大阪府高槻市番田駐車場女性殺人遺体遺棄事件その23 (一審判決死刑)
一審判決は死刑(求刑:死刑)です。
1)大阪地裁は12月19日、2人への殺人罪に問われた男性被告(48)に求刑通り死刑を言い渡した。
2)2人への殺意があったと認め、2人に対する殺人罪が成立すると認定した。事件当時の完全責任能力もあったと認めたとのこと。
3)裁判長は2人の殺害を認定した上で「まれに見る重大事案。刑事責任は極めて重大で、極刑の選択はやむを得ない」と述べ、求刑通り死刑を言い渡したとのこと。
「遺体の鑑定結果などから被告が、男子と女子首を絞めて殺害した」と認定した。
そのうえで、「2人と出会ったその日に殺害していて、生命軽視の度合いは甚だしく更生は困難だ」と述べて、検察側の求刑通り、死刑を言い渡したとのこと。
男子の死因について「殺意を持って首を圧迫したもの」と認定し、女子についても「体格差のある女児の急所である首を絞めるのは、殺意があったことは明らか」として、殺人罪が成立すると判断した。そのうえで「生命軽視の態度は著しく、子ども2人の未来を永遠に奪った」と指摘したとのこと。
男子について「健康面に全く問題のない男子生徒が、仮に熱中症になったとしても、その日のうちに突然死するとは考えられない」とした。
弁護側が主張した「熱中症などによる突然死」について、「可能性は極めて低い」と退け、「これまでの被告の供述は、虚偽と言わざるを得ない作り話」だとしたとのこと。
また、発達障害が犯行に影響したと主張していた被告の責任能力を認め、「大人が守るべき中学1年の2人を出会ったその日に殺害していて、非難の度合いが格段と高く、生命軽視が著しい」、「何の落ち度がない2人を苦しむ中で殺害した、極めて例を見ない残忍冷酷な犯行」として死刑を言い渡したとのこと。
責任能力についても、事件前後に被告がスマートフォンで「DNA鑑定」「死体」などの言葉を検索していたことから、合理的で冷静な行動を取っていたと指摘。弁護側は発達障害の影響で心神耗弱状態だったと主張していたが、影響は限定的だと退けたとのこと。
被告は公判で、「女子に『京都に行きたい』と誘われ、拒否すると『警察に言う』と言われた」などと述べたが、裁判長は「虚偽と言わざるを得ない」と言及したとのこと。
動機や殺害順は明らかにならなかったとしたが、「1人目への犯行は突発的に犯行に及んだ可能性があり、2人目は口封じと考えられる」と認定。計画性は認められないものの、「生命軽視の態度は著しく、2人が殺害された事件の中でも類例をみない極めて重い事件」などとして、死刑はやむを得ないと判断したとのこと。
犯行の態様や遺族感情など10項目からなる最高裁決定(15年)の基準に基づき、死刑を適用するか検討。計画性はないが、「大人が守るべき対象である子ども2人を殺害したことは、類を見ないほど極めて重い」などとして、回避する理由にはならないと結論付けたとのこと。
被告が中学1年生との年齢差・体格差を利用していること、2人目の殺害は口封じを目的としていたことなどを挙げ、「計画性がないことが死刑回避の事情にまでなるとは言えない」と結論付けたとのこと。
4)被告は主文後回しを言い渡された際は静かに聞いていましたが、その後、事実認定を言い渡されている最中は途中からずっと上を仰ぎながら耳を傾け、少しぼうぜんとした表情を浮かべていたとのこと。そして、死刑判決を言い渡された瞬間は特に反応はなかったのですが、退廷する際に何度も裁判長や遺族側に深々とお辞儀(裁判長と遺族席に向かって計5回)をし、最後は刑務官に引っ張られながら退廷したとのこと。
言い渡しが終わっても証言台にとどまり、裁判長や遺族席に何度も頭を下げた。退廷を促されても立ち止まり、最後は刑務官5人に囲まれて退廷したとのこと。
5)今回の公判では裁判員6人と補充裁判員4人が選任されたが、裁判員1人と補充裁判員2人が辞任を申し出て、解任された。大阪地裁は理由を明らかにしていないとのこと。
6)被告側は即日控訴したとのこと。
こんなところですね。
判決については、予想通りと言うところでしょうか。
ここまでの、公判の経緯をみると、弁護側に圧倒的に不利だったと言う事ですよね。
弁護側の弁護方針や、裁判長いわく「嘘」としている部分なども良く考えると、弁護側には他に選択子が無かったと言う事なのかと思いますね。
2人への殺人が認定されれば、否認しても死刑でしょう?、同様に認めたとしても、軽くて「無期懲役」です。
弁護側としては、どちらに転んでも、死刑か無期懲役なので「一か八かの勝負」に出るしかなかったんじゃないかな?
