東京都豊島区池袋ホテル女性殺人事件その4(一審判決)
長文注意、全ての公判の記録できているかわかりません。
***初公判(2019年12月2日)***
嘱託殺人の罪に問われた大東文化大四年の男性被告(22)=埼玉県入間市=の初公判
1)起訴状によると、九月十二日、豊島区池袋のホテルで、女性の依頼を受け首を絞めて殺害したとされる。
2)検察側は冒頭陳述で、被告が七月中旬ごろから、ツイッターで自殺志願者の投稿を見るようになったと指摘。被害女性とは八月中旬ごろにツイッター上で知り合い、「殺してくれませんか」と頼まれたとしたとのこと。
「三、四人殺してから、自分も死のうと思った」。自身の将来を悲観した被告が、複数の自殺志願者を殺害した上で自殺しようと計画していたとのこと。
被害女性のほかにも二人とツイッター上で知り合い、実行には至らなかったものの殺害の約束を取りつけていたとのこと。
検察側の冒頭陳述や法廷で読み上げられた供述調書などによると、被告は中学の教員を目指していたが、今年七月に受けた採用試験について、「出来が悪かった」と感じたとのこと。
直後の同月中旬ごろから、ツイッターで閲覧するようになったのが、自殺志願者たちの投稿内容。ネット上にあふれていたのは「自殺したい」というつぶやきだった。そのうちの何人かに「死にたいなら殺してあげましょうか」とメッセージを送ると、「自殺する勇気がない。殺してください」と返してくる人もいたとのこと。
被告は同月下旬、自殺志願者を殺した上で自殺しようと決意。捜査段階で「自分が自殺するまでに、ばれずに殺せるのは三、四人だと思った」と供述したとのこと。
被害女性から初めてメッセージ「ツイートを見ました。私を殺してくれませんか」が届いたのは八月中旬。何度かやりとりを重ね、九月十二日に池袋の裏通りのホテルで落ち合うことになったとのこと。
客室ではお互いのメッセージの履歴を消去したとのこと。女性が便せんに「もう疲れました。死にます」と記すと、被告は両手で首を絞めて殺害したとのこと。
前日には自殺志願の別の女性と池袋のホテルで会い、殺害する約束をしていたが、直前に連絡が取れなくなり、会うことはなかったとのこと。
補足として時系列にします
07月上旬 被告が教員採用試験を受験
07月中旬 自殺志願者のツイッターを閲覧するようになる
07月下旬 自殺志願者を殺害後に自殺する事を決意
08月中旬 被害女性から初めてのメッセージが届く
09月11日 別の女性とホテルで落ち合う予定だったが、連絡が取れず断念
09月12日 被害者女性とホテルで落ち合う
***第二回?公判(2020年01月28日)***
被告人質問
1)検察側が、自殺志願の投稿をした延べ百八十三人にツイッターで殺害を持ちかけたと指摘したのに対し、被告は「軽い気持ちで送った」と述べたとのこと。
裁判長の質問「自分は自殺したい。他人の自殺に関与したい。両者はどういう関係にあるのか?」
これに対して被告人は明確な回答ができなかった。
被告は、昨年七月の教員採用試験に失敗したことで自殺を考えるようになり、ツイッターで自殺志願者の投稿を見るようになったと説明。「本当に死ぬことを望んでいる人もいて、力になりたいと思った」ことから、殺害を持ち掛けるようになったとしたとのこと。
「きっかけははっきりしないが、6月に教育実習をして、教師に向いていないと思った。7月には採用試験を受けたが、結果が出る前に、不合格で間違いないと思って、正直、落ち込む原因になった」とのこと。
自殺願望のある人を殺害したことについて、「役に立ちたかった」と証言する一方で、犯行の理由について「自分の中で順序立てて言えない」などと話したとのこと。
被告が自殺志願者らに送ったメッセージとして、検察側が「死後に金銭や価値があるものをいただいています」「報酬二十万円用意できそうですか」などと読み上げると、被告は「自分も死ぬつもりだった。本気で金をもらおうと考えていたわけではない」と釈明したとのこと。他に性行為を約束させるようなケースもあった。
女性の遺族に「残される家族の気持ちを考えず、申し訳ない」と謝罪する一方、詳しい説明を求められると沈黙する場面が多かったとのこと。
被害女性は、ホテルの部屋に来ると、立っていられない状態ですぐに横になったとのこと。そこで、被告は手順を確認した。
「(被害女性がなぜ自殺したいかは)詳しいことは聞いていないが、病気で、延命処置を受けたくないと言っていた。(殺害方法は)こちらから手で首を締めると言った。あちらは何も言わなかった」とのこと。
「方法にこだわりはない。ナイフで刺すと血が出る。気持ちいいものではない。なるべく血が出ない方法を考えた」とのこと。
被害女性が亡くなったことは脈や心音で確認したとのこと。犯行後、被告は「我に返って、とりかえしのつかないことをしたと思い、気が動転した。そのときは冷静ではなかった」と話したとのこと。
持ってきたキャリーケースには、被害女性を入れて運ぶ予定だったが、「(遺体が)入らず、そのままにした」と答えた。そして、キャリーケースは持ち帰っている、事前に大きさは測っていないと証言したとのこと。
2)弁護人は精神鑑定の実施を請求。地裁は次回公判で実施の可否を判断するとのこと。
