神奈川県座間市9名バラバラ事件その13(一審公判2)
審理は、9人の被害者を殺害順に3組に分けて行われる。
(1)2017年8月の3人
(2)同9月の4人
(3)同10月の2人
中間論告や弁論もグループごとに行う。
殺害順
2017年
8月23日Aさん(女性当時21)
8月28日ごろBさん(女性当時15)
8月30日ごろCさん(男性当時20、Aさんの知人)
9月
Dさん(女性当時19)
Eさん(女性当時26)
Fさん(女性当時17)
Gさん(女性当時17)
10月
Hさん(女性当時25)
Iさん(女性当時23)
***第六回公判(10月12日)***
2人目の被害者Bについての被告人質問
1)弁護側の質問に対して回答を拒否した。
2)検察側の質問に対し、「1人目の被害者に対して行った殺害の方法が楽だったので、同じ方法でやろうと思いました」と述べ、2人目の被害者にSNS上で接触したと話した。
被害者と公園で会った時のことについて、「主に悩みを聞いたり外見をほめて口説こうとしましたが失敗して、『やっぱり帰ります』と言われました」「家出願望を利用して、『私のうちに来ないか。私がしばらく養ってあげる』などと言って誘い出しました」と述べ、「財産や収入がないことや、まだ若いことなどから、殺してレイプすることにしました」と話したとのこと。
家では、「悩みを聞きながら『これを飲めば気分が楽になるよ』と言ってお酒や安定剤を飲ませて、効いてきたところでおそいました」と説明し、検察側から「被害者に自殺の気持ちがあったと思いますか」と問われると「なかったと思います」と答えたとのこと。
女子高校生は被告と会った後、「いろいろ考えた結果生きていこうと思います」とのメッセージを送ってきたとし、「自殺する気もなく、殺害を承諾しているとは思わなかった」と供述。殺害後に奪った現金数千円は、「食事や次の犯罪の資金に使った」と話したとのこと。
被告は「通報されてしまうので、生きて帰さないと決めていた」とも話したとのこと。
3人目の被害者Cの証拠調べ
検察官が男性の両親の供述調書などを読み上げた。父親は「息子はかけがえのない存在だった。ひどい殺し方をしてゴミ同様に捨てたことは、言葉では例えられない憤りを感じる」と厳しい処罰を求めたとのこと。
***第七回公判(10月14日)***
3人目の被害者Cについての被告人質問
1)検察側の質問に、8月28日に男性と無料通信アプリ「LINE(ライン)」でやり取りした際、男性に女性の母親から連絡があったことを知ると、男性の自殺を手伝う名目で会う約束をしたと説明。「男性の口から、女性の遺族へ私の情報が入らないよう、証拠隠滅をしようと思った」などと語った。所持金を奪う目的もあったと述べたとのこと。
翌29日、会って悩みを聞くうちに男性は自殺の意思を撤回して別れ、「これからはちゃんと生きていきます」とメッセージを送って帰ろうとしたため、食事に誘って引き留めたとした。自室に招き入れると、失踪を勧めながら数時間酒を飲み、30日未明に背後から首を絞めて、抵抗を抑え込んで殺害したといい、男性は殺害への同意は「なかった」と答えたとのこと。
検察側は被告人質問で、被告が犯行直前に男性とLINE(ライン)のやりとりで「給料入りましたか」「手持ちは1万円くらいありますか」などと何度も尋ねていたと指摘。理由を聞かれた被告は「遺体の処分に使うポリ袋や、ペット用のトイレシーツの購入に5千円ほどかかった」と説明した。
また被告は、自殺を思いとどまり、いったん別れた男性を自宅へ連れ込み、「行方をくらませてホストやスカウトをやってみないか」などと説得して失踪を偽装するよう指示したことも明かしたとのこと。
検察官から、「男性は殺害される時に『死にたい』や『殺してくれ』と言っていたか」と問われると、「ありませんでした。承諾もしていなかったと思います」と改めて「承諾殺人」を否定したとのこと。
女性を殺害した後に、女性の母親から男性に電話があったことを知り、事件発覚を恐れて男性の殺害を決めたという。「生かしておくとリスクが高い。証拠隠滅のため」と述べたとのこと。
2)この日も弁護側の質問への回答を拒否した。
***第八回公判(10月15日)***
AからCについての被告人質問
1)被告は弁護側からの質問に公判を通じて初めて応え、最初に殺害した女性(21)について、「執行猶予中だったため、恐喝や暴行で捕まると実刑になってしまうと思い、確実に証拠隠滅した方が良いと思った」と述べました。また、殺害の承諾については、「部屋の家具で何を買うかという話が出ていたので、(女性は)私と住むつもりだったと思います」として、「『殺して下さい』『死なせて下さい』という言動はなかった」と述べたとのこと。
