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2020/02/18

大阪府箕面市4歳児虐待死事件その2(母親の一審判決)

長文注意です。
***女性(母親)被告の初公判(2月15日)***
1)母親は「責任を感じているが、私自身の暴行によって生じたものではありません」と無罪を主張した。
 
2)起訴状などによると、被告は、17年11月から同居していた当時の交際相手のM受刑者(26)=同罪などで懲役10年の実刑確定=と知人のO受刑者(22)=同=と共謀。同12月中旬ごろから、被告の長男(4歳)と当時2歳の次男に暴力を振るい、同月24~25日に長男の腹を殴って死亡させたとされる。
 
3)検察側は冒頭陳述で、被告が同年11月中旬~12月上旬ごろまで長男と次男に暴力を振るって「これがうちのやり方」と両受刑者に説明したと主張。その後両受刑者に長男らへの暴行を指示し、24日午後からの暴行で長男が亡くなったとした。
 
長男が救急搬送された際、被告が医師に「事故でけがをした」と虚偽の説明をしていたとも指摘した。
 
被告が「シバく時間が来たぞー」と怒鳴り、蹴りつける様子を撮影した動画や、全身がアザだらけの長男たちの写真などを証拠として提出した。
 
4)弁護側は冒頭陳述などで、被告自身は致命傷となる暴力は振るっていなかったと反論。「両受刑者に息子を殺されてしまった。両受刑者は思いも寄らなかったひどい暴力を振るった。被告は2人(の暴行)を止められなかった」と訴えた。さらに、起訴内容は誰のどのような暴行で長男が亡くなったのか特定していないとして、公訴棄却も求めたとのこと。
 
被告自身の日常的な暴行も程度が軽く、しつけの範囲にとどまる」などと全面的に争う姿勢を示したとのこと。
 
***第二回公判(1月16日)***
服役している男2人のうち元交際相手Mが16日に証人として出廷し、長男が死亡する前日、風呂から体を拭かずに出てきたことに被告が激高し、男に「おなかをしばいた」と言っていたことを証言しました。長男はその後男2人にも腹を強く殴られ死亡していますが、男は「被告にしばけと言われた」と述べました。被告はささいなことで日常的に暴力を繰り返していたということですが、長男が死亡する直前は同居する男との関係が悪化し、暴力がさらに激しくなっていたことを述べたとのこと。
 
証人として出廷したM受刑者は、「被告が毎日のように子どもたちを殴ったり、寒い部屋に下着一枚で立たせたりしていた」などと証言。長男が死亡した当日も、「被告が『言うこと聞かないからシバいてくれ』と言い、暴行の様子をそばで見ていた」と証言したとのこと。
 
***第三回公判(1月22日)***
被告人質問で被告は「叱ってとは言ったが、暴行は指示していない」と述べ、改めて起訴内容を否認した。
 
被告は、自宅に居候していた当時の交際相手の男(26)ら2人が長男を蹴ったり殴ったりする暴行を繰り返し「怖くて逆らえなかった」と供述。事件当日の夜は、「これ以上したら死ぬと思い、覆いかぶさって守った」と説明したとのこと。
 
長男については「おとなしくて毎日笑っている子でした」と振り返り、就寝中に死亡に気付いた経緯などを問われると涙ぐむ様子も見せたとのこと。
 
検察側は被告が取り調べで「(元交際相手らよりも)先に話したら損になる」として、事件について一切語らなかったと指摘。被告の証言の信憑(しんぴょう)性に疑問を呈したとのこと。
 
***論告求刑公判(2月4日)***
1)検察は懲役13年を求刑した。
 
2)検察側は論告で、「被告が交際相手らに『しばいて、もっと殴れ』と言って、暴力のきっかけをつくった。被告自身も暴力をふるい、泣いても、吐いても、あざだらけになっても助けず、死に追いやった」と指摘し、被告に懲役13年を求刑した。
 
別の報道では
検察は「被告は自らも暴力をふるいながら、同居の男2人には『もっとやらんと効かんやろ』とけしかけ、暴力をエスカレートさせるきっかけを作った」として、懲役13年を求刑した。
 
更に別の報道では
検察は、「不合理な弁解に終始し、反省の態度が見られない」と指摘。
 
そのうえで「守るべき立場にも関わらず子供たちに暴力をふるい、M受刑者らにも暴行を指示していて責任は重大」として懲役13年を求刑した。
 
3)弁護側は「男らの暴力を容認していたわけではなく、精神疾患のため止めることができなかった」として無罪を主張。被告は「長男を守れなかったことを後悔している。(男らによる)あれほどの暴行を望んでいたわけではない」と訴えたとのこと。
 
別の報道では
弁護側は最終弁論で、被告に暴行を指示されたなどとする両受刑者の供述は信用できないなどと反論。被告は長男が亡くなった際に致命的となる暴力は振るっておらず、両受刑者のエスカレートする暴力を止められなかったなどとして改めて無罪を主張した。
 
