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2017/06/17

埼玉県狭山市3歳女児保護責任者遺棄事件その2(一審判決)

女性被告の一審判決は懲役13年(求刑懲役13年)です。
(男性被告の一審判決は懲役12年6月、6/9 確定)

保護責任者遺棄致死や暴行などの罪に問われた、母親の無職女性被告(24)の裁判員裁判の初公判が5月29日、さいたま地裁で開かれた。
被告は罪状認否で暴行などの罪を認めたが、保護責任者遺棄致死罪については「なぜ亡くなったのか分からない」と述べたとの事。
弁護側は、被告が女児に必要な保護をしなかったことと死亡の因果関係について争う姿勢を示した。

冒頭陳述で検察側は、被告が同居していた男性被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役12年6月の判決=と約4カ月にわたり、十分な栄養を与えないなどの虐待を繰り返した経緯に触れ、「要保護状態だった女児を放置したから死亡した」と指摘。
死亡する直前、男性被告が冷水をかけて放置した行為については、「女児の死を早めたにすぎない」とした上で、「普段から2人が行っている虐待行為の一つで、女性被告も積極的に加担している」と2人の共謀を強調したとの事。

弁護側は、被告が男性被告と同居を始めてから虐待行為が始まったと説明。「男性被告の束縛により、外出も控えるようになった。妊娠中でつわりも重なり、ストレスがたまっていた」と述べた。女児の死亡については、「男性被告が冷水をかけて放置したのが原因」と主張し、医療措置を受けさせなかったことと死亡の因果関係は認められないとしたとの事。

起訴状によると、女性被告は男性被告と共謀して昨年1月8日夜、十分な栄養を与えずに低栄養状態に陥っていた全裸の女児に冷水をかけて9日未明まで放置し、免疫力低下による敗血症で死亡させたなどとされる。

女性被告(24)の裁判員裁判の第2回公判が5月30日、さいたま地裁で開かれた。解剖医の証言から、女児が高度なストレス状態に置かれ、死に至る危険性が高い状態だったとの事。

検察側の証人として、女児を解剖した男性医師が出廷。検察側から遺体の所見を問われると、胸腺が異常に萎縮しているなどの状況を挙げ、「高度なストレス状態で、免疫力は著しく低下していた。円形脱毛症も複数にあった」と証言し、虐待の影響をうかがわせたとの事。

女児の死因は免疫力低下による敗血症。男性医師によると、口腔(こうこう)内にできた傷から細菌が入り込んだ可能性が高いといい、「口腔内は粘膜が裂けて剥がれており、傷は見たことのないくらい広範囲。棒状のものを突っ込まれたと考えられる」と述べたとの事。

検察側は5月29日の初公判で、要保護状態だった女児を放置したことが死亡の原因とする一方、弁護側は同居していた男性被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役12年6月の判決=が冷水をかけ、裸のまま放置したことが原因と主張。昨年1月5、6日には女児が震えるなどの症状を起こしていたことが分かっているとの事。

証人尋問で検察側から、1月5、6日の女児の状況を問われると、男性医師は「死に至る危険がある状態。家庭で対処できるレベルではない」とした。
1月8日夜に冷水をかけて放置した点は、「(冷水をかけて放置しなくても)そのままであれば、生存できるのは近接した時期まで」と述べたとの事。

この日は、男性被告が証人として出廷。男性被告は女性被告の女児への対応について「長女と全然違う」とし、「対応の違いを注意しても、けんかになり言い返されてしまった」と述べた。虐待を続けた理由は自身の公判と同様、「女性被告に指示された」などと繰り返した。1月8日夜、女児に冷水をかけて放置した行為は「自分がかけた後、女性被告がまた水をかけに行った」と主張したとの事。

女性被告(24)の裁判員裁判の第3回公判が6月1日、さいたま地裁で開かれた。
被告人質問で女性被告は昨年12月以降「自分は虐待をしたくないと思うようになった」と主張したとの事。