また、3人目に殺害した男性については当初、「まとまったお金が手に入るなら殺そうかな、くらいに考えていた」とし、証拠隠滅の必要に迫られると、「どういう形であれ、死亡に追い込もうとした」と述べました。これに対し裁判長から、「まとまったお金のイメージとはどのくらいか」と問われると、「イメージとしては25~50万円以上持っていれば、自殺幇助や殺人をしようと思っていた」と説明したとのこと。
裁判員から「男性に失踪の偽装を指示した際に、疑問を持たれなかったのか」と問われると、「『なぜそんなことをしなきゃいけないんですか』とストレートに聞かれた」とした上で、「会社やバンドからすぐ飛んだら(逃げたら)、後を追われるのは嫌だよね」などと説得して納得させたと話したとのこと。
***第九回公判(10月19日)***
AからCについての中間論告
1)検察側は1人目の被害者について、「被告人が述べた殺害状況からしても殺害されることに承諾していなかったことに合理的な疑いを差し挟む余地は全くない」と述べたとのこと。
「自殺願望があったことと殺害行為を承諾していたかどうかは全く別問題」「弁護側の主張は被告人の罪を少しでも軽くするために被告人自らが語る具体的状況などにまるで目をそむけている」と指摘。そして、3人の被害者いずれについても「被告人に殺害されることを承諾していなかったのは明らか。被告人の行為は単なる殺害行為に他ならない」と述べたとのこと。
検察側は「3人は自殺の意思を明確に撤回し、殺害時も激しく抵抗していた」とし、「殺害を承諾していなかったことは明らかで、単なる殺人に他ならない」と指摘したとのこと。
各事件で、殺害の承諾はなかったとした被告の法廷での供述は、客観的な事実と符合するなどと指摘。「被告の供述は十分に信用できる」と訴えたとのこと。
被告の法廷での供述について(1)客観的な事実経過と符合(2)一貫性があり内容も詳細で合理的(3)記憶の有無や濃淡を区別して供述し虚偽の可能性もない――として「信用できるのは明らか。殺害の承諾はなく単なる殺人だ」と結論付けたとのこと。
2)弁護側は被害者の3人は被告に殺害方法を指定したり、わざわざ会いに来たりしていたと反論。被告が殺害の承諾はなかったと話しているのは、承諾殺人が認められることを諦めているためだと主張したとのこと。
別の報道では
弁護側は、被害者が被告に殺害を依頼するメッセージを送るなどしたほか、薬を飲んで首をつる方法について事前に話題になっていたことを踏まえ「単なる希死念慮ではなく被告に命を絶たれることを承諾し、薬を飲んだ状態で首をつられることをリアルに思い描いていた。当日は被告と2人きりで薬や酒を飲んでおり、想定した状況に近づいていた」と主張したとのこと。
また自殺の意思を撤回するメッセージを送信した後に、被害者らが遺書を書くなどしていたことを挙げ、「(自殺意思の撤回後に)希望を見いだしたわけではない」とした。殺害時の抵抗は「条件反射」と評価したとのこと。
被告は公判で、裁判官から「承諾があった人もいるのか」と問われ、「分からないというのが正直なところ」と答えていた。弁護人はこの点に触れ「黙示の承諾は被害者の内心のこと。(承諾の有無は)慎重に検討してほしい」と締めくくったとのこと。
こんなところですね。
ずっと弁護側の質問には回答を拒否していたのですが、回答する事もあったんですね。
構図としては、淡々と死刑に向けて進む検察側と被告人、死刑を阻止する為に承諾殺人を主張する弁護人と言う構図になってますね。
妙な構図ではあるのですが・・・弁護人まで死刑を主張するわけにはいかないわけで、殺人よりも罪の軽い承諾殺人を主張するのももっともな事だと思います。
被告人が罪を軽くする事を望んでいないのですが、全てを認めても9人を自分の身勝手な都合で殺害して酌量を求める材料などないでしょう?
そのあたりを考えると、被告人と対立しても、承諾殺人を主張する以外に弁護人として仕事をする方法が無かったのかな?と思わなくもないです。
(このあたりは専門家のご意見を伺いたいです。)
公判については、被告人の話が全てを物語っていると思いますね
次回に続く。
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