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2020/12/28

北海道札幌市2歳女児虐待死事件その6(女性被告の一審判決)

懲役9年(求刑懲役14年)です。

***初公判(11月2日)***
被告は2019年5月中旬から交際相手の男と共謀して、娘で2歳の女児に十分な食事を与えず衰弱死させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われている。
 
1)被告は「娘は元気な状態で突然亡くなった」などと無罪を主張したとのこと。
 
『私は娘にご飯を食べさせていた。亡くなる直前まで元気だったのに急に亡くなった。起訴内容は絶対に事実ではない』と主張したとのこと。
 
2)検察は司法解剖の結果から女児は2、3週間ほとんど食事を与えられず、低栄養で衰弱死したと指摘したとのこと。
 
検察側は「長期間、閉じ込め食事を与えず治療も受けさせなかったことは残酷かつ悪質」と指摘したとのこと。
 
3)弁護側は女児は直前まで自力で食事していたが、喉に食べ物を詰まらせて窒息死したと主張したとのこと。
 
弁護側は「命の危険がある低栄養状態ではなかった。衰弱死ではなく窒息死」と主張したとのこと。
 
***第二回公判(11月4日)***
証人尋問(男性被告)
弁護側質問
亡くなる前の密室内の状況を証言した。
女児は直前まで部屋の中を歩いたり、自分で食事をしたりするほど元気だったと話し、保護が必要な状況ではなく、死因は窒息死だったと証言したとのこと。
 
検察側質問
検察:「(事件後)女性被告にこの場にいなかったことにしてほしいと頼みましたか?」
 
男性被告:「頼みましたね」
 
検察:「窒息死なら事件ではなく事故なので頼まなくていいのでは?」
 
男性被告:「警察に話を作られたりするので、巻き込まれたらめんどくさいなと」
 
男性被告:「(女性被告は)出かけるときも何時間とか決めずに、適当に出かけていた。(女児に)決まった時間にご飯をあげる意識は全くなかった」
 
弁護側、検察側どちらの質問か不明な内容なので、以下に記載します。
 
「こっちゃんと呼んだら、洋室から自分で歩いてきて3人で食事した。食事後、こっちゃんバイバイと言ったら、バイバイと手を振って洋室に戻った」などと証言したとのこと。
 
女児の頭が腫れ、病院に電話した際「女性被告は何もしなかったから、自分が電話をした」「家の中で服を着せず、おむつ1枚にしていた」と証言したとのこと。
 
亡くなる3時間前の食事には「"こっちゃん"と呼ぶと歩いてきた。アクアパッツァといももちとスクランブルエッグとドーナツを食べた」と証言したとのこと。
 
女児が搬送される約30分前に、膝をつき前かがみで首を抑え苦しそうにしている様子を男性被告が発見し、水を飲ませるなどの処置をしたことも明らかにし、体調が急変したことも主張したとのこと。
 
***第三回公判(11月5日)***
被告人質問
食事を与えていなかったのでは?
亡くなるまでの2週間の買い物リストを示しながら、女児の好物の「飲むヨーグルト」や「とろろそば」などを買って食事を与えていたと主張した。
 
「亡くなる2日前にちょっとやせたかなと思っていた」「イヤイヤ期だと思っていた。普通の食事を与えても食べてくれないことがあった」
 
女児の身体に残っていたケガについて
「一弥君(男性被告)とのケンカをしたあと、娘にケガがあることに気づいた」
 
被告は自身の入浴中に女児の容体が急変したと話したうえで「入浴中に一弥君が女児を暴行したと思う」と証言した。
また、入浴後の状況について「女児の舌の上に血があった」「洋室に血を水で薄めたような水たまりがあった」と説明した。
検察はスマートフォンに女児がおむつ1枚で生活している写真が残っていたことなどから、被告に育児放棄の傾向があったと指摘したとのこと。
 
女児が亡くなった日の様子については「呼吸がおかしかったので、詰まらせたかと思って口の中を見ました」と、あくまでも女児は急に亡くなったと証言したとのこと。
 
「お風呂は娘と交際相手の男と3人や、娘と2人でほぼ毎日入っていた」などと証言したとのこと。
 
女児が死亡する2日前にやせていると感じたと証言した被告。検察が、「毎日お風呂に入れていたということだが、それ以前に気づかなかったのか」と質問すると「時間に余裕が無くてバーッと(風呂に)入れて寝かせていた」「娘と過ごす時間が減っていて気付くのに遅れた」と答えたとのこと。
 
