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2021/10/11

熊本県熊本大女性研究員殺人事件その4(一審判決)

判決は懲役18年(求刑懲役20年)です。

***初公判(10月5日)***
1)被告人は裁判長から起訴状の記載に間違いがないかどうか確認され、「ありません」と答えたとのこと。

2)検察側の冒頭陳述によると、被告は女性が住むマンションの清掃員をしており、昨年4月に知り合った。「マスクを開発して寄付したいので、デザインを考えてほしい」「自分は社長で、大学の学生を支援したい」などとうそを言い、女性に近づいたとのこと。検察側は、9月6日にうそが発覚し、非難した女性に対して被告が腹を立て、殺害に及んだと主張したとのこと。

別の報道では
検察は、冒頭陳述で「被告が『自分は社長で資産家だ』などと嘘をつき被害者に近づいたが、その嘘がばれて、ののしられたことに腹を立て犯行に及んだ」と指摘したとのこと。

3)弁護側は、起訴内容を「争わない」と認める一方、被告は自らうそを明かして謝ったが、女性から責められたため「黙らせるために首を絞めた」と説明。「強い殺意はなく、計画性がない」などと主張した。凶器は自転車に荷物をくくるためのひもだったと説明したとのこと。

別の報道では
弁護側は自らうそを告白したとしていて謝罪したものの大声でののしられたため黙らせようとの思いから自転車のかごにあったひもで犯行に至ったとして計画性や強い殺意はなかったとしているとのこと。

更に別の報道では
弁護側は、「嘘を自ら告白したところ、被害者から再三ののしられた結果、頭に血が上り犯行に至った」と主張しているとのこと。

4)起訴状などによると、被告は昨年9月6日午後4時20分~6時5分ごろ、熊本市中央区の自宅アパートの敷地周辺で、女性の首をひものようなもので絞めて殺害。出入り口に設置された鉄製通路から、近くの堀に遺体を遺棄したとされるとのこと。

被告人質問
5)犯行時の状況
殺害の状況については「口をふさごうと思った。ずれて首のほうにいった」「無我夢中になり、自分でもどうなるのかわかりませんでした」と話したとのこと。

6)女性に近づいた動機
被告は「話し相手が欲しかった」女性に近づいた動機を語り「ずっと友達でいてほしい」という思いでうそをついたと話したとのこと。

事件前にも20~30代の女性数人に対し、うそをついて近づこうとしたことがあったと認めた。検察から「若い年代の女性と仲良くなりたかったのではないか」と問われると、「はい、そうです」と答えたとのこと。

7)検察が提出した証拠によると、女性は少なくとも3分以上首を絞められ、窒息死した。被告の左腕には、女性が抵抗した際にかみついた痕が残っていたとのこと。

8)被告は「取り返しのつかないことをしてしまい、被害者や遺族に申し訳ない。一生償っていかなければいけない」と述べたとのこと。

***論告求刑公判(10月6日)***
1)検察側は論告で、首を絞められた遺体の状況から「強い殺意があった」と指摘。被告が被告人質問で「口をふさごうとした」と話したことについては「口やほおにひもでしめられた痕がなかった」と反論し、これまでの被告の供述についても「不合理で信用できない点が多く、真摯な反省が認められない。犯行に至る経緯、動機に全く同情の余地はない」と述べたとのこと。

別の報道では
検察側は「被告は、うそをつかなければ近づくことができなかった被害者に対し、自身のうそが原因のトラブルで身勝手に殺害した。被害者に落ち度はなかった」と指摘。犯行後、救命措置を取らず遺体を遺棄し、携帯電話など所持品を捨てて犯行を隠そうとした行動も悪質としたとのこと。

2)弁護側は最終弁論で「強い殺意はなかった。被告は高齢で再犯可能性は低く、量刑は懲役15年程度が相当」と述べたとのこと。

3)最終陳述で「本当に申し訳ないです。これから償っていきたいと思います」と話したとのこと。

4)女性の母親も被害者参加制度を利用して出廷した。女性は被告からマスク開発などの話を持ちかけられていると、家族に伝えていたという。一人娘だったといい、「小さいころからアメリカでウイルスの研究がしたいと夢見て、研究員としての道を歩み始めたというのに。なぜ殺されなければならなかったのか」「娘はこれから親孝行すると言っていました。そんな娘を返してください。犯人には死刑を望みます」と語ったとのこと。

