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2019/11/21

福岡県 Hagexさん刺殺事件その2(一審判決)

一審判決は懲役18年(求刑懲役20年)です。
 
***初公判(11月11日)***
1)罪状認否で、被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
 
2)弁護側は「心神耗弱の状態だった」と主張した。
「精神障害の影響により、責任能力は著しく減退し心神耗弱状態だった」と説明したとのこと。
 
3)被告は精神的な病気を抱えていて、責任能力の有無と程度が争点とのこと。
 
4)検察側は「病気の影響は限定的で完全責任能力があった」と指摘したとのこと。
 
検察側は、事件当日のセミナーの開催を知った被告が会場を訪れ、犯行に及んだとした。被告の責任能力については「完全責任能力があった」と述べたとのこと。
 
検察側は動機について
冒頭陳述で被告は2012年に製麺工場勤務を辞めて以降、自宅に引きこもりインターネットに没頭していたと説明。Hagexさんとはネット上のやりとりだけで、直接の面識はなかったと述べた。
 
その上で、被告はブログで他のユーザーへの罵倒を繰り返したためIDを何度も凍結されたとし、「凍結はHagexさんら他のユーザーが運営会社に『通報』したためだと思い、このうち誰かを殺害して自身を誇示したいと考えるようになった」と主張したとのこと。
 
***第2回公判(11月12日)***
1)被告人質問
供述によると被告は2015年以降、インターネット上に投稿した東京都江東区のセミナー講師Hagexさん(当時41歳)らを「死ね」などと罵倒し、サイトの運営会社にアカウントを何度も凍結された。被告は、Hagexさんらが自身の投稿を運営会社に通報したのが凍結された原因として、「ネットリンチ」に当たると主張。「(Hagexさんが)死んでリンチがなくなったので後悔はない」と語った。さらに「リンチの回数が多い順にターゲットをランキングした。優先度が高い人なら誰でも良かった」とも話したとのこと。
 
被告は集団リンチについて「複数の人間が一方的に個人を攻撃すること」と独自に定義し、「弱い者いじめで許せなかった」と説明。集団リンチに関わったと判断した他のユーザーに対し、2015年ごろから「低能」などと中傷を繰り返した。そのため、ネット上では「低能先生」と揶揄されていたとのこと。
 
Hagexさんも被告とのトラブルをブログで紹介したため、「ネット上にさらされ、挑発行為だと感じた。セミナーで福岡に来ると知って殺害を決めた」と述べ、昨年4月下旬ごろに殺害を決意したと説明。2人に直接の面識はなかったが、ブログで講師の顔写真を確認したとのこと。
 
被告は「一方的に殺してしまったことは、嫌いないじめと同じだと反省している」と述べた一方で「ネットリンチする人が1人減ったので、後悔はしていない」と話したとのこと。
 
Hagexさんがインターネット上の「集団リンチ」に関わったとして「死ぬ以外、ネットでのリンチをやめないと思った」と動機を語ったとのこと。
 
2)証人尋問(運営会社の担当者)
被告が多い時で1時間に約100件、年間約8000件に及ぶ中傷の投稿などを行ったと証言。「アカウント凍結の理由は被告の罵詈雑言や利用規約違反。Hagexさんらの行為は全くリンチではなく、理不尽極まりない犯行だ」と語ったとのこと。
 
被告による他のユーザーへの中傷は17年ごろから頻繁になり、「年間8千件に上ったこともあった。常軌を逸していた」と証言。アカウントを凍結しても、約500回にわたって再取得したとのこと。
 
***論告求刑公判(11月15日)***
1)検察側は懲役20年を求刑した。
 
2)検察側は論告で、被告は現場の下見をし、ナイフと毛布を使って予行練習をするなど犯行準備を周到に重ねたとして「強固な犯意に基づく計画的で残忍な犯行だ」と指摘したとのこと。
 
検察側は「集団リンチしていると思ったネットユーザーらへの見せしめ的な犯行であり、犯行動機は身勝手極まりなく、さらに反省の態度も全くない」などと指摘したとのこと。
 
3)弁護側は被告には持病があり、犯行を押しとどめる能力が衰えていて、心神耗弱状態だったなどと情状酌量を求めたとのこと。
 
別の報道では
弁護側は最終弁論で「精神障害が影響していることは見過ごせない」と述べ、被告が心神耗弱状態だったとして刑の減軽を求めたとのこと。
 
4)被害者参加制度で法廷に立ったHagexさんの妻は「夫は対等で自由なインターネットの世界が好きだった。被告には厳罰で償ってほしい」と訴えたとのこと。
 
***判決公判(11月20日)***
1)懲役18年(求刑懲役20年)を言い渡した。
 
2)裁判長は、被告が事件前、インターネット上の書き込みをめぐってHagexさんらから一方的に攻撃を受けたと思い込み、強い殺意を抱いたと指摘。Hagexさんが福岡に訪れる機会を狙い、現場を下見するなど悪質で計画性もあったとした。
 
「現場の下見をするなど冷静に行動できていて、完全責任能力があった」と指摘した。
 
「ネット上のやり取りがあっただけの被害者に一方的に殺意を抱いたことは身勝手」とした。
 
3)裁判長は弁護側が、被告の抱える「自閉スペクトラム症」の影響で責任能力が低下していたと主張した点については、「影響は否定できないが、善悪の判断能力が著しく低下していたとは言えない」として退けたとのこと。
 
4)Hagexさんの妻は「反省をしていない被告がいずれ社会に戻ってくるかと思うと、夫は無駄死にしたのだなと悲しい気持ちです」「夫はもう戻ってきません。悲しみ、苦しみは私たち遺族の心の中で永遠に減ることも消えることもないでしょう」とコメントしたとのこと。
 