「一弥くんはお金に困っていました。だから外で仕事をしている私に暴力をふるうわけにはいかなかったんだと思います。私のせいで、娘を犠牲にしてしまいました」
 
***第四回公判(11月6日)***
証人尋問
検察側証人(司法解剖した解剖医)
「女児の遺体はろっ骨がうきでるほど痩せ細っていた」と証言した上で、死因は低栄養による衰弱死であると主張した。さらに女児の頭の骨折やアザなどについては、直接的な死因ではないものの死期を1日~2日早めたという見解を示したとのこと。
 
女児が低体温になっていたことから、窒息死のような突然の死なら、亡くなるまでに大きく体温が下がるはずはないと否定。胃に残っていた食べ物については「低栄養で消化器系がかなり弱っているので健康な人とは違う」と反論。血糖値も死後変化するので「信用できない」と主張したとのこと。
 
司法解剖の結果では、女児は、お腹の皮下脂肪が3ミリから5ミリになるほど痩せていて、低栄養により衰弱死したと結論付けているとのこと。
 
女児は体重を維持するための栄養が足りず、全身の臓器が弱っていたと証言。
 
女児が亡くなる5日前の2019年5月30日ごろには、体力が落ちて、歩いたり、大声を出したりすることはできず、数日前には意識障害が生じていたと見ているとしたとのこと。
 
また大腸からは綿ごみや毛のようなものが見つかっていて「飢えて落ちていたものを食べていた可能性がある」と証言した。
 
頭の骨折などのケガは死期を早め、傷も複数あることから、何度も暴行されていると指摘したとのこと。
 
弁護側証人(脳神経外科医)
女児の頭のけがは脳には影響を及ぼしていないため、十分自然治癒する程度のものであったと死への因果関係を否定した。さらに死因についても、太ももの皮下脂肪が14ミリ残っていたことなどを根拠に、低栄養状態にあったのは間違いないが、飢餓状態ではなかったとして衰弱死を否定し、死因は喉に嘔吐物を詰まらせたことによる窒息死であると反論したとのこと。
 
胃に多くの食べ物が残っていることや血糖値が高かったことから、「食べた直後でないと説明がつかない」と証言。
 被告の供述が「100%正しい」と主張し、のどを詰まらせたことなどによる「窒息死」の可能性を指摘したとのこと。
 
***第五回公判(11月9日)***
証人尋問
弁護側証人(消化器内科の医師)
「女児の死因は衰弱死ではなく窒息死」だと証言した。
 
医師は女児の大腸全体に便が残っていたことに着目し「死亡する前日~数日前までは食事をしていた」と指摘したとのこと。
 
また血液検査の結果も低値でありつつも、正常の域だとし衰弱はしていなかったとしたとのこと。
 
6日の裁判では女児を鑑定した医師が、大腸に毛やほこりがあり「飢えて食べた可能性がある」としていましたが、弁護側の医師は「2歳児くらいの子どもは、食事のときに誤って毛髪やペットの毛、ほこりなどを口にすることはある」とした上、「飢えた状態なのであれば、おむつや観葉植物なども食べてしまう」と反論したとのこと。
 
男性被告の「女児が首を押さえ苦しそうな様子をしていた」という供述や、女性被告が通報時、救急隊に「口に食べ物があり、苦しそうにしている」などと話している録音の証拠と、胃の中にいももちが残っていたことから、いももちが胃から逆流し、窒息した可能性があるとしたとのこと。
 
複数回食事していた根拠の一つが、トマト。女児の胃には赤いトマトの皮、大腸には色が抜けたトマトの皮のようなものがあった。
 
弁護側の医師は、消化機能が維持されていたことを示していて、同じときに食べたトマトではないと分析。女性被告の交際相手・男性被告は、亡くなる3日前と当日に女児がアクアパッツァを食べたという証言をしていますが、トマトの状態はこの証言と整合するとのこと。その上で、救急搬送時、女児の口の中には吐いたものがあったことなどから、吐いたものをのどに詰まらせた「窒息死」の可能性を指摘したとのこと。
 
