埼玉県さいたま市小4男子殺害事件その4(一審判決)
一審判決懲役16年(求刑懲役20年)です。
***初公判(9月30日)***
起訴状などによりますと、住居不定・無職の男性被告(33)は、去年9月、義理の息子だった男児(当時9)の首を電源コードで絞めて殺害し、メーターボックスに遺棄したとして殺人と死体遺棄の罪に問われているとのこと。
1)義父は「間違いありません」と起訴内容を認めたとのこと。
2)検察側は冒頭陳述で、男児は被告のことを慕っていたものの、「被告は男児の言動に不満を示していた」と指摘したとのこと。事件当日に男児が学校から帰宅後、トラブルとなり、殺意を抱いたと述べたとのこと。
殺害後は犯行が発覚しないよう、遺体を黒色ビニール袋を使って外部から見えにくくし、凶器の電源コードや男児のサンダルを自宅内のごみ袋に捨てたとしたとのこと。
別の報道では
「犯行態様が悪質であり被害結果も重大である」「短絡的かつ身勝手な犯行で意思決定に強い非難がある」などと指摘したとのこと。
3)弁護側は「当時、被告がどのような悩みを抱えていたのか、今後も同じような事件を繰り返してしまう人なのかを見極めてほしい」と述べ、情状酌量を求めたとのこと。
別の報道では
弁護側は「犯罪が成立することに争いはなく、犯行の動機や経緯、再犯の可能性を踏まえて正しい刑を考えてもらいたい」と主張したとのこと。
3)証人尋問で被告と当時婚姻関係にあった男児の母は、男児を「明るく、優しい子」と説明したとのこと。
事件後、父からもらった手紙に、「自分もつらい。出所するまで、待っていてほしい」などと書かれていたことから、「事件と向き合わず、心からの反省がない。どうして事件が起きたのか、自分がやってきたことを全て話してほしい」と訴えたとのこと。
***論告求刑公判(10月2日)***
1)検察側は懲役20年を求刑した。
2)検察側は論告で「強固な殺意に基づく危険な犯行」と断じ、落ち度のない男児を短絡的に殺害して自己保身のために遺体を隠したと指摘したとのこと。
別の報道では
検察側は、「被害者が抵抗していることを認識しながら、数分間にわたって首を絞めた」と指摘したとのこと。
また、「強固な殺意に基づく危険で卑劣な犯行。首を絞められたときに被害者が感じた絶望感は筆舌に尽くしがたい」として、被告に対し、懲役20年を求刑したとのこと
3)弁護側は、男児との関係に悩みを抱える中での衝動的な犯行だったと訴え寛大な判決を求めたとのこと。
別の報道では
「被告が本当の父親ではないことに焦燥感を感じ、悩んでいた点を一定程度酌むべき」とし、懲役8年が相当と主張したとのこと。
4)求刑後、裁判長に促されて証言台に立った被告は、涙ながらに「あの日に戻りたい。こんなはずじゃなかった」と悔悟の念を口にし、意見陳述のために出廷していた母親を向いて「ごめんなさい」と謝罪したとのこと。
これに対し母親は、被告に叫んだ
「許しませんよ、絶対に。息子を返してくださいよ!」
***判決公判(10月9日)***
1)懲役16年(求刑懲役20年)の判決が言い渡された。
2)判決公判で裁判長は「養子縁組からわずか半年の犯行。なんの落ち度もない被害者に対する殺害行為はあまりにも短絡的で酌量の余地がなく強い非難に値する。死体遺棄についても身勝手で悪質」と指摘したとのこと。
別の報道では
裁判長は「被害者の首を背後から電源コードで分単位にわたり絞め続けたことは強固な殺意に基づくもの養父として養育すべき立場であり、意思決定は短絡的で強い非難に値する」と指摘したとのこと。
そのうえで、被害者らに謝罪をしていることなどを考慮し、検察側の懲役20年に対し懲役16年の判決を言い渡したとのこと。
3)裁判長は最後に「犯行を認識して反省すべきことが何か考えてほしい」と話したとのこと。
***補足情報****
公判の中で出た情報だと思いますが、どの時点の情報か不明の為、補足情報とします。
1)男性被告33歳はこれまで一度も、仕事をした事がなかった。
男児の母親とは婚活アプリで知り合ったが、
元妻には「大卒で、保育士と社会福祉士の資格を持っており、avexという音楽関係の会社の社員」と説明していたが、全て嘘だった。
被告の実母もこの嘘を指摘しなかった事で、元妻とその両親もこの嘘に気付いたのは事件の後だった。
