茨城県日立市田尻町妻子6人殺人放火事件その2(一審判決)
一審判決は死刑(求刑:死刑)です。
***初公判(5月31日)***
1)冒頭陳述で検察側は「被告は妻に離婚を切り出され、離れるくらいなら殺してしまおうと思い立ち殺害した」と説明。「6人の命が奪われた結果は重大。残虐な犯行態様で計画的だった」と指摘したとのこと。
別の報道では
検察側は冒頭陳述で、被告が恵さんから離婚を切り出され、「妻子と離ればなれになるくらいなら」と無理心中を図ろうとしたと説明。包丁、ガソリンを準備していたことを挙げ、事件当時に精神障害はなく、責任能力はあるとしたとのこと。
更に別の報道では
検察側は冒頭陳述で「あらかじめ包丁やガソリンを準備した計画的な犯行。直後に出頭して具体的に供述した」と指摘したとのこと。
2)弁護側は、離婚を切り出された後に睡眠が取れないなどうつ病になり、精神障害の影響で心神喪失または心神耗弱状態にあったとしたとのこと。
別の報道では
弁護側は、被告が離婚話で悩み、「当時は善悪の判断能力や行動を制御する能力が失われていたか、著しく低下した状態だった」と強調したとのこと。
更に別の報道では
弁護側は「妻との別れ話から善悪の判断能力が失われ、事件当時も心神喪失状態にあった。凶器は自殺のために購入したもの」と主張したとのこと。
弁護側は、被告が勾留中の18年11月に心肺停止状態となり、後遺症で事件当時の記憶が欠落していると主張しているとのこと。「被告は訴訟能力がない」と公訴棄却も求めた。
これに対して検察側は「(弁護側の主張は)理由がない」と反論。被告に対する詐欺罪の区分審理でも訴訟が継続できたなどとして「被告は自らの立場を理解して応答しており、訴訟続行は可能」と述べたとのこと。
罪状認否の前に弁護側は「事件当時の記憶が欠落していて、真実を述べることはできない」と公判停止を求めた。裁判長は一時休廷後、「弁護士や裁判所のサポートで意思疎通は可能」として退けたとのこと。
3)証人尋問もあり、事件発生時に臨場した消防隊員ら2人が当時の状況などを証言した。
4)起訴状などによると、被告は17年10月6日午前4時40分ごろ、日立市田尻町の自宅アパートで妻(当時33歳)と当時3~11歳の子ども5人を包丁で複数回突き刺し、玄関付近にガソリンをまき、火を付けて死亡させたとされるとのこと。
***第四回公判(6月4日)***
証人尋問(殺害された被告の妻=当時(33)=の友人女性)
被告の日常生活について女性は「働かず、家にいるときは基本的にゴロゴロしながらテレビを見たり、スマホを触ったりしていた。子どもたちが『遊ぼう』と言っても応じていなかった」と証言。妻と被告がけんかをする場面にも遭遇したと話し「子どもたちの目の前で、物を投げたり妻に暴力を振るったりしていた」と説明したとのこと。
女性は殺害された子ども5人について「かわいい子だった」「優しい子だった」などと一人一人を振り返った後、被告に対し「今生きていることが本当に許せない」と憤りの言葉を述べたとのこと。
***第?回公判(6月15日)***
被告人質問
被告は「事件後に警察と話した記憶はおぼろげだがある」とした一方、「殺害した記憶はまったくない」と述べたとのこと。
また、事件については、「自分がしたことであれば当然、極刑も覚悟のうえ。毎日、家族の写真に手を合わせている」と話したとのこと。
別の報道では
家族については、「何で子どもたちまでという気持ちが大きい。自分がちゃらんぽらんで負担をかけていたと思う」などと話したとのこと。
***論告求刑公判(6月17日)***
求刑は死刑です。
1)検察側は論告で、被告が「あらかじめ事件に使われた包丁やガソリンを準備していた」と指摘。精神鑑定を担当した医師2人が心神喪失に否定的な見解を示したことを踏まえ、「完全な責任能力があった」としたとのこと。
別の報道では
検察側は論告で、被告が出頭後の調べに対し、殺害を迷っていたと供述した上で、殺害行為の一部や放火の経緯を具体的に説明したと主張。「完全な責任能力があった」と述べたとのこと。
また、妻(当時33歳)と子供5人(同3~11歳)の就寝中に襲いかかり、心臓などを狙って刺していたと説明。「危険性を認識しながら殺害したことは明白」としたとのこと。
更に別の報道では
検察側は論告で、妻から離婚を切り出され、受け入れられなかったという身勝手な動機を指摘。無防備な就寝中を狙い、被害者6人の体の枢要部を相当強い力で刺したとして「強固な殺意に基づく、冷酷かつ残虐極まりない犯行」と非難した。6人の命を奪い、遺族の精神的被害も大きいことも挙げ、結果の重大性を強調した。また、被告に精神障害はなく、犯行を決意した過程や動機はいずれも合理的として、完全な責任能力があったとしたとのこと。