(6日に証言の)司法解剖をした医師は、トマトの皮だけでは複数回食事したとは言えないと反論。消化機能が低下してトマトの皮の一部が胃に残り、一部が大腸へたどり着いた可能性もあると指摘。改めて「衰弱死」と証言したとのこと。
(この部分が9日の証言かは不明)
 
***第六回公判(11月10日)***
被告人質問
5月末から女児が亡くなる前までコンビニで購入した弁当や手作りの料理、ヨーグルトやバナナを与えていたと証言し、育児放棄を否定したとのこと。
 
また、女児の遺体を解剖した鑑定医の「亡くなる約5日前には衰弱していて、数日前には意識障害に生じていた」の指摘には、「亡くなる直前まで様子は変わらなかった。呼びかけると『はーい』と歩いてきた」と反論したとのこと。
 
検察官:「女児が痩せているのをもっと早く気づけたとは思いませんか?」
 
被告:「私なりに仕事も育児も家事も精いっぱいやっていました。今となっては、もっと見てあげればよかったなと思います」
 
裁判官:「窒息死だったとしても、ちゃんと栄養を与えていたら(嘔吐物を)吐き出す力があって、こうはならなかったとは思いませんか?」
被告:「いまとなっては、もっと食事を気をつければよかったと思います」
 
女児の死を避けるためにはどうすればよかったのかを裁判官に問われると。
 
被告:「男性被告と付き合ったことが間違いでした。私が男性被告を信じ切っていました。忙しく時間がなくても、寝る間を惜しんで娘との時間を作ってあげればよかったなと思います」
 
***論告求刑公判(11月11日)***
検察は、11日、懲役14年を求刑した。
検察は「子どもの命よりも男との遊びや関係の維持を優先した罪は重い」として、池田被告に懲役14年を求刑した。
 
検察側は「およそ20日間にわたり女児を家に閉じ込め食事も与えず、男性被告からの暴行を認識しながら治療を受けさせなかったことは残酷というほかない。
我が子を死に追いやりながら犯行を否認し反省があるとは言えない」として懲役14年を求刑したとのこと。
 
以下はいつの時点の証言か不明です。
「私は娘の母親です。育児や生活面で母親として足りないところはたくさんあったと思っています。このような結果を招いたのは事実です。責任を感じています。いまさらとわかっていますが、後悔してもしきれません。このことは一生背負っていかなきゃいけないと思っています」
 
***判決公判(11月20日)***
地裁は「食事を与えるという最も基本的な責務を果たさず、生存の確保をないがしろにして誠に悪質」として、懲役9年(求刑懲役14年)を言い渡したとのこと。
 
判決によると、被告は交際相手の男性被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役13年の実刑判決、控訴=とともに、昨年5月15日ごろから女児に必要な食事を与えず、男性被告の暴行によるけがの治療を受けさせないで放置し、低栄養状態に陥らせて同6月5日に衰弱死させたとのこと。
 
判決は、遺体を解剖した医師の見解に基づき、同5月31日ごろには衰弱が進み、生存のため保護が必要な状態にあったと認定。暴行によるけがが衰弱の程度を強めたとし、死亡の数時間前には高度の意識障害も生じていたと推認したとのこと。
 
また、体重約8・2キロだった女児が同4月下旬から約6週間でその約18%が失われるほど低栄養状態だったと認め、「明らかに特異だ」と指摘した。女児の身の回りの世話をしていた被告が体重の減少やけがに気がつかないのは不自然だとして、被告の供述は信用できないと断じたとのこと。
 
さらに、女児を1人で部屋に残して男性被告と長時間外出していたと指摘し、「機会があったのに育児支援を受けようとせず、男性被告との遊興や関係維持を優先させ、あまりに無責任だ」と非難したとのこと。
 
一方で、裁判長は
「自らの過ちを真摯に振り返る姿勢がうかがわれない点は相応に非難されるべきであるが当時若年である被告人の未熟さや想像力の乏しさが影響している」と述べたとのこと。
 
***控訴(11月20日)***
被告(22)が、懲役9年(求刑懲役14年)とした20日の札幌地裁判決を不服として札幌高裁に控訴した。20日付。
 
こんなところですね。
男性被告が有罪になっていますので、検察側の主張が認められるのかな?と言う予想はありました。
ただ、医学的見解が180度違うところが、ちょっと微妙だなと感じるところではありますね。
死亡直前の様子についても、男性被告と証言が一致してます。
まー、事件後にその場にいない事にしてくれなんて事を話しているので、口裏を合わせたと言う可能性もあるけど・・・
 