女性被告は2015年5月ごろから、男性被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役12年6月の判決=と同居し、同6月に妊娠が発覚。共謀して9月ごろから女児に虐待したとされる。

被告人質問で弁護側から当時の状況を問われると、「つわりがひどく、精神的にも不安定になった。彼(男性被告)の束縛で外出もできず、女児にイライラした」と説明。虐待は「彼が提案した。私も女児が静かになってくれたらいいと思っていた」としたとの事。

検察側証拠によると、女性被告は男性被告とのけんかを機に15年11月、子ども2人を連れ実家に帰ったものの、その後男性被告との生活を再開。12月からは冷水をかける虐待も始まったとされる。

女性被告は「母には、彼のところに戻ったら縁を切ると言われた。縁を切ったことで女児が人目につかなくなり、彼の虐待がエスカレートした。私は虐待をしたくないと思うようになっていた」と主張したとの事。止めなかった理由については「経済的、将来的な不安があった。彼にしか頼れず、居場所はここしかないと思った」としたとの事。

両被告のライン(LINE)からは、昨年1月5、6日に女児が体を震わせるなどの症状があったことが記されている。ただ、女性被告は「症状が治まったので気にならなかった」と述べたとの事。

公判では女性被告が書いた反省文が読み上げられ、女性被告が涙を見せる場面も。女児に対しては「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪したとの事。

被告(24)の裁判員裁判(第4回?)が6月8日、さいたま地裁であり、検察側は「無慈悲かつ卑劣」と懲役13年を求刑したとの事。

検察側は論告で「低栄養状態だった女児に女性被告らが必要な治療を受けさせなかったために死亡した」と指摘。
弁護側は日常的な虐待について認めたが、死亡したのは同居していた男性被告(26)=同罪などで懲役12年6月の判決=が冷水をかけて浴室に放置したのが原因とし、懲役5年が妥当と主張したとの事。
弁護側は保護責任者遺棄致死罪は成立しないと懲役5年を主張、同罪が成立しても懲役7年が相当として結審した。

論告によると、女性被告は昨年1月8日夜、男性被告と共謀し、全裸の女児に自宅浴室で冷水をかけて9日未明まで放置し、死亡させたなどとされるとの事。

検察側は論告で、1月5、6日の時点で女児に体の震えなどの症状が出ていたとして、「病院に連れて行くなど必要な保護を与えていれば被害者は死ななかった。女性被告は被害者が要保護状態であると認識していた」と指摘。8日夜、男性被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役12年6月の判決=が冷水をかけて放置した行為は「死を早めたにすぎない」とした。一連の虐待行為について「実母である女性被告の役割は小さくない。自己の責任を回避する弁解に終始している」と述べたとの事。

弁護側は女児の症状を「病院に連れて行かなければいけないほど危険な状態にあったとは言えない」と保護責任者遺棄致死罪を改めて否認し、懲役5年が妥当とした。男性被告が冷水をかけて放置した行為が女児の死亡の原因と主張し、「女性被告は女児が(浴室から)出られるように働き掛けていた。積極的に関与していない」と強調したとの事。

最終意見陳述で証言台の前に立った女性被告は、「私は女児を守らなかったんです。苦しい思いをいっぱいさせてしまい、本当にごめんなさい」と泣き崩れたとの事。
別の報道では
被告は「裁判でいろいろ聞かれて反省が足りなかったんだと1週間考えた。私は助けられなかったのではなく助けなかった」と泣きながら陳謝したとの事。

埼玉県狭山市で昨年1月、同居する女の次女=当時(3)=を虐待し、死亡させたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた男性被告(26)を懲役12年6月としたさいたま地裁の判決が6月9日、確定した。