別の報道では
被告について、母親に電話で話すことも。「信用できるのか」と心配すると「廊下を掃除してくれている。あいさつくらいしないと」と話していたとのこと。

5)遺族の代理人弁護士は「被害者や遺族の苦痛を考え、可能な限り重い刑を望む」と述べたとのこと。

***判決公判(10月8日)***
1)裁判長は、「女性を黙らせるにしては度が過ぎた犯行で、殺意が強かったとしか言いようがない。被害者に落ち度はない」として、被告に懲役18年(求刑懲役20年)の判決を言い渡したとのこと。

2)裁判長は「原因はあくまでもうそをついてだまし続けた被告にある。被害者に落ち度はなく、被告に同情できる点はまったくない」と非難。被告側が公判で「(女性の)口をふさごうと思った」などと主張した点についても、「少なくとも3分以上にわたって(首を)絞め続けた。被害者を確実に殺害しようとしたもので、強い殺意に基づく悪質な犯行」として退けたとのこと。

別の報道では
判決は、清掃員だった被告が仕事先のマンションの住民だった女性に接近した経緯について「資産家のふりをして近づき、研究員としての任期満了などを心配していた被害者の弱みにつけこみ、寄付や支援をにおわせた」と指摘。それらをうそと知った女性から叱責された被告が、逆に激しく立腹して殺害行為に及んだと認め「被害者に落ち度はなく、被告に同情できる点は全くない」としたとのこと。

更に別の報道では
殺害に至る経緯や動機については「被告の供述にあいまいな部分が多く、判然としない」とする一方、「資産家のふりをして被害者に近づき、うそを知った被害者から叱責[しっせき]されたことに対し、怒って犯行に及んだ」とした。その上で、「原因は被害者をだまし続けてきた被告にあり、同情できない」と量刑の理由を説明したとのこと。

3)裁判長は被告に対し「自分がやったことの重みを決して忘れることなく、刑に服してください」と諭し、閉廷したとのこと。

こんなところですね。
正直なところ、被告の話した動機が本当なのだろうか?と疑いを持っています。
「嘘がバレた」としても、今回の場合、それが犯罪に問われる事は無いと思うんですよね。
被害者が「被告は嘘つきだ」と吹聴しても、被告がそれで不利益になることも無いでしょう?
せいぜい、被告を雇っている清掃会社にクレームを入れて、解雇されるかどうかぐらいの話だと思います。

それで「殺人」と言う手段を選択する必要があるのか?
私としては損得の収支が合わないと思うんですよね。
そう、殺人を犯さなければならない不利益が被告にはあったのではないか?と思うのですが・・・・

経済的な面で言えば、おそらく金銭の授受は無かったと思います。
この「嘘」は「マスクを開発して販売し、その売り上げを大学に寄付します」と言う話だと私は解釈しています。
だから、お金を渡す相手は大学になるので、被害者に直接、金銭を渡すと言う話にはならないだろうと思います。

では、なぜ、被害者はこの話に乗ったのか?と考えると、被害者は研究員としての任期が満了する事で、研究を続けられない事を心配していたんでしょう?
つまり、被害者は研究費が寄付される事で予算が増えて、任期が延長されるなり、満了後に再任される事を期待していたんじゃないかな?