低栄養状態だった事は弁護側証人の医師も認めているところではあるんですけどね。
女児の死因が「低栄養」による「衰弱死」であった事を証明するには決定打が足りない気もします。
 
なので、控訴審で逆転する可能性もあるのかな?と言う気もしますが・・・
死因はともかく、同居する男性の虐待行為を見逃していた事、育児をないがしろにして、自分の遊びを優先した事は無かった事にはできませんね。
 

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2020/12/26

山形県東根市女性医師殺害事件その3(一審判決)

一審判決は懲役18年(求刑懲役20年)です。
***初公判(11月30日)***
1)起訴状によりますと被告(25)は山形大学の学生だった去年5月、東根市のマンションに侵入し、眼科医の女性の頭などをゴルフクラブで殴り殺害したとされています。
 
2)被告は「殺意はなかった」と述べ、一部を否認したとのこと。
 
被告は罪状認否で女性殺害の事実は認めたものの、殺意はなく、頭を複数回殴ったことも「わからない」と述べているとのこと。
 
3)検察側は犯行前に、インターネットで知り合った女性と性的関係を持ちたいと考え、外出したものの会えずに、無施錠の女性宅を探し歩いていたと説明したとのこと。
 
冒頭陳述で検察側は、動機は性的欲求を満たすためだったと指摘。「被害者がうつぶせに倒れた後も殴り続けた」と述べ、殺意を認定できると主張したとのこと。
 
検察側は被告が「強姦目的」で侵入し殺害に至ったと主張。被告のスマートフォンに残っていた「家に押し入り強姦する」などという犯行当時の検索履歴を証拠として示したとのこと。さらに精神鑑定の結果から「責任能力」があったのは明らかだと指摘したとのこと。
 
4)弁護側は「当時、酒と薬を飲んだ影響で、心神耗弱状態だった。傷害致死罪にとどまる」と主張したとのこと。
 
5)山形地検は被告の精神状態を調べるため約3か月間、鑑定留置し、刑事責任を問えると判断、19年10月4日に起訴した。弁護側も精神鑑定を求めたが、地裁は退けているとのこと。
 
***第2?回公判(?)***
1)証人尋問:遺体の状況を分析した医師
「女性は頭を中心に30回ほど殴られたのではないか」との見解を示したとのこと。
これについて被告は「部屋に侵入した目的は分からないが、恐怖でゴルフクラブを振り下ろした」と述べ人を殴った認識はあったことは認めたとのこと。
 
2)被告人質問:報道されず内容不明
どの公判での情報化不明ですが被告人質問の内容。
(検察側)
「殴ったのは男性?女性?」
(被告)
「覚えていません」
(検察側)
「家に入る前に、「押し入り・強姦」と検索しましたね?」
(被告)
「分かりません」
 
3)どの公判での情報か不明ですが、以下に記載します。
検察は被告は事件前日の5月18日夕方、性的関係を目的にインターネットで知り合った県内の女性に連絡したが断られた。その後、近くの公園でコンビニで購入した酒を飲み、風俗店を探したり、別の女性にも会おうとしたがうまくいかず、午後10時ごろから、現場周辺で無施錠の女性宅を探し始めたとのこと。
 
翌19日午前5時ごろ、被告は、鍵がかかっていない、女性用の靴がある部屋を発見し、周囲を確認した上で侵入。廊下にあったゴルフクラブを手に取ってリビングに入ったところ、被害者と鉢合わせになったため、ゴルフクラブで頭部を何度も殴打したとのこと。
 
4)被告は、被害者とは面識がなく、犯行の2日後に初めて、自分が殴打した相手が女性だと知ったと述べたとのこと。
弁護側は、被告は現場が女性宅とは認識しておらず、性的暴行の目的はなかったと主張したとのこと。
 
5)被告を精神鑑定した医師は「1回目の殴打後、パニックによる解離性反応や時間とともに嫌な記憶は蓋をして消し去りたい『健忘』が起きた可能性がある」と証言したとのこと。また、「抗うつ剤と酒との併飲で意識障害は考えられない」との見解を示し、鑑定時に「(被告は)複数回殴打したと述べていた」と、公判での被告の証言を否定したとのこと。
 