傷害罪にも問われたが、同罪については無罪になっていた。検察、弁護側双方が期限までに控訴しなかったとの事。

6月15日、さいたま地裁で、裁判長は女性被告に求刑通り懲役13年とする判決を言い渡したとの事。
裁判長は「実母として保護すべき立場にありながら生存に必要な保護をしなかった」と母親の責任を重視し、「無慈悲かつ卑劣で極めて悪質」と求刑通り懲役13年を言い渡した。

裁判長は、「(男性被告、女性被告)それぞれの虐待はしつけの域をはるかに超えたもので、到底正当化できるものではない」とし「女性被告は、実母として最も女児を保護すべき立場にあり、その点で男より強い非難に値する」として検察側の求刑通り、懲役13年の判決を言い渡したとの事。
公判での女性被告の供述なども「内縁の夫の責任ばかりを強調する態度」と批判し「罪に正面から向き合えているとは到底認めがたい」と述べたとの事。

裁判長は判決で、「医療措置を受けさせるなどの必要な保護をしていれば、女児は死ななかった。女性被告も十分に認識していた」とし、保護責任者遺棄致死罪を認定。男性受刑者が冷水をかけて放置した行為は「かねて繰り返してきた虐待の一環に過ぎず、女性被告は十分予測可能で、放置行為について積極的に加担していた」と弁護側の主張を退けたとの事。

判決では女性被告と男性受刑者の役割の大きさにも言及し、「実母として最も被害者を保護すべき立場にありながら、被害者の生存に必要な保護をしなかった。男性受刑者以上に強い非難が妥当」と指摘。「犯行態様は無慈悲かつ卑劣で、動機は虐待の発覚を恐れたと推認され卑怯」と非難したとの事。

女性被告は8日に行われた公判の最終意見陳述で涙ながらに謝罪の弁を述べていた。だが判決は「反省は不十分で、今後、より真剣に罪と向き合って自責と反省の念を深めていく必要がある」と指摘し、求刑通りの判決を下したとの事。

これまでの公判と同様、白いブラウスに長い髪を後ろに束ねて出廷した女性被告。判決が読み上げられた後、裁判長に向かって深く一礼して退廷したとの事。

NPO法人の代表で弁護士の談
弁護士によると、虐待を判断するための危険な兆候はいくつかのパターンに分けられる。最も危険なのは、面会・指導の拒否。このほか、
(1)乳幼児検診未受診
(2)同居人あり
(3)傷やあざがある
(4)児童が無表情
(5)威嚇する言動

などがある。今回の事件は終盤になって、これらの兆候がみられたとの事。

「女児の乳幼児検診が未受診だったことや、110番通報があったことを関係機関が知っていれば防げたのではないか」。県に先月、児童虐待の情報を関係機関で共有するよう求める要望書を提出したとの事。

さて、男性被告(受刑者)、女性被告の刑が出そろいましたね。
この記事を書いていて改めて感じましたが、もう言葉もありませんね。
何かすごい、無力感と言うか絶望感と言うか、呆れてしまうというか・・・

だってさ、3歳の子供に複数の円形脱毛症ってどれだけのストレスなんですか?
口の中も傷だらけで、痛くて食べ物も食べられなかったのではないの?
顔にも火傷で、どれほど痛かったのか?苦しかったのか?助けてくれるはずの実の母親が積極的に関与してるって、もう、子供にしたら、絶望しか無かったんじゃないかな?

積極的に関与とは言われてないが、実の母親が虐待を黙認したのなら、それは積極的に関与したのと同義だと思いますね。

そんな状態で、「なぜ亡くなったのか分からない」なんて言うのは、記憶の改竄があったのか?と疑いたくなりますね。

それに、弁護側の主張にも矛盾があるような気がします。
死亡した原因は「男性被告が水を掛けて放置したから」と言う事ですが、その通りなら、死因は「低体温症」とか「凍死」でしょ?
でも死因は「敗血症」なんですよね。

敗血症の原因になるような傷を負わせて、その上、治療をさせなかった。そして、4ヶ月にわたり食事もろくに与えずに低栄養状態で免疫力が低下してるんだもの、そりゃ、敗血症になりますよね。

母親なら、子供の栄養状態や健康状態には普通に気をつかいますよね。

それに、最後の夜だって、そんなに広い家ではないでしょ?子供がいない事ぐらい分かるはずじゃないですか?

