神奈川県座間市9名バラバラ事件その15(一審公判4)
審理は、9人の被害者を殺害順に3組に分けて行われる。
(1)2017年8月の3人
(2)同9月の4人
(3)同10月の2人
中間論告や弁論もグループごとに行う。
殺害順
2017年
8月23日Aさん(女性当時21)
8月28日ごろBさん(女性当時15)
8月30日ごろCさん(男性当時20、Aさんの知人)
9月
Dさん(女性当時19)
Eさん(女性当時26)
Fさん(女性当時17)
Gさん(女性当時17)
10月
Hさん(女性当時25)
Iさん(女性当時23)
第十七回から第二十回公判
8人目と9人目の被害者の審理
***第十七回公判(11月10日)***
冒頭陳述
1)検察側は冒頭陳述で「2人は被告が殺害を考えていることを知らず、承諾していなかった」と述べた
検察側は「2人は殺害の承諾をしていなかった」としたうえで、最後に殺害された女性(23)については「被告は、事前に女性から『所持金が1000円しかない』と言われ、会う前に性的暴行と殺害を決意した」と指摘したとのこと。
検察側は冒頭陳述で、「被告人と会ってから『一緒に死にたい』とか『殺してほしい』と言うことはありませんでした」「レイプされた後に殺されてお金を奪われるということを承諾していませんでした」と主張したとのこと。
2)弁護側は「2人には自殺願望があり、自分の意思で被告を訪れた理由は、死ぬこと以外に考えられない」と主張したとのこと。
検察側の主張が認められると死刑になると裁判員らに訴え、「死刑は他人事ではありません」「死刑のボタンを押すことは国民一人ひとりの代表者が決めること」「最後まで中立で公平な裁判をお願いしたい」と述べたとのこと。
3)公判では、被告と2人とのツイッター上のやりとりも明らかにされた。2人が殺害された29年10月には「首吊り士」「終わりにしたい」など5つのアカウントで不特定多数の女性と連絡をとっていたといい、同じ女性に2つ以上のアカウントで「自殺をお考えですか」「(自殺)未遂にならないようサポートする」などと接触を図っていた。女性は被告のアカウントに「疲れた」「これから先いいことない」などと返信していたとのこと。
証人尋問
4)横浜市の女性(8人目)の母親が証人として出廷し、事件について「残念でならない。掛け替えのない未来を奪った」と話したとのこと。
また、女性が「パソコンの資格を取りたい」「ハロウィーンパーティーをしよう」などと語っていたとも明かし、被告に対し「十分に反省し、自分の命に代えても罪を償ってほしい」と訴えたとのこと。
***第十八回公判(11月11日)***
被告人質問
1)被告は被害者の印象について、「出会い目的ではないかと感じた」「『死にたい』という深刻な様子ではなく、他の人とのダイレクトメールの内容を私に見せてきて笑ったりしていて、『これから死にます』という雰囲気ではなかった」と述べ、殺してほしいという話はなかったと述べたとのこと。
また、検察側から、「この時点で7人を殺害しているが、やめようという気持ちはなかったのか」と問われると、「失神状態の女性に対して性行為することの快感があったので、やめるつもりはなかった」と淡々と話したとのこと。
2)接触しようとした女性の具体像について裁判官が質問。被告は、練炭や飛び降りでの自殺に固執している場合は自ら連絡を絶つケースもあったと明かし、自宅に招き入れることができる「首つり自殺を希望した女性」を標的にしたと説明したとのこと。事件の被害者はいずれも被告より若かったが、「年齢は気にしていない」とも語ったとのこと。
3)検察側によると、被告は7人目の被害者を殺害後、ロープなどを追加で購入した。白石被告は、被害者の首をつるためのロープだったとし、長さが計12メートルあったことについては「3、4人分として買った」と説明。9人以外でも事件を起こす可能性があったことを明かしたとのこと。
4)被告は検察側の質問で、捜査段階で供述した「手足や体を動かしたり、起き上がろうとしたりした」「言葉にならない声を上げた」とする女性の抵抗の様子を「具体的に思い出せない」と証言。一方、弁護側は逮捕から約2カ月後の29年12月に作成された供述調書を読み上げ、検察官から「女性とも、もみくちゃってことでいいんですね」と問われた被告が「そうですね」と答えていたと指摘した。
一連の公判では、具体的な殺害状況の直接証拠が被告の供述しかなく、被告の供述の信用性も焦点となっている。弁護側は「捜査段階と公判で被告の供述内容が食い違っている」と主張している。