4)被告は最終意見陳述で「私は2人の子どもを守り切れなかったことを後悔しています。(両受刑者の)暴行を止められなかったのはわかってほしい」などと述べたとのこと。
 
***判決公判(2月12日)***
1)母親に、懲役9年の判決が言い渡された。
裁判長は「逃げ場のない幼い子どもたちに対して一方的に暴行を繰り返し、悪質だ」として懲役9年(求刑懲役13年)を言い渡した。
 
2)判決で大阪地裁は「犯行のきっかけを作っただけではなく、暴行を助長していて厳しい非難に値する」とする一方「被告自身が、死に至る強度の暴行を加えたり指示したとは認められない」として、被告に共犯の男2人より1年短い懲役9年を言い渡したとのこと。
 
別の報道では
大阪地裁は、「被告は交際相手らの暴力を認識し、容認していた」として、共謀は成立すると判断した上で、「実の母親でありながら、暴行のきっかけをつくっており、厳しい非難に値する」として、懲役9年の実刑判決を言い渡した。
 
更に別の報道では
裁判長は判決理由で、被告の「しばいて」という発言が暴力の発端となったと指摘。被告は制止することなく、むしろ助長する態度を見せたほか、自らも暴力を加えることがあったとして、男らとの共謀を認定した。
 
死に至る強い暴行を指示したことは認められないと指摘。懲役10年が確定した男らと「刑事責任が同等とまでは評価できない」とした。
 
裁判長は「被告自身の暴行について、M受刑者らの供述をそのままは信用できず、死に至るような激しい暴行の指示は認められない」と指摘したとのこと。
 
こんなところですね。
・・・どうなんだろうか?ちょっとわからない・・・本当に妥当な判断なのかな?
確かに、表面上は「しばいて」と言っただけだから、常識的に考えれば死ぬほどの暴行を指示したとは言えないかもしれない。
だけど・・・前後関係や経緯を考えるとどうなのか?と疑問は出ますね。
 
私が疑問に思う点としては
1)死亡の約1か月前から保育所に連絡なく通わせていない。
これは、アザなどの虐待の痕跡が発覚する事を恐れたのはではないか?
 
2)死亡の前日から8時間にわたる暴行をしている。
被告本人が暴行していなかったとしても、8時間も暴行しているのを見ているわけで、死ぬかもしれないと思わない?
死ぬほどの暴行を指示していないが、死ぬほどにエスカレートする事を黙認していたのではないか?
 
3)受刑者の証言は本当に信用できないのか?
受刑者と言う事は刑が確定しているわけだから、何を証言しても、刑が変わる事は無いわけで・・・
嘘を言う理由が無いのでは?
逆に受刑者の公判で証人に立った被告が、黙秘する理由は自分にとって黙秘が有利であるとの判断でしょ?
そこを考えると、今回の証言も自分に有利にする為の証言という解釈もできますよね。
 
他にも取り調べでも、被告は「(元交際相手らよりも)先に話したら損になる」として、事件について一切語らなかったと言うのもね。どうして本当の事を捜査段階で話さないのか?これも自分に有利になると言う判断ですよね。
 
4)長男が救急搬送された際、被告が医師に「事故でけがをした」と虚偽の説明をしていた。
普通に事件を隠蔽しようとしてますよね。
 
とは言え、疑問なだけで、「疑わしきは被告の利益に」と言うのが推定無罪の原則ですからね。
検察が控訴するのか?に注目ですね。控訴期限は2週間だから、2月中ぐらいかな。
 
真偽がどうなのかは分かりません。でも、4歳児が地獄のような虐待の果てに亡くなった事は間違いないです。
亡くなった男児のご冥福をお祈りします。
次に生まれてくる時は、普通の家に生まれてください。普通のクリスマスを楽しんで欲しいです。

参考リンク
大阪府箕面市4歳児虐待死事件

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コメント

控訴審です。

一審で懲役9年とされた母親の女性被告(29)の控訴審初公判が7 月21日、大阪高裁で開かれた。弁護側が一審に続き無罪を主張し、即日結審した。判決は9月15日の予定。

弁護側は、暴行を加えたのは当時居候していた交際相手の男ら2人で、被告との共謀は認められないと主張したとのこと。

検察側は控訴棄却を求めたとのこと。

今年2月の一審大阪地裁判決は、男らとの共謀を認定。被告側が控訴したとのこと。

特に新しい証拠や証言はなさそうですね。
これだと結果は変わらないような気がしますが、判決を待ちましょう。

投稿: ASKA | 2020/07/21 17:36

控訴審棄却です。

母親の控訴審で、大阪高等裁判所は1審の懲役9年の判決を支持し、控訴を棄却したこと。

被告は「男らの暴行を止められなかっただけだ」などと一貫して無罪を主張し、控訴した。

9月15日の控訴審判決で、大阪高裁の裁判長は「男らによる全身を殴る・蹴る・噛むなどの暴行を被告が主導・容認していて、共謀が成立する」とした1審の判断を支持したとのこと。

「幼い被害者らに加えられた暴行はひどく理不尽で、母親として子どもを守るべき立場にありながら、共同生活から生じるストレスを紛らわせるなどの目的で日常的に暴行が繰り返されていた経緯にも同情の余地はない」として控訴を棄却し、懲役9年を言い渡したとのこと。

裁判長は判決理由で、男2人の供述などから「暴行は被告の主導・容認のもと、3人の共謀の上で行われた」と述べ、弁護側の主張を退けたとのこと。

控訴審判決が出ましたね。
予想通りの判決かな。
次は上告でしょうか?

続報を待ちましょう。

投稿: ASKA | 2020/09/15 21:52

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