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2020/09/08

東京都杉並区女性保育士殺人事件その4(一審判決)

***初公判(8月24日)***
1)東京地裁で開かれた裁判員裁判の初公判で被告は「私は最後まで法廷で黙秘します」と述べたとのこと。
 
2)弁護側は住居侵入罪の成立は認めたが、「被告ではない第三者が殺害した」と殺人罪については無罪を主張したとのこと。
 
弁護側は、ベランダに残されたビニールひもから第三者のDNA型が検出されたと指摘。「部屋に複数人がいた可能性があり、被告の犯行とするには合理的な疑いが残る」と主張したとのこと。
 
3)検察側は冒頭陳述で、被告は15年ごろから被害者に好意を抱いていたが、被害者は距離を置いていたと指摘したとのこと。
 
別の報道では
「被告は被害者に好意を抱き、飲み会に誘うなどしていたが、被害者は避ける態度をとっていた」と指摘した。
 
 また、被告が着ていたコートから被害者の血痕が検出されたほか、被告が被害者を拘束しようとした際に使ったとみられるビニールひもも室内から見つかり、被告のDNA型が検出されたと明らかにしたとのこと。
 
別の報道では
検察側は、被害者の指先や現場に残っていた包丁の柄から被告のDNA型が検出されたとした。被告が事件後、携帯電話で「殺人の慰謝料」などと検索しており、「第三者の犯行の可能性はない」と主張したとのこと。
 
証拠調べでは、部屋から発見された手袋などの遺留物から被告のDNAが検出されたこと、被告が履いていたナイキのシューズと同一の足跡が被害者宅の屋根などから見つかっていること、そして被害者の両手指から採取された付着物からも、被害者と被告のDNAが検出されているとのこと。
 
同僚の調書によると
「事件翌日午後に被告と勤務先ですれ違うと、顔に引っ掻いた傷があることに気づいた。24日の夕方にはなかったものだった。傷は4~5センチぐらいの長さがあり、かすり傷ではなかった」
 
***論告求刑公判(8月28日)***
検察側は懲役20年を求刑したとのこと。
 
1)検察側は、「犯行は計画性があり、きわめて残忍。反省や遺族に対する謝罪が全くない」などとして懲役20年を求刑したとのこと。
 
別の報道では
検察側は「わいせつ意図がうかがわれ、計画的で残忍な犯行」と指摘し、被告に懲役20年を求刑したとのこと。
 
2)裁判には被害者の両親が出廷し、「いっときも心が安らぐことはない」「娘の部屋の荷物を片付けられずにいる」「ただただ、娘に会いたい」と述べたとのこと。
 
別の報道では
被害者の母「娘の恐ろしさは想像以上だったと思います。包丁を持った男とどう闘えばよかったのか。娘を守れなかった悔しさと罪悪感でいっぱいです」と文章を読み上げたとのこと。
 
3)裁判官「最後に言いたいことがあったら言ってください」との問いに被告は「ありません」と答えたとのこと。
 
***判決公判(9月7日)***
1)東京地裁の裁判員裁判は7日、求刑通り懲役20年(求刑懲役20年)を言い渡した。
 
2)裁判長は「強固な殺意があった。常軌を逸した行動で、被告の意思決定に酌量の余地はみじんもない」と述べたとのこと。
 
別の報道では
「被害者への感情を一方的に募らせた揚げ句に、自宅に侵入するという常軌を逸した行動に出て、身勝手極まりないうえ、謝罪の言葉を全く口にしていない」と指摘したとのこと。
 
3)裁判長は、被害者方の遺留物から被告の指紋やDNA型が見つかったことを挙げ、事件当日の被害者が刺された時間帯に、被告が被害者方にいたと認定したとのこと。
 
被害者の首に圧迫痕があり、体に多数のあざがあることから「被害者は相当程度強く抵抗した」と認めたとのこと。
 
さらに、被害者の指の爪からは抵抗した際に付着したとみられる被告のDNA型が検出されており、被告の着ていたコートに被害者の血痕が付いていたことも踏まえると、「暴行を加え、刺殺した犯人は被告であると相当強く推認される」としたとのこと。
 