このため、検察側は女性が履いていたズボンのサイズや、失神した女性をまたがらせたクーラーボックスをどうずらしたかなど、これまでの審理では確認しなかった詳しい殺害状況を尋ねた。弁護側の質問後に行った追加質問でも、「(被告が犯行時の状況について)『推察する』という言葉を使うことを、弁護人が問題視している」と被告に念押しし、現在の記憶に基づいて答えるよう促したとのこと。
5)公判の終了直前には、裁判長が「女性の抵抗については『覚えていない』と発言したのに、なぜ『全員が抵抗したことは間違いない』と言えるのか」と問いただすと、「(6人目の)被害者は縛って簡単に失神させることができたが、それ以外のときに簡単にできた記憶がない」と語ったとのこと。
***第十九回公判(11月12日)***
9人目の審理
被告人質問
1)、検察側からの被告人質問の中で、9人目の被害者の死亡を確認した後に外見が好みだったので性行為をしたと述べ、殺害の承諾はなかったとしたとのこと。
2)裁判官からの質問に「自分の中の比重がお金が何よりも第一だったのが、レイプしたくなったらお金になるかもしれないけどレイプをするというのに正直変わっていった」と答える場面もあったとのこと。。
また、「『殺害はしたけど手伝っただけ』と言おうと思ったことはないのか」と問われると、「正直、逮捕された当時はものすごく迷いました。死体損壊、死体遺棄だけでいこうと思っていた時期もあったんですが、逮捕された時の部屋の状況から他に目的があったんじゃないかと勘ぐられるし、もうあきらめて観念しました」と述べたとのこと。
3)被告は9人目の女性を殺害したことについて、「当時は、複数殺害していて抵抗感は湧かなかった」と述べたとのこと。
被告は検察官から、「殺害などに抵抗はなかったか」と問われると、「当時は、複数殺害していて抵抗感は湧かなかった」と答え、「女性と会う前に、『所持金が1000円しかない』と言われ、お金にならないと思い、性的暴行と殺害をしようと思った」と述べたとのこと。
4)女性の兄の「大切な妹を殺した犯人を今でも許せない」「人間のすることではなく、命を持って償ってほしい」と記された調書も読み上げられたとのこと。
女性の兄の調書によると、女性は家庭の事情で引っ越しや転校を繰り返しており、29年6月に母親が亡くなったことで精神状態が悪化していたという。女性の兄は「母が亡くなってから(女性から)連絡が増え、『母が死んだのは私のせい』などと言っていた。寂しくて寂しくてどうしようもなかったのだろう」と話していたとのこと。
事件後に女性と連絡が取れなくなったことを心配した兄は、女性のツイッターのアカウントにログインし、被告とのやりとりを確認。警視庁高尾署に相談したことが、一連の事件発覚のきっかけとなったとのこと。
5)弁護人に「逮捕されなければ、どのように過ごすつもりだったか」と尋ねられると、「遺体をレンタルルームに隠すか山に埋め、ツイッターで知り合った(ヒモになれる)女性宅に引っ越して、部屋をリセットしようと考えていた」と述べたとのこと。
***第二十回公判(11月16日)***
8人目と9人目の中間論告と中間弁論
1)論告で検察側は「命を絶つ目的で被告に会いに行ったとしても、死に至った経緯が当初の意図とかけ離れている」などと指摘した上で「本件はきわめて自己中心的な単なる殺人にほかならない」と主張したとのこと。
被告が被害者からの抵抗について、「具体的には覚えていない」などと話していることについては、「事件から3年がたち記憶が薄れたのは理解できる」と説明したとのこと。
検察側は、被告が自殺願望のあった2人に「一緒に死ぬ」と嘘をつき、性的暴行や所持金を奪う目的を隠していたと指摘。「2人が本当の目的を知っていれば承諾したはずがない。自殺するつもりであることと、他殺されてもいいということは全く別だ」としたとのこと。
2)弁護側は弁論で、「被告には具体的な記憶がない」として、「記憶にある限度でしか、事実を認定できないのではないか」と指摘。「殺害の承諾をしていなかったことには疑問が残る」と反論したとのこと。
弁護側は中間弁論で、2人とも対人関係が苦手だったのに初対面の被告に会いに行き、被告宅で自ら薬を飲んだことなどを挙げ、「死の実現を被告に委ねていた」と述べたとのこと。
こんなところですね。
ここまでの公判の内容を見ると、「快楽殺人者は作られる」と言う事なんですね。
最初はお金目的だったのが、暴行目的に変わり、暴行する為に殺害した結果、快感を得て、快感の為に殺害すると言う、見事に手段と目的が逆転してしまっていますね。
| 固定リンク
コメント
これ当初報道のあったクーラーボックスを運び込む(運び出す?)複数男性とかの目撃情報はどうなったんでしょうね。本当に被告1人の単独犯(殺害における共犯ではなくとも、死体遺棄などに関わった身内などの人物はいなかったのだろうか…)
投稿: | 2021/05/25 15:52