しかし、ここは素朴な疑問があるんですよね。なぜ、被告人はその被害者の悩みを知る事が出来たのか?
女性を口説くのに「貴方の大学に寄付金を寄付しますから、私と付き合って下さい」なんて口説き文句は普通、考えつかないと思うんですよね。

それに、「嘘」と言ってもずいぶんと手が込んでいる印象です。社長になりすまし、社長秘書から「手紙」を書いているんですよね。
手紙の内容がわからないけど・・・この点もちょっと不審ではあります。

あくまで大学に寄付する話なので、一研究員に直接手紙を書く理由が無いでしょう?
それは多分、大学に直接手紙を出せば、裏を取られて嘘が発覚するから、騙す相手を被害者女性だけにピンポイントで絞ったと言う事でしょうね。

私の推測では、事件当時67歳の高齢の男性に気を許した被害者女性が、世間話の中で任期の話などをしたんじゃないかな?
そして、この話を悪用して、被害者を騙す「嘘」を考えたのだろうと思います。

そして、嘘が発覚しないように、被害者に「口止め」をしたんじゃないかな?
担当教授や大学関係者にこの話をすれば、「そんな話無いよ」って事になりますからね。
それで、「寄付が完了するまでは、秘密にしてください」と何か理由をつけて口止めしたんじゃないかな?

けれど・・・何のために?
「話し相手が欲しい」とか「ずっと友達でいたい」とか、そんな理由で「嘘」で騙す必要は無いでしょう?
社長だなんて嘘がバレないはずがない。長く友達でいるなら逆に嘘なんてつくのはマイナスでしかないと思います。

実際にこの寄付の話は賞味期限があって、いつまで経っても寄付されなければ、「怪しい」って事になりますよね。
被告人が嘘を告白していると言う事になっているけど、いずれバレるから自ら話そうと言う事なのか?
方法としては「嘘」のまま終わらせる事もできたと思うんです。
例えば「役員会にかけたが否決されてしまった」とか、でも、来年度もう一度チャレンジするからとかね。
そういう事が出来なかったと言うのであれば、最初から嘘に期限をつけていたのかもしれませんね。
上期内(9月中)に寄付するとか、で9月になって期限が迫ってきて嘘を告白したのかな?

私としては表に出ていない「何か」があるのでは無いか?と疑っていますが、それを知るのは「被告人」だけなんでしょうね。

そして殺害した理由は「仕事を失いたく無い」からなんじゃないかと推測しています。
最初に書いてますが、この嘘がバレても、被害者ができる事は限られていて、警察に言っても逮捕されるような事にはならないでしょう?
だから、被害者は「清掃会社に被告に騙された」とクレームを入れてクビにしてもらう!と騒いだんじゃないかな?
おそらく年齢的に再就職が厳しい被告はこの、言葉に動揺して殺害を決意したのではないか?と考えています。

最後に、この事件を防ぐには?と考えるのですが・・・
被害者側で出来る事は「嘘に騙されない」と言う事でしょうね。

基本的な事ですが、何事も相手から近づいてきた時には「目的がある」と考えて間違いありません。
A)相手の目的は何か?会話の内容や表情に注意しましょう。
B)会話の内容(情報)はメモしておきましょう。
C)情報の裏を取りましょう。

裏を取るのは難しい面もありますが、単純に社名や電話番号などはネットで検索できますからね。
「うまい話は世の中にはそうそう転がっていない」と言うのも昔から言われている事です。
怪しいと思ったら、信用できる人に相談しましょう。

亡くなった女性のご冥福をお祈りします。

参考リンク
熊本県熊本大女性研究員殺人事件その3(携帯電話)

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コメント

この事件も忘れかけてましたが、ハッキリした動機が良く分からなかったですよね。本当に、話相手が欲しかったとか、友達で、ずっと居て欲しかっただけなんですかね?いわゆる、下心的な物は一切無かったんですかね?

投稿: 南こうさつ | 2021/10/13 22:27

被告(68)は、いったん10月21日に福岡高裁に控訴する手続きを取った後、翌22日に取り下げたと熊本地裁が明らかにしたとのこと。

控訴期限は22日。被告の国選弁護人は「本人から何も聞いていない」と話しているとのこと。

南こうさつさん、遅レスごめんなさい。
下心の有無は本人にしかわからないところだと思いますが、事件については、
いったんは控訴したものの、何かしら被害者に申し訳ないと言う気持ちがあって、控訴を取り下げたようですね。

投稿: ASKA | 2022/03/28 10:20

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