静岡県沼津市女子大生殺害事件その3(一審判決)
一審判決は懲役20年(求刑:無期懲役)です。
***初公判(7月5日)***
1)検察側は冒頭陳述で、被告は、同じ大学に通っていた被害者=当時(19)=に通信アプリ「LINE」をブロックされ、逆恨みして殺害を決意したと指摘。事前に殺害場所の下見をし、自宅で段ボールを被害者に見立てて刺す練習をしていたなどと述べたとのこと。
検察側によると、被告は被害者が所属する部活動の部室に侵入、携帯番号を把握して無言電話をかけるなどしたとのこと。
検察側は被害者の体には49カ所もの刺し傷や切り傷があった」と明らかにしたとのこと。
別の報道では
冒頭陳述で検察側は、被告が大学の同級生だった被害者に一方的に好意を寄せていたと指摘。何度もラインを送信し、被害者が「他の人とラインした方がいい」と返しても、「好きな人とラインしているときが楽しいから無理」などと連絡を続けていたことを明らかにした。被告は、やりとりを断ろうとする被害者に対し、「後悔することになる。ラインのやりとりはやめないで」「無視してもいいことないよ」などとメッセージを送り、被害者は20年6月23日にラインをブロックしたとのこと。
被害者は友人に対し、「ブロックしたら、逆上して何をされるかわからない」と相談していたとのこと。
検察側は「致命傷となるけがが多数あり、救命措置が早くても死が免れない状況だった」と説明。被告は被害者を刺した後、死亡を確認するために呼吸や心拍の有無を調べていたことなども明らかにしたとのこと。
2)起訴状などによると、被告は20年6月上旬ごろから、被害者にストーカー行為を行い、同27日、駐車中の車内と路上で、被害者の腹や首など複数箇所を刃渡り約15.5センチの包丁で突き刺して殺害したとされる。
3)被告は「間違いありません」と起訴内容を認めたとのこと。
4)弁護側は起訴内容を認めた上で、当時20歳で未熟さによる犯行だったと訴えたとのこと。
別の報道では
弁護側は、被告が被害者とのやりとりを「生きがいのように感じていた」と説明。被告が小学生の時に、心臓の病気でペースメーカーを入れたことを明らかにしたうえで、「ラインをブロックされると、(生活に支障がある)使えない体だけが一生残ると思った。生きがいを奪った被害者を殺害しようと考えた」と説明したとのこと。
***第二回公判(7月6日)***
被告人質問
1)被害者の父親
Q:「なぜ命を奪ったのか」
A:「被害者が幸せな将来を送ることが許せないと感じたから」
Q:「何度も刺している時何を考えていたのか」
A:「殺すことしか考えていなかった」
Q:「娘が、どうしていれば殺すことはなかったのか」
A:「ラインをブロックされなければ」
一方でいまの気持ちについては「被害者の将来・人生を奪ってしまったことは本当に重いことだと思っている」と述べたとのこと。
2)弁護側
Q:無料通信アプリ「LINE(ライン)」で被害者にメッセージを送り続けた理由は?
A:「交際は無理でも、ラインでつながっていたかった」と答えた。
また、「ラインをブロックされたくらいで人の命を奪うのは身勝手だった」と反省の言葉も口にした。
***論告求刑公判(7月8日)***
1)検察側は「人の生命や尊厳を軽視し、被害者を歪んだ支配欲を満たすための『モノ』として捉えた非人道的で残忍な行為である」として無期懲役を求刑したとのこと。
別の報道では
検察側は「包丁が欠損するほど刺した。49か所の刺し傷や切り傷があり、物を破壊するように殺害した。非人道的で甚だしい」などと指摘し、無期懲役を求刑したとのこと。
更に別の報道では
検察側は「女子大生と被告は他人同然の関係。女子大生は被告の目にとまってしまったという理由だけで殺害されたに等しい」としました。そして「ストーカー殺人としてだけでは評価しきれない悪質な犯行」だとして、無期懲役を求刑したとのこと。
2)弁護側は「ペースメーカーを付けた挫折経験によって、被告は共感性に欠ける偏った性格となり、感情のコントロールができない被告人を強くは非難できない」として有期刑が相当であると主張したとのこと。
別の報道では
弁護側は「犯した罪の大きさと向き合う努力をしている。立ち直る可能性は十分にある」とし懲役22年が相当と主張したとのこと。
被告人質問
3)裁判員の質問
「女子大生とのやり取りがあれば、バイトや勉強など頑張っていけると思った。女子大生とつながっているのは、唯一ラインだけ」
「ラインをブロックされて生きがいを奪われた」
「女子大生が幸せになるのを許せないと思った」
一方で被告は「絶対に許されることではない。遺族にも大きな傷をつけてしまった。一生かけて罪を償いたい」とも述べたとのこと。
意見陳述
4)被害者の父親
「法律の許す限り最大限重く罰してほしい。娘を返してほしい」
「家族にとって被告に対し情状酌量の余地はない。死刑にしてほしい」と述べたとのこと。
5)被告は最終陳述で、被害者参加制度で出席した被害者の父親を見て、「(無料通信アプリの)ラインをブロックしただけで人生を奪われるのは、被害者は到底理解できないと思う。遺族にも(心の)傷を負わせ、人生を奪い申し訳ありません」と頭を下げたとのこと。
***判決公判(7月13日)***
1)地裁沼津支部は被告の元大学生の男に懲役20年の判決を言い渡したとのこと。
2)判決によると被告(21)は去年6月、沼津市の路上で当時、同じ大学に通っていた19歳の女性の腹や首などを包丁で複数回刺し死亡させた。
