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2021/05/14

茨城県境町就寝中夫婦殺人事件その25(犯行計画と優先順位)

まずは続報です。
1)県警は5月11日午前、殺人の疑いで逮捕した容疑者(26)(埼玉県三郷市)の自宅の(殺人容疑で)捜索を始めた。捜査関係者によると、容疑者は容疑を否認しており、事件への関与を裏付ける物証の確保に向け、慎重に調べているとのこと。

2)県警は昨年11月にも、殺人予備容疑で容疑者の自宅を捜索。ナイフ十数本、フラスコなどの実験器具や薬品、スマートフォン、スポーツタイプの自転車など計600点を押収した。事件に使われた凶器について、県警は被害者夫妻の傷の形状などから包丁とみているが、前回の捜索では見つかっていないとのこと。

3)容疑者(26)の自宅から、サリンの生成に関する本や、有毒植物のトリカブトが見つかっていたとのこと。インターネットを通じて購入したとみられるとのこと。

4)インターネットで被害者の自宅周辺の情報を検索した履歴などが見つかっているとのこと。

5)県警によると、家宅捜索は11日から2日間実施。容疑者(26)の自宅の家宅捜索を終え、靴やバッグなど約30点を押収したとのこと。

6)三郷市の男性市議と市内の建設会社が誹謗(ひぼう)中傷の被害に遭っているとのこと。

市議らはホームページで、「容疑者の報道に関して」とする文書を公表。「ネットやSNS(会員制交流サイト)上で『孫・おい』『社長の息子』等の書き込みが多数散見されるがそのような事実はない。同じ地区で同姓だが親戚ではない」としているとのこと。

7)容疑者(26)が事件直前に境町の天候をインターネットで検索していたとのこと。
事件当時は土砂降りの雨だったとのこと。

8)犯行後には、境町の不審者情報も検索していたとのこと。

9)前回の裁判で「またやっちゃうと思う。自分を変えたい」と話し、さいたま家裁は25年3月、治療教育的働きかけは23歳となるまでの相当長期間を要すると判断。医療少年院送致の処分を決定した。

治療を望み、18歳から5年間を医療少年院で過ごしたが、30年に出てきて翌年9月に茨城の事件が起きた。今回の事件当時、容疑者は24歳だった。

時系列
2013年  医療少年院送致決定。
2018年  退院
2019年
06月頃  熊避け用スプレーをネット購入
09月   事件発生(直前に現地の天候を検索、直後に不審者情報を検索)
2020年
11月   殺人予備罪で家宅捜索(600点を押収)
同月   消防法違反で逮捕(限度量以上の硫黄の所持)
12月   消防法違反でさいたま地検が起訴
2021年
02月   公記号偽造(警察手帳偽造)の疑いで逮捕
03月   水戸地検が起訴
05月07日 容疑者を殺人の疑いで逮捕
05月09日 送検
05月11-12日 殺人容疑で容疑者の自宅を家宅捜索

こんなところですね。
さて本題です。
以前にも書いてますが、犯罪者が犯罪を計画するときの基本方針は2つかしないと考えています。
1)目的の達成
2)逮捕されないこと。あるいは逮捕されても有罪にならないこと。

この事件が容疑者の犯行かどうかは今のところわかりませんが、計画的な犯行であるなら、この2つの基本方針に沿って計画されているはずです。

この事件が容疑者の犯行であるならば、容疑者は
この2点を追求して今回の犯行計画を立案したのは間違いないでしょう。
ならば、容疑者の選択と行動には「かならず理由があるはず」と考えています。

しかし、そう考えると、ひとつだけ矛盾している点と言うか、腑に落ちない点があるんですよね。
「長女の存在の見落とし」です。(私は事件時に犯人が長女の存在を知らなかったと考えています)