2)元妻と婚活アプリで出会うまえからアパートで同姓している女性がいた。
3)元妻との結婚後に家を購入。
300万円の頭金を被告は実母に出してもらい、さらに2500万円の援助を受け、元妻と5300万円の家を買った。
4)男児が4年生になった後に男児の紅白帽と、キッズケータイがたびたび紛失するようになった。これを被告は「それぞれ一度だけ隠しました」と弁護人に説明していた。自ら隠したうえ「片付けないからこんなことになるんだよ」と、説教をしていたとのこと。
5)事件当日、男児の帰宅後に紅白帽が無くなる。
しかし、近隣の防犯カメラ映像には、男児が紅白帽をしっかりと被って下校する様子が映っていた。
事件後、紅白帽は、かつて被告が「事件から数ヵ月前に、紅白帽を一度だけ投げた」というベランダの下の植え込みから発見されている。帽子には、男児の筆跡で名前が書いてあった。それは殺害される2日前、男児が自分で書き込んだものだという元妻の証言から、事件当日に被害者が被っていた帽子である事が判明したとのこと。
過去に男児がなくしたというキッズケータイのうち1台も、電源を切った状態で、住宅敷地内から見つかったとのこと。
6)事件当日の男児との口論について被告の説明
「帰宅時、息子は紅白帽を所持していませんでした。『どうしたの』と聞いたら『あれっ』というふうになり『探してきな』と行かせました。『なくしたんだから怒られるのは当然でしょ』と言うと、息子はパニックになったとのこと。
『僕なんかいなくなってしまえばいいんだ、死んじゃえばいい、死にたい死にたい』と言ったのでそこで初めて怒鳴りました……。『そんなこと言ったら、ママが悲しむだろ!』と……すると『本当のお父さんじゃないくせにママみたいに言わないでよ』と言われて……絶句しました」とのこと。
この説明に対する検察側の被告人質問は
検察官:「この事件まで被害者は何度も帽子をなくし、その度にお母さんに怒られていたんですよね。それまで『死にたい』と言ったことはありましたか?」
被告:「ないです」
検察官:「なのにこの日、紅白帽をなくしただけで『死にたい』と言ったんですか?」
被告:「はい!」
検察官:「週末にはディズニーランドに行く予定だったんですよね? 学校を楽しんでたんですよね、友人もたくさんいたんですよね? 前の日にテストで100点とったんですよね? そんな子がその日に『死にたい』と本当に言ったんですか!」
被告:「あの子はパニックになると『死にたい』ということ、よくあります」
時系列
2008年 高卒後に東洋大学に入学、アパートで独り暮らしを始める。
1年後? 後輩女性と同姓を始める。
2013年 大学に行かなくなった事で除籍
その後も働く事なく、母親からの仕送りで同棲生活を送る。
2018年頃 被告が婚活アプリで婚活を開始
その後、元妻と婚活アプリで知り合う
2018年11月 結婚を申し込む。
2018年12月 元妻と暮らし始める、この時まで後輩との同棲を続ける。後輩女性とは伯母のところに引っ越すから部屋を引き払うと嘘を言って別れる。
2019年3月 元妻と入籍、男児とも養子縁組をする。
この時点でも仕事はしていないが、就活はしていて履歴書には「東洋大卒。保育士と社会福祉士の資格あり。avexに2019年3月まで勤務」の嘘の経歴を書いていた。
2019年4月 男児が4年生になる。
その後、家を購入
こんなところですね。
えーと、裁判の報道だけだと、再婚で妻の連れ子との距離感に悩んだ義父による衝動的な事件のようにも見えてしまうわけなんですが・・・
補足情報を見ると、もっと根本的な部分で被告人には問題があったのではないか?と思うわけです。
一言でいえば、虚言壁とか、あるいは嘘依存症と言えるかもしれないですね。
大学入学後に知り合い、同棲していた後輩女性には、大学中退とか無職とかと言う事実は知られているわけで、この時点では嘘をつく必要は無かったのでしょうが・・・
そもそも、なぜ、被告は結婚なんてしようと考えたのだろう?
性欲の処理の為なら、後輩女性との同棲で問題なかったはずだし、この後輩女性にしても、「引っ越しするから別れる」と言うおよそ、愛情のかけらもないような理由で別れられるのだから、恋愛感情や未練などあるとは考えられないですよね。
婚活を始めたのが2018年なので31歳の時かな?
