滋賀県愛荘町同居男性殺人事件その2(元少年の一審判決)
***初公判(1月20日)***
1)Oさんを死亡させたとする傷害致死罪について起訴内容を否認。弁護側はOさんを衰弱死させる暴行は「女性被告が単独で行った」として無罪を主張しているとのこと。
別の報道では
弁護側は「暴力はあったが、けがをさせるほどではなかった」として無罪を主張したとのこと。
2)起訴状によると、元少年は母親の無職、女性被告(56)=傷害致死罪などで起訴=と共謀。2019年6月~10月25日、女性被告のアパートで同居していたOさん(当時25歳)に十分な食事を与えず暴行し、同26日に敗血症性ショックで死亡させたなどとされる。また、17年6月~10月24日、別の同居男性(49)=和歌山県=にも十分な食事を与えず暴行し、脳に後遺症を伴うけがをさせたとのこと。
3)冒頭陳述
検察側は元少年が女性被告と共謀し、長期間にわたって日常的に暴行を加え、食事を制限するなどの虐待行為を繰り返していたと指摘。食事は1日1回で、ご飯1杯に腐ったみそ汁だったこともあったとのこと。
弁護側は、元少年は女性被告と同居していたものの、一定の距離を置いており、食事制限には関わっていないとした。元少年はOさんの兄から現金を脅し取ろうとしたとする恐喝未遂罪でも起訴されているが、「ほう助にとどまる」と主張したとのこと。
4)証拠調べ
女性被告の子供たちの供述調書が読み上げられ、Oさんら同居人だけでなく、元少年以外の自身の子供たちにも凄惨な虐待を加えていたことが判明したとのこと。
女性被告に引き取られた娘は平成23年から同居していた約1年4カ月を「地獄の生活」と振り返り、髪の毛をつかまれて顔を壁に打ち付けられたり、胸などにたばこを押し付けられたりされたことを明らかにしたとのこと。
供述調書が読み上げられた女性被告の3人の子供たちはいずれも児童養護施設で育った。16歳ごろから女性被告や元少年、複数の男性らと同居を始めたが、女性被告の元から逃げては戻る生活を繰り返していたとのこと。
女性被告は子供たちを含む同居人に虐待対象となった人を殴らせたり、食事を制限したりした。子供たちに対しても、腐りかけたみそ汁をかけた茶碗1杯の冷や飯を1日に1回程度しか与えず、30年10月ごろに知人を介して女性被告と知り合い、同居を始めたOさんにも、同様の食事が与えられていたとのこと。
***第二回公判(1月21日)***
検察側は、元少年と無職の女性被告(56)からの虐待で脳に重い後遺症を負ったとされる同居男性(49)が次第に衰弱していく経過の一端を明らかにしたとのこと。
検察側の冒頭陳述によると、男性は2017年3月から女性被告らと同居した。虐待は6月頃から始まったとし「元少年は女性被告とともに男性をいたぶって楽しみ、食事を与えず、奴隷のように扱う意図を有していた」と共謀関係を指摘。サンドバッグ代わりに殴るなどした元少年の日常的な暴力が男性が衰弱した一因だったとしたとのこと。
また男性が17年10月に救急搬送された際、身長約1メートル60に対し体重はわずか32キロで体温は28度まで低下。臓器機能が落ちて心停止し、回復が見込めない認知機能障害が残ったとのこと。
弁護側は、女性被告の暴行を元少年が止めたことがあり、男性に食べ物を与えていたことにも触れ「共謀は成立しない」と主張。健康状態の悪化を招いたのは食事制限で、元少年の暴行は傷害罪の実行行為に当たらず、無罪を主張したとのこと。
***第七回公判(2月2日)***
別の同居人男性(49)に対する傷害罪についての中間論告と弁論
1)検察側
検察側は「元少年は男性が食事制限されている状況を認識し、容認していた」と指摘。「暴行と食事制限を繰り返すことで、生命の危機に直面しても食べられないほどの言いなり状態に男性を追い込んだ」と主張したとのこと。
2)弁護側
弁護側は「元少年の暴行では男性はけがをしていない」と強調し、「男性は(女による)食事制限によって脳損傷を負っており、元少年は傷害の責任を負わない」として無罪を主張したとのこと。元少年も「自分が食事制限をしたことは一度もない」と述べたとのこと。
***論告求刑公判(3月3日)***
1)検察側は「残酷で無慈悲な虐待だ」として懲役12年を求刑したとのこと。
検察側は、元少年が母親(女性被告)に便乗して暴力を加速させたとして、「同一の意図を持って積極的に虐待に加担した」と指摘。暴行によって自由に食事を取れない状況を作り出し、食事制限にも関わったと述べたとのこと。
別の報道では