6)現場周辺の複数の集合住宅を物色し無施錠だった被害者宅に侵入したとされる行動について、検察側が昨年6月19日の取り調べで「(被告は)『あわよくばそこに住む女性と性的関係を持ちたいという気持ちがわずかながらあった』と供述した」と指摘したのに対し、被告は「供述した時にそうした記憶があったわけではない。目の前にいた人(検事)に納得してもらいたくて推測で話した」などと述べたとのこと。
 
***第3?回公判(12月2日)***
遺族が2日証言台に立ち、死刑を求めたとのこと。
 
この時の証言かはっきりしませんが、以下に記載します。
被害者の弟で事件の第一発見者は、「姉は本当に大事な人でした。理不尽な方法で殺した犯人を許すことができない。命をもって償ってほしい」と訴えたとのこと。
 
被害者の姉は「(被告は)本当に反省しているのか、反省しているようには見えない。きちんと事件に向き合ってほしい。死刑になってほしいが、せめて刑務所から外に出てこないでほしい」と強く訴えたとのこと。
 
***論告求刑公判(12月3日)***
1)検察側は12月3日、山形地裁の裁判員裁判で懲役20年を求刑した。
 
2)検察側は論告で「動機は身勝手で、同情の余地はなく、犯行は残酷だ」と非難したとのこと。
 
検察側は、殺傷力のある凶器で頭部を狙って殴打した点から殺意があったと主張したとのこと。
責任能力については精神鑑定などから「被告に精神疾患はなく、完全責任能力が認められる」と述べたとのこと。
 
検察側は「被害者が倒れたあともゴルフクラブで殴打し続けたことは執拗で残酷であり、被害者を放置して立ち去るなど自分の身を守ることを優先し、人命を軽視した犯行」「捜査段階で認めている事実を公判で撤回するような態度をとっていることから罪と向き合おうとせず、更生などあり得ない」とし、被告に懲役20年を求刑したとのこと。
 
検察側は論告で、抗うつ剤と飲酒に意識障害を起こす因果関係は認められず、被告は性的行為を求めて無施錠の女性宅を物色するなど、合理的に行動していたと指摘。頭部を複数回殴っており、「殺意はあり、完全責任能力があった」と主張したとのこと。
 
3)弁護側は「提出された証拠からは殺意があったと言えない」と述べ、傷害致死罪の適用にとどまると主張して結審したとのこと。
 
弁護側は「被害者が突然現れ、偶発的に殴り、未必の故意もなかった」などと反論し、酒とうつ病治療薬による意識障害があり、責任能力は限定的と訴えたとのこと。
 
弁護側は最終弁論で、被告が事件当夜、飲酒しながら9時間も歩くなど不合理な行動をしており、「意識障害があったとしか思えない」と主張したとのこと。
居間で女性と鉢合わせしてパニックとなって殴ったが、複数回殴ったことは覚えておらず、心神耗弱状態で殺意はなかったと主張したこと。
 
捜査段階で認めている内容を公判で撤回していることについては、「現在の記憶に従って証言しているだけで、裁判の中で自身に不利益な記憶も証言している。罪と向かう気持ちがある」などと述べ、更生の機会を求めたとのこと。
 
4)被告は最終意見陳述で「何度おわびしても足りない。一生罪と向き合う」と話したとのこと。
 
「亡くなられた被害者の人が、人を助ける仕事に情熱を持ってたくさんの人に信頼されて本当に家族思いだったことが分かった。本当に申し訳なかった」と述べたとのこと。
 
その後、証言席を離れ、遺族に向かい、「本当に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げたとのこと。
 
***判決公判(12月11日)***
1)山形地裁は11日、懲役18年の判決を言い渡した。
「ゴルフクラブで何度も殴るという執拗で残忍な犯行で、被害者に落ち度はなく、突如命を奪われるという、恐怖・痛み・無念さは計り知れない」と厳しく指摘したとのこと。
 
2)被告の責任能力と殺意を認め、「殺害行為は執拗で残虐、酌量の余地はない」とした。
 
裁判長は、「被害者の態勢の変化に対応し、頭部を複数回殴打している」「その行為の危険性を認識していた」として殺意を認定。その上で、「殺害行為は執拗で残虐、女性と性的な関係を持ちたいと考えて侵入し、殺害に及んだ犯行は、酌量の余地は全くない」などとして、懲役18年を言い渡したとのこと。
 