2)弁護側は最終弁論で、「妻との離婚話が原因で善悪の判断能力が失われていた」と述べたとのこと。
別の報道では
弁護側は最終弁論で、被告は離婚を切り出されてほとんど眠れず、うつ病や抑うつ状態だったと主張。「善悪の判断能力や行動を制御する能力が失われていたか、著しく低下した状態だった」と反論したとのこと。
このほか、勾留中の18年11月に病気で心肺停止となり、「後遺症で事件の記憶を失った」と改めて訴えた。法廷で認否すらできず、訴訟能力がないとして、公訴棄却も求めたとのこと。
3)被害者参加制度で、殺害された妻(当時33歳)の父親が出廷し、「事件から『助けてやれなくてごめん』と毎日6人の写真に手を合わせている」と後悔を口にし、「娘や孫たちの幸せを奪った被告のことは絶対に許せない。一番厳しい刑罰を与えてほしい」と訴えたとのこと。
4)最後に、被告は裁判長から何か言いたいことはと問われ「特にないです」とだけ述べたとのこと。
***判決公判(6月30日)***
1)裁判長は「強い殺意に基づく残虐かつ悪質な犯行」として、求刑通り死刑判決を言い渡したとのこと。
「犯行態様は、強固な殺意に基づく非常に危険かつ残虐なもの」「同種事案の中でも特に悪質」と述べ、動機は「身勝手かつ自己中心的な考えに基づくもの」と指摘。その上で、「死刑をもって臨むことが、真にやむを得ないと認められる」と述べ、被告に対し、死刑判決を言い渡した。被告は裁判長の方をまっすぐに見て聞いていたとのこと。
2)判決理由。
A)犯行2日前に凶器を購入した行為などから計画的犯行の側面があるとした。
B)6人の生命が奪われたという重大な結果や、身体枢要部を狙って致命傷を負わせた悪質な犯行態様を踏まえた上で、「死刑を回避すべき事情はない」と断じたとのこと。
C)弁護側は、被告が勾留中の18年11月に心肺停止状態となり、後遺症で事件当時の記憶が欠落していて「訴訟能力がない」とし、公訴棄却を求めていた。これに対して裁判長は、被告の記憶喪失を認めた上で、「弁護人の援助や裁判所の後見的支援があれば、意思疎通は十分可能」と判断したとのこと。
D)弁護側が「事件当時も心神喪失または心神耗弱状態だった」と主張し、争点となっていた責任能力の有無に関しては、「うつ病や極度の緊張による意識状態は考え難く、当時、精神障害があったとは言えない」として、完全責任能力を認め、弁護側の主張を全面的に退けたとのこと。
別の報道では
裁判長は判決で「犯行直前まで数日間にわたり思い悩んだ上で実行に及んだ。日立署に出頭し、犯行内容を相当程度具体的に供述している」と指摘。「犯行の違法性や重大性を十分理解していた。心神喪失や心神耗弱でなかったことも明らか」とし、刑事責任能力を認めたとのこと。
E)妻から離婚を切り出され、妻と懇意の男性に家族を取られたくなかったという動機については、「身勝手かつ自己中心的」として酌量しなかったとのこと。
***控訴(7月1日)***
被告(36)は7月1日、水戸地裁の死刑判決を不服として、東京高裁に控訴したとのこと。
こんなところですね。
途中の公判の情報が抜けていますが、詳細についてはその1を見てもらった方が良いですね。
仕事もしないダメな夫に愛想をつかした妻が、離婚を切り出したところ、自暴自棄となって妻子6人を殺害したと言う事なんですね。
拘留中に心肺停止になって記憶喪失になると言うアクシデントがありましたが、事件後に自首して犯人性に疑問は無いところですから、事件当時に責任能力があるなら、やはり裁かれるべきだと思いますね。
交際はともかく、結婚はよくよく考えて判断したいですね。
亡くなった6人のご冥福をお祈りします。
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コメント
何も難しくない裁判。被告の身勝手で起こした最悪の犯行です。死刑以外にないというのも妥当過ぎる。善悪の判断がついたならこんな残酷なことはしでかさないでしょう
投稿: AKICHI | 2021/07/06 13:00
AKICHIさん、こんにちは
判決については全くその通りだと思います。
時々、複数の家族を殺傷する事件が起きますが、「どうして子供まで?」と思います。
まー夫婦間のトラブルなら夫や妻が攻撃されるのは分かるのですが、子供は怨恨の対象にはならないと思うんですよね。
残された子供が不憫だからということなのかな?
でも、生きてれば幸せになれる可能性もあると思うんですよね。
投稿: ASKA | 2021/07/17 18:20