群馬県中之条町女性殺人事件(男性被告の一審公判)
群馬県中之条町で昨年8月、自殺願望があったとされる女性が殺害された事件の男性被告の一審公判です。
***初公判(7月12日)***
1)被告は起訴事実を認めた。
2)検察側は「犯行は女性被告が元交際相手に殺人の罪を着せて復讐するために計画した」としながらも「凶器を準備し、女性被告と一緒に被害者を殺害していて役割は重大」などと指摘したとのこと。
別の報道では
検察側は、共犯者の女性被告が元交際相手の男性に殺人の罪を着せるために犯行を計画し、被告に犯行などを指示して、実行させたとみられることを明らかにしたとのこと。
更に別の報道では
検察側は冒頭陳述で、女性被告が架空の人物など5人を装って複数のメッセージを送り、女性被告に協力を決意させたと指摘したとのこと。
3)弁護側は、被告について、「主導性、自発性が低い」、「被告の自白によって事件の全貌が見えてきた」などとして、情状酌量を求めたとのこと。
4)起訴状などによると、被告はマッチングアプリで知り合った埼玉県久喜市、無職の女性被告(31)と共謀し、昨年8月1日未明、中之条町四万の駐車場で、SNSで誘い出した川崎市多摩区、被害者女性の頭をバットで殴り、ロープで首を絞めた後、橋から約32メートル下の川に落として殺害し、キャッシュカード2枚と運転免許証を奪ったとされるとのこと。
***第三回公判(7月14日)***
被告人質問
1)被告は被告人質問で「共犯の女が装っていた架空の人物が怖かった。自分に気の弱さがあった」と述べたとのこと。
被告は、共謀した埼玉県久喜市、無職女性被告(31)がいずれもSNS上で装っていた架空の女性「実(みのり)」とその父親の指示に従っていたことが、これまでの公判で明らかになっているとのこと。
2)弁護側によると、被告は当初の接見で「実」の存在を明らかにしなかったものの、検察の取り調べで正体を告げられ、「ショックを受けて真実を話そうと決めた」としているとのこと。
3)検察側から、女性被告の不審な点に気付かなかったのかを問われると、男性被告は「見覚えのないスマートフォンを持っていたり、女性からのメッセージを見ずに指示してきたりしたことは逮捕後におかしいと思った」と語ったとのこと。
検察側や裁判官から、常識を逸する指示に従って女性の殺害を実行した理由を問われると、被告は「(結婚や仕事紹介という)うそを見抜けなかった。自分に問い詰めている」などと繰り返し、裁判長は「やってはいけないことの判断ができなかった理由は大事なので、よく考えるべきだ」と指摘したとのこと。
***論告求刑公判(7月15日)***
1)検察側は論告で、確実に殺害するため、バットで女性の頭部を殴り、ロープで首を絞めた上で橋から落としたなどとして、人命軽視が著しいと指摘。一方で、犯行状況を詳細に供述し、反省も認められるとしたとのこと。
検察側は懲役30年を求刑したとのこと。
別の報道では
検察側は被告について「犯行は残虐危険で非常に悪質」、「実行行為のほぼ全てを行った」と指摘する一方、「犯行を認めて詳細に供述し、反省も認められる」として懲役30年を求刑したとのこと。
更に別の報道では
検察側は論告で「残虐かつ危険で非常に悪質」と指摘しながらも、「首謀は共犯の女で、犯行状況を詳細に供述して、反省している」としたとのこと。
2)弁護側は寛大な判決を求め、結審したとのこと。
女性被告が男性被告に「高額な報酬の仕事を紹介する」などと持ちかけ、殺害を実行させたことが明らかになっていて、弁護側は、「事件を主導していない」と情状酌量を求めていたとのこと。
***判決公判(7月19日)***
1)前橋地裁は懲役27年(求刑・懲役30年)の判決を言い渡したとのこと。
前橋地裁は「女性被告の話を信じこんで大きなためらいなく犯行を実行していて、果たした役割は大きい」と指摘した。一方で「女性被告とは明確な責任の差があり、無期懲役にはためらいを覚える」として懲役27年の判決を言い渡したとのこと。
2)裁判長は、被告の動機について「女性被告の元交際相手に殺人の汚名を着せるためだった」と指摘。女性被告がSNS上で架空の人物を装って犯行を指示し、被告がそれに従って殺害を主体的に実行したとし、「果たした役割は大きい」と非難したとのこと。
3)判決によると、被告はマッチングアプリで知り合った埼玉県久喜市の無職女性被告(31)(強盗殺人罪などで起訴)と共謀して昨年8月1日未明、中之条町四万で、SNSで誘い出した川崎市多摩区、被害者女性(当時48歳)を橋から川に落とすなどして殺害し、キャッシュカードや免許証を奪ったとのこと。
***事件の概要***
こんな所ですが、これだけでは分かりにくいので事件の概要を説明します。
登場人物は
A)主犯の女性被告(31)
B)女性被告に騙されて実行犯となった男性被告(35)
C)SNSで練炭自殺を募って集まった被害者2名、内1名が殺害された被害者女性(48)
D)女性被告が作った架空の女性「実」
