神奈川県相模原市障害者施設虐殺事件その8(一審公判2)
長文注意
***第八回公判(1月24日)***
弁護側被告人質問
1)被告は「自分には責任能力があると考えている」と述べ、責任能力がないとして無罪を訴えている自身の弁護人の主張を否定したとのこと。
被告人質問で弁護人の主張について問われた被告は「責任能力を争うのは間違えている。なければ即、死刑にすべきだ」と述べたとのこと。
別の報道では
被告:「自分は心神喪失ではないと思っています」
弁護人:「どうしてですか」
被告:「責任能力がないものは死刑にするべきだと思うからです」
弁護人:「自分に責任能力があると思いますか」
被告:「責任能力があると思っています」
2)動機について「意思疎通を取れない人間は安楽死させるべきだ」と述べた。
弁護側から、なぜ安楽死させないといけないのかと問われると「多くの問題を引き起こしているもとになっている」などとゆがんだ主張を展開。たとえ意思疎通が取れないとしても愛情を持って接する人がいると問われても、「気持ちはわかるが、お金と時間を奪っている限りは守ってはいけない」と答えたとのこと。
別の報道では
被告:「より多くの人が幸せになるために7つの秩序を書きました」
被告:「安楽死、大麻、カジノ、軍隊、セックス、美容、環境について考えました」
*安楽死:「意思疎通の取れない人間を安楽死させるべきだと思います」「名前、年齢、住所を言えない人間です」
弁護人:「なぜ、国から支給されている金で生活するのが問題だと思うようになったんですか」
被告:「日本が借金だらけで、財政が苦しいことを知ったからです。お金が欲しくて、世界情勢を調べるようになりました。そうしたら、テレビやインターネットで国の借金のことを知ったんです。安楽死させると、借金を減らせると思いました」
*大麻:
被告:「大麻は本当に素晴らしい草です。本当に感謝しています。嗜好(しこう)品として使用、栽培を認めるべきだと思う」
弁護人:「日本は大麻が禁止されている理由はわかりますか」
被告:「病気が治ると薬が売れなくなるからだと思います。楽しい草と書いて薬になります。楽しい心が超回復につながります」
被告:「安楽死を認めている国は大麻を許されている国であることが多いです」
弁護人:「安楽死と大麻を認めることに関係があると」
被告:「安楽死は人生を捨てるためのルールではなく、楽しく生きるためのルールです。大麻を吸えば楽しく生きることを考えられると思います」
弁護人:「日本人も大麻を吸えば、安楽死を認める国になると」
被告:「はい。捕まってから考えました」
*カジノ
被告:「カジノが悪いのではなく、小口の借金が悪いのだと思いました」
弁護人:「認めるべきだと」
被告:「認めてもいいと思います」
弁護人:「小口の借金とは」
被告:「無限に膨らむ虚栄心に限度はないと思いました」
*軍隊
被告:「男性は18歳から30歳の間、1年間訓練すべきだと思います」
弁護人:「義務で」
被告:「はい。韓国の俳優さんを見て気合が入っていてかっこいいと思いました」
*セックス
被告:「いろいろな欲求がありますが、性欲は間違った快感を覚えると人を傷つけます」
弁護人:「どういうことですか」
被告:「避妊をもっと当たり前のものにすれば。例えばコンビニでピルを買えるようにするとか」
弁護人:「今のままだと」
被告:「子供をつくりたくないのにできた場合、虐待を受けることがある」
*美容
被告:「女性じゃなくても人間は美しい方がいいと思います。美は善行を生むと思います」
弁護人:「そのためには」
被告:「整形手術を国が負担してもいいと思いました。ただ子供は遺伝子を引き継ぐので交際前に整形の有無を報告すべきだと思います」
被告:「客観的に自分を見ることが大切だと思います」
*環境
被告:「深刻な環境破壊による温暖化防止のために、遺体を肥料にする森林再生計画に賛同します」
弁護人:「遺体とは」
被告:「人間の遺体です。捕まってから考えました」
3)園に就職してから感じたことはないかを聞かれ、被告は「こんな世界があるとは、と驚いた」と説明。働くうちに「障害者は必要ないと考えるようになった」と述べたとのこと。
4)犯行を決意した時期については、事件の5か月前にあたる「措置入院中に思いついた」とした上で、刃物を購入した日については「事件を起こすと決めた日で事件の前日」と語ったとのこと。
5)動機について
弁護人:「どうしてあなたがやる必要があったんですか」
被告:「自分が気付いたからです」
弁護人:「ほかの人ではなく、あなたがやらなければいけない理由は」
被告:「(そのことに)気が付いたからです」
弁護人:「あなたは何かほしいものがありましたか」
被告:「お金です」
弁護人:「お金を得るためには何をすればいいですか」
被告:「人の役に立つか、人を殺すかです」
弁護人:「殺すとはどういう意味ですか」
被告:「詐欺をしたり、覚醒剤を売ったり、安い賃金で働かせたりすることです」
弁護人:「犯罪をするということ?」
被告:「そうです」
弁護人:「安い賃金で働かせるというのはどういう意味ですか」
被告:「正当な報酬ではないということ。搾取するということです」
弁護人:「お金が欲しい、だから殺したと」
被告:「役に立つということだと思いました」
***第九回公判(1月27日)***
検察側被告人質問
1)。園への侵入の経緯については、被告は「女性職員のいるホームを狙って入った」「女性職員なら鍵を奪いやすいと思った」と述べたとのこと。
2)事件後に津久井署に出頭した理由を、「現行犯逮捕されるより潔いと思った」と話したとのこと。
別の報道では
「現行犯で捕まるより潔いと思った。錯乱していない」として、自らの刑事責任能力があることをあらためて主張したとのこと。
