埼玉県さいたま市桜区家出長男母親殺害事件その2(一審判決)
判決は懲役10年(求刑懲役14年)
***初公判(12月10日)***
1)被告は「間違いありません」と起訴内容を認めたとのこと。
2)冒頭陳述で検察側は、家出した息子が将来に対する不安を募らせ、「刑務所に入って人生をリセットしたいと考えた。以前から嫌いだった母親の殺害を考えるようになった」と指摘したとのこと。
約2カ月後に帰宅すると、母親が警察に電話している隙に、「台所から包丁を持ち出し、背中などを複数回にわたり、突き刺したり、切りつけたりした」と述べたとのこと。
3)弁護側は、息子が犯行時、うつ病状態だったと説明。「意思決定への非難の程度を考慮してほしい」と訴えたとのこと。
4)起訴状などによると、息子は3月15日午前10時19分ごろ、自宅で母親=当時(45)=の背部を包丁で突き刺すなどして失血死させたとされるとのこと。
***論告求刑公判(12月13日)***
1)検察側は懲役14年を求刑。弁護側は7年を超えない刑を求めたとのこと。
2)論告で検察側は、背後から母親を襲い、切り付けや突き刺しをするなど「犯行は危険かつ執拗で殺意が強固」と指摘したとのこと。うつ病は限定的で、母親が2階に行った隙に包丁を用意しズボンのポケットに隠した思考や判断は「いずれも冷静なもので、極めて身勝手な犯行は強く非難すべき」と述べたとのこと。
3)弁護側は、男がうつ病の影響で「人生をリセットするという考えに強くとらわれていた」と主張したとのこと。両親に相談するも寄り添ってもらえず、家ですら心休まる場所ではなかったとして、「うつ病ではなかったら起きなかった」と情状酌量を求めたとのこと。
***判決公判(12月22日)***
1)さいたま地裁は懲役10年(求刑懲役14年)の判決を言い渡したとのこと。
2)裁判長は判決理由で、背後から突然襲いかかり、刺し傷の深さは約15センチにまで達していたとし、「犯行は非常に危険かつ執拗で悪質なもの」と指摘した。動機についても、刑務所に入り、人生をやり直すしかないと考えて母親の殺害を決意したことは「安易かつ短絡的で身勝手と言わざるを得ない」と述べたとのこと。
一方、犯行当時うつ病の影響で判断力や思考力が低下していたとし、「犯行に至る経緯や動機形成の過程には、被告人のみを責めることができないうつ病が一定程度影響している」としたとのこと。
こんなところですね。
被告の「うつ病」の影響がマスコミに影響したのか、裁判情報がほとんど報道されない事件でした。
(まー他の事件の裏に隠れてしまったのかもしれませんね)
事件当時に疑問だったこと
A)なぜ、刑務所なのか?家に引きこもりではダメなのか?
B)なぜ「何もかも嫌になった」のか?
C)なぜ被害者が母親なのか?
A)の刑務所に行きたい理由は「刑務所に入って人生をリセットしたい」と言う事なのですが、相変わらず理解できません。
刑務所に入っても人生はリセットできないと思うんですよね。刑務所に入っても、それまでの人生が無かった事になるわけではないし、新たに何かを始めるのに都合が良いわけでもありません。
なので、私は「家を出たかったから」と解釈しています。
つまり、「家は出たいが仕事はしたくないので、仕事をしなくても良いのは刑務所だ」と言う理屈なんじゃないかと推測しています。
B)の「何もかも嫌になった理由」は明確にはなったいないのですが、公判の情報の中から推測するに、「両親に相談するも寄り添ってもらえなかったから」と解釈しています。
結局、最後は両親が自分を救ってくれると期待していたが、被告から見たら両親はその期待を叶えてはくれなかったと言う事なんじゃないかな?
C)のなぜ被害者が母親なのか?については、公判中にその回答がありますね。
検察側の主張によれば「母親が嫌いだったから」なんですよね。
私の印象では事件の原因は単純に被告が「仕事をしたくない」と言う強い思いがある事なんじゃないのかな?