***控訴(12月15日)***
被告の元大学生は12月15日、1審の懲役18年の実刑判決を不服として控訴したとのこと。
 
こんなところですね。
被告については、ある意味で人間らしいと言うべきなのかな?
自分の罪を軽くしたいと言うのは誰にでもある感情だとは思うのですが、それは反省と言う事とは対立する場合が多いんでしょうね。
だから、「反省していない」とか「事件と向き合っていない」と言う事になってしまう。
 
しかも、それがあからさまだと、さらに印象が悪いですよね。
事件直後の取り調べの内容については、そんな事もあるかな?と思わなくもないけど、事件から数か月が過ぎた精神鑑定での話しも否定するのはちょっと無理な印象ですよね。
 
逮捕後には素直に話していたのでしょうが、公判が近づき、量刑を考えると少しでも罪を軽くと考えた結果なのかもしれません。
 
さて、最後にこの事件の教訓ですが、もはや日本で「性善説は通用しない」とか、あるいは「犯罪者は常に我々のスキを狙っている」と言う事でしょうか。
 
在宅中に自宅玄関のドアを施錠していなかったと言う、誰にでもありそうな「スキ」を犯罪者は見逃さないと言う事なんですよね。
今回は偶然、被害者が被害にあってしまったわけですけど、事件当日、東根市の周辺の家で、無施錠の家があれば、誰が被害にあっても不思議ではなかったと言う事ですからね。
 
日本はこれまで、治安が比較的良い国でした。
しかし、通り魔事件や、この手の暴行目的での侵入事件は毎週のように起きている。
その現実に目を向ける必要があります。
日本は工業技術力では世界でもトップクラスなのだから、テクノロジーで防犯する方法を考えたいですよね。
とりあえず、簡単なところで、防犯カメラがあれば、少しは抑止力になるかもしれませんね。
 
亡くなった女性のご冥福をお祈りします。
 

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2020/12/19

埼玉県川口市パピヨン蹴り殺し事件?

12月12日(土)川口市鳩ケ谷緑町1丁目の芝川河川敷で市内の70代男性が飼っていた散歩中のパピヨン1匹(12歳、メス)が蹴り殺される事件?が起きている。
 
他人の飼い犬を蹴って殺したとして、埼玉県警は同県川口市の男(47)を動物愛護法違反の疑いで12月15日、逮捕したとのこと。調べに対して男は容疑を否認し、「犬がぶつかってきただけ」などと述べているとのこと。
 
パピヨンは頭の骨が折れるなどしていたとのこと。
男は当時ランニング中で現場から立ち去ったが、目撃情報などから浮上したとのこと。
 
パピヨンはリードが付いていない状態で、飼い主の手から離れていたとのこと。
 
こんな事件ですが、難しい事件になるかもしれませんね。
今、出ている情報を見ると、
 
1)飼い主は犬が蹴られたところを見ていないと思われます。
飼い主が見ているなら、目撃情報で浮上とか書かないと思うんですよね。
 
2)目撃情報とは犬を蹴っている場面の目撃情報なのか?
蹴っている場面の目撃情報なら決定的な証拠なんですが、そうでない場合は状況証拠にしかならないかも?
 
3)蹴った事を証明できる物証はあるのか?
犬の血が靴に付着しているなど、物証がないと難しいかも?
毛が付着していた程度では「犬がぶつかってきただけ」を覆せないのでは?
 
まー裁判所が逮捕状を出しているので、それなりの根拠はあると思うのですが、裁判になると難しいかもしれませんね。
 
続報を待ちましょう。

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2020/12/17

福井県東尋坊少年集団暴行殺人事件その3(3人目少年の一審判決)

3人目少年の大津市の18歳少年の一審公判です。
懲役5年以上9年6月以下の不定期刑。
 
***初公判(10月26日)***
1)少年は起訴内容を認めた。
 
2)検察側は冒頭陳述で、少年は昨年9月以降、知人の長浜市のとび職元少年(20)=殺人罪などで起訴=を通じて被害者と知り合い、被害者の言動などに腹を立てた元少年らに同調し、同10月16日以降、火の着いたばこを鼻に入れるなど暴行を繰り返したと説明。傷害の発覚を恐れ自殺に見せかけて殺害しようと被害者を東尋坊に連れて行き、共犯者らと崖の先端で取り囲んだとし、「残酷極まりない犯行で被告人が果たした役割は相応に大きい」と指摘したとのこと。
 
