世田谷一家殺害事件再考その207(20年末特番まとめ6「父親のDNA」)
未解決事件SP
世田谷一家殺人事件
20年目のスクープ
~3つの影を持つ男~
***初めに(ASKAのコメント)***
番組内容には主要な5項目があります。
§1.物取り犯説
§2.怨恨説
§3.外国人説
§4.複数犯説(実行犯は反社会性人格障害)
§5.犯人の父親のDNAについて
今回は犯人の父親のDNAについて取り上げます。
取材メモについては、別記事で解説しています。
番組を実際に見てください。この番組はかなり詳細に事件を再現しています。
事件簿の記事ではそれらを全て書き出す事はできません。
実際に番組を視聴して、参考に事件簿の記事を読んだいただいた方が理解が深まると思います。
長文注意です。
********************
一部、外国人説での情報を再掲します。
母親側のDNAについては
ミトコンドリア DNA の分析の結果
ミトコンドリア DNA は大きく30のグループに分かれている、鑑定の結果犯人の DNA はその中のH系統に属し、さらに当時見つかったばかりの珍しい15番目のグループ H15型であることが判明した。
この結果から
犯人の母親は日本人の系統には属さず最も可能性が高い起源はヨーロッパ系だと結論付けた。
父親側のDNAについては
Y 染色体の分析の結果。
15年前とは異なる新たな解析方法を用い、最新の日本人男性の DNA データ3500件、中国人3万件韓国人2500件それらに加えフィリピンマレーシアシンガポールにも範囲を広げ各国から集めた実に4万もの膨大なデータをひとつひとつ犯人の DNA と照らし合わせていった。
番組では
フィリピンのルソン島が(犯人の)可能性の範囲に入る。
と言う結論というよりは情報を出している。
で、番組の目玉としてフィリピン北部を取材した結果、例のハンカチ(クルリンパと呼ばれてるのかな?)と同じ使いかたをしている事を発見した。
ただし、この情報はすでに、警察から発表されている内容(犯人が用いた包丁の包み方がフィリピン北部地域の軍人らが使う方法に酷似している)
付け加えると、成城警察署元署長の土田氏は DNA 捜査の進展に大きな期待している。
ただし、犯人の個人情報保護の点でDNA情報を捜査に使用するには法の整備が必要と言うことですね。
こんなところですね。
父親のDNAの分布を全て出さずに、「フィリピンのルソン島にけっこう多い」と言うことだけを出してしまうのは、ちょっとよろしく無い気がしますね。
まー番組としては、ハンカチの件と絡めたいのでこうなってしまったのかもしれませんが・・・
さて、DNA捜査についてですが、私としては楽観的には考えていません。
DNA情報を使って捜査しても、結局は犯人逮捕の決め手にはならないのではないか?と言うのがその理由です。
極端な例を考えてみましょう。
例えば、今、ここに犯人の「顔写真」、「体全体の写真」があったとして、それで犯人が逮捕できるだろうか?
日本全国に指名手配(氏名がわからないので指名手配できないかもしれませんね)して、顔写真を公開すれば、情報は入るかもしれない。
しかし、犯人が外国人で日本での滞在が事件の前後1週間だけだったとしたら?
20年前にこの人見ませんでしたか?と聞かれて、記憶をよみがえらせる事ができる人間がどれだけいるだろうか?