E)女性被告が作った架空の男性「実の父親」
F)女性被告が作った架空の男性「元彼」
G)女性被告が作った架空の女性「元彼の母親」
H)女性被告が作った架空の女性「元彼の交際相手」
女性被告の動機は「元彼への報復」で元彼に殺人の汚名を着せる為だった。
女性被告はこの事件の直前に元彼の家から追い出された事を恨んでいた。(飼っていた犬2匹と共に家を出た)
女性被告は男性被告と事件直前にマッチングアプリで知り合った。ただし、互いに恋愛感情はなく、ただの友達付き合いだった。
離婚したばかりだった男性被告は、女性被告に女性を紹介して欲しいと頼んだところ、友人だとする「実(みのり)」という女性を紹介された(アカウントのみ、女性被告の作った架空の人物)。
男性被告は女性被告に頼まれて女性被告の飼い犬1匹を引き取って飼う事になる。
そして、女性被告は「元彼」「元彼の母親」「元彼の交際相手」になりすまし(アカウントを使って)男性被告に「犬泥棒」といやがらせのメッセージを送るようになる。
その後に「実の父親」が「実」が「元彼」から嫌がらせを受けていると男性被告にメッセージを送った。
そして、「元彼の殺害計画に協力すれば、給料の良い仕事を紹介し、「実」との結婚も認めて、住む場所も手配する」とメッセージを送った。
犯行におじけづいた男性被告に対して
「実」が「あなたがやらないなら私が自殺する」とメッセージを送る。
更に「実の父親」が「やらないなら、ヒットマンを雇った費用100万円を払え」とメッセージを送る。
これらの結果、男性被告は「やらないと何をされるかわからない」と考えるようになった。
犯行計画では
被害者女性を殺害しその遺体と免許証を「実在の元彼」の家に置き、元彼宅を放火する事で「実在の元彼」を殺人犯に仕立上げる計画だった。
実際の犯行では、被害者女性の遺体は橋から投げ落とした事で計画が狂った。その為、被害者女性の免許証だけをおいて放火する事になったが、これも未遂に終わっている。
当初LINEで連絡をしていたが、途中からテレグラムと言うアプリでも連絡するようになった。(テレグラムは一定期間がすぎると内容が消えるアプリ)
こんな事件ですね。
事件発覚当初の報道はよくある事件だと考えて、追っていませんでしたが、公判の内容から、かなり特異な事件だと感じたので、メモしておきます。
女性被告はかなり、周到に計画していますね。
最初はLINEを使っていたようですので、感情的な面が先に出ていたのかもしれませんが、途中からテレグラムを使用して、自分が逮捕されない為の工作をしています。
そして、メッセージを送るだけで男性被告を支配して、犯行を実行させています。
ここが疑問なんだけど、直接SNSでの交友関係にあった女性被告は仕方がないとしても、女性被告の作った架空のアカウントは無視すれば済む話だし、無視できないならブロック(着信拒否)してしまえば良い話なんですよね。
面識や交流の無い架空の人物がどうして自分にメッセージを送ってくるのか?と言うのを考えれば、少なくとも、自分のアカウント情報を持っている人物が関係していると気付くと思うのですが、そのあたり、女性被告はうまく立ち回ったんでしょうね。
女性被告は男性被告の人の好い性格なども把握していて、利用する事を計画したんでしょうね。
この事件は特異な事件とは言えるけど、でも過去に例が無いのか?と言うとそうでもありません。
今よりもSNSなどが少なかった時期の2006年8月の稚内主婦殺人事件があります。
息子16歳が、友人の15歳少年を作り話で騙して、自分の母親46歳を殺害した事件です。
こちらの事件では、息子16歳が自分は殺人組織の一員で、組織から15歳少年に仕事の依頼が来たと騙した。
そして、実行しないとお前に危害が加えられる。報酬は30万円としていますね。
まー危害を加えられると言うのはこの手の常套句なんでしょうね。
こちらの15歳少年も、お金だけなら、犯行は引き受けなかったとしています。
やはり、物事を信じる前に考えろ?って事ですね。
あるいは、盲目に信じるなと言う事かな。
この群馬県の事件も、「なぜ、自分が実行犯になるのか?」と言う疑問は持ったはずだと思うのですが・・・
「ヒットマンを雇った100万円を払え」と、ヒットマンがいるなら自分が実行犯になる必要が無いわけです。
考える事、そして、誰かに相談しましょう。
相談すれば普通に、「ありえない」と言う事になると思います。
そうすれば、騙されていると気付くと思うんですよね。
今やお金儲けの為のフェイクニュースや偽情報がネットに氾濫してるし、振り込め詐欺も毎日のように起きている。
まずはニュースソースを疑えと言うあたりから始めましょう。
考えれば、その裏にある思惑も透けて見えるようになると思います。
事件だと「第一発見者の信憑性を疑え」というあたりなんですけどね。
亡くなった女性のご冥福をお祈りします。
参考リンク
稚内主婦殺害事件の謎!
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