30歳を過ぎて、無職、母親からの仕送りで生活しているから、「ヒモ」ってわけじゃないけど・・・
母親からそろそろ、「なんとかしろ」って話が出たのかな?
母親が20歳の時の子供だとしても、母親は50歳、もし30歳の時の子供なら母親は60歳ですからね。
息子の将来が心配になっても不思議じゃないと思います。
ただ、それなら「結婚」じゃなく「就職」だと思うんですよね。
しかも、初婚で相手が「シングルマザー」と聞いて、被告の母親はどう思ったのだろう?
もちろん「シングルマザー」が悪いと言うわけじゃないです。
これまで、仕事もせずに、後輩女性と気ままな同棲生活をしていた息子が、果たして、人の親に成れるのか?家庭の中で夫としての役割を果たせるのか?といった当たり前の不安は無かったのだろうか?
しかも、息子は結婚相手やその両親に全くの「嘘の経歴」を話しているんですよね。
まー母親としては、結婚の責任からちゃんと仕事をしてくれる事を願っていたのかもしれませんね。
ただ、その願いは叶わなかったと言う事なんでしょう。
例え嘘の経歴を履歴書に記載しても、普通の会社なら前の会社に確認するでしょうし、健康保険や年金の記録をみれば、仕事をしてない事がばれますよね?
アルバイトだから、社会保険に入ってませんっていうのは有りなんだけど、一流会社の社員と言ってますからね。
一言で言えば「世の中をなめている」と言う事なんだけど、一度も社会人経験が無いから、そのあたりの社会の厳しさも知らなかったのかもしれませんね。
この事件を防ぐにはと考えた場合、被告側のアプローチと遺族側のアプローチの二つがあります。
被告側のアプロ―チとしては
A)大学を卒業させて、ちゃんと就職させるべきだった。
大学は中退でも良いが、就職させなかったのが最大の問題だと思います。
現実の厳しさを体験するでしょうが、それでも、無意味な嘘を平気で言えるような人物にはならなかったではないか?と思います。
遺族側のアプローチとしては
B)結婚相手の身元調査をしっかりするべきだった。
特に興信所を使わなくても、仕事をしているかどうかぐらいは、名刺一枚もらえば調べられると思うんですよね。
名刺には社名、部署名、住所、電話番号、メールアドレスぐらいは書かれている。
会社の代表番号に電話して部署名から個人を呼び出して、本人が出るかどうか?とか、メールアドレスのドメインの登録者名を調べるとかね。
他には、もし、披露宴をしているなら、招待客に会社関係者がいない事とか、大学の同級生がいない事とか、不審に思う事はあったと思います。
あとは単純に預金通帳をみれば、毎月の給与の振り込みが社名であるはずでしょ?
そもそも、結婚するべき相手では無かったと思います。
C)住宅ローンは疑うべきだったかも?(推測です)
結婚後に5300万円の家を購入してます。支払いの内訳は、300万の頭金、他に2500万を被告の母親が支援していると言う事なんですが・・・残りの2500万円はどうしたのか?
無職の被告が住宅ローンを組む事はできないでしょ?
すると、元妻が2500万の住宅ローンを組んだとしか思えないです。(推測です)
被告の母親が代わってローンを組むのは年齢的に無理だと思いますし、現金で支払えるなら、5300万全て、母親が支払っているはずですよね。
もし、被告が一流企業に勤めているなら、2500万ぐらいのローンは組めたはずなのに、家の半額を妻にローンを組ませると言うのには、どんな説明を被告はしていたのだろう?
共同所有にすると言う話をしたのかな?
でも、これから一生家族でいようと言うのに、共同所有にするからローン半額出してと言うのも、私としてはちょっと理解できないですね。
なので、もし家の半額のローンを妻が組んでいたのであれば、この点は追及しても良かったかもしれませんね。
(事件現場がこの5300万円の家だったのか?は不明ですね。)
まーいずれにせよ、結婚相手は慎重に選びましょう。
最後に亡くなった男児のご冥福をお祈りします。
参考リンク
埼玉県さいたま市小4男子殺害事件その3(義父逮捕)
参考リンク
埼玉県さいたま市小4男子殺害事件その3(義父逮捕)
| 固定リンク
コメント
懲役16年の判決が言い渡された33歳の男について、検察側、弁護側双方ともに期限内に控訴せず、判決が確定していたとのこと。
まーいろいろな意味で被告人としては量刑を不服としての控訴などはできないでしょうね。
投稿: ASKA | 2020/10/27 19:20