3)弁護側は「少年は被害者への大きな怒りはなく、深く考えずに共犯者に従っていた」と主張。東尋坊に到着するまで殺害の意図もなく、とび職元少年の指示で同行したに過ぎず、関与の度合いは比較的小さい、と主張したとのこと。
 
4)起訴状によると、少年はとび職元少年ら6人と共謀。昨年10月17~18日、長浜市で被害者の脚を車でひくなどして車のトランクに閉じ込め、東尋坊に向かい、同18日夜、崖から飛び降りさせ、脳挫滅で死亡させた、などとしているとのこと。
 
***第二回?公判(10月28日)***
証人尋問:共犯とされる元少年(20)(殺人罪などで起訴)
1)元少年は、被告の少年が「手錠を被害者につけ、顔面を殴っていた」と証言。暴行した被害者を死なせる場所を複数人で決める際、「(被告の少年が)『東尋坊でいいんじゃないですか』と提案した」と説明したとのこと。また、被害者が東尋坊の崖から落ちたことについて、「(被告の少年が)『最後は華やかですね』と話していた」と述べたとのこと。
 
***論告求刑公判(11月09日)***
1)被害者の母親の意見陳述
「生きている被告人がうらやましく、美容師の夢を語ることが許せない。一日でも長く刑務所に入ってほしい」と厳罰を訴えたとのこと。
 
2)検察側は懲役6年以上11年以下の不定期刑を求刑したとのこと。
 
3)検察側は論告で、少年は犯行を主導したとされるとび職元少年(20)=殺人罪などで起訴=らより関与の度合いは低いとしつつ、金を返さなかったとして被害者を殴打するなど自身の感情で暴行を加えたと指摘。傷害が発覚しないよう保身から東尋坊で被害者を追い込んだとし、「相応に責任がある」と強調したとのこと。
 
4)弁護側は「(とび職元少年らがつくった)異常な雰囲気が少年を暴力へいざなった」とし、暴行内容も他の共犯者より悪質性は低いなどとし、寛大な判決を求めたとのこと。
 
5)少年は最終意見陳述で「取り返しがつかないことをした。ご家族の苦しみが消えることはないことを絶対に忘れない」と語ったとのこと。
 
***判決公判(11月20日)***
1)裁判長は、懲役5年以上9年6月以下の実刑判決(求刑・懲役6年以上11年以下)を言い渡したとのこと。(不定期刑)
 
2)裁判長は「被害者を人ではなく物のように扱い、残虐極まりない。生きたいと願う被害者の言葉に耳を傾けなかった過ちに真摯に向き合ってほしい」と述べたとのこと。
 
別の報道では
裁判長は判決理由で、少年は大きな理由もないまま暴行に加わり、東尋坊では共犯者と被害者を追い詰めたとし、「動機や経緯に酌量の余地はない」と指摘。一方、一部の傷害はほう助犯にとどまる上、暴行の回数や悪質性はほかの共犯者よりも比較的低いとし、「従属的な立場だった」としたとのこと。
 
犯人7名の判決状況は
(すいません、年齢は事件当時、判決時がバラバラになっています)
A)滋賀県長浜市神照町、とび職U容疑者(当時39)・・・公判前
B)アルバイト少年(判決時19)・・・一審判決、懲役10年以上15年以下
C)無職少年(判決時19)・・・・・・一審判決、懲役5年以上10年以下の不定期刑
 
D)大津市の少年(判決時18)・・・・一審判決、懲役5年以上9年6月以下の不定期刑
 
その他、E、F、Gの少年が大津市内の男子高校生(当時17)3名ですね。
 
今回の少年Dの罪は少年Cとほぼ同等だけど、少し軽い(4月分)と言う事のようですね。
 
まー少年だから仕方が無い面もあるけれど、「最後は華やかですね」とは逆の立場だったらとても言えないセリフだと思います。
残虐な虐待の限りを尽くしているけど、このあたり、想像力が無いですよね。
 

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宮城県蔵王町猫ヒモ巻き付け虐待事件2(2020年11月30日)