こんなところですね。
量刑については妥当なところかと思います。
死亡が一人で、罪状に強の字がつかない。無期懲役や有期刑の上限と言うのは重すぎるでしょうね。
 
求刑が懲役20年で判決が懲役18年なので、1割引きと言うあたりですが、少し割引が少ないような気がします。
このあたりは、反省していない事が考慮されたのかもしれませんね。
 
元来ネット世界と言うのは匿名の世界だったので、本来ならネット上のトラブルだけでは、リアルでの事件に発展するような事は無かったんですよね。
 
ただ、これまでも一部のネットでは高校生などプロフのやり取り、LINEのやり取りが原因で事件となる事がありました。これは仲間内でリアルバレしているから起きる事なんですよね。
 
まー、リアルの世界でも居酒屋や屋台でで偶然、隣に座った人と口論になって傷害致死なんて事もありますけど。
 
ネットが社会に深く浸透してきた為に、各人がネットに対して感じる価値がかなり変わってきていますね。
特にネットのコミュニケーション機能が強力すぎて、そこに依存してしまうと、ホントにネットが第2の故郷になってしまうように感じている人も多いかもしれませんね。
 
そういう部分は私も理解しているつもりです。
ただ、のめりこんで行くと、今度は逆にネット中心の生活になったりして、逆に疲れてしまう。「ネット疲れ」なんて言葉もありますね。
 
なので、普通の判断力を持つ人や一般の社会生活をしている人だと、リアルとのバランスを模索して、それなりにバランスが取れたネット生活になると思うのですが・・・
 
ここでバランスが取れないような人は、ネット生活が偏ってしまうのかもしれませんね。
で、ネットの周囲の人の意見が受け入れられる人間なら、それでも健全な方向に軌道修正されるのだと思いますが、この被告の場合、周囲の言葉を受け入れられずに、独善的に過激化してしまったのかな?
 
自分自身が正義であって、それを否定する人は全て悪と言う状況に自分で自分を追い込んでしまったのかもしれませんね。公判の中では自閉症スペクトラムと言う病名が出ていましたが、裁判長の判断はそれによる、影響は限定的と言う判断ですね。
 
ただ、こういった症状の人の中にはネットとの相性が悪い人がいるのかな?と言う印象はありますね。
リアルの場合、関係する人間は職場や学校などで、付き合いも長くなるでしょうから、「この人には注意しよう」と言うある種の共通意識ができると思うんですよね。
 
ところが、ネットの場合、文字だけでのコミュニィケーションになるので、相手のそういった部分を想像する事ができません。出来る人がいるとしたら、医学的な知識がある人や、周囲にそういった人が居る人間で、もしかしたら?と思える人間だけなんだろうと思います。
 
多くの人が相手がそんな症状の人とは思わずに対応したとしたら、反感を持たれるような状態になってもおかしくないのかな?と思うわけです。(文章の行間から相手の真意を汲み取れないとかね)
 
公平で対等な世界と言うがネットの良い面だけれど、その一方で文字だけのコミュニケーションの限界と言うのもあるかもしれませんね。
 
この事件について言えば、最大の原因は被告が孤立してしまった事なんじゃないかと思います。
仕事をしてリアルに人間関係ができているとか、ネットの中でも日常の会話ができる人間関係があったりすれば、もう少し違った結果になっていたのではないか?と思うところですね。
 
ネットの中のトラブルなんてのは、極論してしまえば、PCの電源を落としてしまえば、それで終わりなんですよね。その掲示板や相手のメールを見なければ、それ以上に発展する事も無いんです。
だから、お酒飲んで、ぐちを吐いて、寝て次の日には忘れても良い事がほとんどだと思います。
 
そんな世界で殺人なんて重罪を犯さずにいられなかった被告と言うのは、ある意味でネットの暗黒面に飲まれてしまった被害者なのかもしれませんね。
 
まーそれでも、責任能力に問題が無いわけで、事件を起こし、人一人の命を奪った罪が変わる事はありません。
刑務所の中ではネットもできないので、何等かの治療効果があると良いのですが・・・
 
最後にこの事件を防ぐにはどうしたらよいのか?と言う事なんですが、基本は一つ、匿名を貫く事なんだけど・・・
これも難しいかもしれません。ネットで意気投合して仲良くなれば、「それじゃあオフ会しましょう」って話が出てくるのが自然な流れですから、そこで、リアルバレとはいかないまでも、顔ぐらいはバレますよね。
それに、会話がはずめば、出身地や住んでいる土地の話なんかも出たりするから、大まかにどのあたりに住んでいるか?と言うのも分かりますよね。
 
まー、この事件の場合、敵対的な関係なので、オフ会から情報が出る事は無いにしても、Hagexさんのように顔出しで講演会活動などを行っているのであれば、匿名だけど情報を出さないと言うのも無理ですよね。
 
では、ネットではトラブルにならないように、相手を否定しないようにすれば良いのか?と言うと、それではネットの良い面が引き出せないですし・・・
 
なので、講演など特殊な活動をしない一般人であるなら、匿名で個人情報にかかわる事は極力出さない事が最大の防衛方法と言う事なんでしょうね。
 
亡くなったHagexさんのご冥福をお祈りします。

参考リンク
福岡県 Hagexさん刺殺事件

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コメント

検察側、弁護側の双方が控訴せずに期限の4日をむかえ、11月5日、判決が確定したとのこと。

投稿: ASKA | 2019/12/05 20:33

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