3)「被告が単独で計画的に刃物を用いて、落ち度のない女性を殺害したストーカー殺人である。犯行は執拗で残忍というほかなく殺意は極めて強固だ」とした一方で「被告は犯行当時20歳と若く、更生の余地がある」として検察側の無期懲役の求刑に対し、懲役20年の判決を言い渡したとのこと。
4)裁判長は、被告が、段ボールを被害者に見立てて刺す練習をしていたなどと指摘し、強い殺意に基づいて刺したと非難。一方、2人の間に「一定の交流は存在した」とし、検察側の「他人同然の被害者を殺害した」との主張を退けたとのこと。
5)裁判長は事件前に業務用包丁を購入したり、段ボールを使い刺す練習をしたりしたとして「計画性は高い」と述べた。被害者にLINEをブロックされ生きがいを奪われたとする動機に関し「あまりに理不尽な逆恨みだ」としたとのこと。
別の報道では
裁判長は「LINEなどのやりとりからストーカー殺人と判断するのが妥当」とした上で、「助けを求めて逃走する被害者を追いかけて引き倒した上、死亡を確認するまで腹部などを多数回突き刺すなどし、致命傷となる傷が複数あった」と指摘。「犯行は執拗で残忍というほかなく、殺意もきわめて強固」などと量刑の理由を述べたとのこと。
更に別の報道では
被告が殺害動機を「被害者からラインをブロックされて生きがいを奪われた。明るい将来が予想される被害者が許せなかった」とした点も、「あまりに理不尽な八つ当たり」と非難。「被告は十分な反省をしているとは認められない」としたが、量刑については「若年で更生の余地があることなどを考慮した」と説明したとのこと。
こんなところですね。
まー誰かに対して、一方的に好意をよせると言うのは、普通によくある事なので、それ自体は特に変わった事では無いですよね。
問題はその好意の表現方法ですね。
普通なら相手の反応などを見ながら、少しずつ段階を踏んで進んでいく物だと思います。
それは、相手を一人の人間として尊重しているからそうなるわけですよね。
相手がどんな反応を示そうが、仮に拒否したとしても、自分の感情だけを押しつけてしまうのは、もはや恋愛感情では無いのでしょうね。
そして、それほど深い関係でも無いのに、ラインをブロックされたぐらいで、生きがいが無くなったから、奪われたから、好意を寄せていた相手を殺害するなんてのは、まさに、価値観の逆転ですね。
ただ、私としては、この言葉を額面通り受け取る事はできません。
この言葉は「鳴かぬなら、殺してしまえ、ホトトギス」と言う事でしょ?
自分の思い通りにならないなら、自分の手に入らないなら、殺してしまえと言う事だと私は解釈しています。
その上で、ペースメーカーを入れているから、人生がうまくいかないなんてのも、ただの言い訳にしか聞こえません。
ペースメーカーを入れても立派に生活している人は沢山居るでしょ?。
なので、裁判長も指摘していますが、酌量の余地など微塵もありませんね。
その意味では検察側の主張に全面的に同意です。
さて、この事件を防ぐ方法ですが、正直なところ「これが正解」と言う物はなさそうです。
ストーカーから逃げれば、身を守る事はできるでしょが、大きく生活環境を変える事になります。
やはり警察に相談してストーカーとして対応してもらうのが正攻法なんでしょうね。
ただ、それで諦めるのか?と言うのが疑問なところです。
ラインをブロックされた程度で逆ギレして殺意をもってしまうような、自己中心的な思考しかできないので、警察の介入がきっかけで殺意を持ってしまうかもしれません。
なので、ストーカーになった段階では対応が難しいと言う印象です。
となると、被告が成人する前の段階でストーカーにならないように教育するしか方法が無いと思います。
なので、対策は被害者側が行うのではなく、被告や被告の家族が行うしか方法が無いと言う事になりますね。
ただ、その場合でも、被告の両親や家族が、この未来を予測できるのか?と言うとそれは無理だと思うんですよね。
被告は心臓病で体を使う事が不得手と言うのがコンプレックスのようですから、スポーツではなく、芸術や勉学の方面に導く事ができれば、精神的にも健全な成長を促せるのではないか?と思いますが、理想論、机上の空論でしかないかもしれませんね。
亡くなった女性のご冥福をお祈りします。
参考リンク
静岡県沼津市女子大生殺害事件その2(情報流出)
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コメント
被告(21)が懲役20年の静岡地裁沼津支部の判決を不服として控訴した。27日付。
投稿: ASKA | 2021/07/28 14:44
***2023年3月15日 控訴棄却***
2020年6月、当時 大学生だった男(22)は同じ大学に通う19歳の女性を包丁で何度も刺し、殺害したなどとして一審の地裁沼津支部は懲役20年の判決を言い渡した。
検察側は控訴し、他のストーカー殺人の裁判例を示して無期懲役が相当と主張してきましたが、東京高裁は控訴を棄却する判決を下した。
裁判長は「検察側が示したものは被害者が2人などのケースで、悪質性が異なる」と指摘したうえで、量刑が軽すぎて不当とまではいえないと結論付けたとのこと。
投稿: ASKA | 2023/08/18 18:35
「死に損ない」を無理から生に導き 障害児だからと甘やかされ育てられた成の果て 成人はしてるが親にも十分責任はある。
投稿: 死神 | 2023/09/02 06:53