逆に、犯人が現場近くで生まれ育ったのであれば、現場周辺で写真を見て思い出す人もいると思います。
なので、仮に顔写真があったとしても、それを捜査に活かすには、ある程度の条件(情報)が必要だろうと思うわけです。
そういう意味で、地道な捜査は必要なんだろうと思います。
(とは言え、DNA情報やDNA捜査があった方が捜査にプラスになると言うことは間違い無いと思います。)
番組中で警視庁捜査第一課の元管理監の廣瀬氏が言う
「警察捜査とはいっても組織力を使ってできるのは、せいぜい40%ぐらい、あとは地域住民や皆さんの協力が60%」と言う言葉も、そういう意味なのかな?と思いますね。
補足として
2008年5月に発生した「琵琶湖のバラバラ事件」では、遺体の似顔絵や身体的特徴などが公開されたが、日本人遺体の身元の判明まで10年かかってます。
さて、一応ここまでで番組内容のおおまかなまとめは終了です。
次回は再現ビデオの中で私が気になった点について、時間があれば書いてみようと思います。
参考リンク
世田谷一家殺害事件再考その202(20年末特番まとめ1「取材メモ」)
世田谷一家殺害事件再考その203(20年末特番まとめ2「物取り犯説」)
世田谷一家殺害事件再考その204(20年末特番まとめ3「怨恨説」)
世田谷一家殺害事件再考その205(20年末特番まとめ4「外国人説」)
世田谷一家殺害事件再考その206(20年末特番まとめ5「複数犯説」)
琵琶湖遺体遺棄事件
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コメント
>フィリピンのルソン島が(犯人の)可能性の範囲に入る。と言う結論というよりは情報を出している。
>番組の目玉としてフィリピン北部を取材した結果、例のハンカチ(クルリンパと呼ばれてるのかな?)と同じ使いかたをしている事を発見した。
これはちょっと飛躍しすぎですね。と言うより番組制作側が元々このハンカチの使い方をする地域を知っていてDNAデータの範囲に入ったから紐付けただけかなと。
ハンカチの使い方は知識ですから、犯人がその地域で軍人として一時的に働いていたり、その経験のある知人に教われば出自と関係なく知ることが出来ますからね。その知識を知っている=その地域出身というのはかなり短絡的に過ぎると思いますね。
投稿: 裏銭 | 2021/03/13 21:49
縄文人は南方、北方から渡り住みついた人々、弥生人は朝鮮半島、中国大陸から渡ってきた人々であると認識するので、日本人の大多数は東アジア各地のDNAに由来しているものと思います。調べれば私のルーツもルソン島であるかも知れませんね。犯人が仮に辿り着けないと思って残した指紋や血液が大きな鍵になると言えるのでしょうか。。
投稿: 亀さん | 2021/03/14 17:45
容疑者が逮捕でもされればDNAが補強材料になるかもしれないけど、皆さんがおっしゃる通りDNAから容疑者にたどり着くの困難でしょうね…ルソン島(フィリピン)は古くから日本と交易がありますし、大戦中も日本軍の攻防があったエリアですから、そこの血を引いている日本人がいても全然おかしくないだろうし…
投稿: | 2021/03/16 20:13
ハンカチは世界中に散らばってる、フィリピンの前もあるでしょう、マーカーと同じように期待薄、対象が多すぎる。
指紋から始まり、遺留品ときて最近はDNAときた。指紋とDNAモニタージュが唯一の希望になる可能性があるが、町中に貼ってある指名手配犯の写真のように顔が判明したから即解決されるわけではないのでは、20年以上も経過してる現在においては。
あれほどの犯罪を犯してる犯人が20年以上も犯罪をしてない、他の多くの指紋やDNAがとれてる事件は再犯が事件解決につながった、ことがミステリーなんだったかな・・・
昔、何十年も海外に住んで、その間まったく帰国してない日本人とメールでやり取りした時もやはり変わった日本語だったな、特に漢字の使い方が。事件前の犯行予告なのかイタズラなのかわからない、オンライン掲示板に書かれた微妙に日本語が変な文章がここにきて色々とひっかかる。
「170 :黒ムツさん:2000/12/27(水) 17:03
俺は3歳のガキの頃から鼠を刺し殺し、又はては烏に与え、これを13歳に成った今でも続けている。其れと並行して...余計に悲惨な光景に成る。が、其れがまた快感だ・・・」
http://mentai.5ch.net/test/read.cgi/cat/975178415/
投稿: mn | 2021/03/23 00:07
弥生人や縄文人は固有の一部地域の人々ではありません。弥生人なら、中国や内モンゴル、ロシアと中国東北部の境など、縄文人なら、バイカル湖周辺、ロシアと中国東北部境、インドと東南アジアの境、沖縄(これは沖縄固有で他の地域にはない)など、他地域からの集合体です。つまり、現代人は純粋な弥生人も縄文人もいません。弥生人の遺跡から見つかった母方のDNAの50%は中国中央部発祥のDNAだったとの研究結果がありますが(D4と言われている遺伝子)、現代人のD4の割合は30%前後です。フィリピンは歴史的(大航海時代)に南欧人との混血が多く、スペインやイタリアなどの遺伝子が入っていても不思議ではありません。しかも、大航海時代の船員はスペイン人というわけではなく、多民族集団(欧州全体)でした。DNA捜査は優秀ですが、父方から探るのには無理があるでしょう。父方のY染色体は脆いので、数代程度しか使い物にならないからです。
投稿: わんこ | 2021/05/10 17:56
最新のDNA研究で判明してると思われるので、日本だけでなく英国や米国の情報も参照してるのでおそらくルーツに関しては日本を含むアジア(父)と欧州(母)人とのハーフはほぼ確定では・・・少なくともルーツは・・・国籍は不可能、多様な社会。
被害者の誕生日を全員メモ書き(昭和や平成から西暦に変換して書いた?)できるぐらいだから日本語はできるでしょう。例のハンカチの使用方法も似たようなことをしてる地域が世界中にあると自分は思います、犯人もフィリピンと聞いて驚いてるのかもしれません。
タンスは下から開けるものだと自分は思ってましたので犯人が空き巣の常習とは違うと思います・・・国際引越しが多かったのかもしれません、パッキングする際は下からが常道。
あのマーカーはたっぷりとでるから使いやすいということなのかな?
