初公判(2018年1月26日)さいたま地裁
1)被告は罪状認否で事件について話さず、意味不明の発言をした。弁護側は「公訴事実について意見を留保する。何らかの犯罪が成立するときは、心神喪失で無罪を主張する」と述べたとの事。
2)冒頭陳述で検察側は、被告がこれまでに接点のない3件の事件現場に立ち入り、被害者らと接触した痕跡があることから、被告が犯人であると指摘。包丁で身体の主要部を多数回突き刺す殺意があり、金銭に窮していたことなどから強盗目的と断じたとの事。
3)検察側は責任能力について、被告に被害妄想や誰かに追われている追跡妄想があったものの、関係のない6人が殺害され、金品が奪われたこととは直接結び付かず、妄想の影響は間接的であるとしたとの事。
4)弁護側は、被告が統合失調症にかかり、誰かが自分を殺しに来るという妄想に支配されていたと主張。事件の前に任意同行された熊谷署から逃走した後、「気が付くと病院のベッドの上だった」とし、「現在、事件について語ることができない」と述べたとの事。
5)被告は、罪状認否を問われ、「ある日、あることを聞いた。その人は頭の上にカップを置いた。私も頭の上にカップを置きました」と脈絡のないことを答えた。証拠調べでは、勝手にしゃべりだし、裁判長に注意されたとの事。
6)被告は身柄を確保された際に住宅2階から落ち、頭の骨を折るなどの重傷で入院。県警の調べに対して容疑を否認し、「覚えていない」などと供述していた。事件前には知人に「背広の男に追われている」と語るなど不審な言動も見受けられ、さいたま地検は被告の鑑定留置を実施。責任能力が問えると判断し、昨年5月に起訴した。弁護側が請求した精神鑑定では統合失調症との診断が出たとの事
7)は2月19日まで計12回の予定、判決は3月9日の予定。
第2回公判(2018年1月29日)
8)最初の犠牲者となった熊谷市見晴町の男性TMさん=当時(55)、妻M佐枝さん=同(53)=夫妻の長男は「犯人に一番重い処罰を望む」と極刑を求めたとの事。
9)証人尋問で長男は、9月14日の事件当日に親族から連絡があり、警察署で両親が殺害されたことを聞いたが、「実感が湧かなかった」と説明。数日後に遺体が返されて「本当だったんだな」と実感したとの事。3人家族で両親を一度に亡くし、直後は「お酒を飲まないと眠れなかった。実家で一人で過ごすと寂しかった」と喪失感を語ったとの事。
長男は県外で美容師をしており、「立派な美容師になったところを両親に見せたかった。髪を切ってあげたかった」と話したほか、「もっと親孝行したかった。生まれてくる孫を見せたかった」と悔やんだ。もともと事件の翌日に帰省する予定で、3人で旅行の計画を立てていたとの事。
生前の父については、一人息子だったため、「(自分と)兄弟みたいな感じだった」。父の趣味で作ってもらった自転車を通勤で使っていたという。母については「ステンドグラスやドライフラワーなど趣味が多くて、交友関係がすごく広かった」と惜しんだ。今後は「もちろん寂しい気持ちはあるが、仕事を一生懸命頑張ることが供養になる。頑張っていきたい」と答えたとの事。
10)事件の110番通報者で、M佐枝さんの友人女性(57)も証人として出廷した。女性はM佐枝さんに散歩に誘われ、14日午後5時10分すぎにTさん方を訪問したとき、誰もいなかったが、「『あー』とか『うー』とか女の人の声が聞こえたような感じがした」と説明。同40分ごろ、2回目に訪ねると、Tさんの車に肌の浅黒い、細面の不審な男が乗っていたと述べたとの事。
女性は「男性TMさんかと思ったが、何となく違う」と気付かないふりをして一度立ち去ったという。その後に友人を呼び、M佐枝さんの父親も連れ添って同6時ごろ、3回目に訪問し、2階で男性TMさんと妻M佐枝さんを発見したとの事。
M佐枝さんについては「まだまだ10~30年、多くの友人と楽しく過ごせた彼女の人生を全て、あの9月14日で断ち切られた。無罪は絶対にありえない」と語気を強めたとの事。
第3回公判(2018年1月30日)
11)事件で妻M和子さん(41)、長女の小学5年M咲さん(10)、次女の小学2年H花さん(7)=いずれも当時=を亡くした男性(45)が証人として出廷し、被告に対して「絶対に許さない。死刑以上の判決があるなら、それを望みたい。3人が苦しんだ以上の苦しみを3回味わわせたい」と述べたとの事。
男性は「娘が結婚したときにウエディングドレス姿を見たいと妻と話していた」と家族3人を奪われた悲しみを吐露したとの事。生前のM和子さんについては「誰にでも優しく、思いやりがあり、尊敬できる人」と形容し、M咲さんは「感受性が強く、努力する子」、H花さんは「人を笑わせること、世話することが好き」と振り返ったとの事。2人は将来、ケーキ屋さんやパン屋さんになりたいと言っていたとしたとの事。