結果として「やはり負けたか」と言うところなんだろうと思います。
「死刑か無期懲役」となれば、やはり、どんな手段を使っても回避したいと思うのが人情なんでしょうね。
結局は、罪に向き合っていないと言う事なんでしょうが、そこは時間が解決してくれるでしょう。
控訴して、上告して、それで最後の時まで罪に向き合う事ができるんじゃないかな。
ただ、控訴審で「計画性の有無」の部分の判断が変わる可能性があるので、そうなると、死刑回避の可能性も出ます。
なので控訴審も注目ですね。
亡くなった男子と女子のご冥福をお祈りします。
参考リンク
大阪府高槻市番田駐車場女性殺人遺体遺棄事件その22 (初公判)
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コメント
男性被告(49)が控訴を取り下げ、死刑が確定したとのこと。
取り下げ書面の提出は5月18日付。
男性死刑囚は5月21日、大阪拘置所で新聞の取材に応じ、「もうどうでもいいと思った」と話したとのこと。
昨年12月の一審判決は死刑でした。
弁護側の主張はほぼすべてが嘘と切り捨てられた状態でしたから、心が折れたということなのかもしれません。
運が良くても、無期懲役というあたりを考えると、20年服役したとして出所は70歳、その後の人生もバラ色とは言えない、どちらかと言えばつらい老後が待っているわけで、心が折れても仕方がないかもしれませんね。
別の見方もできますが・・・
素直に罪を悔いて罪を償う方法として死刑を望んだと言う可能性もありますが、それなら「もうどうでもいいと思った」と言う言葉にはならないと思います。
なぜ、被告人の人生がこんな結果となってしまったのか?というのは、いろいろな見方があるとは思うのですが、予測された未来だったのか?というのは気になるところです。
逆の言い方とすると、未来を変える事はできなかったのか?ということなんです。
被告人は2002年に複数の監禁事件を起こしてます。年齢は32歳前後というあたりですね。
で、服役して2014年11月に出所、年齢が44歳前後かな。
そして運命の2015年6月にこの事件を起こしている。出所後半年での事件です。
出所後は福島で除染作業をしていて、自立した生活をしているので、経済的な困窮などが犯行の動機には直接関係はないと思います。
ただ、大阪で職質されたときに車にはスタンガンや手錠がありますから、普段からこのような物を使う機会を待っていた可能性がありますよね。
なので、12年の服役生活では、被告人の犯罪性向を改善する事はできなかったということなんですよね。
ということは2002年の事件の後では、被告人を更生することは出来ないと言うか、更生させるには特別な対応が必要だったと言う事なんでしょうね。
だとすると、2002年の事件の前の段階で更生させないと、未来は変えられないと言う事なのかもしれません。
ただ、30歳を過ぎてますから、普通に考えれば自己責任の範囲なんだろうと思います。
だとすると、中学から成人するまでのあたりで人生が変わってしまったのかもしれませんね。
やっぱり青春時代というのが人生を左右する分岐点なのかもしれませんね。
この時期に人生をちゃんと生きないといけない、と言う事を教えるのが、大人の役目なんだろうと痛感します。
しかし、被告人の青春時代にそれを望んでそうしていたのか?というのはわかりませんけどね。
本人も15年後に自分がこんな事件を起こすとは思ってなかったかもしれません。
運命の歯車が一つずれていれば、この事件は起きなかったかもしれません。
避けられない偶然の結果だったのか?それとも、予測された未来だったのか?
本人はどう考えているのか?知りたいですね。
投稿: ASKA | 2019/05/22 21:03
2015年8月に大阪府寝屋川市の中学1年の男女が殺害された事件で、一審大阪地裁で死刑判決を受けた後、控訴を取り下げて死刑が確定した死刑囚(49)について、大阪高裁は12月17日、控訴取り下げを無効とする決定をしたとのこと。
死刑囚(49)は、2015年8月に寝屋川市の中学1年の男女を殺害したとして、去年12月に1審で死刑判決が言い渡されましたが、即日控訴していた。
判決後の今年5月18日、死刑囚は弁護人に相談することなく、自ら控訴を取り下げ、死刑判決が確定しました。しかし5月30日、弁護人が控訴取り下げを無効とするように申し入れた。
大阪高裁は控訴取り下げの経緯について、拘置所でボールペンを時間内に返却しなかったことを巡って看守とトラブルになり、懲罰も予想される事態となったことに自暴自棄となったと指摘しました。こうした経緯について大阪高裁は「あまりに軽率で、取り下げることによる結果を明確に意識していなかった疑いがある。直ちに判決を確定させてしまうことに、強い違和感と深い躊躇を覚える」として『控訴取り下げは無効』と結論付けたとのこと。
そういう事だったんですね。
まったくお騒がせですね。
それは置いておくとして、一旦死刑が確定してますから、その影響が控訴審で何か出てくるのか?と言うのは興味深いですね。
これで心境に変化があって、何か新しい証言をするのかな?
そうなれば、事件の真相に近づく事ができるかもしれませんね。
控訴審を待ちましょう。
投稿: ASKA | 2019/12/18 20:33
大阪高検は12月20日、取り下げを無効とした17日の大阪高裁決定を不服として最高裁に特別抗告したとのこと。
刑事訴訟法は取り下げ無効に関する手続きを定めておらず、高検は再び高裁の判断を仰ぐ異議申し立ても行ったとのこと。
こんなところですね。
死刑確定でも良いですが、控訴審が開かれても良いでしょう。
多分、2審で事実関係が1審同様に認定されれば減刑される事は無いと思います。
その意味では控訴審で弁護側が何を主張するのか?に注目ですね。
投稿: ASKA | 2019/12/20 18:04
最高裁第3小法廷は、1審で死刑判決を受けた男性死刑囚(49)の控訴取り下げを無効とした大阪高裁決定を不服とする検察側の特別抗告を棄却する決定をした。2月25日付。4裁判官全員一致の結論。
検察側はこの決定を不服として特別抗告したが、第3小法廷は決定で、「高裁が控訴取り下げを無効と認める決定をした場合は、決定から3日以内にその高裁に異議を申し立てるのが相当」と指摘。特別抗告は「不適法だ」と判断した。検察側は高裁に再び判断を求める異議申し立ても昨年12月に行っている。
これで、控訴取り下げが無効である事が確定したと言う事なんですね。
それで、控訴審の被告人の証言に注目しましょう。
投稿: ASKA | 2020/02/28 18:23