固なものだった」と指摘したとの事。
弁護側は「計画的で強固な殺意はなく、突発的なものだった」と主張したとの事。

被告は被害者を何度も刺しながら、「死ね、死ね、死ね」と繰り返したと指摘されたが、表情を変えることはなかったとの事。

事件現場では最初に被害者の右腹部を刺した後、左腕を首に巻き付けさらに胸部を複数回刺したという。大量の出血で倒れ込んだ被害者の背中にさらに複数回ナイフを振り下ろしたと説明されたとの事。

弁護側は事件当日、駅で被害者を見つけて話し掛けたが無視され、衝動的に刺したと説明。自分で119番通報もしており「計画性はない」と訴えたが、ナイフは事件6日前に通信販売で購入していたとの事。

20日午後、「あと少しで死ぬところだった。犯人は許せない」などとする被害者の供述調書を検察官が読み上げたとの事。

調書で、被害者は被告(28)から結婚を迫られ、ブログに「ストーカー的志向です」と書き込まれたとし、「気持ち悪いから、怖いと感じるようになった」と恐怖を説明。事件で顔や全身に傷を負い、「生活が事件前と全く違うものになり、悔しくてたまりません」と訴えたとの事。

その上で、被告に対し「死んでしまってほしい。そうでないなら一生刑務所に入っていてほしい」と憤りをあらわにしたとの事。
他には「事件で顔に傷が残り、もう女優は無理だと思う。歌だけは奪われたくないと考え、リハビリを続けている。悔しくてたまらない」

被告は平成26年ごろに雑誌で被害者を知り、被害者が出演した舞台で花束などを贈るようになった。被害者のブログや短文投稿サイト「ツイッター」に頻繁にコメントを書き込んでいた上、舞台を終えた被害者に「付き合ってほしい」「結婚してほしい」などと話しかけていたとの事。

「プレゼントされた腕時計と本は所属事務所の方針もあって受け取ったが、気持ち悪かった。私は何度もはっきりと『交際や結婚は無理です』と意思表示をしたが、聞き入れなかった」との事。

 被告はその後も「諦めない。僕はしつこい」「憎んでほしい。愛している」「拉致監禁とか起こらないといいけど」「不必要なら本と時計を返してほしい」などとコメント。被害者は恐怖を感じ、所属事務所に届いた年賀状に記載されていた被告の自宅住所に時計と本を送り返した。警察にも相談し、対応した警視庁武蔵野署から「小金井市でのイベントの日を教えてほしい。何かあればすぐ駆けつけるから通報を」と伝えられていた。

事件当日、被告は駅で被害者を待ち伏せし、被害者の横を歩きながら「話がある」と述べた。被害者が「話はできない」と答え、通報しようとした瞬間、刺されたとの事。

被害者は「事件で普通の日常が全く変わってしまった。大好きだった演技や歌、ギターも後遺症で続けられるか分からない。出所したら今度こそ殺しにくるのではと思ってしまう。ずっと刑務所に入れておいてほしい」と結んだとの事。

21日の裁判では、犯行を目撃した女性が出廷し、「被告は常軌を逸していた」「野生の動物が獲物を仕留めているようにしか見えなかった」と当時の様子を証言したとの事。

午後から証人として出廷した被害者の母親は、リハビリについて、「娘は一生懸命ですが、『こんなの全然治らない』と泣いたり、傷を見ては悲しんでいます」と証言しました。被告に対しては「身勝手な言い分と行動で娘の心も体も傷だらけにされた」「娘はたまたま生き残っただけで殺人事件だと思っています」「娘が安心して暮らせるような判決をお願いしたいです」と涙ながらに訴えたとの事。

22日の裁判では、被告人質問が行われ、男は「プレゼントを返されて強い怒りを感じた」などと述べたとの事。
スーツ姿の被告は特に感情的になることもなく淡々とした口調で、女子大学生に対して、なぜ怒りや悲しみを抱くようになったのかを語った。