「日本人が母親である可能性はゼロに近いのです・・・英国や米国のデータベースともクロスチェックをした上で、間違いなという判断に至った・・・
父系は日本人を含むアジア民族に多く見られる・・・(オースリーイースター)・・・犯人の母は地中海に住む欧州人、父系は日本を含むアジア人の可能性が高い・・・戸籍からヨーロッパ系ハーフを割り出す作業は簡単ではありません。 大体の場合、父系しか記載されていないので・・・犯人のバッグの内側に赤系統の染料が付着し、これも原料がドイツにあるメーカーだとわかっています・・・」
「世田谷一家殺害事件から20年、真実にここまで肉薄していた捜査の全貌」Diamond Online (2020.12.30),
https://diamond.jp/articles/-/258243
投稿: mn | 2021/06/26 17:12
この事件は指紋・血痕から被疑者を追っていますが、そもそもそれに疑問を持つ捜査員がいないことに日本警察の未熟さがあります。例えば人を殺す人間が香水を付けて犯行を企てるでしょうか?汗の痕跡無しに香水だけが検出されたことに何ら疑問を持つ人はいません。犯人にとって香水を利用するメリットを考えるべきです。また血痕も犯行後 アリバイの確実な第三の血痕を利用する方法も考えられます。みなさんよーく考えてください。
投稿: aokinoboru | 2021/07/30 21:38
>aokinoboruさん
過去に遺体遺棄現場に他人の精液がついたティッシュを偽装工作で置いた犯人(寝屋川市中1男女殺害事件)も、結局バレて死刑になってるし、仮に指紋や血液などのDNA型につながる情報が他にあったとしても、警察がそれらの情報を全てマスコミに流すわけでもないので、実際には汗などの痕跡も発見されているかもしれないし、偽装でそういったわざとらしい痕跡を残していったとするなら、警察だってそこまでそれに振り回される程、バカじゃないと思いますけどね…
投稿: | 2021/08/05 00:52
小田急の殺人未遂事件。事件発生の区間は高架です。容疑者は線路に降りた。で、混乱の中、駅ホームから地上に出たのですかね。彼のヤサは向ヶ丘遊園。向かった先は荻窪方面。線路沿いにヤサと反対方向に城山通りを歩けば環八に出ます。そこから荻窪方面に向かえば成城署の前を通過……駅から祖師谷方面への細い道をたどればいつかは環八か甲州街道に出ますが、迷路。暗い中、町名表示板を見ただけで現在位置がわかるなら見上げたもんです。6kmを1時間半。休みなく歩いた。で、疲れた……
かわりまして、こちらの事件。犯人さんはどこへ逃げたのでしょうか。エアポートへ直行して国外への推測は無理。①どこかの建物に入った②車に拾われた。戻るヤサがあったとしたら、徒歩6km、チャリ20km以内。バイクは、たぶんない。靴にライダーの痕跡がなかったと思われるし、免許の更新に行かなければ、たぶんピックアップされてしまう。
半径6km以内の住民の情報を得る機会はもうじき期限切れ。お歳ですから。その前に、なんとかなりませんか。ああも考えられるこうも考えられるという推理ファン情報ではなく、生の地域情報です。柳の葉っぱは無理でも、ツートーンシャツの情報、なんとかならないでしょうか。
投稿: ナガイ | 2021/08/07 17:59
みなさん、こんばんは
ナガイさんへ
今のところ、捜査は行き詰まっている印象ですね。
NHKの特集でも目撃情報に新たな動きは無いようですし・・・
神戸の高校生殺害事件の容疑者も逮捕されましたが、あちらは、情報提供があったんですよね。
やはり、情報提供が重要だと思います。
ただ、時間が経過してしまっているので、どうやって情報を発掘するのか?が問題なんでしょうね。
投稿: ASKA | 2021/08/22 21:24