被告が事件後に携帯電話で「自首」などと検索していることが推認を更に強めるとし、弁護側の主張を退けたとのこと。
 
別の報道では
弁護側の主張に対してビニールひもがベランダに持ち込まれた経緯は明らかでないと指摘。「刺殺現場の室内から第三者のDNA型は検出されていない」として弁護側の主張を退けたとのこと。
 
被害者の右手から被告のDNA型が検出されたことを認め、「被告の暴行に抵抗してDNA型が指についたと考えるのが合理的だ」とし、被告が犯人と認定したとのこと。
 
アパートを立ち去った後に履いていた靴を処分するなどしており、被告が犯人だと判断したとのこと。
 
「わいせつの意図があった」とした検察側の主張は退けたものの、被告が同じ乳児院に勤めていた被害者に好意を抱いていたと認定したとのこと。
 
被告が公判で黙秘した経緯を踏まえ、「被害者の両親は、真相を話そうとしない被告に厳しい処罰感情を持っている」と言及。求刑通りの刑は免れないと結論づけたとのこと。
 
こんなところですね。
第三者による犯行を主張すると言うのは時々ある事なのですが・・・
この事件では、さらに黙秘をしています。
もちろん黙秘すること自体は被告の権利なので間違った事をしているわけでは無いのですが・・・
これは両刃の剣と言うやつでしょうか。疑わしきは罰せずの推定無罪の原則には有利になるかもしれませんが、一旦犯人と認定されると、全く反省していないと言う事になって、量刑としては不利ですよね。
 
この事件では被告の犯行と考えた方が自然な物的証拠がありすぎて、第三者の存在を証明する物的証拠が出ないと、弁護側にはかなり不利ですよね。
 
もし、現場室内に別の靴の足跡があれば、判決は違ていたかもしれません。
でも、その場合でも共犯に認定されていたかもしれませんけど。
 
それは置いとくとしても、謎なのは動機ですね。
被害者に好意を持っていたと言うのは、間違いないでしょうが・・・
凶器は持ち込んでいないので、殺意が最初からあったわけでは無かったと思うわけです。
同時に「わいせつ目的」と言うのもちょっと微妙ですよね。判決では否定されていますし。
 
そう、何の目的で被害者宅に侵入して待ち伏せしていたのか?が分かりません。
裁判長は「常軌を逸した行動」と表現しています。
 
ここを説明できないので、被告は黙秘しているのだと思うのですが、ここを正直に話していれば、もしかすると慣例どおり求刑から1、2割の減刑はあったかもしれませんね。
 
あと、被告が被害者を(お酒を)飲みに複数回誘っていたと言うのが、公判で明らかにされています。
当初は遠回しに断っていたが、最後は完全に断っていたと言う事ですから、このあたりで諦めていれば、この事件は起きなかったと思うんです。
交際中の男性が部屋に忍び込んでいたなら、「いたずら」で済んだかもしれないけど(交際中なら忍び込む必要は無いでしょうけどね)、職場の同僚程度の人間関係で部屋に忍び込まれたら、そりゃ即通報するでしょ?「常軌を逸した行動」と言うのはこういう事ですよね。
 
この事件を防ぐとしたら?
A)住所を知られない事。
 個人情報管理が厳しくなったので、職員の住所録は職員間で公開されていないとは思うけど、その一報で「尾行」して住所を突き止められる可能性があるから、帰宅時も注意が必要ですよね。
 
B)侵入対策
 1階も含めて2階以上のベランダからの侵入や玄関付近での待ち伏せの対策は必要ですね。
 
対策としてはこの二つぐらいしかないかもしれません。
職場の同僚でも「ちょっと変な人」だと思ったら、警戒する必要があるのかもしれませんね。
 
まーこれで一審判決が出たわけですが・・・控訴するのか?と言う点に注目ですね。
願わくば、控訴して控訴審では動機を話して欲しいと思います。
 
亡くなった女性のご冥福をお祈りします。

参考リンク
東京都杉並区女性保育士殺人事件その3(推測される動機)

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