完全犯罪を追求して調査、立案した犯行計画の中で犯行時の「在宅者(ターゲット)の人数を誤る」と言うのは、初歩的なミスのような気がするんですよね。
長女が、突然の訪問者であるなら別ですが、普段から現場の家に住んでいる人間ですから、単純な見落とし、あるいは、誤った情報を入手したんじゃないの?と思うわけです。しかもこの情報はクロスチェック可能ですから、確認を怠っているわけです。

ただ、この謎を説明する方法が一つあります。
今回の続報での新たな情報ですが、事件の発生は容疑者の退院から1年後と言う情報があります。
そして、催涙スプレー(クマよけスプレー)は事件の3か月前の入手です。

これでいくと、犯行計画の調査、立案は3、4か月程度で行っているのでは?と思えるわけです。
コツコツと慎重(スマート)に行動する容疑者としては、ちょっと短すぎないかな?と言うのが私の印象です。

もっとも、容疑者自身は無職で引きこもりのような生活をしていたようなので、時間は十分にあって、必ずしも短いと言うわけでもないかもしれませんね。

それでも、不確定要素を残したまま、計画を実行しているのは間違いないので、容疑者としては、実行時の不安よりも、決行期日を優先したと考えるべきかもしれませんね。

つまり、「犯行は台風の日に行う」と言うのが、この犯行計画の要(前提条件)なのかもしれませんね。
もっとも、犯人が在宅人数を誤認しているなら、不安要素では無いと言う事になりますね。
しかし、それでも、調査が不十分である事に違いはないですね。

とりあえず、今回はこのあたりまでにしておきましょう。

参考リンク
茨城県境町就寝中夫婦殺人事件その24(容疑者の人物像)
茨城県境町就寝中夫婦殺人事件その26(再逮捕と勝負の20日間)

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コメント

補足情報ですが、気象庁の事件当夜のデータを調べると、お隣の坂東市の観測では通報のあった9月23日24時~24日1時頃の雨は3.5ミリから4.5ミリです。マスコミなどでは台風の迫る暴風雨の夜を狙って…などと報じられていますが、台風自体は23日の午前に熱帯性低気圧に変わり、午前中は近畿地方などで大雨をもたらしましたが、23日夜には茨城全体でもそんなに強い雨は降っていません。雨雲レーダーで当日の雨雲を見ても、境町では24時頃に5ミリ程度、1時~2時には雨が止んでいます。当時の天気予報がどう伝えていたかはわかりませんが、実際の天気は「普通の雨」が降っていただけで、「台風の影響で土砂降り」ではありません。

また被疑者がいつ天気予報を調べたのか不明ですが、当日の午前中には台風は消滅していたわけで、雨は降るだろうが、台風のような暴風雨でない事は少なくとも当日の天気予報ではわかっていたと思います。

なので暴風雨を狙って天気予報を調べていた、とするよりは、自転車で移動したとするなら「移動可能か」の検証をするために天気予報を見ていたのだと思います。

普通の雨なら移動もできるし、(返り血を浴びることを想定した)レインコートでも不自然ではない。
逆に暴風雨であるなら、目撃者は減るだろうが、逆にもし目撃者がいた場合「こんな台風の日に自転車で移動している」という強い印象を与えてしまいます。また自転車での移動自体困難となるかもしれません。

なので、「移動可能かどうか」を調べていただけだと思います。強いていうなら「移動に無理が出ない程度の雨天の日」を狙っていたのだと思います。

投稿: | 2021/05/18 16:44

名無しさん、おはようございます。

コメントありがとうございます。
私もマスコミの煽り報道を鵜呑みにしてしまったようで、面目ないです。

前日の22日もそれほど雨は降っていないので、台風の日を狙ったわけではなさそうですね。

単純に雨の日と言う条件なら、この後の秋雨の時期を狙う事もできたので、雨以外にこの日を選択した理由があるかもしれませんね。

それとも、準備万端で適度な雨の日を待っていた状態だったのかもしれませんね。

投稿: ASKA | 2021/05/20 08:26

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