***論告求刑公判(2月27日)***
1)遺族の陳述書、「被告は娘の命と未来を奪ったことを本当に理解しているとは思えない」「できるだけ重い刑を科してほしい」とする心情が明かされたとのこと。
2)検察側は「自殺願望を持った人を無差別に狙った嘱託殺人で、命を軽視した犯行に酌量の余地は無い」と指摘し、懲役7年を求刑したとのこと。
3)弁護側は「被告は内省を深め、『再び犯行をしない』と誓っている。家族のもとで社会内処遇を受けるのが相当だ」として、保護観察が付いた執行猶予付きの判決を求めたとのこと。
4)最後に被告は、「どのような判決になったとしても、今後、自分の人生をかけて償っていく方法を考えていきたいです」と述べたとのこと。
***判決公判(4月6日)***
1)懲役5年(求刑・懲役7年)の判決を言い渡した。
2)判決によると、被告は昨年9月12日、ツイッターを通じて知り合った女性(当時36歳)から依頼され、ホテルの一室で女性の首を両手で絞めて窒息死させた。
3)裁判長は「事情を深く知りもせず軽々しく自殺に関与することが(被告の言う)人助けであるはずはなく、非常に悪質」と述べた。「女性の両親は、女性を支えて生きようとしていた。悪質性が高く、実刑は免れない」としたとのこと。
4)被告は遺体を収容する布団圧縮袋を事前に用意しており、地裁は「犯行は計画的で、犯意も強固で態様は悪質」と認定したとのこと。
「人助けだった」とする被告の供述についても、同様の手法で知り合った別の女性と性的関係を持つことをほのめかすやりとりをしていたことを挙げ「疑問が生じる」としたとのこと。
5)裁判長は判決言い渡し後、「当たり前すぎるが」と前置きして「命の大切さや重みを改めて考えてほしい」と説諭。「被害者の未来の可能性や家族の愛情を考えると、本気で依頼されても殺害するべきでない。贖罪に何をすべきか、生きて真剣に考えてほしい」と述べたとのこと。
こんなところですね。
人助けと言うのは、金銭や性行為の要求を考えると、後付けの言い訳と判断されたんでしょうね。
本人としては、今後の自分の人生を悲観して、どうせダメな人生なら最後に好きな事をしてやろうと言うあたりなのかな?
こう考えた方が全体をすっきりと説明できそうです。
ただ、自殺の件が微妙ですね。本人が本当に自殺するつもりだったのか?
自殺するつもりなら、お金は必要ないはずなんです。
まー、自殺するタイミングもあるけど、自殺するまでに3、4人を殺害するのに、必要な期間があって、その期間の生活費と考えたと言うなら説明できますが・・・
公判での被告の説明は「本気で金をもらおうと考えていたわけではない」なんですよね。
それなら最初からそんな話をする必要が無いわけです。
そして、驚いたのは、事件の動機なんですよね。
被告は教師を目指していたようですが、なぜか教育実習で自信喪失して、教師に向いていないと感じたようです。
で、決定打は採用試験の出来が良くなく、不合格と自己判断したんですよね。
被告の場合、目標にしていた教師に「向いていない」と実感した事が、大きな挫折だったのかもしれません。
大学卒業を前に、希望していた職業に「向いていない」と言うのは相当なショックだろうとは思います。
ただ、まだ7月の話なので、他の仕事への進路変更は十分可能な時期だと思うんですよね。
昨年だと求人も悪くなかった時期ですよね。
教師がダメなら他の仕事を探せば全然問題ないと思うのですが・・・
なので、「この程度の事で」どうして自暴自棄になってしまうのか?ちょっと理解できないです。
その原因としては、公判の中で「身近に相談できる人がいなかった」と言う話が出ていますね。
これもちょっと、責任転嫁のようにも感じます。
極論すると「生きるべきか?死ぬべきか?」と言う問題は誰かに相談して決めるって話じゃないと思うんです。
人生なんて生きる事が前提で、苦労も挫折も乗り越えてみんな生きているわけでしょ?
なので、私なりの結論としては、被告は生きる事に執着がなく、その上で、思い込みが人一倍強かった。そして、周囲に相談できる人がおらず、挫折を乗り越えることができずに、自暴自棄の状態になり。そこに「悪魔の囁き」を聞いて犯罪を思い立ったと言うあたりなのかな?と妄想しています。
そのあたりから、この事件を防ぐにはと考えると・・・
1)コミュニケーション能力は重要ですね。
もし、被告にコミュニケーション能力が人並にあれば、例えば、教師を目指す前の段階で、経験者などに話しを聞いてを「向いてない」と早期に気付けたかもしれません。
さらに、挫折した時にも、友人や家族に相談する事ができたと思うんですよね。そうすれば、この事件は防げただろうと考えています。
2)人生観の教育が必要?
目標に向かって頑張るみたいな方法(生き方)もあるし、その一方で才能が無いならあきらめて、自分に向いた方法(生き方)を選ぶ事ができる。いろんな生き方ができて、どちらが正解かは分からないって教育も必要なのかな?と言うのも感じますね。
挫折からの切り替えができれば、この事件は起きなかったかもしれませんね。
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