うつ病だからこの思いが強くなってしまったのかもしれないのですが・・・
昔からある童話の「蟻とキリギリス」でもテーマになっているように、昔からある問題だと思います。
そして、仕事が好きな人間は全体でみれば少数派だと思いますね。
ただ、新たな疑問としては、家出していた期間がはっきりしませんが、家出期間が1ヶ月以上あるようなんです。
この期間、被告はどうやって生活していたのだろう?
経済的な問題もそうなのですが、「うつ病」がありながら、家出と言う生活が可能なのだろうか?と言うのが疑問です。
判決では「うつ病」は認定されているようなので、うつ病だったと思いますが、1月から3月の真冬の期間にどうやって生活していたのだろう?と素朴な疑問です。
この事件を防ぐにはと考えると弁護側の主張にあるように「うつ病ではなかったら起きなかった」と言う事であれば、「うつ病」にならなければ良いわけなのですが・・・
「うつ病」って「こころの風邪」と言われているぐらいの病気で一生のうちに一度ぐらいはだれでもかかる病気だと私は考えています。
だとすると、「うつ病にならないようにする」のは、対策としては不可能でしょ?と思うわけです。
だから、この事件を防ぐには、「うつ病にならないようにする」ではなく「うつ病になった後のケアをどうするか」なんじゃないかな?と思うのですが、それも難しいんですよね。
経緯としては、就職後9ヶ月で仕事が嫌になり、家出をしてます。
うつ病になった時期が明確では無いのですが、家出の前後にうつ病になったのであれば、その時、家族は周囲にいないので、手の打ちようがありませんね。帰宅した直後に事件を起こしてますし。
この期間は被告自身が自分でうつ病をケアする以外にケアする方法がありません。それはかなり難しいと思うんですよね。自分で自分が「うつ病」だと気づけるようなら、「家出」なんてしないと思うんですよね。
だとすると、方法は一つで、「うつ病にならないようにする」しかないですね。
ではその具体的な方法は何か?となると、就職した後のケアで、仕事が原因と思われる「うつ病」を防ぐしかないと言う事ですね。
ただ、私は就職は今風に言う「ガチャ」だと思っていて、良い会社、良い仕事に巡りあえるかどうかは運次第だと考えています。
とは言え、良い会社や良い仕事に巡りあったとしても、「嫌な事」や「つらい事」が全くないなんて事は無いと思うわけで、その度に、仕事を辞めていたら、結局、それ以上成長できない人間になるだけで、それでは、別の問題が発生すると思うんですよね。
一生、賃金が安い状態で良いのであれば、それでも良いけど、それでは経済的に自立して生活する事ができないでしょ?
と考えると、ある程度の「嫌な事」や「つらい事」は耐える前提で、「これ以上は無理」と言うラインを設定すると言う事なのかな?
しかし、これは「そのライン以上には成長できない」と言う事でもあるんですよね。
単独での仕事の場合はこれしか方法が無いと思うけど・・・(経験を重ねて、ラインが向上する可能性もあると思います)
チームや組織として見た場合、所属メンバーの限界値は個々で違うので、マネージャーとしては、組織全体でのパフォーマンスを最大にするように仕事の割り振りを考えたり、チーム内での協力や指導で個々の限界値が向上するように育てるのが正解なんでしょうね。
とは言え、チームの状況やマネージャーの手腕によって変わると言う「ガチャ」である事に変わりはないのかもしれません。
仕事に対する「姿勢」とか「心構え」なんて言うのは、人それぞれの「人生の優先順位」で違う事なので、何が正解か?と言うのはわかりません。
私としては、仕事にかかわらず、「信頼して相談できる人」を作ると人生が生きやすくなると思います。
仕事の相談なら職場の先輩や同僚が話やすいと思いますね。
なんかまとまらずに終わってしまってごめんなさい。
最後に、被告人は刑務所に入って人生をリセットしたいと望んでいたのですが、結果がどうだったのか?教えて欲しいですね。
参考リンク
埼玉県さいたま市桜区家出長男母親殺害事件
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