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2022/03/27

愛知県弥富市中3男子殺害事件その2(保護処分決定)

***鑑定留置終了(22年3月10日)
生徒は3月10日から2週間、観護措置が取られ、この期間中に少年審判が開かれる見通しとのこと。

***少年審判(22年3月23日)***
名古屋家裁は23日、殺人と銃刀法違反の非行内容で送致された同学年の少年(15)を、第1種少年院送致とする保護処分を決定したとのこと。

1)少年審判では、事件の動機について、「生徒は修学旅行にスマートフォンを持ち込んだことを周囲に告げ口をされたのではないかと思い、強い疎外感を感じていた」などとした上で、「被害者が楽しそうな様子でいるのを見て怒りが湧いた」などと指摘したとのこと。

別の報道では
男子生徒の動機について「進路で不安感を強めるなどしていた上で、かねてより嫌っていた男子生徒を殺して捕まれば、辛い現状から切り離されると考えた」と指摘したとのこと。

2)「事件当時14歳という年齢などから少年院での矯正教育が相当」などとして第一種少年院に送致することを決定したとのこと。

期間については、「5年程度の相当長期間を要する」としているとのこと。

別の報道では
理由について名古屋家裁は、鑑定の結果、少年には他人の行動の理由を読み取ったり、行動を抑制したりする力に乏しいなどの特徴を持つ発達障害の一つ「自閉スペクトラム症」の影響があると認定しながらも、「理不尽かつ身勝手な動機で尊い命を奪ったことは強い非難を免れない」と指摘したとのこと。

一方で、「必ずしも深い非行性に基づくものではなく、犯行当時14歳という年齢を考えると、少年院での矯正教育が相当」としたとのこと。

第一種少年院は、「心身に著しい障害がない」少年らを対象にしていて、「犯罪的傾向が進んだ」少年らを対象にする第二種と区分されているとのこと。

こんなところですね。
動機が何だろうとは思っていたのですが、一言で言えば、「八つ当たりの現実逃避」と言うあたりでしょうか。
で、その原因の一つが、発達障害ですね。

問題はここですね。
この診断はいつ出たものなのだろうか?
何が言いたいかと言うと、この診断が事件の以前に出ているのであれば、学校を含めて少年をケアする事ができたのではないか?
そうすれば、この事件は起きなかったのではないか?と言う事です。

診断の時期が報道されていないのですが、私の推測では鑑定留置の精神鑑定の中で診断されたのではないか?と考えています。
元々、知能に影響が無い発達障害は、家族でも発見が難しいですから、もし、既に診断されていたのであれば、必要な治療やケアがされていたのではないか?と思うわけです。

もしそうであれば、この少年にも同情できる部分はありますね。
多分、なぜ、自分がそう考えてしまうのか?そう感じてしまうのか?と言う理由がわからないまま、疎外感を強めて、自分で負のスパイラルに落ち込んでいってしまったんでしょうね。

その一方で、知能には問題が無いので、善悪の判断はできたはずです。
で、審判でも指摘されているとおり「理不尽かつ身勝手な動機で尊い命を奪ったことは強い非難を免れない」となるわけですね。

この事件は防げそうで、考えると防ぐのが難しい事件のようです。
おそらく、加害少年が発達障害であると周囲が知って、接していればこの事件は防げたと思うのですが・・・・そもそも、誰もその事を知らないので、防げないんですよね。
なので、例えば、小学校の高学年になるあたりで、健康診断の一部として、問診などでのスクリーニングして、その後、希望する子供には更に詳細な診断を受けさせるみたいな形で、発見していくと言う方法が考えられるけど・・・これはこれで、難しい面がありそうな気がします。
これは、個人情報の機微情報にあたるので、学校での扱いが難しいような気もしますが・・・
もっとも、既に学校では特別支援クラスがあるからそちらと同じ運用でいけそうな気もしますが・・・生徒にも知らせないといけないので、それが理由で「いじめ」などに繋がらないか?と言う心配もありますね。

そう考えると、むしろ本人よりも周囲の人間に高い道徳感や人間性を求められると言うのがこの事件を防ぐ事が難しい理由なのかもしれませんね。

その一方で、一般社会ではどうなのか?と考えてみるですが・・・
私の感覚だと100人もいる職場や会社などでは、1人や2人は「おや?」と思う人がいるんですよね。
付き合いが長くなれば、「この人はこういう人だからこうしよう」的な対応マニュアルが周囲の各個人の中に出来てきて、その結果、周囲と調和できるようになると思うんですよね。
相性などで職場異動などもあるかもしれませんが、適材適所と言う感じになっていくと、私は感じています。
その意味では、一般社会ではなんとかうまく対応しているけど、この事件は中学生で周囲も本人も未熟だったから、重大な結果になってしまったと言う見方もできるかもしれませんね。

ただし、学校の対応に問題が無かったのか?と言うのはまた、別の話になると思います。
加害少年は「いじめ被害」を訴えていたので、学校側は指導などもしていたけど、そこでもう1歩踏み込めなかったか?と言うのが微妙な感じです。
実際は「いじめ」らしい事は無かったのでしょうが、そこでなぜ、加害少年はいじめを訴えるのか?と言うところまで考える事ができたら、もう少し展開は違ったかもしれませんね。
とは言え、「いじめ」が無くて「指導」もしているので、それで終了と言うのもやむを得ないかもしれませんね。
なので、スクールカウンセラーなどもっと専門的な人が関わる仕組みがあれば、良かったのかもしれませんね。

「八つ当たりの現実逃避」で若い命を奪われた被害者とご遺族が気の毒でなりません。
「事件は常に理不尽」だと改めて思い知らされた事件です。
亡くなられた少年のご冥福をお祈りします。

参考リンク
愛知県弥富市中3男子殺害事件(鑑定留置まで)

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