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2021/05/17

東京都新宿区炭酸ガス消火設備死亡事故(追記と訂正)

4月15日午後5時ごろ、東京都新宿区下落合4のマンション地下駐車場内で、男性作業員6人が天井の張り替え作業をしていた際、消火設備が突然作動して駐車場に二酸化炭素が充満する事故が起きている。

警視庁戸塚署などによると、5人が救助されたが、30代から50代の4人の死亡が確認され、20代とみられる男性は重体。30代の男性は自力で脱出して病院に搬送されたが、意識ははっきりしているとのこと。

天井の張り替え作業は16日までの2日間で行われる予定だった。同署は業務上過失致死傷容疑を視野に捜査を始めたとのこと。

今回の事故では設備の作動に伴って駐車場のシャッターが下りたとみられ、作業員は一時的に閉じ込められた状態だった。同署は二酸化炭素中毒を起こして亡くなったとみているとのこと。

東京消防庁によると、事故から約1時間後に測定した地下駐車場の二酸化炭素濃度は21%で、通常の数百倍だったとみられるとのこと。
数値は約4時間後に正常に戻ったとのこと。

現場は西武新宿線下落合駅の北東約400メートルの住宅街。

現場の地下駐車場では、午前9時ごろから、天井の石こうボードを張り替える作業が行われていたとのこと。

自力で脱出した30代の作業員の男性が「天井にある二酸化炭素の噴出口近くで作業をしていたら設備が作動した」と話しているとのこと。

捜査1課は同日、亡くなった4人の身元について、
東村山市廻田町1、職業不詳、男性(44)
足立区古千谷本町1、会社役員、男性(58)
同区江北3、会社員、男性(59)
住所不詳、会社員、男性(27)

他に男性(28)が意識不明の重体
と発表した。

マンション地下1階にある立体駐車場の天井が腐食したため、石こうボード約200枚の張り替え工事が15日朝から行われていた。駐車場は地上1階で乗降し、車は機械で地下1階に運ばれる仕組み。作業員ははしごで地下に下りて作業をしていた。2日間の予定だった工事の1日目の作業を終え、二酸化炭素の噴出口が複数ある天井付近で片付けをしていた午後5時ごろ、設備が作動したとのこと。

作動ボタンは地上にあり、付近に設置された防犯カメラにはボタンを押す様子は映っていなかったとのこと。

総務省消防庁のガイドラインでは、二酸化炭素消火設備が設けられている付近で工事を行う場合、専門知識のある消防設備士らが監督することになっているが、今回の事故現場では立ち会わせていなかった。同庁は15日夜、改めて立ち会いを徹底するよう全国の消防機関に通知したとのこと。

死亡の原因となった二酸化炭素消火設備を取り扱う消防設備士などの資格者が、現場に配置されていなかったことが判明した。資格者の立ち会いを求める総務省消防庁の通知に反する対応だった。警視庁捜査1課は16日、業務上過失致死容疑で現場検証を実施。安全管理に問題がなかったか調べるとのこと。

午後5時ごろ、「火災が発生しました。消火剤を噴出します」とのアナウンスと警告音が流れ、二酸化炭素が噴出されたという。噴出口は、高さ約1・8メートルの天井近くの壁に8カ所設置されていた。はしごの近くにいたため、警告音を聞いて自力で逃げた30代の男性は「天井にあるセンサーのカバーを取り付ける作業をしている時に警告音が鳴った」と話しているとのこと。他の5人は離れた場所におり、逃げ遅れたとみられるとのこと。

総務省消防庁によると、駐車場などに設置される一般的な消火装置は、起動から消火剤の噴出まで20秒以上の猶予があるように設計され、噴出までに停止スイッチを押せば作動は止まる仕組みになっている。同庁の担当者は「時間内には絶対、放出しない仕組みだが、間に合わなかった可能性がある」と指摘する。事故当時、地上には現場責任者がいたが、消火装置の仕組みなどを把握していなかった可能性もあるとのこと。

捜査1課は4月17日、司法解剖の結果、死因は二酸化炭素中毒だったと発表。高濃度のCO2で短時間で意識を失い避難できなかったとみられる。
その後の調べで、警察や消防が駆けつけた際、天井についている消火設備の煙の感知器のカバーが外れた状態だったことも新たにわかった。

自力で避難した男性が、「作業員が取り外した感知器のカバーを戻していた」と話していることから、警視庁は、この作業と事故との関連を調べている。

作業員らが消火装置の電源を切らずに工事を行っていたとみられるとのこと。

消火装置は、煙と熱の両方を感知しないと作動しない仕組みでしたが、捜査関係者によるとマンションの管理人が「事故の約3時間前に、このうちの1つが感知したことを確認した」と説明しているとのこと。

警視庁捜査1課は4月20日、業務上過失致死傷容疑で、工事の元請けだった株木建設の東京本社(豊島区)などを家宅捜索した。契約書類などを押収し、安全管理に問題がなかったか詳しく調べるとのこと。

現場には株木建設の責任者1人が配置されていたが、孫請け業者が実際の作業を担っていた。同様の工事では消防設備士の立ち会いが求められているが、手配されていなかった。捜査1課は株木建設の安全管理が不適切だった可能性もあるとみて、慎重に捜査しているとのこと。

捜索を受けた株木建設は「押収された書類の中身については分からないが、捜査には全面的に協力していく」とコメントしているとのこと。

捜査関係者によると、1度目の警報は15日午後2時ごろに鳴った。2度目の警報は午後4時半ごろで、この直後に二酸化炭素が噴射された。現場には天井に消火設備の熱センサーが八つ、煙センサーが四つ設置されていた。この日は作業員が天井板を張り替えるため、センサーのカバーを外していたという。現場に発火物はなく、警視庁はセンサーが反応した原因を調べているとのこと。