M咲さんとH花さんの名前はM和子さんが付けたとし、由来に関しては「美しく咲く春の花のように、寒い冬を乗り越えて力強く芽を出し、つらく苦しいときも2人で助け合い、手を取り合えば、美しい人生になるでしょうという願いを込めた」と明かしたとの事。
公判翌日の1月31日はM咲さんの誕生日。男性は「生きていれば13歳で、家族4人でお祝いしてあげられた。楽しい時間を過ごせたはずなのに、今は本当に悲しい気持ちしかない」と述べたとの事。
また、3人目の被害者となったS石K代さん=当時(84)=の義理の娘で、110番通報した女性も出廷。1階和室に普段置かれていないマットがあり、めくると血の塊があったことから通報したと説明。マットは血を隠すように置かれていたとしたとの事。
毎週土曜日にS石さん方を訪れ、いろいろな話をしたといい、「100歳ぐらいまで長生きして、もっともっと楽しみたいと言っていた。今はもうこの世にはいないんだなと思う」と涙声で語った。被告に対しては「なぜ殺さなくてはいけなかったのか。厳罰をお願いします」と述べたとの事。
第4回公判(2018年1月31日)
12)事件直後に負傷して入院した病院の担当医師が証人として出廷し、被告が意識を回復した後、「2人、殺した」と言葉を発したことを証言したとの事。
被告は15年9月16日、身柄を確保された際に事件現場の住宅2階窓から落ち、頭の骨を折るなどの重傷を負って深谷市内の病院に入院した。同月24日に意識を取り戻し、医師が声を掛けると、ささやくように日本語で言葉を発したとしたとの事。
13)医師は、重体患者が意識を回復したときに判断力の低下で幻覚や錯覚を示す場合があるといい、当時の被告についても「その可能性は否定できない」と述べたとの事。「2人」と「殺した」を続けて言ったのではなく、医師との1分間ぐらいのやりとりの中で二つの言葉を発したとの事。
14)公判には、被告と17歳離れた実姉も証人として出廷。実家は貧しく、父が家族に暴力を振るうなど粗暴な性格で、兄が犬を殺して家に内臓を持ち込むこともあったとした。被告が8歳の頃、ネズミの腹をかみそりで切ったことがあり、姉が病院に連れて行ったとの事。
姉は来日後に一緒に暮らしていたときに、被告が「黒い影が現れて寝かせてくれない。家の中に悪いものがいる」と話していたことも証言。姉によると、ペルーでは悪魔のような存在が人々に広く信じられており、「強い口調で言えば消える」と被告を諭し、医療機関は受診させなかったとの事。
法廷での印象を問われ、「目が合っても無表情で、まるで別人みたいだ」と述べたとの事。
別の報道では
15)証人尋問によると、担当医に呼びかけられた被告は「2人」と言い、担当医が「2人が何」と聞くと、「殺した」と話したという。これに対し、弁護側は「発言は(錯覚や幻覚などの症状を伴う)譫妄(せんもう)と関係があるのではないか」と指摘、担当医は「可能性は否定できない」としたとの事。
こんなところですね。
うーん、後味の悪い事件になりそうです。
遺族としては罪の重軽いはあるものの、ちゃんと裁かれる事を望んでいるでしょう。
しかし、責任能力が争点になりそうで、結果として罪に問われない可能性がありますね。
現在のところ、弁護側の精神鑑定では「統合失調症」の診断がでていますが、検察側の鑑定では責任能力有りとの判断です。
姉の証言で以前から幻覚があったようですが、この時、受診して診断が出ていれば、弁護側には強力な証拠になったかもしれませんね。
そして、犯行時にも血文字を書いていたり、妙な行動をしているので、印象としては弁護側の主張にある程度の説得力があるように感じますね。
検察側としては、犯行時に正常な判断ができていたと推定できる証拠が必要ですね。
遺体や血痕を隠そうとしているあたりかな。
そのあたりを総合して裁判官がどう判断するのか?と言う事になりそうですね。
6人殺害ですから責任能力が認められれば、死刑は当確と言って良い事件です。
とは言え、どんな結果が出たとしても、ご遺族の無念が晴れる事はないでしょう。
遺族側の証言が心に刺さりますね。
公判の行方に注目しましょう。
参考リンク
埼玉県熊谷市ペルー人連続殺人事件その3(続報2)
埼玉県熊谷市ペルー人連続殺人事件その5(控訴審)
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