顔の火傷だって、女の子の顔の傷なんですから、そりゃあ一大事で、病院にいかないなんて事は常識的に無いでしょ?

もう、母親としての責任の一切を放棄しているようにしかみえませんね。

とは言え、まー女性特有の事情があったのは確かなようで、今回の事件でも、男性と別れる事ができなかったと・・・
ただ、一度別れて、実家で生活していて、男とよりを戻すなら縁を切ると母親に言われていると言う事は、被告の母親はこの男との交際には反対だったんでしょ?
反対の理由は分からないけど9月から虐待して11月に実家に戻っているから、子供の様子から虐待を知ったのではないのかな?

その時に子供の虐待をしたくない、させたくないなら、どうしてよりを戻したのか?
結局、自分の事しか考えてないと言う事なのではないの?

結果、被告の母親とも絶縁状態となり、帰るところが無いと、虐待を黙認してしまった(しかし、二人とも虐待を楽しんでいるので、黙認と言うにはかなりの違和感があります)その点について、裁判長は放置行為については積極的に加担していると断じてますね。
他には、無慈悲かつ卑劣で、卑怯と表現してます。

結局、子供を抱えたシングルマザーの上、妊娠して経済的に自立できなかったと言う事なんでしょうけど・・・
出産した時にはこんな事になるとは思ってなかったんでしょうが、やはり、妊娠出産は慎重にしてほしいですね。

あと最後に一つ、今回の公判で被告が言い訳と責任転嫁に終始してしまった事で、「内縁の夫の責任ばかりを強調する態度」と批判し「罪に正面から向き合えているとは到底認めがたい」と指摘されています。

もし、最初から罪を認めて反省の態度をしめしていたら、判決はどうなっていたのだろうか?
女性特有の事情もあった事を考えると、求刑から1、2割ぐらいは減刑されてもおかしくないと思うんですよね。

今回は同居男性も積極的に虐待に参加していて、罪を全て同居男性に被せると言う戦略だったのかもしれません。
成功すれば、弁護側の主張していた、懲役5年程度もあったかもしれません。

しかし、結果は真逆で母親として、罪の重さが強調されてしまった印象です。
被告人自身の意向なんでしょうが、弁護方針について弁護人はどう考えていたのかな?
ちょっと、気になりました。

この手の事件はホントに涙がでますね。
しかし、これまでも涙が出るような事件は何度も起きてました。
こんな不幸な子供が2度と現れないように、社会全体でなんとかしなくてはなりませんね。

亡くなった女児のご冥福をお祈りします。
次に生まれてくる時は普通の家庭に生まれますように。

参考リンク
埼玉県狭山市3歳女児保護責任者遺棄事件

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コメント

行政関係で考えつく点としては、マイナンバーに期待しています。セキュリティや管理社会への危惧など課題はありますが、縦割りでない情報共有の肝になるのではないかと。しかし、この方法も転入などの様々な届け出がなければ意味がなくなってしまいます。
最終的なところは、現場にいる人次第なんでしょうね。

投稿: つれづれ | 2017/06/22 00:57

この事件の裁判を傍聴してきた者です。
被告人(母親)は最後まで「助けられなかったのではなく助けなかった。守ってやれなかったのではなく守らなかった」と、自分では手を下していない口ぶりでしたが、LINEに本人も自ら積極的に虐待を行なっていたことが窺える記録が残っていた為、その点だけ見ても”反省は不十分”だと私も感じました。
ちなみに女児の口の中の傷は、同居男性が自らの手で強引に歯磨きをしていた際に負った傷とのことです。どれだけ激しくすればそのような傷になるのか想像すると胸が痛みます。

投稿: | 2017/07/30 03:34

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