事件前の心情について「被害者のツイッターにコメントしても、僕だけ返信が来なかった」「プレゼントを送り返され、悲しみと怒りがわいた」と説明。事件前に購入したナイフを持っていた理由は「お守り。精神的な心の支えにするためだった」としたとの事。

被告は初めて被害者に会ったとき、「思ったよりも小さくてかわいいなと思った」と語った一方、プレゼントを送り返されたことについて、「すごく悲しい気持ちになった。強い怒りを感じた」と話したとの事。その後、被害者に会おうとした理由については、「自分の中でモヤモヤしていたので、ちゃんと話してふんぎりをつけたかった」と語った。

また犯行当日、被害者に声をかけ、対応してもらえなかったことについて「贈った本と腕時計を返送した理由を聞こうと思ったが、話を拒絶され、絶望や悲しみを感じて刺した」と語った。その上で、犯行当時、何を考えていたか問われると、「何も考えていない」などと答えたとの事。さらにナイフで刺した後、被害者に対し「生きたいの?生きたくないの?」と声をかけたなどと述べたとの事。

被告は被害者を刺した後、「生きたいの、生きたくないの」と問いかけ、「『生きたい』と答えたように思ったので助けたいと思い、119番をした」と当時の状況を話したとの事。

22日の被告人質問で被告は、被害者に対して「申し訳ない、しかない」と述べた。その一方で、「ナイフはお守りとして買った」「『死ね』などのブログの書き込みは自分に向けたものだった」と述べた上で、「殺すつもりはなかった」と、被害者に対する殺意を否定したとの事。

検察官から、初公判では殺意を持って刺したとする起訴内容を全面的に認めていたことを指摘されると「黙秘します」と答えたとの事。

こんなところですね。
まー毎度の事ながら、ストーカー事件の被告の証言と言うのは身勝手な物が多いですね。
今回、被害者が死亡していないので、殺人未遂での裁判になるわけですね。

殺人未遂とは殺害行為に着手したが相手が死ななかった場合である。相手が怪我をしたにとどまる場合は法条競合として傷害罪ではなく殺人未遂罪のみが成立する。
(Wikiより抜粋)
法定刑は殺人罪と同じ、「死刑又は無期懲役もしくは5年以上20年以下の懲役」。
実際には死刑は無いでしょうね。

なので、殺意が無いと殺人未遂にはならないと言うのがポイントですね。殺意が無いのであれば、傷害罪になるでしょう。
傷害罪だと法定刑は「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」。

現行犯逮捕で逮捕時に「犯行を認めていた」ので、犯行事実を争うのは無理でしょうね。
他に、責任能力も問題ないようですから、あとは量刑で争う以外に方法は無いと言うのが弁護方針なんでしょうね。

で、量刑に関わる最重要なポイントが「殺意の有無」と言う事ですね。

まー、執拗に刺してますし、「死ね、死ね、死ね」と繰り返しながら刺している事、凶器の購入が6日前だった事などを考えると、「殺意が無い」と言う主張には大きな疑問が有りますね。
それに、初公判で殺意を認めていると言う指摘に対して「黙秘」ですからね。

結局は裁判が進むにつれ、保身と言うのが脳裏に浮かんでしまうんでしょうね。
これで、罪を認めて謝罪するなら、反省し出所後は更生すると思えるんでしょうが・・・これでは、被害者の言う「出所したら、今度こそ、殺しに来る」と言う疑念も仕方が無いと思いますね。

それにしても、こんな理不尽な事件が、もしかすると「自分」や「家族」に起きるかもしれないわけですから、ストーカー事件については、制度を強化する必要があるかもしれません。
最近の報道ではストーカーに対して、警察が治療を勧めたところ、6割超が拒否、受診したのは25%との報道がありますね。
もう少し強制を強める制度にしても良いような気がしますね。

