愛知県名古屋市北区受験勉強長男殺人事件その6(判決公判)
***判決公判(7月19日)***
名古屋地方裁判所は懲役13年(求刑懲役16年)の判決を言い渡した。
裁判所は、「心臓に深さ9センチの傷があり、強い力で突きつけた」とし、被告に「殺意」があったことを認定した。強い力で一気に刺入されたと認定した。
判決は「被害者の態度にいらだちを募らせた末に激高し、衝動的に犯行に及んだ」と殺意を認めた。
包丁が偶然刺さった可能性や長男が自分で胸部を刺突した可能性は考えがたい。経緯をあわせみれば犯行当日の朝、長男の態度にいらだちを募らせていったあげくに激高し、胸部を突き刺したことが合理的に推認されるとのこと。
犯行当時の責任能力も認定した。
精神障害が影響を与えているとする弁護側の訴えには「犯行当時、精神障害に罹患していた事実は認められず、完全責任能力がある」と認定した。
犯行時の記憶がない点については、自己防衛のために解離性健忘が生じたと説明しているとのこと。
「保護者によって命を奪われ、母の苦しみは計り知れない」とした。
判決では経緯について「中学受験の指導の名の下、被害者の気持ちを顧みることなく、自らの指導・指示に従うよう暴力的な言動から刃物へ、ナイフから包丁へと独善的な行為をエスカレートさせた」と指摘したとのこと。
裁判長は「父親によって命を奪われた長男の驚きや苦痛は察するにあまりある」と述べた。
量刑については「子に対する殺人事案としては非常に重い」としつつ、「犯行直後に病院へ運び、後悔や反省の弁を述べていることなどを考慮した」と述べたとのこと。
こんなところですね。
死亡が一人で、罪状に「強」の字もつかないので、相場としては懲役15年前後と言うところなんでしょうね。
求刑は懲役16年でやや、悪質と言うところでしょうか?
刺した事への言い訳がやはり、説得力が無かったんでしょうね。
うっかり刺して、9センチも刃は入らないですよね。刺された方は反射的に逃げますからね。
今回の弁護側の説明は、普通に考えれば、受け入れられる物では無いですね。
刺さる直前に口を塞いだのも、叫び声を抑え込む為と考えた方が自然ですからね。
事件当時の記憶が無いのは「解離性健忘」と説明しています。例の2006年の秋田で小4の娘を橋から突き落として殺害した女性も事件当時の記憶が無く、こちらは「抑圧」と説明されていますね。
量刑は懲役13年で、反省している事を考慮して3年分を減じたと言うあたりですね。
このあたり妥当なところかな?と思いますが・・・残された母親はこの量刑をどう考えているのか?気になりますね。
この事件を防ぐには?と考えた場合、家庭の中、家族の中だけで解決するのは難しいのではないか?と言うのが私の印象です。
つまり、この事件の原因を根本的に解決しようとすると方法としては
A)長男の成績を飛躍的に上昇させる。(志望校に楽に合格するほどの成績が必要)
B)父親の教育方針を変更させる。
この二つしか方法が無いと思うんですよね。
A)については、長男の能力や才能とは別に、これだけのストレスの中で勉強に集中すると言うのができるのか?と私は思います。それこそ、恐怖やストレスで夜も良く眠れないような状況ではなかったのか?と思うんですよ。
なので、私はA)が起こるには、父親の教育方針が変わって、勉強する環境が変わらないと無理なんじゃないと考えています。
すると、結果的にB)の父親の教育方針を変更させる事以外に方法が無いように思います。
ではどうすれば、教育方針を変えさせる事ができるのか?と言うのが難しいところだと思います。
これだけ、頑に成績や志望校にこだわるのは、父親本人に強い、学歴コンプレックスがあったのではないか?と勝手に推測しています。他に複数の理由があったのかもしれませんが・・・学歴コンプレックスはその複数の理由の中の一つだろうと思います。
もしそうだとしたら、父親の学歴コンプレックスを解消しないといけないわけですが、そう簡単ではないですよね。
他にもう一つ可能性があるとしたら、過剰な期待なのかな?
2006年に奈良で医師の息子の高1男子が家に放火して母親と兄弟が死亡する事件がありました。
この事件でも、医師の父親が受験勉強を暴力的に指導していたのが事件の原因でした。
こちらの事件は医師が息子も医学部へ進学させようとしていたようで、医師になる事への過剰な期待があったのかもしれません。
一方で、今回の事件では父親はトラックの運転手さんのようですから、自分とは違うもっと稼げるような職業になって欲しいと言う強い期待があったのかもしれません。
ただ、こちらの場合も、簡単に父親の意識を変えるのは難しいと思います。
本人が働いて家族を養っているわけで、生活する事がどれほど大変かを身にしみてわかっているわけですからね。
(この家族の経済的状況は分かりませんが・・・)「人生、お金が全てじゃない」なんてのは、ある程度、経済的に余裕が無いと言えないと思います。
どんな理由で、息子の成績にこだわるのか分かりませんが、本人は毎日仕事もしていて、言動にも不自然な点は無いのでしょうから、カウンセリングを受けてほしいなんて事も、家族だとしても言い出しにくいですよね。
例えば、教師や児童相談所の職員などが面談などして、説得をしてみても、結局、息子の進学にこだわっている父親の耳には届かないような気がしますよね。
最後の手段は児相による保護で、父親と別居させると言う事になりますが・・・母親から一緒に家を出ようと言う提案も拒否している息子が、児相の保護を受け入れる事ができるのか?と言うのも疑問です。
もしかすると、父親と息子は共依存の状態だったのだろうか?
もし、そうなら、息子の依存を解いて、それから母親と一緒に保護すれば、この事件は防げたのかな?
この事件を防ぐ方法について、教育関係の方はどのように考えておられるのか?ご意見を伺いたいですね。
私は父親を変える方法が全く思いつきません。
例え、児童虐待で逮捕されても、この父親は変わらなかったと思うんですよね。
亡くなった長男のご冥福をお祈りします。
| 固定リンク
コメント