大阪府大阪市知的障害者3歳児殺害事件その2(一審判決)
***判決公判(9月18日)***
傷害致死罪に問われた無職、女性被告(24)の裁判員裁判の判決公判が9月18日、大阪地裁で開かれた。
1)裁判長は、被告の軽度の知的障害や劣悪な家庭環境の影響を認め、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡したとのこと。
2)判決などによると、被告は6人きょうだいの長女として、両親と計8人で生活。弟らの育児を母から押しつけられて不満を募らせていた19年4月2日、弟の腹を踏みつけ、腹部圧迫による失血で死亡させたとのこと。
別の報道では
40代の両親、被告は長女にあたり、下に20代の弟と2~5歳の幼い兄弟がいた。
3)裁判長は判決理由で「何ら落ち度のない3歳の子供の命が奪われた結果は重大」と述べた。
一方、被告は母親から幼い4人のきょうだいの世話や家事を押し付けられ、逃れることもできず不満を募らせていたとも指摘。障害の影響で腹部を踏む行為の危険性を十分に認識できていなかった上、「劣悪な家庭環境は相応に酌むべき事情といえる」として、執行猶予付きの有罪判決としたとのこと。
別の報道では
判決は、被告が9~10歳程度の知能で、暴行の危険性を十分に認識していなかったと指摘。幼少時などに父から暴力を受け、母からは弟や妹への暴力を指示されるなど、「暴力に肯定的な家庭で育った」と言及した。弟らの世話が過度な負担になったが、両親に逆らえなかったと認定したとのこと。
今後は両親と別居して障害者向けのグループホームに入居する準備があり、成年後見人が選任されているなどの点を考慮し、執行猶予付きの判決が相当だと結論付けたとのこと。
4)被告は裁判長から「これまで通り、朝晩弟に手を合わせてください」と言われ、小さな声で「はい」と答えたとのこと。
***その他の公判情報***
公判、その他の情報ですが、どの時点の情報なのか不明なので、こちらにまとめます。
A)精神鑑定を経て大阪地検は傷害致死罪で女を起訴した。
B)公判で被告は事件当日、自宅風呂場の脱衣場であおむけになった弟の腹を踏んだことを認めた上で「まさか死ぬとは思わなかった。大好きだったのにごめん、ごめんなさい」と述べた。
C)被告は家庭環境について
「母親は子供の世話を何もしないのに、(弟や妹を)『怒れ』とか『しばけ』とか言ってきた」「父親にはバットやヘルメットで殴られた」「働こうとしたけど『お前には無理や』と証明写真を撮るお金もくれなかった。障害年金もほとんど取られた」と証言した。
被告は勾留された大阪拘置所について「他の人と話せて、誰にも縛られず自分のご飯も3食食べられる。ここの生活は100点」と証言したとのこと。裁判が終わった後も「両親には一生会いたくない」と証言したとのこと。
D)この事件で自宅の捜索に入った府警の捜査員が、内側からドアを開けられない部屋に、知的障害のある20代の弟がいるのを発見。府警は昨年6月、弟を自宅の一室に閉じ込めたとする監禁容疑で両親を逮捕したとのこと。両親は当時、「(弟が)悪さをするので閉じ込めていた」と容疑を認める供述。地検はその後、両親を不起訴処分(起訴猶予)としているとのこと。
発覚当時、弟は食事は与えられていたものの、室内には照明器具がなく、バケツで用を足していたとみられる。被告は公判で「バケツは私がかえていた。(弟が)悪さをしたら、両親から『お前がちゃんと見ていないから』と怒られた」と証言したとのこと。
E)(証人尋問と推定)
被告の精神鑑定を実施した医師の証言。被告については9~10歳くらいの発達年齢とした上で、行動を制御する能力や情緒的・社会的な面が未成熟だと説明し、「過酷で劣悪な家庭環境が影響した」とも述べたとのこと。
知能や発達状態の成熟には、周囲にモデルとなる人・ものの存在が不可欠だが、被告の場合は両親に命じられるまま幼い兄弟の世話や家事に追われ、社会性や情緒面を学ぶ機会がなかったと述べたとのこと。
鬱積する両親への不満。医師は出口を失い、行き詰まった女が八つ当たりのように事件を起こしたのだと指摘したとのこと。
こんなところですね。
事件当時、詳しい報道が出ずに事故?とも思っていましたが、事件でした。
今回の報道を見ると、知的障碍者を取り巻く環境は依然として厳しい環境ですね。
8人家族の内、両親が2名、長女が被告、その下の長男が20代、その下の兄弟は5から2歳が4人(死亡したのが3歳)なので全員が年子か一組の双子が居ると言う状況でしょうね。
公判の証言やその他の報道情報を見ると、20代の長男も知的障害があり、事件当時は監禁状態。被告である長女も軽度の知的障害(10歳程度の知能)があり、家事と兄弟の世話を押し付けられる。
母親は子供の世話を何もしない、ネグレクト状態。父親についての情報が無いけど、障害年金もほぼ搾取されている。
この現実は厳しいですね。この事情を踏まえて懲役5年の求刑に対して、懲役3年、執行猶予5年の恩情判決となっているんですね。
それにもともと、起訴された罪状も傷害致死で殺意が無いと検察も認めているわけです。
この事件を防ぐには?と考えると、福祉の問題に行きつきますよね。
市や児童相談所はこの家庭の情報をどの程度把握していたのだろうか?
知的障害が分かっている、長女と長男は少なくとも義務教育の間、学校は特別支援学校か、通常学校の特別学級で学んでいたはずなので、少なくとも市の職員は、長女と長男の知的障碍者が居ると言う事は把握していたと思うわけです。
その上でさらに、下の5歳以下の兄弟が4人もいたら、注意すべき家庭と言う判断があってもよさそうな気がするんですよね。
下の兄弟の3歳児健診や1歳健診などは受診されていたのか?とか、5歳児は通園していたのか?など児相のアンテナに引っかかる情報はこれまで無かったのかな?
言ってしまえば、両親がダメダメって事なんだけど・・・長女、長男に知的障害があるので、次の子供に期待して出産と言うのは、人情だと思うのですが・・・
それにしても、4人の年子(少なくとも2組は年子だと思う)ってのは計画性が無いよね?
出産について行政が口出しできる問題でもないから、その意味では親族や周囲の人間が、ちゃんと子育て出来るの?と言う話を両親にしないといけないと思います。
市や児相の人間以外にも、近い親族、親しい友人などで家に入った事がある人間なら、この家庭の状況は知っていたと思うんですよね。
親族だから、友人だから事情を知っても通報しないと言うのは、間違った優しさなのではないか?と思います。
通報と言わず、市の福祉窓口で相談するだけでも、この事件は防げたかもしれません。
情報がないけど、この被告の両親は健常者なのかな?
これによっては、事件の背景がかなり変わってきますね。
東京でパラリンピックを開くと言うのに、この福祉の現状で良いのでしょうか?
この手の事件は今までもありました。そのたびに絶望的な気持ちになります。
日本全体の意識を向上する為に、親の教育を小学校の教育から進めていくしかないのでしょうね。何十年とかかるかもしれないけど、それしか方法を思いつきません。
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