3)襲撃前に体を鍛えていた点は「職員と取っ組み合いになると思っていた」と指摘。「職員の少ない夜勤を狙った」「女性職員のいるホームから狙った」とも語り、職員を拘束する目的で拘束バンドやガムテープを事前に購入したことも含め、周到に準備した上で決行したことを明らかにしたとのこと。
4)意思疎通ができない障害者全員を殺すつもりだったのか問われると、「できるだけ多く殺そうと思った」と述べ、最終目標は「世界平和」だとした上で、「重度障害者を殺した方がいいんだと気づいて欲しいと思った」などと述べたとのこと。
5)「裁判で一番言いたいこと」を問われた被告は、被害者を匿名とした今回の審理を挙げ、「匿名裁判は重度障害者の問題を浮き彫りにしている。施設に預けるということは、家族の負担になっているということ」と主張したとのこと。
6)特定の被害者については、「暴れてしまったりするのでやっかいな利用者だと思っていた」と語り、あらかじめ狙っていたことを明らかにしたとのこと。
7)園で勤務を開始した当初、入所者が裸で走り回っていたことなどに驚き、「人間ではない」と感じて次第に重度の知的障害者は要らないと思うようになったと語ったとのこと。
8)検察側から襲撃する人をどう決めたかを問われた被告は「部屋の様子やその人の雰囲気で判断した」と回答。「おはようございますと声をかけて返事があった人は話せると判断した」「部屋に何もない人は考えを伝えられず、パンツだけで寝ている人は自分で排せつできないと判断した」などと述べた。
被告に脅された女性職員から「心があるんだよ」と思いとどまるように求められた時の心情を問われると、「犬や猫もそうだと思った。その程度で人の心とは言えない」と述べたとのこと。
9)被告は相手を選ばずに刺した人もいたと明らかにした。これまで「意思疎通できない人を刺した」と説明していたが「時間が足りなかった」などと述べたとのこと。
***第十回公判(2月5日)***
被告人質問
裁判長:「社会に出たらまた同じことをやりますか」
被告:「二度とこのような事件は起こしません」
裁判長:「なぜ」
被告:「(事件を起こしたことで)十分、自分の考えをお伝えさせてもらったからです」
***第十一回公判(2月6日)***
被告人質問
1)被告は事件数カ月前、両親の自宅マンションを訪ね、未来を予言すると信じ込んだ「イルミナティカ-ド」と障害者の安楽死についての持論を伝え、「事件を起こす」と告げたという。両親から「周りの迷惑になる」「悲しむ人がたくさんいる」と止められたが、思い直さなかったと説明したとのこと。
2)16年3月に(措置入院から)退院した後、両親から心療内科に通院するよう持ち掛けられたが、「大丈夫だよ」と受け流した、とも明かした。代理人弁護士にその理由を問われると、「精神薬を飲むとばかになると思うので」と答えたとのこと。
3)両親が重度障害者になった場合についても尋ねられ、「人に殺されるのでなく、自分で死ぬべきだ」と返答したとのこと。
4)「両親から愛されていると感じたか」と聞かれると、「いろいろと手をかけてもらった。 不自由なく暮らした」また、もし自分が殺害されたら両親は「悲しむと思う」と述べました。 さらに、「人生が楽しくないという不満から事件を起こしたのか」などと問われ、次のように述べました。 「楽しくないのではなく、人生を楽しみたい、有意義にしたいからです」と答えたとのこと。
5)拘置所に面会に来た人に対し「目立ちたいから事件を起こした」と話したかと問われると「そんなことは言っていません。その人の言っていることは嘘です」と、強い口調で言い返したとのこと。
***第十二回公判(2月7日)***
証人尋問
被告の精神鑑定を行った男性医師:
医師は「『意思疎通の出来ない障害者を殺す』という動機は被告個人の強い考えに基づくもので、妄想ではない」と証言し、被告が常用していた大麻が事件に与えた影響を否定したとのこと。
公判で医師は鑑定結果を報告し、被告についてパーソナリティー障害と大麻使用障害と診断したと説明。一方で、被告が事前に計画した内容通りに襲撃を決行し、殺傷方法を犯行中に変更するなど計画的かつ合理的な行動が一貫している点などから、「大麻の影響は行動に影響を与えないほど小さい」と述べたとのこと。
被告の犯行動機については「病気による発想ではなく、園での勤務経験や世界・社会情勢を見聞きしたことにより形成されていった」と指摘したとのこと。
別の報道では
弁護側はこれまでの公判で「大麻精神病によって被告は本来の人格とは違う別人になった」と主張していたが、医師は「大麻が脳に影響を与え、障害者を殺すという発想が生じたとは言えない」と否定したとのこと。
医師は「入れ墨など、大学時代から反社会的な行動は強まっていた。人格の連続性がある」と述べたとのこと。
別の報道では
「大麻中毒や人格障害の診断はされるが、犯行への影響はなかったか、影響を与えないほど小さかった。犯行は病気ではなく本人の強い意思によるもの」などと証言した。
また、大学時代から脱法ハーブの使用、さらに、社会人になってから暴力団関係者との関わりや街の中でのけんか、車の暴走行為などの反社会的な行動がエスカレートしていったと指摘した。
被告の性格については「社交的で積極的な反面、自己中心的で周囲からの称賛を求める気持ちが強い」と分析したとのこと。
とりあえず長いので、このあたりでいったん、区切りますね。
被告人質門の内容を見ると、ちょっと理解できない部分が多いのですが・・・
もしかすると、この人の動機は、幾つか複数の価値観が無意識にすり替わってしまった結果、醸成されてきた物かもしれませんね。
詳しくは最後に書くことにします。
次回に続く
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