検察側は「男性が生命の危機に直面しても食事できないほど言いなり状態に追い込まれたのは、元少年による暴行への恐怖があり、元少年は食事制限にも加担したと言える」と主張。「奴隷のようにこき使い、長期間苦しめて死亡させた残酷で無慈悲な犯行」と非難したとのこと。
2)弁護側は「暴力はあったが、けがをさせるほどではない」として食事制限への関与を否定した。傷害致死、傷害の両罪は無罪、恐喝未遂罪はほう助にとどまると主張したとのこと。母親による同居人への虐待が横行する家庭環境は元少年への一種の虐待と考慮すべきだとも指摘し、執行猶予付きの判決を求めたとのこと。
別の報道では
弁護側は「死亡に至った主な要因は女による食事制限で、元少年の暴行はけがを負わせるものではなかった」とした上で、「幼少期から女の虐待を目撃し、異常な環境を認識することすらできなかった」と情状酌量を訴えたとのこと。男性の兄(30)に対する恐喝未遂罪のほう助犯のみが成立するとしたとのこと。
3)意見陳述(Oさんの父親)
「ゲームのようにもてあそばれて亡くなった。善良な人間のすることではない」と訴えたとのこと。搬送先の病院でOさんに再会した際、「信じられない大きなやけどに無数のあざ。脳天を打ち砕かれるような衝撃で恐ろしさに震えた」と振り返り、「息子の命の重さが判決に反映されることを願う」と語ったとのこと。
別の報道では
「(死亡した日から)時計の針が止まったまま。言葉に言い尽くせないほどの苦しみを感じる。わが子を失うつらさを知ってほしい」と言葉を詰まらせながら厳罰を求めたとのこと。
4)元少年の最終意見陳述
「食事制限されている男性に暴力を振るったことは深く反省している。救急車を呼ぶなどしていれば命を助けられた。遺族に申し訳ない気持ちでいっぱい」と述べたとのこと。
***判決公判(3月23日)***
1)大津地裁は「人格や尊厳を踏みにじる身勝手な犯行だ」として懲役11年(求刑・懲役12年)の判決を言い渡したとのこと。
2)判決理由
弁護側は「暴力はあったが、けがをさせるほどではない」として傷害致死罪などで無罪を主張したが、判決は目撃者の証言から、元少年が周りが止めに入るほどの強さで殴っていたと認定したとのこと。
母親の女性被告(56)=傷害致死罪などで起訴=と一緒に暴行したこともあったとして、「ストレス発散のはけ口にするなど、自身の欲求を満たす意図や目的が共有されていた」と指摘したとのこと。
Oさんの兄に対する恐喝未遂罪も認め、別の同居男性に対する傷害罪は「ほう助にとどまる」としたとのこと。
///ASKAの補足///
もしかすると、私自身が誤認しているかもしれないのですが、この事件のわかりにくい点として、事件を主導した女性被告とこの元少年の人間関係がよくわからない点にあります。
今回の一連の公判の報道をみると、女性被告には3人の子供がいて、いずれも児童養護施設で育ったとのことです。なので、この元少年はこの3人の子供のうちの1人と言う事だと考えています。
実子かどうかの報道が無いのですが、養子とか里親とかのキーワードが無いので、おそらく実子だろうと考えています。で子供3人の内、元少年以外の2人にも虐待が行われていたと言う事ですね。
このあたりを考えると、母親は子供の中の1人を虐待せずに、自分の味方にして、暴力装置として活用したと言う事かもしれませんね。
さて、補足はこのあたりにして、本題ですね。
事件の経緯などを見る限り、主導したのは母親である女性被告である事は間違いなさそうです。
結果的に元少年(女性被告の息子)も事件に加担する事になってはいるのですが、この点は少し同情できる点があるかもしれません。
これって、結局、「親ガチャ」の極端なハズレを引いたと言う事ですよね。
幼少期から私設監獄のような場所で育っていたら、知らずに看守役を演じてしまうかもしれません。
とは言え、元少年も小中学校ぐらいは通っていたはずですから、善悪の判断ができないはずは無いので、最終的に自分の意思で事件に参加したわけで、罪が無いとは言えないですよね。
判決も求刑12年に対して、懲役11年ですから、ほぼ全面的い検察側の主張を認定していると言う事で、認定してないのは別の同居男性に対する傷害罪は「ほう助にとどまる」と言う点だけなんじゃないかな。
この事件を防ぐには?と考えると、元少年については「親ガチャ」の影響が大きくて、ちょっと防ぐ方法が無いかもしれません。
なので、事件を主導した母親の女性被告がなぜ、この事件を起こしたのか?つまるところは、どうしてそんな生き方を選んでしまったのか?そのあたりを考える必要がありますね。
と言うわけで、女性被告の公判を待ちましょう。
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