大阪府大阪市北新地放火殺人事件その2(まとめと印象)
さて、まずは、事件の情報をまとめましょう。
A)メンタルクリニックが放火され、24人が死亡した事件。火災は30分ほどで消火されたが、一酸化炭素中毒で死亡した。
B)容疑者はこのクリニックに数年前から通院している61歳の男性
C)事件後に容疑者自身が死亡していて、動機などは不明、クリニックでのトラブルなどは無いもよう。
推定される事件の経緯
1)3月に報道された放火事件、7月の京アニ事件の新聞を保管していた為、3月頃から計画していたと思われる。
2)事件の1ヶ月前に、以前の自宅に住み始めるが、電気、ガスは通ってない。
3)事件の約3週前に自宅近くのガソリンスタンドで嘘の理由で10リットルのガソリンを購入。
4)事件の前日のクリニックの終業後に非常階段に続くドアを粘着テープで目張りする。
5)事件の当日までのクリニックの営業時間中に消火栓の扉を開き難くするように細工する。
6)事件の当日までに「放火殺人」等のメモを残す。
7)事件の当日までに果物ナイフ、催涙スプレーを準備する。
8)事件当日の10:00前に自宅に放火
9)直後に現場へナイフ、催涙スプレー、小分けしたガソリンを2本を持ち、自転車でクリニックへ移動
10)10:00過ぎクリニックに到着、受付後にガソリンを使い、出入り口を塞ぐ形で放火する。
11)直後に逃げようとする人間に体当たりをして、奥に押し込め、自らも炎の中に入る。
12)119番通報されるが、結果27人が心肺停止で搬送、内容疑者を含む26人が死亡、一人が重体。
容疑者の人物像
1)約34年前に父親の遺産相続などのトラブルで他の3兄弟とは疎遠になる。
2)腕の良い板金職人だったが、職を転々としていた。
3)結婚して新築した自宅で家族と暮らすが、離婚して家を出る。まもなく仕事も辞めて、生活が荒れる。
4)自殺を考えるようになり、家族を道連れに無理心中事件を起こす。
5)懲役4年の判決を受けて服役
6)出所後の生活は不明
7)元妻との再婚を希望していたが、かなわなかったもよう。
8)福祉の世話になっていると言う事から、生活保護を受けていた可能性がある。
9)一部の知人(自宅が容疑者の家を知っていたので、直近まで交流のあった知人と思われる)の話で、容疑者がアルコール依存症との話があるが、真偽は不明。自暴自棄になっている段階で、依存症が進行してしまうはずなので、私はアルコール依存症では無いと考えています。
クリニックの診療記録が残っているので、そちらで病状は確認できると思いますので、発表を待ちましょう。
10)元の同僚などの証言では、友人はあまりいなかった模様。
私の印象
高校卒業後に父親の会社に入って仕事をしているようで、自分が会社を継ぐと考えて、仕事に真面目に取り組み、精進して職人の腕を上げたんでしょうね。
だから、責任感も強かったのだと思います。
2002年に就職した会社の社長の証言でも、責任感が強く、腕が確かで人材教育も出来て、同僚や部下から慕われていたと言う話が出ています。
その一方で、社長が注意すると反発するような事もあったとの事から、少しプライドが高いところがあったのかもしれません。
ただ、結婚後の夫婦関係がうまくいかなった事で離婚、離婚した理由はわかりません。
このあたりから、仕事を辞めたり、ギャンブルにのめり込んだりして、生活が荒れていったようですね。
ここからが人生の分かれ目ですね。
結局、自暴自棄になり心中事件を起こしてしまう。
今回の事件も結果的に、沢山の人を巻き添えにした無理心中事件のように見えますね。
腕の良い職人なので、仕事の段取り(計画)もしっかりしていて、想定されるトラブル(非常階段や消火栓)に対しても事前に対策を準備している。
このあたりは、本人の体に染みついた個性と言うところでしょうか。
ただ、わからないのは、なぜ、クリニックを狙ったのか?と言う点ですね。
クリニック自体に明確なトラブルなどはなさそうです。なので、私が考える可能性としては・・・
1)障害者に対する大量殺傷事件の「やまゆり園事件」と同じ理由で、クリニックに通う人が社会に不要と考えた場合。
2)クリニックに通院して回復していく患者を妬ましく思っていた場合。
3)ただの偶然、通院していた為に構造や人の出入りを把握していて、計画しやすかった場合。
面識の無い赤の他人に対するネガティブな感情としては1)か2)ぐらいしか無いかと思うのですが、逆にこれを理由に事件を起こすのか?と言うのは疑問のあるところです。
私としては3)の偶然の可能性が高いのかな?と考えています。
目的は明確で多数を巻き添えに自殺する事でしょう?合理的に実現可能な条件を考えると、現場を知り尽くしたクリニックしかないのではないか?と考えています。
もしかすると、犯行計画や手記などが残っている可能性があるので、そちらが出てくれば、このあたりの事情もわかるかもしれませんね。
ただ一つだけ、事件は9ヶ月も前からぼんやりと計画していたようで、一時の怒りで起きているわけでは無いのでしょうね。
不満や鬱憤、ネガティブな感情が積もり積もっていたのでしょうが、それでも、最後のきっかけは何だったのか?知りたいですね。
本当のところはわかりませんが、いつも書いている通り、事件が起きれば私達の負けです。
事件が起きる前、犯行を決意する前に対応できなければ、事件は防げない。
この事件の場合は出所後のケアができてれば、この事件は防げたかもしれません。
その意味では、出所後にどんな生活をしていたのか?知りたいですね。
参考リンク
大阪府大阪市北新地放火殺人事件(容疑者死亡までの報道)
大阪府大阪市北新地放火殺人事件その3(被疑者死亡で不起訴)
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