公判の行方に注目しましょう。

***お知らせ***
この事件はこれまで、「ニュース」カテゴリで扱っていましたが、今回「ストーカー」カテゴリに変更しました。

参考リンク
東京都小金井市女性アイドル刺傷事件その4(過去にも事件)
東京都小金井市女性アイドル刺傷事件その6(一審判決)

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コメント

求刑は懲役17年です。

被害者は2月23日に東京地裁立川支部での裁判員裁判で意見陳述し、事件後初めて心境などを語った。
検察側は論告で「常軌を逸した身勝手な犯行」と指摘し、懲役17年を求刑したとの事。

34カ所刺された被害者は懸命のリハビリに励むが、後遺症の苦しみが続き「大好きだった歌うことも苦痛」と語った。
傷付いた心を「生きていて良かった気持ちと、傷だらけの自分を見て苦しくなる気持ちが毎日繰り返される」と表現したとの事。
また「犯人が夢に出てきて、また私を殺そうとする」という不安と恐怖でほとんど眠れないと述べたとの事。

陳述の後半、ついたてで囲まれた席で「思い通りにならないと殺そうとする。恨んで殺しに来る」「被告はまた同じことをする。野放しにしてはいけない」と涙声で訴えると、被告は「じゃあ殺せよ」と叫んだとの事。
被害者が「絶対に許してはいけない。今度こそ殺しに来る」と続けると、被告は再び「殺すわけがない」「殺すわけないだろう」などと声を上げ、裁判長から退廷を命じられたとの事。

ついたて越しに行われた意見陳述で、被害者は「(被告は)ファンではなくストーカー。大切に積み重ねた時間を奪われた。傷のない元の体を返してほしい。悔しくて許せない」などと時折言葉を詰まらせながら思いを訴えたとの事。

検察側は論告で「一定の計画性があり殺意も強固。類例のない悪質性、反社会性がある」などと指摘した。判決は28日との事。

被告の弁護人は「被害者と話ができないことに絶望し、好意が怨恨(えんこん)に変化した衝動的な犯行」と主張したとの事。

こんなところですね。

求刑が懲役17年ですか・・・
検察としては、被害者が死亡してない、殺人では無いので基本的に死刑が無いから、スタートは無期懲役なんでしょうね。
そして、殺人を途中で中断したので、その分を減じて、懲役20年、さらに、119番通報しているので、更に減じて懲役17年ぐらいと言うところかな?
(これは私の推測です)

普通の殺人未遂事件ならその論法でも良いかと思いますが・・・・人生の夢として、これまで膨大な時間をその練習に費やした歌手や女優といった夢を奪われて、その上、日常生活に支障がでるほどの後遺症があり、重度のPTSDも見受けられる。
これほどの被害がある事件を「殺人未遂」と言う枠の中で考えてしまって良いのでしょうか?と言うのが疑問なところですね。

彼女が夢見た、思い描いた人生とは全く違う、辛く苦しい人生にすり替わってしまったんですよね。しかも、それが一生続くわけでしょ?

肉体は生き残ったけど、しかし、これまでの人格と言うか人生は、壊滅的に破壊されてしまっている。
もし、人格殺人罪とか人生破壊罪のような罪があったとしたら、それは懲役何年になるのでしょうか?

私としては、無期懲役の求刑でも良かったと思いますね。
無期懲役でも減刑されれば、懲役20年程度になってしまうかもしれない・・・

懲役17年なら、そのまま有罪になっても、割り引かれて懲役15年程度になってしまうのではないか?

時々、判決が求刑よりも重い場合がありますが・・・この事件はどうなんでしょうね。

判決を待ちましょう。

投稿: ASKA | 2017/02/24 20:49

被害者はある意味死ぬより辛い思いをされています。
苦しかろう。人の痛みをわからぬ野郎は、反省の色がない。
17年では軽すぎる。このバカには苦しい苦しい天罰が下ります様に。
そして最後には地獄に落ちてほしいです。

投稿: 空き地 | 2017/02/28 20:13

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