捜査関係者によると、地下1階の駐車場では、CO2を含むガスの噴射で火災を抑える仕組みの消火装置を採用。天井には熱感知のセンサーと煙感知のセンサーが計12カ所に設置されており、両センサーが熱や煙を感知すれば、それを示す微弱な電気が信号として流れ、ガスが噴出する仕組みになっていたとのこと。

今回も最初に熱センサー、その後に煙センサーがそれぞれ感知して反応していたことを示す形跡が確認されたとのこと。

センサーは天井板に固定するような形になっており、工事で天井板を張り替える際は、むきだしの配線につながれたままのセンサーが吊(つ)り下がった状態だったという。センサーは手で触れるなど直接的な衝撃を与えても反応しないことから、構造上、何らかの原因でセンサーが感知したことを示す電気信号が誤って流れ、ガスが噴射した可能性がある。現場に火の気はなかったとのこと。

現場責任者は、「消火設備には触らないよう作業員に指導した」と話しているということだが、その後の調べで、消火設備についている感知器を外さないと、天井板の張り替えができなかったことがわかった。

警視庁は、消火設備の感知器を外したことが誤作動につながった可能性があるとみて調べているとのこと。

時系列
2021年4月15日
09:00頃 石膏ボードの張り替え作業を開始
14:00頃 熱センサーを検知
作業を終えて片付け中?
事故直前 熱センサーを検知
17:00頃 事故発生(煙センサーの誤検知が発生)

こんな事故ですね。
色々と問題はありそうですが、私としては、作業受託時の調査が不十分だったのかな?と言う印象です。
設備業界とかビル管理業界のあるあるの一つのようですが、「天井のスプリンクラーの誤動作事故」と言うのはどの会社でも一度ぐらいは経験しているのではないのかな?
これは今回の事故とは直接関係無いのですが、簡単に説明するとスプリンクラーには数種類あって、内1種類(湿式)は天井のスプリンクラーまで常時、水が満たされていて、スプリンクラーの先端の栓で水が出ないようになっている。火災時にはこの栓が熱で溶けて水が噴射する構造です。
この栓が簡単に壊れるような構造なので、工事でうっかり触って、あたり一面を水浸しにしたと言う事故が時々あるようですね。

他にも消火設備、火災報知器関係の工事については消防への事前届けが必要になる場合もあります。

なので、工事担当者は消火設備、火報系の工事をするときはかなり神経質になると思うのですが、工事をどう進めるのか?と言う点で発注元の担当者とはどんな話をしていたのかな?

受託した会社に消防設備士の資格者がいて、感知器の取り扱いができる会社かどうかわからないのですが、消防設備士の資格者がいないのであれば、検知器の取り外し、取り付け、動作確認(検査)の作業費用が工事の見積書の項目にあると思うんですよね。(別の専門会社に発注が必要なので)
それに、工事期間中は工事範囲の消火設備が停止すると言う話も発注側担当者に話して確認をとらないといけない話だと思うんです。

見積書の内容が知りたいですね。

亡くなった方のご冥福をお祈りします。

2021/05/18 追記と訂正
報道を読むと、有資格者の立ち会いがあれば工事できると言う事のようなので、作業自体は有資格者でなくても、有資格者の立ち会いのもとであれば可能と言う事ですね。
しかし、社内に有資格者がいなければ、社外から調達しないといけないわけで、その場合は見積書の項目に載るというのは、変わらないと思います。
もし、社内に有資格者がいるのであれば、どうしてその有資格者が立ち会わなかったのか?と言うのが疑問ですね。

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コメント

ここ数年で何回か似た事故を報道で見た覚えがあります。

本件の場合は記事中にある
>現場責任者は、「消火設備には触らないよう作業員に指導した」と話しているということだが、その後の調べで、消火設備についている感知器を外さないと、天井板の張り替えができなかった
この文章が本当ならば
・施工前の見積もりや現場の確認時は消火設備に干渉せず張り替え可能と思われていた
・感知器に干渉しないと実際には作業できず、この変更を現場責任者やその上に報告or相談せず施工された
この二点が重なり、今回は不幸にも事故となったのでしょう。
こういった工事ではよくあることなのだと思います。特に後者の報告と相談は有資格者の立ち合いが必要であるため日程の再調整や費用の上乗せなど、かなり鬱陶しがられる行為になりえます。
報告連絡相談、と言うのは簡単なのですが。

泡状の消火剤やスプリンクラーは誤作動時の周囲物品への影響は大きいですが人命に関わりにくいため、報道されにくいのでしょう。
作動した際は周囲への影響が小さい一方、誤作動時は人命に関わる二酸化炭素消火設備が開発され浸透したからこそ、今回のような事故が起こり有資格者の立ち合いを求める通達が発され、確認事項が増える…便利になったはずがなかなかままならないものです。

投稿: つれづれ | 2021/05/20 22:55

つれづれさん、こんにちは

そうですね、いざ工事の段階で見込み違いに気づいたけど、工事日程や金額などいまさら変えられないと考えて強行してしまったのかな?
協力会社の人員も押さえてしまったので、工事を延期するにしても当日の人件費は発生してしまいますからね。

仮にそんな状況に追い込まれてしまうと決断が難しいかもしれませんね。
発注元にも迷惑が掛かるし、自分の評価も下がるでしょうし。

2014年のJTBの遠足バス手配忘れ事件を思い出しました。
JTBの事件は遠足のバスの手配を忘れて、失態を隠すために脅迫状を出して遠足を中止させようとしたけど、事件が発覚してしまったんですよね。

この事故の真相がどうかわかりませんが、
失敗を認めて、仕切り直す事が大切なんですね。

投稿: ASKA | 2021/05/21 18:00

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