福岡県小郡市警察官家族3人殺人事件その2(一審公判)
長文注意です。
***初公判(11月5日)***
1)検察側は冒頭陳述で、被告が妻と不仲になり、同僚に「妻に死んでほしい」と打ち明けていたと指摘。残業と偽ってパチスロをしていたことが妻にばれ、離婚話になったことを明らかにしたとのこと。
「家庭を顧みず不満をためていた。妻や子どもを殺害する動機となり得る事情があった」と主張したとのこと。
自宅付近の防犯カメラ映像や歩数計アプリの履歴などから「被告は3人の死亡推定時刻に自宅にいて、活動していた」と説明。現場の鑑識に当たった福岡県警捜査員は「玄関ドアは不正な方法でこじ開けられた痕跡はない」と証言し、外部の侵入や第三者の犯行を疑わせる事情はないことを立証しようとしたとのこと。
妻の首から被告のDNAが検出されたことを指摘したとのこと。
2)弁護側は「夫婦関係は悪かったが、殺害の動機につながるものではない」と述べたとのこと。
被告を犯人と断定する直接の証拠はなく、「検察側の主張では第三者が介在した可能性を否定できない」としたとのこと。
「アプリの履歴だけで被告が起床していて、犯行までしたといえるか。防犯カメラに死角があり、第三者が侵入した可能性を否定できていない」などと、証拠に「穴」があると疑問を投げ掛けたとのこと。
検察側が考える3人の死亡推定時刻は、最大9時間半も幅があるため「本当に死亡推定時刻を特定できているのか」と捜査の不十分さにも言及したとのこと。
3)罪状認否で被告は「一切身に覚えがなく事実無根。間違いなく冤罪です」と無罪を主張したとのこと。
4)起訴状によると、被告は17年6月5日深夜から同6日未明にかけ、同市小板井の自宅で、妻=当時(38)=の首を何らかの方法で圧迫して殺害した他、小学4年の長男=同(9)=と小学1年の長女=同(6)=の首をひものようなもので絞めて殺害したとされるとのこと。
5)事件当時、一家は4人暮らし。被告は県警本部の通信指令課員だったが、妻殺害の罪で起訴後、懲戒免職となったとのこと。
6)妻の姉が証人として出廷。
長男の遺体発見時の状況を説明する際、あふれる涙をハンカチや手で拭っていたとのこと。
***第二回公判(11月6日)***
証人尋問
遺体を司法解剖した法医学者
1)検察側証人として出廷した法医学者は、3人の死後硬直の状況や直腸内の温度を基に「いずれも未明に死亡したと考えるのが自然で、午前6時半より前の死亡は確実」と述べたとのこと。
2)弁護側は「気温や湿度により死亡推定時刻は変わる」と反論したとのこと。
3)被告は捜査段階の調べなどで、この時間帯に在宅し午前6時50分ごろ出勤したことは認めているが、「出勤した際に3人は寝ていた」と説明。無罪を主張しているとのこと。
***第三回公判(11月15日)***
被告人質問
1)被告人質問で、自身の犯行かどうか問われ「違います」と述べたとのこと。
「家族のためにもう一度捜査して犯人を捕まえてほしい」と改めて無罪を主張したとのこと。
検察側は、妻子3人は2017年6月6日午前6時半までに殺害されたとしているが、被告は同6時の起床時には全員寝ていたと説明。検察側が殺害時に抵抗されてできたと指摘する左腕の傷は「前夜に風呂から出た時、妻からたたかれ付いたと思う」と述べたとのこと。
被告のスマートフォンの記録から被告は6日未明に活動していたとする検察側の主張には「妻から定期的にスマホを点検すると言われており、妻が操作したのかと思った」と反論。「子供が一番大事で、子供のために死ぬことはあっても手をかけることは絶対にない」とも語ったとのこと。
2)弁護人から事件発覚前日の17年6月5日夜の行動を尋ねられると、被告は自宅2階で午後9時過ぎに長男(当時9)、長女(同6)を寝かせ、その後は「布団でスマートフォンをいじっていた」と説明。その後、2階に上がってきた妻(同38)から「叱責された」と述べたとのこと。
3)裁判員の質問に「やり直せるなら事件が起こらないように事件の前日に戻りたい」と答えたとのこと。
***第四回公判(11月18日)***
中間論告と中間弁論
1)検察側は「3人も殺害されているのに、自宅にいた被告に気づかれず殺害することは困難」と指摘。
また子供の殺害についても「愛情が希薄で、人生の再スタートにおける障害となり得る」とし「被告が犯人であることは明らか」と主張したとのこと。
検察側は中間論告で
A)殺害時刻とされる2017年6月6日未明に、被告のスマートフォンのアプリに自宅の1階と2階を上り下りした記録がある
B)被告の左腕に真新しい傷がある
C)第三者の侵入はうかがえない
などの間接証拠を列挙。さらに夫婦が長年不仲で、事件直前には警部補昇任試験に不合格となったことを妻から責められるなど「動機となり得る事情」があったと主張し、「これだけの事実が偶然に重なることはあり得ない」と結論付けたとのこと。
2)弁護側は、いずれの証拠も「被告の犯人性を推認するものではない」と無罪を訴えたとのこと。
弁護側はスマホは妻が操作した可能性があり、左腕の傷も事件時のものとは限らないと反論。昇任試験の結果は妻に伝えておらず、子供との関係も良好で殺害動機はないと訴えたとのこと。
弁護側は死亡推定時刻が断定できないことなどから「事実の証明力に限界がある」と述べ、子供の殺害については「妻にも同等の可能性がある」と指摘したとのこと。
3)被告も「家族のためにもう一度捜査を見直して、犯人を捕まえてほしい」と述べたとのこと。
***第五回公判(11月29日)***
被告人質問
1)被告は、殺害したとされる妻=当時(38)=との不仲を認め「私が期待に応えられなかったからだと思う」と述べたとのこと。
また、仕事と偽り友人宅に泊まることがあったとし「妻との接触機会を減らすためだった」と説明したとのこと。
とりあえず、こんなところですね。
ここまでの流れだと、検察側、弁護側五分五分と言ったところかな?
ただ、妻の首から出た被告のDNAは弁護側には不利かもしれませんね。
いずれにせよ、被告は完全無罪(冤罪)主張しているので、犯人と認定された場合、反省なしとなって、弁護側に不利な印象ですね。
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