宮城県蔵王町の住宅地でワイヤーや紐のようなものが、体に巻き付いているアナグマが発見される事件が起きている。
アナグマは11月30日に見つかり、その後、姿を見せていとのこと。
 
この住宅地では2019年5月以降、同じように体にひもを巻き付けられた野良ネコが相次いで見つかっている。警察が、動物愛護法違反などの疑いがあるとみて捜査していますが、犯人は未だ逮捕されていないとのこと。
 
時系列
2019年
05月 紐がまきついた猫が発見
06月 住民が警察に相談
10月15日までに、紐がまきついた猫は合計3匹発見されている。
2020年
11月30日 ワイヤーや紐のような物が体に巻き付いたアナグマが発見される。
 
こんな事件ですが・・・今年も起きているんですね。
しかし、相変わらず微妙な印象です。
昨年も今年も「紐が巻かれた動物の死骸」は発見されたとの報道がありません。
 
犯人は何らかの方法で猫やアナグマの体に紐やワイヤーを巻き付けるけど、その結果、その動物は死亡していないわけです。
まー、発見した住民が紐を取り除いているからかもしれませんが・・・
可能性としては、犯人が捕獲して死骸を処分していると言う事も考えられます。
 
犯人にしか分からない理由で猫やアナグマを罠で捕獲している。捕獲した動物がどうなっているのかは不明。
罠から自力で抜け出した動物を住民が発見していると言う可能性ですね。
 
場合によっていは、犯人には虐待以外の目的を持っている可能性もありますね。
他には、実は事故だった場合かな?
結果的に罠として動作しているけど、犯人には罠という意識がなく、紐を設置している。
その紐に動物がなぜか巻きついてしまうと言う場合もあるのだろうか?
 
いずれにせよ、罠だとしたら、動物が寄りつく場所や、餌などでおびき寄せるなどの方法を選んでいるはずなので、住民の方はそれとなく、周囲を観察されてはいかがでしょうか?
 
続報を待ちましょう。

参考リンク
宮城県蔵王町猫ヒモ巻き付け虐待事件

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2020/12/08

東京都調布三鷹地区高齢猫虐殺事件

東京都の調布・三鷹地区で20年近く暮らしていた高齢の地域猫の不審な死骸が発見される事件が起きている。
11月4日(水)早朝、ボランティアが川の土手で遺体を発見
ボランティアの女性が午前6時ごろ、いつもの場所にえさをやりに行ったところ、高齢猫の姿が見えなかったとのこと。「おかしい」と思った女性は、周りを見回したら、下方の川の土手で血を流して倒れている高齢猫を発見。
顔面の一部がどうなっているのか分からないほどひどい状態になり、お尻から腸も出て、苦しんだように大きな口を開けて死んでいたとのこと。
 
死体があった場所は、高齢猫がエサをもらっていた遊歩道から数メートル下方の土手。
遊歩道は道路から程遠く、長年高齢猫を見てきたボランティアは、これまで一度も道路まで出るのを見たことはなかったとのこと。
 
川の土手には普段高齢猫が行かない場所で、高齢猫の遺体周辺には血や毛が飛び散っていたとのこと。
 
こんな事件ですね。
駆除目的なら毒餌を撒けば良いので、やはり虐待の可能性が高そうです。
 
ただし、刃物を使って四肢や首を切断するほどの残虐性はなく、死骸も発見を遅らせる為か、土手に遺棄していると言う事なのかな?
 
このあたりを考えると、ストレスが高まっているところに、つい見かけた地域猫に暴力を爆発させたと言うあたりなのかな?
暴行は蹴ったとか、投げつけたとか?あるいはバットなどの鈍器を使ったと言うあたりかな?
 
でも、毛が飛び散ると言うのは、単純に殴った程度では起きないような気がしますね。
路面に投げつけたりしたのかな?
 
調布・三鷹地区は、2015年の東京連続動物虐待事件の時には事件が発生していないので、東京の中では比較的、動物虐待事件が少ない地域なのかな?
(ただし、2017年に三鷹市で猫の首無し死骸遺棄事件がありました。)
 
これまで、動物虐待事件が少なかった地域なので残念です。
動機がストレス発散なら、ストレスが高まれば、次の事件を起こす可能性もあるので、周辺の方は注意された方が良いと思います。
 
続報を待ちましょう。

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